一人の女性へ愛を捧げる男の物語   作:( ∴)〈名前を入れてください

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中々に難産だった(コナミ)


聖杯問答 了

 

セイバーの言葉に声を失った様な気がした。聖杯からの知識から一般常識程度はしっており、その中に選定の剣……いやアーサー王伝説の事だってある。

セイバーがアーサー王なのだとしたら選定の剣のやり直しと言うことは…セイバー自身が己という存在が無くなるという事であり、セイバーの生きた証が無くなるという事……

 

「王とは民を国を護りその身を捧げる者!決して己が欲望の為に王となるのではない!!」

 

「民の為、国の為にあってこその王であり、それこそが我が王道である!!」

 

その考えは余りにも尊く美しい…だけどそれじゃあ駄目なんだ。それは……

 

「はっはっはっ!!聞いたかよランサーにライダーよ、この小娘よりにもよってやり直しときた。ここまで愉快な道化はそうはいまい」

 

アーチャーが心底面白そうに笑い転げる

 

「のう…お前さん、それは本気か?」

 

ライダーはセイバーを哀れみを込めた表情で見ながら問う。お前はそれでよいのかと、其がお前の在り方なのかと

 

「まあ…これが小話の類だったら我が宝具をくれてやってもよいのだが、見事な笑い話だ。現代でこれほどに笑える話ができる奴が他にいるかよ。ククッ」

 

「何が可笑しいというのだ!!」

 

「おっ落ち着いて、セイバー」

 

「ハーハッハッハッ!!」

 

アーチャーは尚も笑い続ける。その姿を見たセイバーは拳を床に叩きつける。

ダンッと大きな音がなるもその姿を見て更にアーチャーは大きな声をあげて笑う。

その姿をみてセイバーはその端麗な顔を歪め怒りを露にする。ふざけるな私の何が可笑しいというのだと言わんばかりにアーチャーを睨み付けるもそれは全く意味を成さない。

そんな姿を見てセイバーのマスターが宥めようとするもアーチャーの笑い声にかき消される。

その様な事をしているとライダーが確認をとるようにセイバーに話しかける。

 

「セイバー、貴様はよりにもよって、自らが歴史に刻んだ行いを否定すると言うのか?」

 

「……剣を預かり身命を捧げた故国が滅んだのだ、それを悼むのがどうしておかしい!」

 

「いいや違う、王が捧げるのではない、国が民草がその身命を王に捧げるのだ、断じてその逆ではない」

 

「なにをっ!それは暴君の治世ではないかっ!」

 

セイバーはその言葉を聞いて激昂する。それは違う、それは王として正しくないのだと。

 

「然り、我らは暴君であるが故に英雄だ。だがなセイバー、自らの治世を、その結末を悔やむ王がいるとしたらそれは只の暗君だ、暴君より尚始末が悪い」

 

「貴様とて、世継ぎを葬むられ築き上げた帝国は3つに引き裂かれて終わったはずだ。その結末に貴様は何の悔いもないと言うのか!!」

 

ライダーはセイバーの言葉にきっぱりと言い返す。「ない」と

 

「余の決断、余に付き従った臣下の生き様の果てにたどり着いた結末ならばその滅びは必定だ。悔やみもしよう、涙も流そう。だがまして、それを覆すなど!そんな愚行は余と共に時代を築いた全ての人間に対する侮辱である!!」

 

「滅びの華を誉れとするのは武人だけだっ!力なきものを守らずしてどうするっ!?正しき統制、正しき治世、それこそが王の本懐だろっ!」

 

「で、王たる貴様は正義の奴隷とでも言うつもりか?」

 

「それでいい、理想に殉じてこそ王だ」

 

セイバーの王としての在り方、それは国に身命を捧げ己を捨て皆の正義としてあること。

 

ライダーは溜息をつきながらゆっくりと言葉を紡ぐ。まるで子どもに言い聞かせるかの様に。

 

「そんな生き方は王ではないわ」

 

「王とはな、誰よりも強欲に誰よりも豪笑し、誰よりも激怒する、清濁なく含めて人の臨界を極めたる者、そうあるからこそ臣下は王を羨望し、王に魅せられる。一人一人の民草の心に我も王たらんと同慶の灯がともる」

 

これこそがライダーの在り方、王とは周囲の人間から羨望の眼差しを受ける象徴それこそがライダーの王の姿

 

「王として国を統治するならば人の生き方なぞ求めない。己が身可愛さで聖杯を望む貴様には理解できまい。征服王、貴様には分かるまい己の果てなき欲望の為に覇王となった貴様には」

 

「無欲な王なぞ飾りにも劣るわ」

 

「王に己の心は不要、王はただ民草の正義であれば良い」

 

そんなセイバー達を見ながらアーチャーがランサーに声をかける

 

「貴様はどう思うランサー?あの小娘の有り様を。」

 

「俺は…セイバーの願いは優しいと思う。死んでも尚誰かの為を思える、それはきっと凄い事なんだ」

 

「ほぅ?貴様は死者が現世に介入する事を好んでは無いのではないか?」

 

目を細め此方を向き聞いてくるアーチャーに頷き言葉を続ける。そうだ…俺は

 

「確かに俺は先に行った者がその後ろから追ってくる者と混じりあってはならないと思う」

 

「ならば何故小娘の有り様を認める?お前とは相容れぬ願いであろうに」

 

「俺はセイバーの願いは認められないけどセイバーの在り方は凄いと思う」

 

普通はセイバーの様に誰かの為にあること何て出来ない。

 

「なぁ…アーチャー?アーチャーにとっての民って何だ?」

 

「下らん、民とは王の所有物でありその全てを王が背負う物だ」

 

思わずその言葉を聞いて笑ってしまう。アーチャーならそう言うだろうと思った

傲慢に全てを見下ろしこの世の全ては己の物と言い張る姿、在り方は真逆だがまるでアイツみたいで。

 

「なぁ、セイバー?1ついいか?」

 

「……何ですかランサー?」

 

だからこそ二人にも聞きたくなった二人は民をどう思っているのかを

 

「セイバーにとって民とは何なんだ?」

 

「決まっています、王として身命を賭して護り抜かねば為らない者達です」

 

「で、ライダーにとっての民とは?」

 

「決まっておろう!余と共に駆け抜けていく同胞だ!!」

 

そうやって己の有り様を語る彼らは俺から見ると王としての相応しい者なのだろうと感じる。

 

「なぁ皆、少し俺の言葉を聞いてくれないか?」

 

そう言うとここにいる皆が俺を見詰めてくる。それを感じながらゆっくりと語り始める。

俺の知っている王の姿というものを

 

「昔、一人の男がいた。その男は滅びの運命にあった人類の為に立ち上がり暴君となった」

 

「全ては1つ、人類という種の存続の為に男は立ち上がったんだ」

 

「何年も何年も長い刻を生き、その為に己の全てを捧げ皆を守っていた王がいたんだ」

 

シンッとした空気の中に俺の声が響く。

暫く話した後セイバーが質問をしてくる

 

「ランサー…貴方は一体何を言いたいのですか?」

 

「簡単な事だよ、そんな経緯で王として君臨した男だっているんだ。アーチャーにもライダーにもセイバーにも皆が皆が同じ状況下で王様になった訳では無い、違うか?」

 

「だったら土俵が違うんだからどっちが正しいも何もないだろ。」

 

「簡単な事じゃないか、三人ともそれぞれ凄い王様って事なんだろ?なんで其れが正しいか正しくないかなんて決めようとするんだ?」

 

俺の言葉にライダーが納得した様に声をあげる

 

「ふぅむ……成程、その様な考え方もあるか。……酒に飲まれてたか?余としたことが不甲斐ない。その在り方を認め飲み干してこその余であろうに」

 

「セイバー、お前の王道しかと聞かせて貰った。余には理解は出来ぬがお前の時代では仕方のなかった事なのやもしれん」

 

「ランサーがあそこまで言うのだお前もまた王なのだろう。民草の為に国の為に尽くすのがお前の王道という事なのだろうな」

 

そう言いながら片手をセイバーに向ける

 

「……ライダー、私にも貴方の王道は理解出来ませんが貴方のその生き様、きっと民は貴方に付いていきたいと思ったのでしょうね。」

 

「なんだセイバーも余に付いてきたくなったか?歓迎するぞ、今ならランサーもおるしな。」

 

「ハァ!本気かよライダー!?」

 

「なーに気にするな坊主、これが征服王の在り方という物だ。」

 

その言葉にウェイバーが声をあげるもライダーに軽く流される。そんな姿を見てセイバーは苦笑しながらも言葉を続ける

 

「いえ…折角ですが遠慮しておきます。私は王であり、叶えたい望みがありますので」

 

「まぁ、そうだろうなぁ……まぁ気が変われば何時でも言いに来ると良い」

 

そうしてお互いに握手を交わし一段落着かと思った瞬間、遠くからまるで巨人が歩いてくる様な音が聞こえてくる。

 

「アイリスフィール…此方に」

 

「こっちに来い、坊主」

 

サーヴァント達は自分のマスターを守るように位置を取る。

 

「ケイネス、大丈夫か?」

 

「大丈夫だ、この一軒屋にも私のありとあらゆるトラップを仕掛けている。アサシンが来ようと、ここに辿り着く前に」

 

その音はどんどんと近づいてくる、まるでここを知っているかのように

 

「――ッ!この場から離れろ!!」

 

ケイネスが言い切る瞬間、セイバーの叫び声が響き、皆一斉に部屋を飛び出し外に出る。

皆が外に出た瞬間、まるで巨人の足の様な物が一軒屋をドスンッと踏み潰した

 

「危なかった…これは何だ?」

 

「やけにデカイ……カエルか?」

 

「なんでこんな所にロボットが来るんだよ!日本は秘密裏にでもロボットを作ってるのかよ!?」

 

皆が皆がそれぞれの反応をとっていると

その姿を見てシモンは狼狽する。そんなまさか…あり得ないと。

 

「馬鹿な……何故ガンメンがこんな所に。」

 

「これが…ガンメンなのか。」

 

夢でしか見たことのなかったそれが現実として現れる。

緑色のカエル姿をしたロボットが此方を見下ろしながら声をあげる

 

「お前がグレンラガンのパイロットか?……まぁいいやお前を倒せばチミルフ様はお喜びになる、」

 

「潰れろ!!」

 

そして再びその巨大な足が降り下ろされた。

 

 




物語は加速していく……かもしれない
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