一人の女性へ愛を捧げる男の物語   作:( ∴)〈名前を入れてください

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この日がこの物語のターニングポイントだったり


親の心の子知らず、子の心の親知らず。英霊その心を知る 中

 

「つまらん。体の良い余興程度にはなるだろうと思っていたが、三流以下の話にすら劣る何かになりそうだ」

 

教会の一室、綺礼の自室の中で1人ワインを開けながらギルガメッシュはそう独りごちる。綺礼が趣味で集めている人のワインを何本も開け、1本、また1本と飲み干していく。

 

古代ウルクの王でありこの世の全てを手に入れこの星の全てがを自分の庭だと豪語する彼にとっては全てが己の物であり他者の権利という物を考慮する事は無い。いや他者の権利等、彼の中には存在しない。何故ならばそれが暴君いや英雄王としての彼の不変の在り方。

 

「愉悦を知らぬあやつに教え込めば中々に面白い事になると思ったのだがな」

 

千里眼の先に見える綺礼と瑠正の語り合い。それを見て何を知ったのか彼の顔は更につまらなそうな表情に変化していく

 

『 全知なるや全能なる星』星の輝きの如く地上の隅々へと行き渡り、万象を見通す、ギルガメッシュの精神性が昇華した常時発動型の宝具の一つ。その効果は凄まじく、相手の真名や宝具はおろか、幾重に隠された真実さえも一瞥で見通してみせる。

 

だがその強力な性能故に本来はその力を封じている筈なのだがギルガメッシュは今それを発動している。慢心こそが英雄王である彼を作る一つであるのに、何故この宝具を発動しているのか

 

「どうした、アーチャー。なにやら不機嫌みたいだが何か自分にとって不都合な事でもあったか?」

 

「貴様…我の目の前に立つ事もその胡乱な口を開く事を許可した覚えは無いぞ。潔くこの場から消え自害せよ。」

 

突如虚空から現れたアサシンにそう吐き捨てるとアサシンはまた虚空へと姿を消しその何の感情も感じさせない声を部屋の中へと出す。ギルガメッシュの声から感じる感情は『怒り』己の庭に害虫がいる事を認められない家主の怒りその物だ

 

「ふむ、ならばこれは独り言でありお前が気にする事も無いのだが。」

 

「貴様…我自ら誅せねばどうやら分からんようだな」

 

「何故あの男、我がマスターを執着する?あのような男この世には吐き捨てる程いるだろうに。お前から見れば有象無象の一つ、それを知らん訳でははあるまい?」

 

言峰綺礼と呼ばれる男は凡そ唯一無二の男でない。世界中を見れば彼のように他者の不幸からしか己の幸せを感じる事の出来ない異端者、それに気付かず苦悩している者など山のようにいても可笑しくは無い、だからこそアサシンは問う。

 

「お前にとって言峰綺礼はそこまでする程価値のある人間なのか?」と

 

「チッ…我が誰に対してどのような事を感じても我の勝手であろう。あの男はこの下らぬ余興の中では1番面白いと言う事であるだけ、それだけよ」

 

「そうか。つまりは要らなくなれば捨てる程度の存在か、幼子が飽きた人形を使わなくなる程度の存在と言うことだな」

 

「そうだ、飽きたら捨てる。あやつはその程度には価値のある男よ」

 

そう言い捨て話す事はもう無いと言わんばかりにギルガメッシュは酒を再び飲み始める。何故彼が『全知なるや全能なる星』を発動しているのか、それはアサシンが原因である。

 

「(こやつ、我ですら真意を測る事が出来ん。このような者が我の庭にあって良い訳が無い。我の分からない者が我の庭に有る等、それも汚らしい汚泥を固めた存在を我が庭を闊歩するなど)」

 

ギルガメッシュの脳裏に浮かび上がるアサシンの姿、そこから感じるのは数多の人の意識。そこからは不特定ながらも同じ事を考えている事は分かる、だがそれ以上がどうしても彼には推し量る事が出来ない。

 

能面ように感情を推し量れない顔、漆黒に包まれた肉体。その全てが謎に包まれた存在、それがギルガメッシュが感じるアサシンである。故にギルガメッシュはアサシンに慢心する事は無い己が分からないそれは彼にとって、いやこの世界にとって異常な存在。

 

「まるで子どもの駄々を聞いているようだ。だが神話の王とは得てして皆このような物なのかも知れん」

 

その言葉を最後に声は聞こえなくなる。ギルガメッシュのワインを注ぐ音だけが部屋に反響する。窓から見える太陽は既に朝から昼になっており、人々の声がこの静かな教会に小さく聞こえてくる程だ

そうして彼は酒を飲みながら現世を千里眼で見詰める。

彼の瞳にはこの部屋の光景など映ってはいない。映っているのは子どものように泣きじゃくる綺礼とそれを受け止める瑠正の姿。

 

「ふん。つまらん、やはり三流以下の寸劇に劣る結末になりそうだ」

 

そう判断し別の可能性の世界を目を向ける。ランサー、バーサーカー、アサシンがおらず誰もが救いに手を伸ばしているが届かずに慟哭を漏らす悲劇に

 

「これの方が余程マシだ。やはりセイバー、貴様は美しい…貴様は悲痛に歪んだ顔が良く似合っている」

 

視界の先に映るセイバーの慟哭を酒の肴にしながらワインを飲んでいく。誰よりも清く正しく王あらんとした少女の苦しむ姿、そうしてセイバーを見終われば本来呼ばれるべきであったランサーの姿を

 

「フハハハ!この世界のランサーは良い道化っぷりだ!」

 

もし二度目の生が与えられるならば、その時は忠義を選ぶ戦いと願い「騎士の誇りに則った、より価値のある誉れ」を主君に捧げようとした男が裏切られ死に絶える姿を。そしてそのマスターと婚約者が何も出来ず死に絶える不様な最後を。

 

「こんな狂狗如きに何をしているのだ!貴様ァ!我だと言うのならばそのような狗は自ら誅して見せぬか!」

 

「我の財をこのような物に触れさせるだと……これでは我もこれを使う気が失せたわ。何をしているのだこの世界の我は」

 

バーサーカーに手こずる己に怒りをぶつけたり、狗に触られた事により汚れた宝物にガッカリしたりと他人が見たら1人百面相をしているような事をする。

 

「何だこの世界の我、楽しそうにも程があるだろ」

 

綺礼に愉悦を教え込んでアゾらせたりセイバー虐めて楽しんだりライダーとの戦いでエアを抜いてノリノリの自分と現世を少し見物したり酒飲んだりしている今の現状の自分を見比べて思わずそう呟く

 

平行世界の月から「王様がノリノリだったらロクな事にならない」とか聞こえて来た気がしたがそれはスルー

 

「全く…何か我の退屈を紛らわす物は無いものか……」

 

そう考えふと平行世界の自分が聖杯問答とやらに参加していたのを思い出す。これならば少しは退屈を紛らわせると思いギルガメッシュは外へと向かう。

部屋の中には先程まで飲まれていたワインが無造作に置かれ部屋は乱雑にされたままであり、そんな部屋の中に虚空からアサシンが姿を現す。

 

「酒か…己を制御出来ない愚か者が多用するアルコール飲料水であり、そして果物の果汁を熟成させたワインと呼ばれる物は仄かなその果物の香りと高いアルコールを味わう物とされているな」

 

まるで情報だけを羅列するように、辞書を読むように結論つけるとグラスに残ったワインを掴みグイッと飲み干していく。だが彼の能面は表情を変える事は無い…その能面は彼が螺旋族を止めたからこその証。これ以上の進化を止める為に醜いその姿は彼等の決意の証

 

「やはり理解が出来ない。これがアルコールである必要性を感じない。私はもっと知るべきだ、私を倒した彼等を。人間の…螺旋族の全てを」

 

彼であり彼女である彼等の脳裏に浮かび上がるのは宇宙の守護者であった己を打ち倒したあの男。宇宙を託す事を認めざる得なかった螺旋族達。進化を止めず宇宙の崩壊を近付ける愚か者共

 

「この世界に今、正しく生れ落ちた新たな螺旋族よ我等が貴様を気付いていないと思うな、そして螺旋の勇者よ。貴様が正気に戻ったのはコチラも承知の上だ」

 

反螺旋族たるアサシンが感じる対極の存在、正反対の回転の存在たる螺旋族の存在を感知し、その力に応じて強くなる。

 

アンチスパイラルの螺旋族と対等に戦い勝つ事により心を折り殲滅して来た事が彼のスキルへと昇華され、彼は唯一他者の螺旋の覚醒、その存在を認知出来る。

 

「貴様が何を企んでいるのかは知らん。だが我等は貴様の敵である事を忘れるな」

 

「その為に我等はここにいるのだから」

 

その言葉と共にアサシンは部屋の中から姿を消す。そうして部屋の中は外から聞こえてくる音以外全て消えて行った。

 

 

「夜になりしだい急ぎ2人をこのテッペリンへと連れてくるのだ」

 

「ハッ!対象ABの人間をこの首都テッペリンへとお迎えにあがります!」

 

この夜、全ては動き始める。だがそれはまだ少し先の話

 

 




よく分かる今回

ギル「つまらん。目につけてたのがこのザマではやる気が出ん」

アンスパ「なんでそんな目にかけるん?正直どこにでもおるやろあんな奴」

ギル「うるさい死ね。お前が何なのか殆ど理解出来んねんねん。まぁ言うならばまだマシやからかな」

アンスパ「ほーん。成程分からん」

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