一人の女性へ愛を捧げる男の物語 作:( ∴)〈名前を入れてください
……主役は先生ですよ?(震え声)
王は人の心が分からない。
よく言われてきた言葉だ…そしてそれは変わらないだろう……今までもそして此れからも。
「英雄が嫌いか…」
昨日のマスターの言葉が未だ頭から離れない
確かにそうなのかも知れない……。
私のせいで国が分断され結果滅んだのだから私は彼等の屍の上に立っているこの私はマスターから見ればどうしようもないくらいの悪人で認められない存在なのだろうから。
ふとあの子の言葉が頭を捩る。
「私に王の座をお譲り下さい!父上!!」
「………ッ!」
違うのだモードレット…王とはお前が目を輝かせて成りたいと思い為るものでは無いのだ
……王は孤独でなければならない。
例え皆にその在り方を理解されなくても、何時いかなるときも皆の正義でなければならない、云わば孤独の道…そのあり方に己の心など必要ない。
お前にその様な道を送って欲しくない。
例え我が姉モルガンの計略として産まれてきても…紛れもなくお前は私の子。
私が腹を痛めて産んでいなくても……私が認知していなくとも
矛盾しているかも知れない…だが私の王としての心と確かに心の奥底にあるアルトリア…一人の少女としての心がそう叫んでいるのだ
例えお前が短い命であってもお前には己の意思で自らの道を進んで欲しかった
王の道には己の意思なんて必要ない。
故にお前にその器がないと私は判断した。
例え心の奥底の私が自らの行いに苦しみ泣き伏せようと、王としての私は突き進まなくてはならない…そんな道にお前が進むのを私は肯定出来ない。
お前に王位を譲る事は王としての私もアルトリアとしての私も肯定出来なかった
その結果起きたモードレットの反乱…国を二分した戦いは国に混乱を巻き起こした。
「アーサー…いえ父上お慕い申上げておりました。」
そしてブリテンは崩壊した。
「一体…何処で私は…間違えたのだ」
思わず口から出た言葉に思わず笑ってしまう
何を言っているのだ私は…何処で間違えたかなんて分かりきっている……
初めから間違えていたのだ…私が選定の剣を抜いた…それ事態が間違い。
だから願う…聖杯にもう一度選定の剣のやり直しを……きっと私何かより素晴らしい人が選定の剣を抜き必ずやブリテンを好き方向に導く筈だから。
ぽつりと顔が濡れる…何故なのかは考えない考えればきっと私は壊れてしまう。
「見回りにでも行こう……。」
今は少し頭を冷そう…そう思い行動に移そうとすると
「話がある…セイバー」
「マスター…?」
―――――――
朝目覚めた僕は直ぐに行動に移した。
急ぎセイバーにレイラインで呼び掛けようとするも
「……何を言えばいいんだ?僕は?」
慰め?そんな事されてセイバーが喜ぶ訳がない。
だったら共感?もっと駄目だセイバーの苦しみはセイバーだけの物…僕だっていきなり僕の苦しみをポッとでの奴に共感なんてされたくない。
「だけど…伝えなきゃならないんだ」
セイバーの行った事は罪なんかじゃないと…君は誰よりも正しかったと…君は罪にまみれていないんだと……
「アイリ以外に…理解されないと思っていた僕が…誰かを理解してこんなに頭を悩ませているなんてね」
思わず自嘲してしまう。
「探そう……。」
歩きながらかける言葉を考えれば良いさ、そう答えを後回しにして行動に移す。
そうしてセイバーを探しながら屋敷を歩いているとセイバーの姿を見かける
「(泣いているのか……?)」
瞳から頬を伝い流れる一筋の煌めきがセイバーの顔を見ると分かった。
その姿はまるで一人の少女が何かに悲しみ涙を流している姿にしか僕には見えなくて
「(僕は…本当に何をしていたんだ。)」
自分の事だけを考えてセイバーの事を理解できないと接するのを止めた僕はなんて愚かなんだ。
「(伝えなくては…。)」
そう思うも体は動いてくれない何を言えば言いい?セイバーにどう僕の気持ちを伝える事が出来るのだろうか?
そうやってまごついているとセイバーが動き始める。
「(やるしかない…覚悟を決めろ!)」
そう思いセイバーに声をかける
「話がある…セイバー」
「マスター…?」
僕をそう言いながら見てくる彼女の顔は今は何時も通りの顔に戻っていた。
そう…何時もの王としての…騎士としての顔に。
――――――――――――
まず感じたのは「絶望」ブリテンの王としてこの国を統治していたのに…誰よりも正しくあらんとしていたのに何故この様な事になるのか、どうして……
求めし物は「救済」あぁどうか誰でも良いから私の願いを叶えてくれ、今一度選定の剣をやり直す機会を与えてくれ。
私なんかよりももっと相応しい者がいるはずなんだ……私のせいで苦しんだ人達もきっとその者なら余さず溢さずに導いて行ける筈だから。
だから私は願おう。聖杯に選定の剣のやり直しを……その為ならば私の死後でも何でもくれてやる…罪にまみれたこの身を幾らでも捧げてやる
人々に王として謳われた少女は願う。故国の救済を…
まず感じのは「絶望」この世界は死に溢れている、悲しみに絶望に苦しみに溢れている
そんな世界を認められる訳がない。
求めしものは「救済」だから僕が世界平和を実現させる 夢物語?言うだけ言えばいいさ僕は必ず実現させてみせる
その為に聖杯を取り願いを叶えてみせる…僕にはもう後が無いから。
正義の味方として大を守るために小を切り捨てる男は願う…誰もが悲しまない平和な世界を。
――――――
彼等は似ている…他の誰よりも。
正義の味方は王の心の奥底にある一人の少女の悲しみを知った
ならばその悲しみを解いてやるのが正義の味方だろう
大の為に小を捨ててきた正義の味方に灯された小さな光、それは誰かが泣いていたらそれに寄り添ってやりたいという当たり前の事
一先ずはここで彼等の話は筆を置くとしよう
彼等の話はまた…いずれ
( ∴)ジー