もう少し、イリヤが切嗣を信じていたら   作:夜空 太陽(新アカ)

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「イリヤ・・・なのか・・・?」

 

謎の存在に身体を譲り受け召喚されたとき目の前にいた召喚主(マスター)は僕の娘イリヤだった。

 

「キリツグ・・・キリツグ・・・!」

 

飛び付いてきたイリヤを僕は抱き締めることが出来なかった。

こんな汚れた手でイリヤを抱いて良いのか。

手を伸ばそうとする度に聖杯の中での記憶が甦る。

抱き締めたい気持ちと罪悪感が空回りする中、スーツの中に着たワイシャツが湿った感覚を感じた。

何の事かとスーツの合間から僅かに出ているワイシャツを見るとそこにはイリヤの顔が有った。

僕が最後に会ったイリヤは僕のヘソほど高さしかなかった。

それが、僕の胸の高さに追い付いたのか。

 

───イリヤは大きくなったんだなぁ

 

「・・・ぁ」

 

片手だけ・・・左手だけだ。

優しく、けれど強く抱き締める。

 

「・・・ごめん、待たせたね。イリヤ・・・」

「キリツグのバカァ!・・・遅いよぉ」

 

僕に抱きつくイリヤの力が強くなる。

 

「ごめん、本当にごめん」

 

バン!

 

突然、祭儀場の扉が突然開かれた。

扉を開いて入ってきたのは。

 

「ユーブスタクハイト・・・!」

「イリヤスフィール!召喚は終わったのか・・・衛宮切嗣・・・!」

 

僕の嘗ての雇い主であり、僕の愛した人、そして娘すら裏切った男だった。

 

「衛宮切嗣が何故死んだ筈では・・・お前かイリヤスフィール!」

「ええ、私が呼んだのよ。キリツグが私に託した御守り"起源弾"を使ってね」

「起源弾、魔術師を一撃で仕留める手段が有るとは聞いたが・・・まさか、己の起源を込めていたのか!?いや、だがそうならば強すぎる縁が英霊ではない者を呼び寄せたという仮説が・・・!」

 

ガウン!

 

突如、銃の発砲音が鳴る。

イリヤの耳を抑えながら僕はキャリコをセミオートで一発だけ発砲する。

どうでもいい話を遮る為とユーブスタクハイトに此方の交戦意思を示すためだ。

 

「そんなことは事はどうでもいい。お前は第三次聖杯戦争で第八のサーヴァント、復讐者(アヴェンジャー)この世全ての悪(アンリマユ)を召喚した。そうだな?」

「ああ、そうだ。何処で知ったかは知らぬが貴様の言う通り我等はアンリマユを召喚した。と言ってもアンリマユとして罪を擦り付けられただけの人柱だったがな」

 

ユーブスタクハイトは淡々と語った。

 

「その結果何が起こったのか分かっているのか」

「勿論、聖杯が汚染された。しかし、それがなんだと言うのだ」

「何・・・?」

「我等アインツベルンの悲願は聖杯の完成による第三魔法への到達だ。その、中身が何であろうと我らは知る必要も無く、興味など皆無だ」

「貴様ァ!」

「ぐっ・・・!」

 

僕は激情に任せ両手首を撃ち抜く。

魔術を使うときに手を使うのは魔術を制御するために言葉の次に重要なアクションだ。

魔術行使をさせないために一応撃っておく。

喉や頭を潰して喋れなくするよりそちらの方が良い。

そして、僕の激情は一撃では治まらない。

と、咄嗟にキャリコを使ったが僕が主に使用した銃器は念じればイリヤの魔力を通して現界して使えるようだ。

投影魔術を基礎に構成されているようだった。

と思案している間にキャリコの発砲音を関知したのか戦闘用ホムンクルスが侵入する。

 

「・・・イリヤ。宝具の使用許可をくれないか?」

「許可するわキリツグ。宝具の使用はキリツグの判断に託すわ」

「ありがとうイリヤ」

 

イリヤを庇う様に前に立つとキャリコを足下に落としトンプソンコンテンダーを思い描くと右手にコンテンダーを発生させる。

 

「僕の推測通りならこれで・・・」

 

コンテンダーに一発の弾を込めホムンクルスにコンテンダーを向け引き金に指を掛ける。

相手が避けられる最低ラインまで引き付け───

 

 

 

「"起源弾"」

 

 

 

と、引き金を絞るのと同時に呟いた。

着弾するのと同時にホムンクルスの身体が被弾したところから歪に切り張りされ動けなくなくなる。

血管が顕になり身体中の血液が抜け落ち周囲が血の海になった。

 

「なんだと・・・アインツベルン最高の戦闘用ホムンクルスが一撃で・・・!?」

「どんなに強固なホムンクルスでも僕に対しての相性は最悪だ」

 

魔術回路で構成されているホムンクルスにとって魔術回路で切断し歪に結び付ける起源弾は必殺の策になる。

 

「イリヤ。魔力の消費はどの程度だ?」

「起源弾の魔力消費量は・・・そうね魔術回路が百程度魔術師なら一日に二発も撃ったら死ぬわね」

 

それもそうだ起源弾は僕の肋骨を込めてある。

それは零から人体の身体の一部を複製することに他ならない。

 

「イリヤは何発までなら行ける?」

「私は聖杯だからキリツグがどれだけ撃っても平気よ」

「そうか・・・」

 

自分は聖杯だという言葉に三割の後悔。

残りの七割は三割が自分への怒り、最後の四割は───

 

「逃げるな・・・!」

 

───お前への怒りだ・・・ユーブスタクハイト!

 

会話の合間に立ち上がり逃げようとするユーブスタクハイトの膝を裏から拾ったキャリコで撃ち抜く。

地味に距離が有ったのか膝の骨に残り倒れる。

 

「グァ!」

 

ユーブスタクハイトが呻き声を上げ地に頭を直撃する。

 

「いい様だなユーブスタクハイト」

 

僕は嘲笑うようにユーブスタクハイトに聞こえるようわざと靴の音を鳴らしながら近付く。

 

「止めろ!私を殺したらそれこそ、アインツベルンの悲願が!第三魔法が」

 

ユーブスタクハイトが喚き立てる。

 

「知ったことじゃない。それこそ僕にとって何の興味も無い」

 

コンテンダーに起源弾を込めてユーブスタクハイトの頭に照準を合わせて引き金に指を掛ける。

 

「残す言葉は有るか?」

「止めてくれ・・・!」

「断る・・・!死ね」

「止め・・・

 

 

 

 

「───"起源弾"」

 

 

 

 

 

ろ・・・」

 

ユーブスタクハイトの身体が先程のホムンクルスの様に切り張りされ動けなくなくなる。

 

「やっぱり、お前もホムンクルスだったんだな」

 

ユーブスタクハイトだった物を見下ろして呟やく。

ホムンクルス

人間の手により造り出され使命も運命も決められ生まれ出た()

 

ユーブスタクハイト。

僕やアイリ、イリヤ、聖杯戦争に関わった全ての人間を裏切った男だ。

でも、それでも、─────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───アイリに会わせてくれてありがとう。それだけは・・・感謝している」

 

 

 

 

 




疲れた・・・文字数は中々増えないけど切嗣の言動が微妙に少ないので書きづらかった・・・。
そういえばエミヤのラストは決まりました。
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