もう少し、イリヤが切嗣を信じていたら 作:夜空 太陽(新アカ)
また、ゆっくり書いていこうと思いますので読んでくれたら嬉しいです。
ユーブスタクハイトを殺害して数週間後、僕とイリヤは聖杯戦争の舞台である西日本に存在する地方都市"冬木市"に降り立った。
「キリツグ」
「何だいイリヤ?」
「これからどうするの?」
霊体化している僕にイリヤは問いかける。
「まずは冬木市を散策しながら地図では分かりづらい場所を確認しようと思う。
十年前とでは変わっている場所もあるだろうからね」
「拠点は?」
アインツベルの城はケイネスとの戦いで壊してしまった。
しかし、一応考えはある。
「士郎が魔術を続けていれば僕が生前住んでいた屋敷を使おう」
「シロウ?お兄ちゃん?」
「いや、実際はイリヤの方がお姉さん何だけどね」
僕は苦笑して言う。
実際、イリヤの方が一つか二つ年上だ。
たしか今は、士郎は高校ニ年生くらいかな?
「それにしても魔術を続けていればってどういうこと?」
「士郎には魔術を中途半端にしか教えてないんだ。出来れば、此方の道には足を踏み入れてほしくなかったからね。
あまり才能が無いから」
それに、今はそれだけじゃない。
魔術を続けていれば雨生龍之介のように何かの間違いでサーヴァントを召喚してしまう可能性がある。
「シロウにはどんな魔術を教えたの?」
「確か、強化と構造把握だったかな?」
まだ何かあったか?と顎に手を当て考える。
「ああ、それと投影魔術を教えたんだ」
「どれも全く駄目だったの?」
「いや、構造把握は物体の殆どを看破できるぐらいの才能があったけど、本来、本質を見れば良いだけだから正直無駄な才能だよ」
「ふふ、そんなに細かく理解出来れば、もし、投影を覚えたら強くなりそうね」
「そうなったら、いいね」
しかし、それは机上の空論だ。
「それに、シロウの中には聖剣の鞘が有るんでしょ?」
「どういうことだい?」
「うーん、まだ内緒!」
と言って走り出してしまう。
「お、おい。待ってくれよイリヤ」
笑いながら走るイリヤに少し焦るが、同時にイリヤが笑っているという事に喜びを感じている僕が居た。
でも、笑っていられるのも今だけだ。
・・・今日の夜にも戦いは始まる。
「キリツグー!」
「今、行くよ」
少し、少しだけだ。
ほんの少しの間だけ、この幸せな時を噛み締めよう。
それから、四時間後。
僕とイリヤは衛宮邸に居た。
「ほえー、これが日本のお屋敷なの?」
「そうだよ。そして僕と士郎が暮らしていた家だ」
後、大河ちゃんもよく入り浸っていたなぁ。
「イリヤ、屋敷のなかを見ておいで。物は壊さないようにね」
「分かった!」
イリヤは大喜びで中庭へ駆けていった。
僕は後ろに続くように中庭の奥の土蔵に足を向けた。
中庭で屋敷の周りを見ているイリヤとは別に僕は土蔵の扉を開いた。
「鍵を掛けていないのは不用心だな」
苦笑して中に入ると。
「これはまた」
中に有るものの数が十倍ほどに増えていた。
その中の物を一つ掴む。
それには強化に失敗したであろう痕跡が残っている鉄パイプだった。
「決まりだ。そういえばアイリが残した陣がある筈だ」
周囲をぐるりと見渡すと陣が隠れるようにあった。
陣を消そうと足を掛けようとすると。
「キリツグー!」
「まあ、後で良いか」
とイリヤの居る方に足を向けた。