今回はストーリー的には繋ぎ回&伏せてない伏線回です。そして感想、評価、多くのお気に入り追加ありがとうございました!それでは本編へどうぞ〜
【八咫烏】
日本神話に所属する最高戦力の一角
その存在は伊邪那岐命が国造りをした頃から確認されている。伊邪那岐命に仕える執事を長年やっていたが支配体制が天照大御神に変更してから天照大御神に仕えている。
三つ巴の戦いでは悪魔が転生悪魔の逐次戦力投下のため人間を拉致し始め日本でも被害が出始めた事で天照大御神の命令により参加している。
当初は悪魔のみ戦闘対象になっていたが大戦の影響が人間界にも出ていた為悪魔だけでなく天使や堕天使も対象にされ全陣営に多大なる被害を与えた
我々悪魔は当初より標的にされていた為他の陣営より被害が多くその内訳は二天龍による被害に次いで多いとされている。
『冥界史B』より一部抜粋
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真っ赤な薔薇に彩られた見事な庭園を、紫色の空に浮かぶ紅く染まった満月が見下ろしていた。
静かな夜だ。空気は凛と冷え夜の帳が色濃く辺り一帯を包んでいる。
薔薇園の奥には立派な豪邸がそびえており、橙色をした明かりの揺れる窓が瞳のようだ。
その館を薔薇の生垣の向こうに眺める庭園のテラスで1人の男性が小さな丸テーブルに向かい優雅にティーカップを傾けていた。
男性の名はヨーハン=フェニックス。元72柱の1柱であるフェニックス家の現当主であり、薔薇園を見下ろす館の主である。
蔦模様に絡み合うスチールテーブルの上に飾られた薔薇の切り花が微かに香り、薔薇園の薔薇達の花弁が一吹きの風によって散る。そして風が吹き止むと金髪をオールバックに固めた長身の男が机を挟んだ彼の対面に置かれた椅子に腰掛けていた。
「相変わらず良い趣味をしているなヨーハン」
「君ほどではないよ、八咫烏・・・ああ、失敬ここではベイの方が良かったのだったな。」
八咫烏、又の名をカズィクル=ベイ。かつて悪魔、天使、堕天使の三大勢力を機能停止寸前まで追い込む程の戦闘能力を保持している日本神話が誇る最強の矛だ。
軽く口角を上げ微笑する姿は、ヨーハンに劣らず品がいい。
だが彼もまた人間ではなかった。人であり獣でもあり、また化け物でもある。だがどちらでもありどちらでもない、そんな曖昧な存在が彼なのだ。
「それで、我が屋敷に何用かな、ベイ?」
ヨーハンが紅い瞳を向けて彼に問う。
「我が主は蝙蝠の駆除を望んでいる。」
無駄なく必要な要件だけを伝えるベイの言葉にヨーハンは一度動きを止め、中身の少なくなったカップを一口飲み、手に持っていたカップを金のスプーンが横たわるソーサーに戻してから、ヨーハンは唇を動かした。
「そうか。・・・・・・ならば私からは何も言わん、我が愚息を好きに利用するがいい」
ヨーハンは呟くようにそう告げる。
「元よりそのつもりだ、ここに来たのはそれを伝えるのと、1人の友としてヨーハンに忠告しに来ただけだ」
「忠告?」
訝しげにベイの発言を聞き返す
「今代の赤竜帝が現れた。これで赤と白は出揃った、竜は戦いを呼ぶ、しかも赤竜帝達は日本を拠点に置いている。下手をしなくても私が介入する羽目になる、そうなれば今度こそ……」
「我々悪魔は滅びる……か。それもまた一興、私は別にそれでも構わん。ただ罪無き者達がどうなるかが気がかりではあるがな」
乾いた笑いと共にヨーハンは呟く
「それは私の判断する事ではないから何とも言えんな……まあいい、伝える事は伝えたぞ、私はもう行く、ではな我が友よ。」
「ああ、次会うときは戦場出ない事を祈っておこう。」
その言葉を聞いた八咫烏はふっと微笑し空間転移で音もなくその場から消える。
あとには何も残らない。ただヨーハンが日々当たり前に眺めている赤い薔薇が咲き誇る庭園が広がるばかり。
そこには自然の呼吸のみが聞こえ雑多な人工的な音は存在しない、それは果たしてこれからの悪魔の未来を予見しているのだろうか。それは誰にも分からない。ただ一つ言えるのはこれは嵐の前の静けさという事だけだった。
「好きなように生きて、好きなように死ぬ 誰のためでもなく それが、我々のやり方だったな……そうだろう?八咫烏」
そのつぶやきに返ってくる言葉はない。ヨーハンは月を眺めながらありのままの運命を受け入れ1人紅茶を飲んでいた。
【用語集】
冥界史B
・・・私達で言う日本史、子供悪魔達はこれで冥界の歴史を学んでいるそうです。(捏造)
ヨーハン・フェニックス
・・・フェニックス家当主。八咫烏とは三つ巴の戦い以前からの友人関係。悪魔の中では少ない血統やら種族を鼻にかけない人物。名前を探しても見つからなかったので勝手に命名。元ネタは『悪魔の偽王国』を著したヨーハン・ヴァイヤーから。
カズィクル=ベイ
・・・串刺し公、三つ巴の戦い時の戦闘スタイルからとられた異名でありもっぱら悪魔達にはこの名前で呼ばれる
蝙蝠
・・・悪魔の蔑称
「好きなように生きて、好きなように死ぬ 誰のためでもなく それが、我々のやり方だったな」
・・・元ネタはACVDのミッション09でのファットマンの台詞。原作では「我々」の部分が「俺ら」になっている。