レティシア・ドラクレアとホグワーツ~LETICIA DRACULEA & THE HOGWARTS SCHOOL OF WITCHCRAFT & WIZARDRY 作:招き蕩う黄金劇場
今回は短いです。それと原作よりもハリー達が嫌われる展開を早くしています。
太陽が沈み、ホグワーツの生徒達が夕食を求め大広間に行く頃のこと。
既にホグワーツのしもべ妖精に作らせた夕食を食べ終えていた僕は、久し振りに惰眠を貪ろうとベッドへと潜り込み瞼を閉じようとした時、部屋に備えつけた訪問者を知らせるブザーがけたたましく鳴り響いた。
寝ようとしていたため僕の格好はネグリジェを羽織っているのみであり、流石にこのような格好で表へ出るにはいかないため、急いでいつも通りのレティシアファッションを着替える。
まだ少し眠いため、水の呪文を顔にかけて眠気をとばし、清めの呪文で水分を拭うと、部屋の玄関前まで転移し扉を開け放つ。
ったく折角寝ようとしていたのに台無しだ。どうしてくれるんだよ……。
「何の用だ……?ドラコ。寝ようとしていたところを邪魔されて今の私は頗る気分が悪い。来た理由がくだらないことだったときは覚悟するんだぞ……?」
不機嫌さを隠そうともせず、僕は部屋の前に突っ立っていたドラコに人指し指を突き付けて早口で捲し立てた。ドラコは少しだけショボーンとした表情をつくると、またいつもの不遜な笑みを浮かべる。
「落ち着いてくれ、レティシア。実はあのポッターを陥れるために良い作戦を思い付いたんだ!」
「そうか、どんな作戦だ?」
「ポッターに決闘の約束を取り付けるんだ。もちろん時間は夜中に指定してね。けれど僕は決闘に行かずポッターだけが行って、下等なグリフィンドールだけが減点されるって寸法さ」
僕は腕を組みながら息をつく。
確か原作だとこの時にハリー達は四階の隠し扉に気が付いたんだったか。どちらにせよドラコの作戦は失敗するわけだ。どうせ、賢者の石は僕が持っていることだし、たまには寮に貢献することにするか。
僕は悪どい笑みをドラコに向けた。
そしてハリー直筆の手紙を取り出す。この手紙はハリー達と友好関係を結んでおくために始めた文通のなかで一番最初に送られてきたものである。
「もっと良いのがあるぞ、ドラコ。これはポッターが書いた手紙だ。そして魔法には他人の字の形を完璧に再現できるものがあってな。私はそれを使うことができる。そしてポッターの字でスネイプに手紙を書いて指定の場所に呼び出す。ポッターもその場所にさっきのドラコの考えた方法で呼び出す。あとはその場所に糞爆弾でもなんでもいいから予め悪戯グッズを仕掛けといてスネイプを嵌めればいい」
「そうか!!そしたらポッターが疑われてグリフィンドールが減点されるんだね!」
僕は軽く頷くと続きを言う。
「それにスネイプを使うというのもポイントだ。奴はグリフィンドールに容赦ないからな。ごっそり減点してくれる筈だ」
「そういえば、どうしてレティシアがポッターの書いた手紙なんて持っているんだ?」
「そんな小さなことは気にするな。ほら、さっさと準備しろ。それで私の睡眠を邪魔した分はチャラにしておいてやる」
◆◇◆◇◆
次の日、グリフィンドールは90点も減点されていた。
ハリーからの手紙曰く、ハリーとロンとハーミィの三人でドラコに指定された決闘場所に行ったが、何故かスネイプが来て逃げ出そうとしたところ、スネイプを巻き込んで大量の糞爆弾が破裂して、冤罪だと説明してもスネイプは信じずハリーは50点、ロンとハーミィは20点ずつ減点されたらしい。その後、怒り狂うスネイプから逃げるため四階に行くと三頭犬と隠し扉があったとも書かれていた。
どうやら、彼らは四階のことを知ってしまったようだ。知ったところで賢者の石は僕が持っているためどうにもならないのだが。
ドラコは作戦が成功したとあって凄く機嫌が良かった。鼻歌までしていたレベル。そんなドラコにも負けじと他のスリザリン生も鼻歌をしていたのは少し、いや凄くひいた。
スリザリンと対称的にグリフィンドールの落ち込みようったら凄かった。泣き叫んでいる奴もいたからな。そのためハリー一行は同じグリフィンドール生からとても嫌われている。当の本人達は四階のことで気にしている様子はないが。
僕はハリーへの手紙に一応励ます言葉と四階のことを自分でも調べてみるという旨を書き、梟の足に手紙をくくりつけた。