レティシア・ドラクレアとホグワーツ~LETICIA DRACULEA & THE HOGWARTS SCHOOL OF WITCHCRAFT & WIZARDRY 作:招き蕩う黄金劇場
今日の日付は9月1日。言うまでもなくホグワーツへ出発する日だ。
既に準備は終わっているため、僕はぎりぎりの時間まで作業をしていた。作業といっても色々なマグルの製品に呪文を掛けるだけの簡単なものだ。
そういや、僕には未成年の魔法使いについている筈の「臭い」がない。原因はよく分からないが、僕は種族的なものではないかと疑っている。
要するに僕は未成年にも関わらず校外で呪文を使いまくることが出来るのだ。
さて説明はここまでにして出発することにしよう。
僕の荷物は全て『龍の遺影』の中に収納されているので、僕自身は完全な手ぶらだ。
移動にも『龍の遺影』を使う。やはり影を操るというのは使い道が多岐にわたるため便利だ。故に依存してしまうのだが……。
―――――
僕はマグルに見られないようにキングズ・クロス駅から少しだけ離れた路地裏にでた。
そこから少し急いでキングズ・クロス駅に向かう。
スネイプは既にホグワーツに向かっているため、会うことはない。
それにしても目につくのはマグル達。そこら中マグルで混み合っている。まぁ、本来マグルの駅のため当然と言えば当然なのだが。
列車到着案内板の上の時計を見るとまだ余裕がある。常に余裕をもって優雅たれ。思わずうっかりパパの口癖がでてしまったのはご愛嬌。
さて9と4分の3番線に向かうとするか。
そうしてプラットホームの9と10の間を目指していると、見知った顔が居た。
――ハリーだ。
困った顔をしてキョロキョロしている。仕様がない、声を掛けてやろう。
「ハリー、君は一体何時までそこに留まるつもりだ?」
「あっ! レティシアか……。実は9と4分の3番線が何処か分からないんだ」
「そうか、ならついてきたらいい」
そして僕は歩き出す。
ハリーも後ろからついてきている。
そして僕たちはプラットホームの9と10の間に着いた。
前方には赤毛の家族がいる。
「ハリー、後はあの前にいる赤毛の家族に聞くといい。恐らくあの家族はウィーズリー家だ。
丁寧に教えてくれる筈だ」
「あ、レティシア待って……!」
僕はさっさと9と10の間を通る。
通った先には赤い蒸気機関車が停車していた。
とりあえず、蒸気機関車乗り込むと空いているコンパートメントを探す。
どのコンパートメントも一杯でなかなか見つからない
しばらく歩いていると空いているコンパートメントを見つけたので、すぐに乗り込む。
そして『龍の遺影』から手作りのクッキーを取り出し食べながら出発時間がくるのを待つ。
さらに僕は携帯ゲーム機も取り出した。
FPSゲーのディスクを入れ、開始する。
R18のFPSだが、レーティングなんてものは気にしない。そもそも僕は前世の年齢を合わせると、成人になっている。だから問題はない。
そして、FPSに夢中になっていると、ハリーがやって来た。その後ろには赤毛の少年も居る。
「レティシア、ここ空いてる?」
ハリーがそう僕に尋ねると、今度は赤毛君が言葉を紡ぐ。
「他はどこもいっぱいなんだ、だから……その、ここに乗せてくれない……?」
「うむ、良いぞ。はやく乗るといい」
僕は向かい側の席を指差し、座るように促した。
「僕、ロン、君は……?」
ロンが名を尋ねる。しかし、彼の頬が赤い。風邪でもひいているのだろうか。
「私はレティシア=ドラクレア、最初に言っておくが「レティシアは吸血鬼の真祖なんだ !」……ハリー」
ハリーに先に言われてしまった。ロンは驚きと恐怖が入り交じった視線を此方に向ける。
僕は溜め息を吐くと、襲うことはないという旨を話す。
「私は血がなくても、人間の食事だけで生きていくことが出来る。
そもそも私は血が飲めない。ちょっとしたトラウマがあってな。だから、そこまで警戒するな……」
ロンは慌てて窓の方を向き、僕に対して謝罪をする。
「その……ごめん。気を悪くしたかい……?」
「問題ない、気にするな」
僕は会話を断つと携帯ゲームの画面に目を落とし、ゲームを再開する。
するとロンはハリーに話し出した。
「君、ほんとうにあるの……ほら」
ロンはハリーの額を指差す。
ハリーはお辞儀の人に付けられた傷跡をロンに見せた。
「それじゃ、これが例のあの人の……?」
「うん。でもなんにも覚えていないんだ」
「なんにも?」
ロンが少し興奮しながらハリーに聞く。
「そうだな……緑色の光が一杯だったのは覚えてるけど、それだけ」
「うわー」
それから彼らはそれぞれの家庭環境などを話していた。
すると突然ハリーが僕に質問してきた。
「ねぇ、レティシア。その君が持ってるのって……もしかしてマグルのゲームなの?」
「見れば分かるだろう」
するとロンが座席から身を乗り出すようにして携帯ゲーム機を見る。
「へぇー、これがマグルのゲームか」
「マグルの製品は娯楽に富んでいるからな。魔法界の娯楽よりも俄然楽しいぞ」
「ふーん……そうなんだ」
そこからは各々が窓を眺めたりしていた。尤も私はゲームに没頭していたが。
12時半頃、車内販売の女性がコンパートメントの戸を開けた。
「車内販売よ。何かいりませんか?」
するとハリーが勢いよく立ち上がって、通路に出ていった。
ロンはサンドウィッチがあるから買いに行かないと、言っていたがじぃーっと通路の方を物欲しそうに眺めていた。
そしてコンパートメントに戻ってきたハリーの腕にはたくさんのお菓子。食べきれるのだろうか。
「お腹空いてるの?」
ロンがハリーに尋ねた。そう聞きたくなるのは当たり前である。
「ペコペコだよ」
ハリーはロンの問いに対してそう返した。
そしてハリーとロンはお菓子を一緒に食べていた。ロンのサンドウィッチは座席の隅にポツンと放置プレイを強要されている。
僕にもお菓子をくれたが酔うからと言い、お菓子を返した。
ゲームをして時間を潰していると、コンパートメントの戸がノックされた。
そして丸顔の少年が泣きながら入ってきた。
「ごめんね。僕のヒキガエルを見かけなかった?」
ハリーとロンは首を横に振り、僕は見ていないとその少年に言った。
すると少年はさらに泣き出した。そしてハリーと少し言葉を交わすと出ていった。
その後、ロンがネズミを魔法で黄色くしようとすると、またコンパートメントの戸が開いた。
カエルに逃げられた、丸顔少年が少女を連れてまた現れた。
「誰かヒキガエルを見なかった? ネビルのがいなくなったの」
少女が僕たちに向けて言った。
威張った話し方をしていて、見ていて何となく微笑ましい気持ちにさせてくれる。
栗色の髪と少し大きな前歯と合わさってリスみたいだ。
「見なかったって、さっきそう言ったよ」
ロンが答えるが、リス少女は杖の方が気になるようだ。
「あら、魔法を掛けるの? それじゃ見せてもらうわ」
そしてロンは兄から習ったというおかしな呪文をネズミに試したが、何も起こらなかった。
そして、リス少女がやはり威張った様子で僕たちを見下しながら教科書を暗記したとか言うので、流石にイラッ☆とした僕はとある呪文を唱えることにした。
見つからないようにバッグの中に手を突っ込み、その中で『龍の遺影』を展開し僕の杖である刺突剣を取り出した。
いきなり剣を取り出したためか、僕の杖の事を知っているハリー以外が驚いた。
「何に使うの、そのレイピア!?」
リス少女(ハーマイオニー・グレンジャーと言うらしい)がヒステリックに叫ぶ。
煩いので杖の事を話す。
「うむ、これが私の杖なんだ。今からヒキガエルを見つけてやろうと思ってな」
「そ、そう。なら見せてもらうわ」
僕は口元を三日月の形に歪める。
この呪文を見たとき、こいつらはどういった反応をするだろうか。
そんな僕を四人が危ない人を見るような目で見てくる。
今から唱えるのは、守護霊の呪文だ。しかし僕の守護霊は特殊で、ドラゴンと騎士の二つの姿に任意に切り替えれるのだ。
守護霊と言うのは通常幸せな記憶をもとに構築する。これが僕のドラゴンの守護霊だ。この守護霊構築方法は吸魂鬼などを追い払うことに特化しているのが特徴だ。幸せな記憶を使うため、難易度は高いが使える人は使える。
しかし、実はもう一つの構築の仕方がある。憎しみ、恨みなどの負の記憶を使うのだ。しかし、この仕方は非常に難しい。というより理論上は可能だが使える術者がいないという方法なのだ。
なぜなら大抵の憎悪の記憶では、守護霊を構築するまでに至らないのだ。それこそ、気が狂いそうになるほどの記憶でなければ……。それに加え守護霊の呪文自体が難しいため出来ないのだ。
しかし、僕はこの守護霊構築方法が使える。六年前のあの忌々しい記憶を使って……。それが僕の騎士の守護霊だ。
そしてこの守護霊構築方法で出来た守護霊は、吸魂鬼を追い払うことは出来ない。しかし、
殺すことの出来ないと言われた吸魂鬼を殺すことが出来るのだから。
僕は通路に出て、刺突剣を構え呪文を詠唱する。
『エクスペクト・パトローナム(守護霊よ来たれ)』
「何これ……? 教科書にはこんなの載ってなかったわ……。それにこの騎士……」
ハーマイオニーが目を見開きぶつぶつと呟いている。
出てきたのは、全身が赤黒く輝く禍々しいフルプレートアーマーの騎士だった。
全身から黒い蒸気のようなものが出ており、それがさらに禍々しさに磨きをかける。
僕は騎士に命令を伝える。
「ヒキガエルを探してきてくれ」
騎士は頷くとすぐに探しに行った。
後日、ホグワーツ特急に騎士の怨霊が取り憑いていると噂されるのは別の話。
―――――
「す、すごかったわね……レティシア。びっくりしたわ」
ホグワーツ特急から降りるとき、近くにいたハーマイオニーがぎこちなく話しかけてきた。
既にハーマイオニーには自己紹介を済ませてある。無論、彼女と一緒にいた丸顔少年ネビルにもだ。
あの後、僕の守護霊がネビルにカエルを届けたり、僕たちのコンパートメントにドラコと取り巻き(クラッブとゴイルというらしい)が来て一悶着あったが、僕は自分に不可視の呪文を掛け難を逃れた。
それと僕はホグワーツのローブを着ていない。一応買ってはいるが、このレティシアボディに着せると原作のレティシアを知っている僕には違和感があり、着たくなかったため、校長にわざわざ今の服装には吸血衝動を抑える呪文が掛けられていると、嘘八百を述べ許可を貰ったのだ。
そのため今も赤のレザージャケットを主としたいつものレティシアファッションでいる。
「ハーマイオニーも教科書を暗記しているのだろう? 充分だ」
「そ、そう? ありがとうレティシア!」
「ほら、ハーマイオニー行くぞ?」
ハーマイオニーが立ち止まっているので急かす。
「イッチ年生!イッチ年生はこっち!」
ハグリッドとかいう毛むくじゃらが新入生を案内しているようだ。
ハリーとロンとは、はぐれてしまったためハーマイオニーと共に僕はホグワーツ魔法魔術学校の校舎という名の城へ向かうのだった。
ドラゴンの守護霊→ダークソウル2の古の竜さん
騎士の守護霊→fate/zeroのバーサーカーさん or ダークソウルの深淵歩き装備の闇霊さん。
こんな感じ。