ポケットモンスターSP 新たなる図鑑所有者   作:俺俺

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遂に図鑑所有者と対決!はたして結果は!?


VSゴールド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

修業3日目、俺とゴールドのバトルが幕を開けようとしていた。

 

「バトルの形式は2対2、6匹所有で入れ替えあり!」

 

バトルのフィールドはこれまでの試練でもお馴染の長い廊下、俺とゴールドを仕切る様に柵が設けられている。そして、ここに足を踏み入れた瞬間、ある事に気付いた。

 

「この廊下動くぞ!?」

 

良く見てみると、ゴールドは前へ、俺は後ろ向きへと進んでいる。つまりこの廊下は俺とゴールドが居る側で、それぞれ独立して動いているという事か。

 

「それだけじゃないよ。廊下の速さはポケモンの攻防に連動する」

「どういう事っスか?」

「攻撃を加えた方の廊下は前向きに速度が上昇し、ダメージを受けた方の廊下は後ろ向きに速度を落とすという仕組みだ」

「そして先に廊下の向こう側へと着いたほうが勝ち!」

 

俺はこの長い廊下の先を見据える。流石に1キロもあれば先は見えず、暗い闇に閉ざされてゴールは全く見えない道だ。

 

「それでは、バルト開始!!」

「エーたろう!ニョたろう!!」

「行け、イヴ!ドン!!」

 

ゲンジの宣言と共に俺とゴールドは同時にポケモンを繰り出す。

俺がイヴとドンを繰り出したのに対し、ゴールドは手の様な尻尾が特徴のポケモン《エイパム》と、緑色のカエルの様なポケモン《ニョロトノ》を繰り出した。

相性的にはほぼ互角だが、果たしてゴールドはどれ程の実力なのか・・・。

 

「先手必勝!エーたろう〝みだれひっかき〟!ニョたろう〝バブルこうせん〟!」

 

エイパムの爪が連続でドンを切り裂き、ニョロトノから放たれた泡の光線がイヴに炸裂する!かなりの速さだ、スピードなら間違いなく俺の手持ち以上だろう。

 

「ドン!〝ドラゴンク・・・〟」

「させるかよ!エーたろう〝ねこだまし〟!」

 

俺がドンに〝ドラゴンクロー〟を指示しようとした瞬間、エイパムがドンの正面に現れ、ドンの顔の前でパァン!と、手を合わせる!虚を突かれたドンは思わず怯んでしまった!

 

「どーでぇ!これでオノノクスは動けねぇだろ!?」

「もう一体、こいつを忘れてんじゃねぇぞ!!イヴ、〝ふぶき〟だ!!」

 

猛烈な吹雪がエイパムとニョロトノを包み込む!エイパムならともかく、水タイプのニョロトノには効果の薄い技だが、ゴールドは知らない。

 

「なっ!?エーたろう!ニョたろう!」

 

俺のポケモン達の破壊力の高さを。

イヴの〝ふぶき〟をまともに受けた2体は、周囲の床や壁ごと一瞬で氷漬けになった。やはり相当鍛えられているらしく、辛うじて戦闘不能に陥っていないが、この期を逃がさねぇ!

 

「やれぇドン!〝げきりん〟だ!」

 

ドンは氷漬けになった2体を怒りの赴くままに蹂躙する!ドンは氷もろともエイパムとニョロトノを粉砕し、戦闘不能に追いやる。その瞬間、俺側の廊下が前へと加速し、ゴールドは後ろへと戻されてる!これが廊下の連動システムか!

 

「よっし!これでかなり有利になったぞ!」

 

ドサッ!ドサッ!

 

「な、何ぃ!!?」

 

俺がイヴとドンの方を向いた瞬間、2体同時に戦闘不能に陥ってしまった。どういう事だ!?まだ体力は十分にあったはずだぞ!?

 

「くっ!メリー!ダン!」

 

俺は倒れた2体をボールに戻し、交代でメリーとダンを繰り出す!ゴールドの野郎、一体どんなトリックを使いやがったんだ!?

 

「その2体を倒したのは、ニョたろうの〝ほろびのうた〟だ。テメーのグレイシアの〝ふぶき〟の威力にはビビったけどよ、タダじゃ起きねぇぜオレの相棒達は」

 

後方から聞こえる不敵な声。振り返ってみると、そこには俺に追い縋ってくるゴールドと、樹の様な出で立ちのポケモン《ウソッキー》と、ピチューがこちらに迫ってきていた。

〝ほろびのうた〟・・・。自分が瀕死になるのと引き換えに、その歌を聞いたものを道連れにする技か!道理で、体力の有り余るイヴとドンが倒れた訳だ!

だが、真に恐ろしいのはその技を使った事を俺に悟らせなかった事!

 

「まぁ、逆転に次ぐ逆転なんざ、良くあるこった気にすんな!」

 

ピチューとウソッキーが俺達に追い付く!どちらも攻撃の射程範囲内だろうが、攻撃の威力では俺に分がある!奴は何をしでかすか分からないから、早期決着に持ち込む!

 

「ウーたろう〝ストーンエッジ〟!ピチュ〝10まんボルト〟!」

「ダン〝あくのはどう〟!メリー〝パワージェム〟!!」

 

ウソッキーの岩刃とピチューの強烈な電撃が、ダンの悪意の波動とメリーの煌めく光線とぶつかり合うが、拮抗は破れ、波動と光線が向こうの攻撃を貫いた!

ウソッキーとピチューは寸の所で回避するが、これで俺の手持ちの攻撃力が相手を完全に上回っていることを証明したと言っても過言ではないだろう。

 

「どんどん行くぞ!メリー〝かみなりパンチ〟!」

 

メリーは電撃の拳をウソッキーに目掛けて放つ!これが当たれば大ダメージは必須、よしんば戦闘不能だってあり得るだろう。

 

「それを待ってたぜ!ウーたろう〝カウンター〟!!」

 

だがウソッキーはメリーの攻撃をいなし、更には反撃とばかりに拳をメリーに叩きこむ!〝カウンター〟は相手の攻撃力が高ければ高いほど威力が上がる技!ここに来て、俺達の最大の長所である攻撃力がこんな形で利用されるとは!

自身の攻撃力を上乗せされた一撃に、メリーは堪らずダウンする。それと同時に、今度は俺側の廊下が後ろへと戻され、ゴールド側の廊下が前へと進む。

 

「よくやった、戻れメリー!次はお前だ、行けぇジン!」

 

メリーの交代に繰り出したポケモンは、2年前にサファリゾーンで捕獲したコジョンドのジンだ。格闘タイプのジンは岩タイプのウソッキーには相性がいい、ここは一気に決めさせてもらう!

 

「〝とびひざげり〟だ!」

 

ジンは助走を付け、渾身の飛び膝蹴りをウソッキーの体に食い込ませる!そのままウソッキーは壁まで吹き飛ばされ、戦闘不能となる。

 

「戻れウーたろう!行け、マンたろう!!」

 

ウソッキーと交代で繰り出したのは、青い体に魚のヒレの様な翼とその翼にびっしりと張り付いた《テッポウオ》が特徴のポケモン《マンタイン》だ。

この時点で廊下の速さは均一化され、俺とゴールドは並ぶように走る。そして視線の先にはゴール、この勝負はポケモンの数ではなく、どちらが先にゴールするかで勝敗が決まる。

 

「ゴールまで後僅か・・・!勝つのは俺だ!!」

「いーや、そりゃオレの台詞だ!!マンたろう!!」

 

ゴールドの呼び掛けと共に、翼のテッポウオ達は一斉にこちら向く。そして口に集束されていくこのエネルギー、オレの直感が警報を鳴らす!

 

「ダン〝にほんばれ〟!!」

 

それは俺にしては良い判断だったと自画自賛する。強烈な日の光が、水の力を弱めるのと同時に、ダンの力を最大まで引き上げる。

特性〝ようりょくそ〟。これにより、ダンの速度は最大まで引き上げられる。だが、草タイプにとってこの光はそれだけの効力ではない。

 

「食らいやがれ、〝ハイドロポンプ〟!!」

「負けるかぁ、〝ソーラービーム〟!!」

 

本来の10倍以上の質量の水砲と、太陽光を凝縮した光線がぶつかり合う!

本来なら太陽光を溜めこんでから放つ草タイプの大技だが、〝にほんばれ〟がその動作を省略し、最大最速の威力で放出する!

更には水の力が弱まっている事もあり、本来ならばこちらが圧倒されているであろう激流は大きな水飛沫と共に弾け飛ぶ!

 

「くっ!!」

 

技と技のぶつかり合いに思わず怯むが、それでも全力で前に進む。

残りは10メートル程だろう、ここまで来れば指示を飛ばすよりもゴールを見据えて走った方が有利だ。それはゴールドも同じらしく、指示を飛ばさずに全力で駆け抜ける!

そして―――――――

 

「だぁっ!!」

「っとぉぉぉぉ!!」

 

俺とゴールドは同じタイミングでゴールに足を付いた!

 

「ぜぇ、ぜぇ、っ、どっちが早かったんだ、オレとお前・・・はぁ・・・」

「はぁ、・・・はぁ、同じタイミングだったような、気がするけど・・・」

 

息を切らしながらその場に座り込む。先に渡り終えた方が勝ちというこのバトルは、どうしても引き分けという結果が存在するが、どんな判定が下るのか。

 

「ただ今の勝負、引き分けとする!」

「レッドとグリーンといい今回といい、最近は引き分けでも流行ってるのかい?」

「んなもん流行って、ゴホッ!ゴホゴホッ!!」

 

反論しようとして咳き込むと、ジンが背中をさすってくれる。

何とも言えない感覚だ。まさに不完全燃焼と言ったところだろう、俺はこの勝負に納得がいっていない。それはゴールドも同じだろう。

 

「んで、次の試練は何なんスか?」

「これで終わりだよ」

「えぇ?じゃあ俺達って、もう究極技を習得したのか?」

「いや、まだ出来ていない」

「「はぁっ!!?」」

 

ここまで散々苦労して試練を越えたってのに、習得してなかったのかよ!?

 

「恐らく『鍛え』が足りないんだろうね」

「何だよ、その『鍛え』って」

「ポケモンがその技を使うのには一定の強さがいる。まだレベルが足りないという事だ」

「それじゃあどうするんスか?」

「フッ。決まっているだろう?」

 

ゲンジは軽く鼻で笑い、

 

「新たな修業だ!!」

 

そう高らかに宣言した。

 

 

 

 

 

 

   ☆   ☆   ☆

 

 

 

 

 

「ぎょへぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「殺されるうぅうぅうぅう!!!」

 

現在進行形で、俺とゴールドは地獄を味わっていた。第一の試練のバージョンアップ、何故か縄跳びの縄が帯電している!こんなもんに当たったら痛いじゃ済まない!!

 

「風にも嵐にも敵にも負けず!鍛え抜かれた力と技と心を以って信念を貫く!そんなポケモントレーナーに、私はしたい!!」

「こ、こんな状況が追い込まれるほど修業のペースを上げていったら、どの道俺等は!」

「ならば敵に殺されるのが先か、修業で殺してしまうのが先か勝負だぁ!!」

「違ーう!!勝負する根底が最初から間違ってんだよ!!」

「だ、誰か助けぎゃぁああああああ!!」

「ゴールドぉぉぉぉぉ!!?」

「初めからやり直しだぁぁ!!」

 

その後の事は良く覚えていない。

気が付いたら、俺とゴールドは布団の中でくたばっていたからな。

 

 

 

 

 

   ☆   ☆   ☆

 

 

 

 

 

 

そんな修業の日々が続いて、もう一週間が経過した。

修業と筋肉痛に苦しみながら、俺達はかなり焦れていた。

 

「あのー!この腕輪全然光らないんですけど!!?」

「不良品じゃねーだろーなぁ!?」

「『鍛え』がある程度まで達したら、自然と奥義が現出すると言っておるじゃろうが!つべこべ言わずに、さっさと走らんかい!(ばこっ!)」

「痛ってーな、チキショウ!何でいつもババァがセンセエなんだ!?」

「それを言ったら、何でいつもこんな糞ジジィが先生なんだって話だよ!!」

「聞こえているぞ!ガーネットとゴールドはもう一往復追加だ!!」

「「ウギィィィィィィィ!!」」

 

ジラーチ出現までまだ時間があるとはいえ、俺達は相変わらずのスローペースだ。先にこの奥義を習得した3人はあっと言う間に習得したらしいが、俺達はなかなか上手くいかない。

 

「しかし、クリスとゴールドは実力不足ってだけじゃないね」

「・・・?それはどういう事ですか?」

「明らかに集中し切れていない。他の事が頭から離れんようじゃ」

「・・・・・・・」

「原因は、疑うべくもない」

 

 

 

 

   ☆   ☆   ☆

 

 

 

 

 

 

その日の夜、クリスは島の石階段でこの1週間に思いを馳せていた。

 

(実力不足ってだけじゃないわ。シルバー達の事を意識し過ぎているのよ)

 

クリスはゴールドやガーネットなどと比べて、比較的冷静に自己分析が出来るトレーナーだ。故に、究極技の習得の遅さに気付いてすぐに思った。

 

(それはゴールドもきっと同じ。シルバーや先輩達がこのままずっと石のままだったら)

 

そこまで考えて、クリスの胸に途方もない恐怖と不安が去来する。

 

(駄目よ!せっかくジラーチというポケモンの存在が明らかになって、ジラーチを巡る戦いに備えて強くなるって決めたんじゃない!)

 

クリスは頭を振り、不安を吹き飛ばす様にポジティブな思考を巡らせる。しかし、それらの恐怖心は泥の様に蓄積されていく。

生来から真面目なクリスは、一人で物事を抱える事が多い。仕事で来たガーネット達は勿論、仲間であるゴールドにも、いや仲間であるからこそ相談できずにいた。

思わず熱くなる目を拭い、クリスは顔を上げる。

 

(ここで泣いたら、ゴールド達の足を引っ張ってしまう。あいつだって辛いはずだから、私だけウジウジと泣いている場合じゃないわ)

「・・・こんな所で、何をしているのですか?」

 

その時、後ろから声が掛けられる。振り返ってみると、そこには髪を下ろしているアリアがクリスを見つめていた。

 

「あ、心配掛けちゃってごめんね、アリア。もう部屋に戻るから大丈夫よ」

 

そう言って、クリスは平静を保ちつつ返答する。本当は話を聞いて欲しかった。距離が近いゴールドには相談できない事も、仕事できた同性のアリアには相談できる事がある事を知っていたが、クリスの性分がそれを許さない。

常に他人に気を配る少女は、話すという簡単な事も出来ずに部屋に戻ろうとした。

 

「・・・言いたい事はハッキリと言った方がいいですよ」

 

部屋に戻ろうとするクリスの背中に、アリアは声を掛ける。思わず立ち止まり、顔をアリアに向けるクリス。感情が表に現れ難い人物だとこの一週間で思っていただけに驚くクリスだが、アリアはそれに構わず言葉を紡ぐ。

 

「・・・何を考えているのか私には計りかねますが、何か言いたい事があるというのは、こんな私でも分かります」

「アリア、何を言って」

「・・・目が赤くなってますよ」

「っ!」

 

アリアの指摘に思わず目を押さえるクリス。その行動が真実を物語っていた。

 

「・・・目が赤くなっているのは泣いていた証拠で、泣いていたという事は、何か悲しい事があったという事。ガーネット達は私にそう教えましたが、私は何か間違えた事を言ったでしょうか?」

「アリア・・・」

「・・・解決にはならなくとも、喋れば気が楽になる時もあるそうです」

 

機械の様な淡々とした声、プログラムの様な決まった反応、それがクリスが抱いていたアリアの印象だった。その少女が、不器用ながらも自分なりにクリスの図星を当てていく。

その事にクリスは降参とばかりに溜息をつき、ポツポツと本音を吐露していく。

 

「あの石になった5人は、私とゴールドの先輩と親友なのは知ってる?」

「・・・知っています。オーキド博士からの報告にありました」

「その石化を解く方法が見つかって、私とゴールドは来るべき戦いに向けて強くなると決心してこの2の島に来たの。でも、ここで修業を始めて一週間も経つけど」

「・・・修業の成果がなかなか現れず、集中力が散漫になった?」

「それもあるけど、それだけじゃないわ。修業をしている時も、何をしている時も、シルバー達の事が頭から離れないの」

「・・・・・・」

「それはきっとゴールドも同じ。・・・・・もし、このまま5人が元に戻らなかったらと思うと、どうしようもなく不安になる。このまま、ずっと・・・」

 

そこまで言って、クリスは体を腕で抱きしめる。その体は小刻みに震えていた。大切な仲間が石像になったという悲報を受けたその日から、溜まっていた不安が再びクリスを苛む。

 

「・・・そうさせないために、私達が来ました」

 

そんなクリスに対し、アリアはハッキリと断言する。その瞳は、いつものアリアにはない確かな意志の光が宿っていた。

 

「・・・あなたの不安を解決する方法はありませんが、あの5人を元に戻す方法を私達は知っています。そして受けた依頼は必ず達成する、それが私達『ギルド』です」

 

この世に絶対というものは存在しない。あったとしてもそれは幻だ。その事はクリスもアリアも知っていたが、アリアはあえて『必ず』という言葉を使った。

自らの自信の表れからではなく、友の夢の結晶に掛けたのだ。そして何より、目の前の少女を救うべく、アリアは力強くクリスを見つめる。

かつて一人の少年が、こうやってアリアを救ってくれたように。

そしてクリスの目にも光が灯る。そこにはもう不安に苛まれる少女はどこにもいない。拙く、根拠のない言葉でも、その目の光に救われたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ☆   ☆   ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジン〝はどうだん〟!!」

 

波動の塊がターコイズのラプラスに直撃し、戦闘不能に追い込む!それにより、ターコイズ側の廊下は後ろ向きへと進み、俺側の廊下は前と加速した。

 

「よしっ!今の内!!」

 

俺はターコイズから視線を外し、全力で前へと駆ける!ゴールまであと5メートルくらい、それが残り4.3.2.1メートルと縮んでいき、そして――――――

 

「だっしゃぁぁあああ!!」

 

俺はターコイズよりも先にゴール地点に足を踏み入れる。今回のバトルはオレの勝ちだ。

 

「これで、はぁ、僕の4勝2敗、だね、はぁ、はぁ」

「まぁ、見てろよ、はぁ、残りの2勝もすぐに獲ってやるよ」

 

あれからさらに一週間、俺達は相変わらず修業の毎日を続けていた。初めに比べて、ポケモンを含めて俺達トレーナーの体力もかなり上昇した。

第一の試練だけでバテて動けなくなっていたターコイズが、今じゃ第1第2第3の試練を続けざまにできる様になっているのがその証だ。

 

「しかし、全然光らねぇな」

 

俺は腕輪に目を向ける。この腕輪、技を習得するまで外れない様にできているらしく、ためしにドンが全力で引っ張ってみたがビクともしない。

 

「あれ?そういえばゲンジさんとキワメさんは?」

「・・・2人なら、所用で出かけてます。目的地は聞いていません」

 

そう言って現れたのはアリアだ。その後ろにはクリスとゴールドもいる。

 

「まぁ何でもいーっての。あのジジババが居ねぇってんならせいせいすらぁ」

「もう、わざわざご指導を受けさせて貰ってるんだからそんな事言わない!」

「あー、うるせーな!この学級委員長!わーってるっての!」

 

この2週間で、何となくクリスとゴールドについて分かった事がある。

大雑把で強引なゴールドと生真面目で品行方正なクリス。まったく正反対で相性が悪いと思っていたが、それがどうして、なかなかに息が合っていてまさに凸凹コンビと言ったところだ。

 

「って、あれ?あの錫杖、キワメさんのじゃない?」

 

ターコイズが指を指した先、それはキワメがいつも持ち歩いている錫杖だった。先端には究極技が封じられた腕輪が複数取り付けられている。

 

「プププ!あのバァさんも呆けたか?」

「いや、普通に忘れただけでしょ」

 

そう言ってターコイズが杖に手を伸ばした瞬間――――――

 

ガシィッ!

 

「うわぁっ!?」

 

それから降りて来たマジックハンドが、杖を奪い取る!この展開、まさか!?

 

「これが究極技を封じてある腕輪ね?」

「これがあれば、俺達のポケモンも大幅パワーアップだ」

「売っても高値で良い感じだニャー!」

 

そんな聞き覚えのある声と共に、ニャース型の気球が現れる!キワメの杖を掴んだマジックハンドは、この気球から伸びた物だ。

 

「あの気球は!」

「・・・間違いありません」

「奴らが、来た!!」

「何なの、あなた達は!?」

 

 

「何なの、あなた達は!?と聞かれたら」

「答えてあげるが世の情け」

 

「世界の破壊を防ぐため」

「世界の平和を守るため」

 

「愛と真実の悪を貫く!」

「ラブリーチャ―ミーな敵役!」

 

「ムサシ!!」

「コジロウ!!」

 

「銀河を駆けるミサイル団の2人には!!」

「ホワイトホール白い明日が待ってるぜ!!」

「ニャーんてニャ!!」

 

 

 

俺達にとってはお馴染の3人組、ミサイル団のバカ共が現れた!

 

「喋るニャース!?」

「あ。やっぱりまずはそこなんだね」

「それより、その杖をどうするつもり!?」

「決まってるでしょ?この究極技の腕輪を盗みに来たのよ!」

「これは俺達が有効活用してやるから安心しろー!!」

 

そんな事は言われなくとも分かっている。でも俺が気になるのはそこじゃない。

 

「何でわざわざこんな辺鄙な島に来たんだ!?」

「あんた達の事務所を盗聴したのよ!!」

「そしたら面白そうな話が聞こえたからな、尾行したってわけさ」

「そして、この腕輪の事を知ったのニャー!!」

 

迂闊!まさか初めからつけられていたとは!

 

「あのおっかないジィさんの目を掻い潜り、チャンスを伺った甲斐があったぜ」

「それではさらばニャー!!」

 

 

ニャースがボタンを押すのと同時に、気球の推進エンジンが火を噴く。この2年で速度の上がった気球は瞬く間に飛んでいく。

 

「まずいよ!あれが見す見す奪われたって知られたら、僕たちどんな目に遭うか!」

「させるかぁっ!ナツ、あの気球を追いかけろ!!」

 

俺はナツを繰り出し、背中に乗って飛び立つ。翼を力強く羽ばたかせ、気球に接近する。ここからはもう、ナツの射程範囲内だ。

 

「馬鹿め!ノコノコ着いてきたな!」

「ニャース!例の物を!」

「了解ニャ!」

 

ニャースが更にボタンを押したかと思うと、気球から鉄製の網が飛び出し俺もろともナツを捕縛する!しまった、やっちまった!何とか抜け出さねぇと!

 

「ナツ〝りゅうのはどう〟!!」

 

強大なエネルギーが網を貫こうとするが、表面が黒く焦げただけで網そのものはビクともしていない!いや、どんだけ頑丈な網なんだよ!?

 

「無駄無駄ぁ!その網はポケモンの技じゃ壊せない様にできているんだよ!!」

「幾ら攻撃力が高くても、その網の前じゃ無力なのよ!」

「腕輪だけでなく、フライゴンまでゲットできるとはラッキーニャー!」

 

何て技術力の無駄遣いだ!おかげでナツは網が体に絡まって、空中に留まるのがやっとの状態だ。この網もアームと繋がっており、気球に引っ張られる形で俺とナツも進んでいく。

えぇい、何か他に手はないのか!?何とか気球だけでも壊せればいいんだが!

 

「ん?」

 

その時、俺は異変に気が付いた。

それは俺の手首にある物、この2週間ですっかり慣れしたんだ物だ。

 

「腕輪が光り出した・・・!?」

 

それと同時に、腕輪の表面に見た事もない文字の様なものが浮き出す。それに呼応してナツが足掻きながらも反応している事に気付いた。

まさか、キワメが言っていた究極技か!?

まさかとは思うが、今現在進行形で俺達は危機に瀕している。

なら、悩んでいても仕方ない。ここは一か八かだ!

 

「〝りゅうせいぐん〟!!」

 

ナツは天に向かって咆哮を上げる!その時、天が光り出したかと思えば、上空から次々と光の雨が降り注いだ。これがドラゴンの究極技か!?

 

「いや、これは光の雨なんかじゃねぇ!!」

 

この技の正体はいち早く気づいた。光を発していたのは〝それ〟に纏わりついた炎。そしてその力の本命は、炎の中心にある物、隕石だ!

 

「えぇぇーーー!!?ちょ、ちょっと何これ!!?」

「ニャース、回避を!!」

「駄目ニャ!間に合わ」

 

無数に降り注ぐ隕石の大半が海に落ちて巨大な水飛沫を上げているが、その内の何発かは気球に直撃し、バルーンを突き破り、そして――――

 

チュド――――――ンッッ!!!

 

「後ちょっとだったのにーーーー!!」

「もう少しで目標達成だったのにーーーー!!」

「結局こうなるのかニャーーーー!!」

「「「やな感じぃぃぃぃぃぃぃ!!!」」」

 

気球は爆発四散し、ミサイル団の3人は空の彼方へ吹き飛んで行った。

そして、キワメの杖も上空から降ってくる。俺は杖をキャッチし、深く息を吐いた。

 

「な、何とか奪われずに済んだ・・・!!」

 

これが奪われていたら、後でゲンジやキワメに大目玉を食らっていただろう。そう思って安心したのも束の間、ナツは大きく体を傾かせたかと思うと、海に向かって真っすぐに落下する!

 

「おいナツ!どうした!?」

 

ナツと共に落下しながら、ナツの状態を診る。

素人目でも分かる極度の疲労と消耗、まさか究極技の反動か!?

海までもう残り10メートルほど、水面に叩き付けられる事を覚悟した瞬間、奇妙な浮遊感と共に俺とナツの体が上空へと押し上げられていく。

 

「・・・ガーネット、無事ですか?」

「良かった・・・間に合って」

 

顔を上げてみると、そこにはムクホークに乗り、チリーンを繰り出しているアリアと、奇妙な模様の飛行ポケモン《ネイティオ》がそこに居た。

どうやら〝サイコキネシス〟で俺達を助けてくれたらしい。

 

「早くフライゴンを回復させましょう!」

「・・・ガーネットはムクホークの背に」

「分かった、戻れナツ!」

 

俺はムクホークの背中に着地すると、ナツをボールに戻す。

 

「しかし、すげぇ威力だな」

 

俺は隕石が着弾した海を見る。潮は流れを変え、あれだけ静かな海だったのに、今では荒れ狂っている。なるほど、究極技というだけの事はある。

 

「強すぎる技の威力の代償が、これか」

 

ナツが入ったモンスターボールに目を向ける。まだまだ気力が残っていたナツが、技を一発放っただけで戦闘不能になってしまうほどの強大なエネルギー消費量。

これは今後の訓練と練習が必要だな。幸いにも、まだ時間はあるのだから。

俺達はそのままキワの岬へと戻り、究極技習得が嘘ではなかった事が証明された事で、俺達のさらなる修業に思いを馳せていた。

 

「まだまだ、これからだ。俺達は強くなるぞ、ナツ」

 

渾身の力でトレーナーの期待に応えてくれた仲間に、俺は静かに誓いを立てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




後書きというか、ちょっとしたアンケートを取ろうと思います。集まるかどうかは別として。
実は、何時になるかは公開しませんが今後のストーリー進行の為、新たに主要人物の味方オリジナルトレーナーを一人登場させる予定なのですが、手持ちポケモンのアンケートを取ろうと思います。

設定

① 地方は特に問わないが、出来るだけイッシュ地方のポケモンが良い。
② 伝説、600族でなければどんなポケモンでもよし。
③ 御三家ポケモン、アニポケよろしく進化させないのもアリ。

以上の二つの設定であれば、どんなポケモンでも構いません。
皆様のご意見を参考にし、これぞと思った手持ちを決定する予定です。
それでは、皆様のご意見ご感想お待ちしております!
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