ポケットモンスターSP 新たなる図鑑所有者   作:俺俺

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少し書き方を改めてみました。
久しぶりの投稿です。


それぞれの旅路 中編

墓の下から現れたのは、人一人が通れるぐらいの幅の階段だった。

 

「・・・階段、ですね」

「この下に、アリアの秘密ってのがあるのか?」

「普通に考えればそうなんだけど・・・」

 

何せこの階段、かなり深い。

得体の知れない物への恐怖が、俺達の足を縫い付ける。

 

「でもよ、ここで立ち止まっててもしょうがねぇんだ。だったら行くしかねぇだろ」

「・・・(こく)」

「う、うん」

 

とりあえず、俺達はこの階段を下りる事にした。

 

 

 

 

 

   ☆   ☆   ☆

 

 

 

 

 

「で、そのチリーンも連れて行くのかよ?」

「・・・肯定」

 

この階段を下りていく際、この階段の在り処を教えてくれたチリーンも一緒に付いて来てくれるという。ただし、ターコイズは何が目的か、いまいち解らないみたいでビクビクしてるけど。そんなにビビる事は無いんだけどな。今もアリアの肩に擦り寄ってご満悦みたいだし。

 

「でも何でそんなにアリアに懐いてるんだろ?」

「確かにな」

 

いきなり野生で出て来たポケモンにしちゃ妙に人懐っこい。しかもアリアにだけ。

 

「アリア、お前なんかした?」

「・・・何をですか?」

「・・・。いや、俺が聞いてんだけど」

 

結局理由は分からずか。まぁ実際エスパーポケモンのチリーンが居てくれれば助かる場面も多いだろうし、もしかしたらこの階段の下に、チリーンが俺達をここへ導いてきた理由があるのかもしれない。

 

「しっかし長い階段だな~」

「・・・降り初めてすでに5分経過しています」

「こんなに深く階段を掘って、下に何があるってんだ?」

「・・・不明」

「あ!見て2人とも!」

 

ターコイズが指を指している場所を見てみると、そこには防火扉が道を遮っていた。

真ん中には樹をモデルにしたようなマークが描かれていた。

 

「何だこのマーク?」

「エコマークか何かかな?」

「・・・扉、開くみたいです」

 

アリアが扉に付いているデカいドアノブを回しながら押すと、ギィイイと鈍い音を立てながらゆっくりと、扉が開いた。アリアとチリーンはそのまま中へ入って行った。

 

「アリア!もうちょっと慎重に開けようよ!!」

「まぁいいじゃねぇか。何にも無かったんだし」

 

ターコイズを宥めてから俺も中に入ってみる。するとそこには

 

「な、何だここ!?」

「・・・大量の計算機器ですね」

「フラスコにビーカー、それに何?この良く分からない化学式」

「何かの研究施設か?」

「・・・人の気配は感じられません」

「もう引き払った後なのかな?周りにある棚には何も入って無い」

 

その時、ベルトに挿してあるモンスターボールの内の1つ、正確にはナツが入っているボールが大きく揺れ始めた!中を見ていると、ナツがボールを叩いて何かを訴えかけている。

 

「一体どうしたってんだ、ナツ!?」

「うわわわ!?どうしたのジャック!?」

「・・・ピカチュウ?」

 

どうやらアリアとターコイズのボールも震えだしたみたいだ。

 

「とりあえずボールから出そう!」

「おう!」

「・・・了解」

 

ボールからナツを出してみると、唸り声を上げながら辺りを見渡している。どうやらアリアのピカチュウ、ターコイズのジャノビーも同様みたいだ。

 

「・・・色違いの個体だけが、不穏になっている?」

「本当だ」

 

現に他のポケモン達には特に変化が見られない。どういう事なんだ?

 

「あ!船の上で戦った人が行ってた台詞!」

「あの変態の台詞だ~?」

「ほら!あの人、やけにこの3体が気になる様な台詞を言ってた!」

 

あぁ、そういや何か言ってたような・・・。

 

「あの人の言葉を信じるなら、ここはアリアだけじゃなくて、この3体にも関わりがある部屋なんだよ。アリア、そのピカチュウ何処で捕獲したの?」

「・・・申し訳ありません。私もこのピカチュウと、それからこのムクバードとは何処で知り合ったのか、あまり覚えていないんです。ただ、この2体は私の事を知っていたようで」

 

アリアがそう呟くと、ピカチュウはどこか寂しげな瞳でアリアを見上げている。

やっぱり自分とトレーナーとの出会いを忘れられちまったのはショックだったんだろうか。

 

「ん?何だこれ?」

 

ふと、机の上に放置されているファイルが目に入った。何のタイトルも書かれていない、一見新品のファイルにも見えるが、結構な量の紙がスクラップされている。

 

「何かの研究資料かな?」

「・・・見てみましょう」

 

『○月×日 天候:晴れ

本日よりポケモンの遺伝子研究が開始される。

カントー地方のロケット団と取引を行い、イーブイの生態調査を開始する』

 

「・・・数年前の記録ですね」

「ロケット団っていったら3年前にポケモンリーグチャンピオンのレッドと準優勝のグリーン、3位入賞のブルーの3人組が壊滅させたって、当時は大きなニュースになってたよね」

「俺的には取引とやらにイーブイが扱われているってのが気に入らん」

 

同じイーブイと闘うトレーナーとして余計に。

そこから先はやれ進化だの、やれ遺伝子の組み換えだのと良く分からない事ばかり書いてあった。俺達は内容が理解できないままページを進めて行った。

 

「あれ?このページ」

「・・・これは」

 

『△月〇日 天候:雨

ポケモン研究の第一人者、オーキド博士が特別な研究対象として、ヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネを調査しているという情報を得る。我々の独自の調査により、これらのポケモンがカイリューやバンギラスなどと言った非常に高い能力を持つポケモンをも凌駕するポテンシャルを秘めているという事が判明した。今回の会議では、これらのポケモンの力をどう活用するか話し合われる』

 

『△月●日 天候:晴れ

前回の会議で、ヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネの細胞を他のポケモンに組み合わせる事で、3体の潜在能力を引き継ぐ強力な個体を生みだす研究が開始される事が決定した。本日より3体の細胞に適応するポケモンの捕獲を開始する』

 

『□月×日 天候:曇り

ヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネの細胞に適合する3体のポケモンが決定する。

ヒトカゲの細胞はナックラー。

ゼニガメの細胞はピチュー。

フシギダネの細胞はツタ―ジャと組み合わせる。

個体を識別するため、品種改良を行い、色違いポケモンにする』

 

「これってもしかして、ジャック達の事?」

「・・・文章の流れからだと、そう思われます」

「お前ら、ここで酷ぇ目に遭わされたからこんなに気が立ってるのか?」

 

しきりに頷く3体のポケモン。道理で、冷静な性格のナツが荒れてると思った。

 

「悪ィな、お前ら。もうちょっとだけ付き合ってくれ」

「・・・あと少しで終りますので」

 

ページの数はもう後僅か。一気に読んじまおう。

 

『□月▼日 天候:雨

緊急事態発生。ナックラー、ピチュー、ツタージャが檻を破って脱走する。ピチューはその場で捕える事が出来たが、ナックラー、ツタージャは波に攫われて、行方は判明せず』

 

『▼月〇日 天候:晴れ

色違い個体、ピチューをロストタワーへにある研究所へ移送・・・』

 

「あ?こっから先は何も書かれてねぇのかよ?」

「どうやら書いてる途中で何らかの理由で中断されたんじゃないかな?でも」

「・・・ロストタワー。これが、新しい手掛かり」

「あぁ。これでまた、道が繋がった・・・!」

 

新しい手掛かり、ロストタワー。

上等じゃねぇか、そこにまたアリアの秘密があるなら行くっきゃねぇだろ。

 

「と、とりあえず、ここの事は、警察に任せた方がいいよね?」

「そうだな。俺らが手に負えるような事じゃなさそうだ」

 

ポケモンの人権(?)を侵す様な生体実験は、協会により固く禁じられている。

普通なら俺たちみたいな子供が警察に行っても悪戯で済まされちまうけど、このファイルがあるし、なによりこの研究所が何よりの証拠になるだろう。

 

「・・・!?」

 

その時、アリアが急に辺りを見渡し始めた。

 

「どうした、アリア?」

「・・・今、何か足音らしきものが聞こえました」

「ちょっ!?や、やめてよアリア!」

「・・・今、こっちに近づいてきています」

 

そう言って、まだ行っていない方の廊下に指を指すアリア。

その時、俺とターコイズの耳にもカチャカチャと、人間ではない、ポケモンのものらしき足音が聞こえて来た。

 

「と、とりあえず、隠れよう」

「そうだな」

 

俺達は廊下の方から見れば死角になる机の下に隠れた。

この机は足が無く、覗いても反対側からは見えないようになっているので、何とかしてやり過ごそう。念には念を入れてナツ、ピカチュウ、ジャノビーをボールの外に出してるし、そして同行しているチリーンも居る。いざって時は全力で逃げ切ってやる・・・!

 

「・・・足音が、このフロア内で止まったみたいです」

 

アリアの言う通り、足音が止んだ。

足音が止んだのはいいが、なんか、荒い息使いみたいなのが聞こえてくる。

 

「ターコイズか?」

「僕じゃないよ!」

「・・・静かにしてください」

 

俺達は小声でやり取りを行う。

 

「一体どんな奴が?」

 

俺達は机の影から顔を覗かせ、足音の主を見る。そこには

 

「な、何、あれ?」

 

人間ほどの身の丈の細い体。

全身が黒い皮膚に覆われ

 

「あ、あんな奴が、いるのか?」

 

頭には2対の捻じれ曲がった巨大な角。

全体的な体の大きさに合わないアンバランスな大きな頭と顎。

 

「・・・・・・・」

 

血の様に赤い2つの目が、何処ともつかない虚空を見据えていた。




この作品と同時に《バカとオタクと召喚獣》を投稿させていただいてます!
次回は、謎の生物とバトルです!
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