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「私、新聞部に入部しました。」
「え?・・・・そう・・・よかったわね」
いきなりのセリフに戸惑いの表情をする。
「ぬー、そっけない」
IS学園第二整備室。
そこで、心月は自分の専用機ゴーレムの外装の変更をしていた。
企業からパーツを仕入れ、姉ゆずりの知能で機体スペックに支障がないように慎重に改造していく。
整備科志望の黛に手伝ってもらいながら。
作業は順当に進んでいた。
「いきなり言われても反応に困るわ・・・あ、そこのペンチとって」
「はいよ、まぁいいよ、私のデビュー作で今、IS学園在住の代表候補生についての特集を書いているの、よければこのあと協力してくれない?」
「私は代表候補生ではないわ」
「そうじゃなくて、取材活動に協力して欲しいわけ。今度のクラス対抗戦で心月くんは代表候補生と戦う運命にある。情報収集と思って手伝ってくれれば互いに得じゃない?」
「・・・・まぁ、いいわ。貴女にはいろいろお世話になっているし。」
「ありがとう!、いやー持つべきものは友だなー、はいこれカメラ」
黛はどこからか取り出したデジタルカメラを心月に投げる。
「うわ!?」
間一髪心月はカメラのキャッチに成功する。
「んじゃ、取材へゴー!」
「今から?まったく・・・せっかちなんだから・・・。ん?」
渡されたカメラを見る、手に収まるパープルカラーのデジタルカメラだ。
心月はこれを手に取った瞬間、何かしら懐かしさを覚えた。
「このカメラ・・・」
(どこかで・・・見たことあるような・・)
心月は記憶を辿ってみるが・・・はっきりと覚えていなかった。
昔、確かにこのカメラを手に取ったことがある。
だが、記憶力がいい心月でも、この過去は思い出せなかった。
「あ、それ?いいでしょ?昔親友にもらって・・・大切にしているんだ」
「・・・・そうなの」
(親友・・・)
何か思い出しそう・・・へんなムズムズが心月の脳裏を刺激する。
「・・・・・まいいわ、行きましょう」
次第にムズムズが頭痛に変わり心月は考えるのをやめる。
「うん!」
心月は、ISに他人が操縦できないようにロックをかけ整備室を出る。
黛も後から続いて整備室を出ようとするが、歩みが止まる。
そして、いつも明るい彼女が珍しく暗い表情をし、ポツリと言う。
「・・・・心月くん・・・やっぱり・・・でもその方が・・・」
その言葉は彼女の悲しみが込められていた。
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昼休み、一人目の代表候補生が屋上で昼食を取っているという情報をもとに
二人は屋上に向かった。
「まずはあの子・・・三組のクラス代表、イギリス代表候補生のサラ・ウェルキンさん」
「あら、可愛いわねお人形さんみたい」
二人物陰から、イギリス代表候補生サラ・ウェルキンの姿を確認する。
サラはベンチに一人座っていた。
慎重は低めで、金髪ショート、制服はゴスロリ風に改造されており、彼女は日傘をさしながら紅茶を一人優雅に飲んでいた。
その可憐な姿はなんともいえない大物オーラを醸し出しており、近づきがたいものになっていた。
「そうでしょ?この一年の中で一番の美少女と名が高いのよ」
「へー、ちょっと好みかもしれないわ」
「こんにちは新聞部です!取材いいですか?」
黛は物陰から出て、ボイスレコーダを彼女に向ける。
心月もその後からカメラを構えながら後を追う。
「あ、はい・・なんでしょうか?」
「今、代表候補生の特集の記事を書いていまして。今後行われるクラス対抗戦の意気込みをおねがします!」
「はい・・・少しコメント考えますので・・・あ」
「ん?」
サラは心月の存在に気付く
「あなたは・・・篠ノ之心月さんですよね?」
「ええ、そうよ」
ニギ
日傘を投げ捨ててまで、心月の右手を両手で握る。
「!?」
「あの時は助けていただきありがとうございました。」
(そういえばこの子・・・)
あの時とは、襲撃事件のことである。
心月は思い出す。彼女は無人機のレーザー攻撃の爆風によって怪我をした少女だった。
サラはあの後、心月が謎のISを倒し自分たちを守ったと聞き、お礼を言いたかったが、
なかなか出会うきっかけが無かった。今回ようやくそのお礼を言うチャンスが訪れ、今まで言えなかった分心を込めて彼に感謝の言葉を告げた。
「あぁ・・・いいのよ。怪我は大丈夫かしら?」
「おかげさまで、あの時はあなたがいなければ私はどうなっていたことか・・・このご恩一生使ってお返しします。」
サラの表情は自分を守ってくれた騎士に出会ったかのように
頬を染めながらも見とれるほどのに眩しい笑顔だった。
「いいのよ困った時はお互い様じゃない」
「よくはありません・・・あ、そうだわ。もしよろしければこの私が作ったクッキーを召し上がってください。」
サラはベンチに置いておあった、バックから丁寧に袋ずめされたクッキーを差し出す。
これは心月にいつかお礼をしようとあらかじめ作っていた、ものだった。
「あ、ありがたく頂くわ・・・」
心月はグイグイくるサラに若干戸惑いながらも、袋からクッキーを一つ取り出す。
そのクッキーはなぜか虹色に光っており、本当にクッキーなのか疑わしいものだったかが。
光り輝くクッキーに心月は少し見惚れる。
「よし・・・」
心月はクッキーを口の中に入れる
「ぐわぁあ・・・・ぐーーーがぁあっがあぁああ・・・・っく」
彼の中で、何かが生まれ・・・何かが消える・・・
「ど・・・どうですか?」
「・・・・・・・・・・・ど、どくどくし・・い・」
毒々しいと、心月は苦しみもがく・・・。
しかしサラはその姿が喜んでいるように見え、頬を染める。
「ふふ、独特な味わいなんて・・・ありがとうございます」
心月は言い返そうとするが喋れなかった。
喋れないほどに彼女のクッキーが『不味かった』のだ。
「ごほんごほん」
黛が咳払いをしながら若干冷たい視線をサラに送る。
「あぁ、ごめんなさい・・・コメントでしたね。」
「私、サラ・ウェルキンはイギリスを代表して、全力を尽くして戦いに挑みます・・・どうか、お手柔らかに。」
「ふむふむ、ありがとう!じゃあ心月くん次行くわよ!」
「が・・ぐ・・・OK」
心月の足はふるふると震えており、歩くことがままならなかった。
「あの・・・篠ノ之さん・・・いえ、心月さん」
「・・・?」
サラが心月を呼び止める。
「あの・・・よろしければ、もっとお礼がしたいので・・・そのまた」
サラは頬をさらに赤くしながらも、心月に誘いの言葉を送ろうとする、
しかしそれは少し嫉妬した黛によって塞がれてしまう。
「むぅ、行くよ!心月くん!」
「・・・がぁ・・・っぐ!!」
パシャ!
心月は最後の力を振り絞りサラの写真を撮る。
黛は強引ながらもフラフラしている心月の制服の裾を引っ張り屋上を出るのであった。
「あぁ・・・行ってしまわれましたわ・・」
ポツリ屋上に取り残されたサラは再びベンチに座り紅茶を飲む。
「あぁ・・・心月さん・・・なんとも優雅でお美しい殿方・・・はぁ・・・」
彼女は心月に惚れていた。
自分を救ってくれた騎士様、普通の男とは違う美しい姿。
男性経験がない彼女にとって心月は特別な存在となっていたのだった。
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「あぁーーー死ぬかと思った・・・まずい!マズすぎるわ!!はっきり言えばよかった」
クッキーの毒から完全復活した心月は彼女のクッキーに対して言えなかった不満を爆発させる。
「あはは、ご愁傷様・・・」
「他人事のように・・・」
「ごほん・・・次は・・・サファイアちゃんのとこに行くよ!」
ギリシャ代表候補生であるフォルテ・サファイア・・・。
二人は彼女とはクラスで会うが、あまり接していなかった。
むしろフォルテ自身、誰かと会話することを極力、避けていたのだ。
「あぁあの子ね・・・まともに答えてくれるかしら。」
以前、食堂で無視されたことを思い出す。
「あたって砕けろよ。情報によると今の時間、第一整備室にいると思うけど・・・」
第一整備室に着き 二人は中に入る。
そこには情報どうりフォルテ・サファイアの姿があった。
「よぉ、来たのかフォルテ・・・」
「う、うっす、来ちゃいました・・・先輩」
しかし、そこにはいたのは彼女だけではなく、一人の上級生がいた。
金髪でポニーテール・・・ダイナマイトな胸元を出しており なんとも見た感じワイルドな姿の女性がいた。
「先輩なんてかた苦しいこと言うなよ・・・俺とお前の中じゃねぇか。」
「うぅ・・・そうスね・・・///」
二人が醸し出している甘々な空気に思わず二人は物陰に隠れる。
「あれは!?」
心月が驚愕する。
「あの人は確か2年アメリカ代表候補生ダリル・ケイシー・・・なるほど噂は本当だったのね」
「噂?」
「サファイアちゃんがケイシーさんと恋人関係であることよ・・・。」
「な・・・なるほど・・・さすが女子校ね」
心月は女子高では普通にレズカップルがいると聞いたことがあったが。
まさか本当にいたことに驚く。
「まぁ、ちょうどいいわ二人まとめて取材しましょう・・・どうもー、新聞部です!」
(あの甘々した空気に何のためらいも無しに入って行くなんて・・・黛、恐ろしい子。)
心月は密かに黛に戦慄する。
「んお?なんだ俺たちに用か?」
「・・・・・」
フォルテは甘々のとした雰囲気を邪魔した黛に冷たい視線を送る。
「はい、今IS代表候補生の特集を書いていまして、お二人に今後の意気込みを伺おうかと」
「おぉ、そういうことか・・・ちょうどいいな」
ダリルはフォルテの肩に手を回し密着させる。
「・・・!」
「大々的に載せてくれよ?、俺とフォルテはコンビを結成したんだ、あちこちの大会に出場も決定してる。」
「ちょ・・・いたいッス」
フォルテの頭を少し荒々しく撫でる。
「ほうほう」
「あと俺の専用機もドカンと詳しく説明・・・・」
パシャ!
心月はダリルとフォルテのツーショットを撮る。
「ん?お前は・・・」
シャッター音により後から来た心月に気づく。
「お前が『篠ノ之心月』かヘー男前だな」
「ありがとうございます、そういう先輩も男前よ」
心月はこんなに男らしい女性を見るのは初めてだった。
少しはしたない部分があったり口調があらあらしかったりと、心月が嫌う女性そのものだったが。
上級生だったために何も言えなかったのであった。
「ハハハ!面白いこと言うな、気に入ったぜ!」
バンバンと心月の肩をたたく。
「いたい、暴力反対」
「どうだい?今夜俺の部屋で一発・・・」
まぁ下品・・・と思いながらも、その問いにNOと答える。
断ろうとした、瞬間ダリルの右腕をフォルテが引っ張る。
「やめるッス!!浮気はいけないッス!」
「冗談だ冗談・・・でも結構いいと思っているのは本当だぜ・・・」
「・・・っぐ!!行くっスよ!」
「んな!?引っ張るなってフォルテ・・・落ち着け!」
ダリルは強引に引っ張るフォルテの腕をを両手で掴み動きを止め
そのまま彼女の目線に合わせて屈み、顔を見つめる。
「・・・ヒュイ!?」
そのダリルの真剣な眼差しによってフォルテは顔を赤くする。
「どんなこと言っても・・・俺はお前が一番だ」
「・・・・ダリル・・・」
「フォルテ・・・・・・ちゅ・・」
「!!!・・・・レロ・・・ん・・・」
そして二人は口付けかわす。
それはとても激しく舌を互いに絡めあう大人のキス・・・。
「・・・・・・・」
(え!?ここでするの!?)
「・・・・・・・」
(あの・・・コメント・・・)
心月と黛は真顔でその状況を見る。
完全にフォルテとダリルのラブラブ空間から完全に追い出されてしまった。
「・・・行きましょうか、黛ちゃん」
「・・・そうね」
二人は情熱の世界と化した整備室を後にするのであった。
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「あの二人のコメントは適当に捏造しとくか・・・さて、あと一人ね・・・・たしか第三アリーナで模擬戦中だった気が・・・」
二人は何人か取材を終え、最後の一人の代表候補生に会うべく第三アリーナの観客席に向かった。
「あれじゃない?」
心月が指をさした方向、スタジアムの真ん中にロシア代表候補生『更織楯無』の姿があった。
しかも水色のISを展開し、一人の訓練用IS『ラファール・リヴァイブ』と戦闘を繰り広げていた。
「模擬戦中なのね」
「おぉ!!あれはロシアの第三世代IS『グストーイ・トゥマン・モスクヴェ』!!」
黛は楯無の専用機の名を叫ぶ。
『グストーイ・トゥマン・モスクヴェ』別名モスクワの深い霧と呼ばれる、ロシアの第三世代ISだ。
心月は彼女の専用ISをじっくりと観察する。なぜなら彼はいずれあのISと戦う運命にあったからである。
「はぁ!」
楯無はランス型の武器『蒼流旋』をラファール・リヴァイブに突き刺す。
「っく!!まだだ!!」
相手はダメージを食らいながらもガトリングガンを連射する。
「無駄よ」
しかしその弾丸は液体物のようなもので作られたバリアによって受け止められる。
「なに!?」
相手は驚愕し、その場からとっさに距離を置こうとするが。
楯無は逃がさないように相手の腕を掴む。
心月はバリアの正体を見極めるべく目を細める。
「・・・・あれは・・・水・・・かしら」
「おぉ、さすが心月くん!そう彼女のISは水を操るISなの」
「そう」
(ISってなんでもありね)
水を操るISがあるとは流石の心月も驚きを隠せない。
気がつくと試合は楯無の優勢、相手も焦りと痛みで苦痛の表情を浮かべる。
「止めよ!!」
パチ!
楯無は指ぱっちんをする。
その瞬間相手のISはなぜかパーツの隙間という隙間から爆発を起こし
SEがつきる。
「うあぁあああ!!」
ブーーー
試合終了のブザーが鳴る。
「やるわね彼女・・・」
(今のは・・・いったい・・・)
心月はなぜラファールが爆発したのかを考える。
ヒントは水・・・このヒントを頼りに対楯無の戦略を考える。
その表情は真剣そのものだった。
「とうぜんよ、二年生三年生が彼女に模擬戦を申し込んで合計10戦で全て無敗・・・それだけじゃない、いろんな分野のスポーツでも彼女は常にトップの成績有しているの・・・まさに学園最強にふさわしい・・・」
「へー、ただの痴女じゃないのね・・・」
数日前のことを思い浮かべる。
「痴女?」
「こっちの話」
「ん?おーい!心月くん、なになに?私を華麗な姿を拝みに来たの?」
楯無が心月の存在に気付き手を振る。
「んなわけないわ、新聞部のお手伝い」
「え?」
「こんにちわー 取材いいですかー」
三人は更衣室に移動する。
「なるほど、対抗戦の意気込みね・・・」
楯無は汗をタオルで拭きながら、黛の取材の目的を聞きコメントを考える。
「うんうん、なにか一言!」
「絶対に勝つ」
男らしくガッツポーズをする。
「おお!!シンプルでかっこいい!!」
「でしょでしょ?」
「はいはい、では、一枚」
パシャ!
心月は、ふふんと自慢げにしている楯無の姿を写真に収める。
「それより・・・心月くん♪」
楯無は心月に密着し、耳元で囁く。
「ねーねー、今から私と・・・戦わない?私さっきから試合しているけど、ぜんぜん手応えないのよねー・・・いいでしょ?」
「・・・・・いずれ戦うわ。今の段階で私の手の内は読まれたくないのよ・・・クラス対抗戦までお預けよ」
そういうと彼は楯無の肩を持ち、密着していた体を無理やり離す。
楯無はそんな心月に対しつまらない表情をする、
「つれないなー、まぁいいやシャワー私が先に使うね」
「はいはい」
「え?、シャワーって?」
黛はその会話に違和感を感じる。
「あら知らないの?私と心月くん、同じ部屋なの」
「なななななな、なんだってー!!!」
まさかの事実に、黛は驚愕し心月にどういうことかと説明を求める。
「どどどどどいうことなの心月くん!?」
「しらないわよ、勝手になってたのよ!」
彼自身、なぜ彼女が同じ部屋なのかは知っているが、なぜそれを学園が承知したのか理由を知らなかった。
「と、年頃の男女が同じ部屋で・・・あんなことや・・・こんなこと・・・イヤん!心月くんのスケベ!!」
黛の妄想が暴走する。
「お・・・落ち着きなさい・・・」
「昨日のあれ激しかったわー」
頬を赤く染め、黛をを煽る。
「誤解を招く言葉を言わないでちょうだい、私はそんな軽い男ではないわ!」
「でもあの日、互いの肌を重ね合わせた仲じゃない」
あの日、つまり互いの肌の感触比べをした時のことだ。
確かに彼女に言っていることは正しかったが・・・男女の行為のことではない。
が、黛は勘違いし混乱していく。
「肌!?重ねた!?うひゃぁあああ!!」
「貴女、私をこの学園から消すつもりなの?」
IS学園の生徒が学内で誤ちを犯したと知れたら、退学処分されるのは心月だ。
「あら失礼ね、確かに心月くんは私の脅威だけど、そんなに嫌っているわけではないわ・・・むしろ・・・」
「むしろ?」
「・・・な、なんでもない!」
楯無は照れる。
「・・・・」
心月は内心、彼女がなぜ照れたのかは予想がついていたが、あえて言わなかった。
「しししし、心月くん、どう?今夜わたしと、その、アレしない??」
何を焦ったか黛は夜のお誘いを心月に言う。
「どれよ!!落ち着いて早まらないで、この女は意味深なことを言っているけど、行為には及んでないわ、神に誓っていう。」
「ほ・・・ほんと?」
「ええ、ええ嘘ついたら十字架に張り付く」
「はー、良かったー」
「はぁー」
心月のストレスはマッハで溜まっていく。
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「はー疲れた・・・最近の女の子はよくわからないわ」
夕方、心月は一人でゴーレムの改造の最終調整をしていた。
「うんうん、少しはマシになったわね」
ゴーレムの見た目はガラッと変わっていた。
カラーリングは黒をベースにメタリックパープルのラインが入り、頭部は丸ごと変え6目だったカメラアイも2目にし鋭い二本のアンテナのような造形を施した。ボディも装甲部分をより厚く強固にし、のっぺらぼうのようだった操縦席部分も、ガラリと変わりメカメカしくなる。
このような大改造を得ても機体自体のスペックは変わるこはなかった。
「・・・・んー」
(私はこの子をどうしたいのだろう・・・)
心月は何かを考える、別に今の機体に納得していないわけではなく、今後どのようにしてISと共に生きるかを考えた。
なんせ、いきなり入学させられたこのIS学園。夢も希望も無しに、どのようにして前へ進むかわからなくなっていた。
「篠ノ之か?」
女性の声が聞こえる。心月は振り向くとそこにはジャージ姿の千冬がいた。
「千冬さん」
「織斑先生だ。どうした難しい顔をして」
「いやね、どうも、モチベーションが下がっていてね」
心月は、ゴーレムに触れる。
「・・・ほう」
「わたしね、強制的にIS学園に入学して、目標と呼べるものが無いのよ・・・なんというか、いまこの行動にわたしに何の意味があるか・・・わからない・・・のよ。みんな目標があって、進むべき道が定まっていているのに・・・羨ましいわ」
ISを改造した意味・・・クラス代表になった意味・・・自分がいる意味・・・その答えが分からずにいた。
「まぁ確かに、ここにいる生徒は全員、IS関係のなにかしらの夢を持って入学しているからな。」
「そうね・・・わたしは、夢を持たないままここに連れてこられたから・・・ね。」
ここの生徒と心月との違いは夢、目標を持っているかいないかであった。
「ふむ・・・」
千冬はそんな悩める心月のために考える。
「・・・・・・・」
「お前は『モンド・グロッソ』に出たいとは思わないか?」
「モンド・グロッソ?たしかISの世界大会ですよね?」
モンド・グロッソ・・・ISの世界大会でかつて千冬が「ブリュンヒルデ」として名を轟かせた大会だ。
「あぁそうだ、お前は素質、技術力が高い、経験を積めばいずれ優勝も夢ではない」
「あなたにそこまで言われるとは・・・どうしたのですか?熱でもあるんですか?」
心月が心配の表情を浮かべる。いつも厳しい彼女から高評価を受けているとは・・・と心月は少し警戒する。
「失礼なことを言うな!悩める生徒を助けるのは教師の役目だ。」
「本当に大丈夫?」
「ぶっとばすぞ!!」
「ふふ、冗談です・・・でも、ありがとうございます。そうですね・・・モンド・グロッソ・・・目指してみますかな」
心月はとりあえずモンド・グロッソ出場という目標を立てる。
その瞬間心月のモチベーションはだんだんと回復していくのを感じた。
「うむ、それでいい」
「やっぱり、私の姉より頼れるわ・・・先生のような姉を持って、一夏くんは幸せ者だ」
「そう・・・だな」
心月の言葉にすこし表情が曇る。
「まぁなんだ、当日の試合・・・がんばれ、期待しているぞ」
「・・・・はい!」
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