「あの声はなんだったんだろう…」
戦車道の授業が終わり一年生の3人と別れた後私はずっと考えこんでいた。私の名前は磯部典子。バレー部に所属していてポジションはセッターだった。なぜ『だった』かって?今年度の頭にバレー部は廃部になってしまったからだ。ただ戦車道を履修する事でバレーボールの練習をする事や体育館の使用は生徒会になんとか許してもらっている。バレーボール部が廃部になったのはやはり無念だが練習ができる事に関しては生徒会に感謝しなくてはならない。
そんな私が忘れ物を取るために格納庫に戻った時に聞こえた2種類の男性の声。1つの声は若く元気があり、もう片方の声は老いを感じ…それでも何処か力強さをも感じさせる声だった。大洗女子学園は女子校なのだから男性の声がするのは不自然だ。まさか不審者かと思い声のする方に近づいてみたが…人影なんてものはどこにも無くただ戦車が2両…自分達が乗るはっきゅん-八九式中戦車を親しみを込めてこう呼んでいる-と搭乗員が全員一年生のピンクに塗られたM3中戦車が静かに佇んでいるだけだった。以上の状況を踏まえて帰り道、そして学生寮に着いてからも考え続けた私が出した結論はただ一つ。あの2両の戦車が喋っていた、だ
「いやいや落ち着け自分。戦車が喋るなんて…」
自分で出した結論を即自身で否定する。戦車が喋るなどあり得ないだろう、普通に考えれば。しかし確かめもせず考えるのを止めるのは面白く無いし…もしからしたらもしかするかもしれない。聖グロのマチルダの装甲を抜けなかった時と違ってもしかしたら根性でなんとかなるかもしれない。ならばやる事はただ一つ
「確かめてみよう」
思い立ったが吉日だ、もう日が落ちているが構わない。ゆったりした部屋着からいつも着ている体操着に素早く着替えて小走りで学校に向かう。途中で風紀委員に見つかったが適当に理由を付けて見逃してもらう。小走りで来たからか登校の時より早く学校に着いた。校門は…よし、まだ空いてる。学校の敷地に入り一番奥の戦車格納庫に向かいはっきゅんを探す…いたいた、さっきの場所からやはり動いていない。明かりが漏れる格納庫の外側にM3中戦車と一緒に佇んでいる。ゆっくりと歩を向けながら耳を澄ましてみる。もし私の仮説が正しかったら…聴こえた、間違えるはずがないさっきの2種類の声だ。増員やら二階建てやら言っている。間違いない、絶対に戦車が喋っている。そう思った私は意を決してはっきゅんに近づく。そして装甲板に手をかけ…
「ねえ、はっきゅん聞こえてる?」
どうだったでしょうか?このシリーズで人間からの視点で書くのって今回が初めてでしたね。次回の内容は…まだ決めていません。多分磯部さんとはっきゅんの話になるかな〜とは思いますがw指摘や要望があればコメントをいただけると幸いです。それではまた次回