「つまり長老とリーは人間と会話した、という訳か?」
「そういう事になるのぅ」
「まあ、そうなるな」
「しかしあり得るんですかね、そんなことが」
「夢だったんじゃない無いの〜?」
戦車と会話できる人間。戦車の中では都市伝説として語り継がれてきたことである。噂ではかのミハエル・ヴィットマンは会話ができたらしい。しかし今では真相は闇の中だ。それに彼にその様な噂が付いたのは戦場で彼の闘いを見た者が比喩しただけ…と思っていた、昨日の晩の一件を聞くまでは。長老が言うには車長を務める磯部典子と話せるようになったらしい。更にかなり昔にも話せる人間が大洗にいる、と小耳に挟んだらしい。まあ苗字は忘れてたしまったらしいが。
「長老、その話ってどこで聞いたんだ?」
「わしが…この学校で戦車道をしてそこそこ経った時だったかのぅ、ノモンハンの後に本土に帰ってきて…終戦後は一時期排土板を付けて…色々あったもんじゃ」
「いや、爺さんの昔はどうでも良いからな?そうだろう、IV号?」
「ああ…で長老が大洗に来たのはいつ頃なんだ?」
「昭和…30年じゃったな、丁度高度経済成長期で学園艦が大量に竣工した時期じゃったから良く覚えとるわい。それから2、3年経ってからじゃな、噂を聞いたのは」
「つまりその聞こえる人間はその頃生きてたってことか…今だと何歳位になる?」
「当時学生だとして16歳、それに今が2012年だから67年経ってるね。だから16足す67で83歳だね〜」
「やっぱり38は計算が早いな。しかし83歳か、機械ならまだしも人間だと…」
「…残念ながら亡くなっている可能性が高いですね」
「そうなんだよねー、去年の夏にね…」
「やっぱりか…」
「人間とは儚いもんじゃのぅ…」
「だなぁ…ってちょっと待った!」
「どうした二階建て?」
「去年の夏に亡くなった情報言ったのって…」
「私だけど?」
そう答えたのは…ツナギに身を包んだ女子……自動車部部長を務めるナカジマであった。
「もしかして…長老が言ってた聞こえる人って…」
「多分私のお祖母さんじゃないかな、そんな感じの事昔から言ってたし」
そう答えながらナカジマは近くの木箱に腰をかける。
「しかし…ナカジマさんはお祖母さんがその様に仰るのを嘘とは思わなかったんですか?」
「私も幼い頃から聞こえてたからね、家族には内緒なんだけど。車とかバイクとか…だから自動車部に入ったんだ。その方が何かと都合が良いでしょ?」
「確かに…」
「いやーしかし戦車とも会話が出来るとは思ってなかったな」
そう言うと元気良く笑う。そんな彼女の笑顔を見ているとこちらも癒されるものだ。
「そういえば…」
唐突に声をかける三突。
「私達の声って戦車道を始めた日から聞こえていたんですよね?」
「うん、そうだよー」
「つまり…リーさんがピンクに塗られて不貞腐れていたのも…」
「もちろん聞こえてたよ?」
「な、何っ⁉︎だ、だったら三突が旗立てられて鬱状態だったのだって…」
「もちろん分かってたよ」
「な、何ですと⁉︎」
「これからは人間に隠し事が出来ないねぇ、お二人さん?」
こうして賑やかに話しているうちに、今日は今日とて学園艦の夜はふけていくのだった…
それから数日が経っての事だった。全国大会への出場、及び初戦の相手がサンダース大学付属高校に決定した事が分かったのは…
どうだったでしょうか?自動車のナカジマさんにした理由としては、以前行わせて頂いたアンケートの結果を元にしたからです。さて次回からは全国大会編を予定しています。今までより戦車が動くシーンが増えると思いますが、それを上手く表現出来るようにしたいと思います。それではまた次回