車体上部に付いた37mm砲塔が相手の方向を指向、そして旋回が終了すると同時に発砲。車体に付いている75mmを撃てないのは残念だがそれでも校内試合や聖グロ戦でほとんど撃てなかったのに比べればましだ。まあこちらの置かれている状況は…相手の追撃を受けつつ後退…最悪である。
「えっち!」
「ストーカー‼︎」
乗員がそう言った直後に再び37mm砲を撃つが…悲しいかな、全く当たらない。すると向こうからはお返しと言わんばかりに相手…M4シャーマンの75mm砲弾が立て続けに飛来、辺りの地面を抉り車体をギシギシと揺さぶる。
「IV号と爺さんはまだ来られねえのかよ…」
追撃が始まった時点で隊長車であるIV号には通信を送ったのだが…中々姿を見せない。
「なんでこうなったんだか…」
意味は無いと分かっているがここまで来た経緯を思い返してしまう
全国高校生戦車道大会、一回戦。我らが大洗女子学園の対戦相手は4強の学校の一つであるサンダース大学附属高校である。大学附属であり資金に余裕があり、戦車道でも一軍から三軍までがあるらしい。大会規定により参加車両を10両に抑えているとはいえこちらの倍の車両数だ、油断など出来るわけがない。IV号と三突がフラッグの38を護衛、爺さんと俺が偵察に行った結果…敵に見つかり追いまわされる状況になってしまった訳だ。
などと考えていると再び砲弾が近くに着弾する。さっきより車体の近くに着弾したようだ、車体の揺れが大きくなってきている。6両に追われているこの状態のままでは…そう思った時だった。
「お、いたいた。リー、助けに来たぞ!」
「二階建ては無事なようじゃの、良かった良かった」
やっと2両が到着したのであった。
「あひるさんチームとうさぎさんチームはあんこうについて来て下さい、このまま森を抜けます!」
「了解!」
「り、了解!」
IV号の西住隊長からの通信が入ったようだ、それに応えるように車体が向きを変え森の出口へと向かう。これならば突破できそうだ、そう思い始めた…
Side IV号
「何とかリーを連れて森から出られたか…」
そう呟く。森を出る寸前でM4に待ち構えられていたがそれも何とか突破できた。車両が少ないこちらが一両も失わずに済んで良かった…などと思っている間にも西住隊長は無線でポイントなどを伝えているようだ。その通信の際についでにリーに話しかけようとした…まさにその時だった
「…ふふ…」
誰かが笑ったのだ。しかしその声には聞き覚えがない。一応リーに聞いてはみるが…
「おい、リー今笑ったか?」
「はぁ?こんな状況で笑う訳ないだろうが」
「だよなぁ…」
やはり違う。そもそも戦車が会話できるのは同じ無線周波を用いる車両間だけだ、そんな知らない声が聞こえる訳……いや一つだけあるにはあるが…今日の相手の読みはかなり良いからもしかしたら…そう思った時だった。
車内で会話していた西住隊長が急にハッチから乗り出し上空を注視する。そして車内に戻るなり砲手の五十鈴さんにこう告げた。
「通信傍受機が打ち上げてある」
…なるほど。つまりさっき聞こえたあの声は傍受機を積んでる戦車の声だろう。傍受機が出す若干の電波に声が乗ってしまった、というわけだ。しかし通信を全て傍受されてしまっては作戦の伝達が…そう思っていた時だった。通信手の武部さんがポケットとから小さな機械を取り出すとぱかりと開きかなりの速さでそれに何かを打ち込み始めたのである。
「こんな所で沙織の特技が活かされるとはな」
「メールの早打ちはモテる女子の必須項目だからねっ♪」
めーる…はて?どうも話を聞いているとどうやらあれは携帯電話らしい。長く眠る前にもあるにはあったがあの肩から背負う機械がこうなるとは…そして携帯電話で連絡を送った後は無線にて欺瞞情報を流し始める。そしてそれから数分後…
「撃て!」
「てえっ!」
「発射!」
各車から放たれた砲弾は相手の一両に立て続けに命中し…白旗を上げさせることが出来た。しかし戦力的には相手が以前有利、試合はまだ始まったばかりであった…
さて、どうだったでしょうか。今までガルパン小説なのに書いてこなかった戦闘シーンが遂に登場しました。自分では出来る限りそれらしく書いてみたのですがアドバイスなど頂けると幸いです。それではまた次回