終わりの惑星のLove Song   作:瀬川 蒼依

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2話 後悔して後悔して後悔した

 何年後という未来から、数えきれない思い出を遡ってきたことをキミに伝えたい。そうすればキミはきっとわかってくれる。キミの探しているアタシはアタシなんだと…。

 でもそれは駄目なんだよね。たしか、キミから借りた漫画で、タイムリープをした主人公が未来のことを教えてしまって、それを知ってしまった友達は酷い目に遭うんだっけ。タイムパラドックスとかいったかな? とにかくキミには酷い目に遭ってほしくない。だから──。

「あの……」

 いきなり声をかけられて、我に返ると、目の前には不安そうな表情をしたキミが立っていた。

「なに?」

 膝を曲げてキミと視線の高さをそろえると、これ以上不安にさせないよう、笑顔で返事をする。

「どうかしたの?」

 心の片隅に僅かな期待があった。今のキミからすればアタシは年上の女性だ。どんな言葉が紡がれるのかと。

 そして、アタシは無意識にそんな気持ちを抱いている自分に嫌悪した。こんな状況になにを思っているのかと……。

「あなたに似た人を探しているんですけど、何か知りませんか?」

 口を開く。決して笑顔を崩さないように。そして、言葉を紡ぐ。震える手を後ろに隠して。

「ごめんね、何も知らないよ。本当にごめんね」

「そうですか……」

 キミはその場から立ち去って行った。

 

 次の日、アタシは再びキミと出会った。軽く会釈だけして通り過ぎていく。

 そして、また次の日。キミはまだアタシを探していた。それを遠くから見守ることしかできない。アタシはこれで罪滅ぼしでもしているつもりなのだろうか。

 キミは毎日毎日アタシを探し続けた。身体的にも精神的にもボロボロになりながら…。バラバラになった二人を繋ごうとした。

「やめて、アタシ、ここにいるよ」

 言いたかった。この一言でキミは楽になれる。救われるのだから。でも、キミが酷い目に遭うかもしれないと思うと、言えなかった。

 

  ◆ ◇ ◆ ◇

 

 夏、秋と時は移ろいでいく。どんな天候だろうとキミはアタシを探し続けていた。

 アタシが未来から来たばっかりに、キミにもの凄い苦労をかけた。もう、苦労なんて言葉じゃ表現できないくらいに。

 

 冬の終わり頃、ある噂を聞いた。風の噂と言ったところだろうか。その内容はアタシのいた未来とは異なっていること。

 ──キミが引越すということ。

 時期は春頃らしい……。

 とりかえしのつかない状況になりつつある。そう自覚した事で、アタシは大罪を犯してしまった事を知る。過去の改変という大罪。

 なんて事をしてしまったんだ。キミを悲しませるだけでなく、過去を塗り替えてしまった。アタシのただの恋心のせいで、ただの好奇心のせいで──。

 今になって思う。あの時の言葉に付け加えられるなら、こう付け加えたいと。

「やめて、アタシ、ここにいるよ。──だからどこにもいかないで」

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