予想以上に旅は厳しいものになった。
世間知らずのキミにとってはなおさらだった。山や谷などの歩きづらく険しい地形、立っているだけで汗をかくような熱帯地域。
かなりの距離を歩き続けて今──極寒の地へと辿り着いたわけだ。道という道はなく、辺り一面膝付近まで雪が積もっていて、一歩を踏み出すことでさえ苦労する。吹きつける雪達はボクとキミの体温を奪っていく。
とても辛い。でもふたりなら楽しいこともたくさんあった。
毎晩キミが語る夢は笑っちゃうんだ。とてもちっぽけで、どうでもいいような夢から、絶対に叶わないような夢だったり。たまに、とても馬鹿馬鹿しいような夢には笑わせられたりして──。
■ □ ■ □
世界の果ては遠く食料も尽きた。
辺りには動物や植物は一切見当たらない。それもそうだろう。ここは──。
凍える厳寒の地。
先ほどとはうって変わって状況が一変した。雪は胸の辺りまで降り積もり、夜という闇と吹雪が相まって1メートル先さえ見据えることが出来ない。
そしてキミは何度も倒れ続けて、朦朧とした意識のまま歩き続けた。見ているこちらの方がとても苦痛だった。
だけど、キミはまだ船があると信じて歩きだそうとした。
──その足はもう前へ出ない──。
キミの寝顔は飽きるほど見てきた。喧嘩した夜だって、楽しかった夜だって、いつでも笑顔のような寝顔だった。でも、今の寝顔からは全く笑顔を感じられなかった。ただただ、悔しそうにで、後悔が残っているようで、とてもとても──。
実はキミ自信も、宇宙に旅立つ大きな船なんて信じてなかったんじゃないかな? あの退廃していく世界でボクは絶望して生きていた。だけど、船の話を聞いて、それを口実にボクに希望を持たせようとしてたんじゃないかな?
考えれば考えるほど、思ってしまうんだ。キミのために始めた旅だったけど、本当はボクのために始まった旅だったのかもしれない、と。そして、本当は、ボクのほうがたくさんのことを学んだ旅だったかもしれない。
必ず見つけだす──と、夢を抱く無垢な心。宇宙へ旅立つための大きな船がある──と、わずかな希望でも信じる思い。世間知らずなキミにはなおさら厳しい旅になるにもかかわらず、夢を信じて歩き続けようとする──折れない強さ。挙げればキリがないほどにたくさんの事。
ボクは冷たくて動かなくなった、その手をそっと、確かに握りキミに誓う。
──旅は続けるよ。となりに、いつもいてくれたキミがいなくても。
──世界の果てまで。どんな困難にぶつかろうとも、絶望することがあっても。
──キミの信じた船を見つてみせるよ。キミがくれたたくさんのものを胸に。
────ひとりでも。
──『ふたりだけのArk』END
こんにちは瀬川です!
『ふたりだけのArk』はどうでしたか?
2話という短い構成になってしまいましたが、前回の『終わりの世界から』は自分の妄想を介入させ過ぎてしまったので、今回の『ふたりだけのArk』は原作に忠実に再現したつもりです。
どうでしょうかね……。
ここで原作者さんの言っていたことなのですが、主人公のボクは女の子なんですよ。そして、キミは男の子です。あくまでもこれはLove Songなので愛を語ったものになるのは、念頭に置いておいてください。
あまり話し過ぎるのもアレなんで、ここらへんで幕を引くとしましょう。
待っていた方! ありがとうございます! お待たせしました!
そして、次はいつになるかわかりませんが、ぜひお待ちを!
※作者は応援メッセージ等をもらうと大変喜びます。