藍染の作った破面達の住まう城、『
その広大な城の無機質な造りの廊下を二人の破面が歩いていた
『ディーク・ラフディオス』と『エフィメロ・ブランカニクス』、二人は先程破面になったばかりの新人。故に破面になった時点で貰える数字すらまだ貰っていない。
今は藍染から「暫く自由に行動してて良い」と言われぶらぶらと適当に歩いていた所だった。
「…にしても……本当に何も無いなぁ…暇だ」
口を開いたのはディークだ。彼の言う通り、二人は暫く廊下を歩いているがこれと言った施設が有るわけでも無く、更に誰も居ない。
「─────……」
「ん?まあ、確かに…この嫌らしい視線を送って来る奴らはどうにかしないとなぁ…」
破面になったとは言え、力を持たないエフィは兎に角この獲物を観察する様な視線をどうにかして欲しかった。今にも襲われそうでずっとビクビクしているのだ、このままでは胃に穴が開くのも時間の問題である。
「今の所、思い付く方法は幾つかあるけど……どれも危険だね」
「─────……」
「安全な方法ねぇ…ほぼ無理なんじゃないかなぁ?」
ディークは後頭部をガシガシと掻く。前髪に比べて結構さらりとした肩まで伸びる黒髪が少しボサボサになるが、本人は特に気にしなかった。
「しょうがないな…プランD『誰か優しそうな人に相談する』で行こう!」
「………」
エフィは切実に願う、頼り甲斐のあるディークに戻ってくれと…勿論そんな願いは神にも崩玉にも届く事は無さそうだ。
そのまま二人は適当に歩いていた。
それはもう、ディークは使える筈の『
故にここに着いたのは偶然であった。
二人が足を踏み入れたのは『
二人が一歩踏み込んだ所で異変に気付いた。明らかに向けられる視線が変わったのだ。
直ぐ様踵を返して戻ろうとしたが時既に遅し、明確な殺意を向けてくる破面が出口の前に立ち塞がっていた。更に続々と集まる破面達は二人を取り囲み、逃げ場を無くした。
「…やっちまったかな?これ?」
「─────……」
「どうするって……話して通じる相手なら良いんだけど…無理そうだね」
既に何体かの破面は刀を抜いている。何時でも襲いかかれる状態だ。高まる殺気にエフィは耐えられず、ディークの肩を掴んだ。
「しょうがないね…『強行突破』と行こうか。
エフィちゃん、しっかり掴まってなよ?怖かったら目を瞑ってて良いから」
そう言うと彼はエフィの腹部に手を回した。いきなりの事でエフィが驚いていると、次の瞬間には風を切る音と共に回りの風景が変わっていた。
『
後ろの通路では一瞬で消えたディーク達を破面達が追いかけようとしているが、ディークは次の手を打った。
『
狙いは破面達では無い、その上の通路の天井だ。赤い弾丸は通路の天井を崩し、通路を完全に塞いでしまった。
出口も塞いでしまった事になるが、きっと他の抜け道も有るだろうと希望を持ち、他の通路に向かおうとした時だった。
目の前の通路の先に何者かの霊圧が有った。
待ち伏せか?とも考えディークは警戒したが向こうの方からこちらに向かって来た。
出て来たのはダンサー衣装の様なヒラヒラの付いた死覇装を着た髭を生やしたおっさんだった。
「動きは見させて貰ったぞ
「そりゃどうも…」
おっさんは大袈裟なジェスチャーを交えながら話す。
「見かけぬ顔だが、新入りかね?」
「
「フフフ、謙遜せずとも良い。もしや次の
「さあ、どうでしょうね?その十刃とやらにも会って無いから何とも言えないね」
「ふむ、そうであったか…だが
「…もしかしてさ、『俺と闘え~』とか言うんじゃ無いよね?」
「分かってるではないか!吾輩は破面No.103ドルドーニ様だ!さあ、早速手合わせ願おうか!」
そう言うとドルドーニは片足を上げ武術の構えをとる。
「おいおい、ちょっと待ちなよドリルーニさん」
「違ーーう!ドリルーニではない!ドルドーニだ!間違えるな!!」
「あ、すまん……ドジルーニ?」
「ド・ル・ドー・ニ!ドルドーニだ!なんだその失敗ばかりしそうな名前はッ!!」
「………」
エフィはディークに抱えられたまま二人の男の茶番を見ていた。状況が状況なので笑えなかったが。
その時、背後で爆発が起きた。瓦礫で足止めを食らっていた破面達が瓦礫を吹き飛ばした事による物だ。ディークは小さく舌打ちした。
流石にエフィを庇いながらでは多分もう逃げられない。ならばどうするか?
「おい、ドルドーニ」
「何だ、名前を間違わなくなったかと思えば今度は呼び捨てかね?」
「んな事はどうだって良い…ちょいとエフィちゃんを頼めるか?抱えたままだと攻撃に巻き込みそうだからね」
ドルドーニは驚きで目を見開いた。ディークの言い方だとこの大勢の破面、しかも
そしてもう一つの理由。
「良いのかね?吾輩が
「そんな素振りを見せた時点であんたを消すから問題無いよ、それにさ…信用出来そうだし」
最後の方は小声になっていたがドルドーニにはしっかりと聞こえていた。それを聞き、ドルドーニはフッ、と笑った
「吾輩に任せておくと良い。紳士たる者、
「それじゃ頼むよ…エフィちゃん、直ぐ終わらせっから少し待っててくれ」
そう言うとディークはエフィを地面に下ろし、こちらへ向かってくる破面達を見た。各々に何か叫びながらディークに向け殺気を飛ばす。何体かは『
「遊びたい所だけど…今回は時間は掛けずに終わらせる」
そしてディークは静かに腰の斬魄刀の柄を握った。
「始まれ
言葉が終わると同時だった。
破面達が一斉に吹き飛んだ。
刀を構えていた者も、叫んでいた者も、虚閃を放とうとしていた者も、全て同じ様に木の葉の如く吹き飛ばされた。
ドルドーニも何が起こったのか全く理解出来なかった。最初はディークの取り逃がした破面をエフィに近付けないように闘うつもりでいた、ディークに向けて「任せておけ」と言ったのだからその位はするつもりだったのだ。
だが、現実はどうだろう。殆どの破面達は壁に打ち付けられ沈黙している。何体かは耐えた様だが既に満身創痍と言った状態、動く事も出来そうに無い。
自分と同じ十刃落ちが一瞬で、突風に吹かれたゴミの様に何も出来ずに負けた。一体彼はどれ程の力を持っているのか?ドルドーニには理解出来なかった。
それに、ドルドーニはもう一つ理解出来ない事があった。
ディークは確かに解号を唱え、
刀剣解放したのに姿が変わらないのはおかしい。普通なら破面としての真の姿になる筈なのに。
疑問がドルドーニの頭を駆け巡り、額に嫌な汗を感じた。
何故、何故、何故?だが遂にその全てに明確な答えが出なかった。
「ふい~…疲れるな、破面になってもこれかよ。
もうちょい楽になるかと思ったけどなぁ…」
床に座り込んでディークは呟いた。流石にこんな馬鹿げた技を使った後は疲れるのかとドルドーニは内心ほっとする。
「ああ、ドルドーヌさん助かったよ。あんたがエフィちゃんを預かってくれなかったらコレも出来なかったしね」
「そ、そうか…役に立てたのなら良かった…」
ドルドーニは名前を間違えられたにも関わらず訂正しようとしなかった。それほど彼の頭は混乱していた。
「さて、それじゃこんな物騒なトコさっさと出ますか!なあ、エフィちゃ……」
ディークは言葉を最後まで言い切らずに固まった。不審に思ったドルドーニが横を見ると恐怖の表情を浮かべるエフィが居た。
その体はガタガタと震えており、その瞳はただ一点、ディークのみを見ていた。
「お、おい…大丈夫かエフィちゃん?」
ディークはエフィに向かって手を伸ばそうとした。だがそれを見てエフィはビクッと体を跳ねさせ、手から逃げるように後ろに下がった。
顔は更に恐怖に染まり、恐らく声を出せるなら悲鳴を上げていただろう。
ディークはただ固まっていた。ゴーグルのせいで感情は上手く読み取れないが、途中まで伸ばした手は小さく震えていた。
それを見てドルドーニは意を決してエフィに歩み寄った。
「
エフィは近くに来たドルドーニを見上げた。
「
それに、吾輩には分かる。坊やはお嬢さんに力を振るったりしない、"絶対に"だ。」
ドルドーニは真剣に、そして諭す様にエフィに語りかけた。
エフィはディークを見つめた。今その場に居るのは化け物では無く、ただの弱い少年だった。
エフィはディークに近付いて行き、伸ばしかけていた手を握った。一瞬、ゴーグルの中に悲哀に満ちた瞳が見えた気がした。
「────…─────……」
エフィの言葉はドルドーニの耳にはただ口から漏れる息の音しか聞こえなかった。だが、何を言ったのかは考えずとも分かった。
『ごめんね…ありがとう……』
声にならぬ短い言葉は、化け物の心を癒すのには十分だった。
中々自分の思った物が書けないともどかしいですね。
文才が欲しいです…
それと戦闘シーンが苦手です!結構焦ってます!ブリーチなんで戦闘削れませんし
感想とかで色々指摘して貰えると助かります