私、エフィは今ドルドーニさんの私室でディークが戻るのを待っている。下手な場所よりもここの方が破面達もやって来ないので安全らしい。
ズンと身体に圧力がかかる。藍染さんに会った時の物を遠くで感じた。
「…始まったか」
横に居るドルドーニさんも同じ物を感じたらしい。『霊圧』と呼ばれる物だと聞いたが、恐らくディークの戦いが始まった合図。
ディークは強い、それは分かっていても万が一を考えると不安だった。
「
「─────……」
『そうですよね、でもやっぱり……』
「…うむ、分かっているぞ。そうは言っても心配だろうな……」
「………」
地味に言ってる事が分かってる様なので内心驚いた。
「それにしても、声が出ぬと言うのも中々大変だな……不埒な輩に襲われても悲鳴も上げれぬのか…」
最後の方がちょっと危ない気がする。ドルドーニさんの顔を覗くと若干口角が上がっている。
「──……」
『変態……』
私の呟きにも気付かずドルドーニさんは独り言を呟いてる。結構漏れ聞こえて来てるけど全部危ない単語ばかり…終いには「ムフフ……」とか笑ってる。
言葉で注意出来ないし、肩を叩いても反応しない。完全に妄想空間に入ってしまったみたいだ。
横で変態行動されてるのも嫌なので、ちょっと乱暴な方法で止める事にする。
ドルドーニさんの背後に回る。テレビで見た事があるタイキックみたいなのをしようと思い、勢いを付け足を振り上げた。
「ムフフフフ…よいではないか、よいでは──ぶふぁあぐゥッ!?」
「───!?」
少し痛い位に蹴るつもりだったのに、ドルドーニさんは数メートル先まで吹っ飛んで地面に倒れた。
破面になって一応強くなったとは言われてたけど全然自覚が無かった。だからまさかここまで力が強くなってるなんて……
倒れてるドルドーニさんに駆け寄った。体を揺らすと何やらまたぶつぶつと何か
何かスペイン語ばかり口走っているけど、所々の日本語は聞くに耐えない放送禁止用語ばかりなのでそのまま寝かせて置くことにした。
ふぅ、と溜め息を吐いて立ち上がった時部屋の扉が開かれた。
ディークが帰って来たのかとも思ったが、余りに早すぎる。
案の定、入って来たのは見知らぬ男女2人の破面。
「なっ!ドルドーニ!?」
体格の良いオレンジ色のアフロの人が叫んだ、どうやらドルドーニさんの知り合いみたいだけど
「ちょ!てことはアイツが犯人って事!?」
ゴスロリって言うのかな?そんな感じの服を着た女の人も大声を出してるけど…
どうやら勘違いされてるみたいだ、慌ててブンブンと首を振る。
「違うってか?じゃあドルドーニ達は誰にやられたんだ?」
アフロの人に質問されたけど…
どう説明したら良いのか分からない、色々ジェスチャーをしてみるけど二人共首を傾げてる。
「何言いたいのか分かんないわよ!ハッキリ言葉で伝えなさいよ!!」
「─────……」
『それが出来れば苦労しませんよ……』
話せないってこんなに大変なんだと改めて感じる。ドルドーニさんを起こそうとしたけど、揺すっても頬を叩いても全く起きる気配が無い。
「てかアンタさ、何で他の奴らと違って無傷なのよ。その時点で疑わない方がおかしいでしょ!」
もう一度激しく首を振る、けど更に女性は苛ついた表情になる。
「だから何とか言いなさいよ!!そんなにあたし達と話がしたくない訳?
なら、力ずくで話を聞こうじゃない!!」
「お、おい!チルッチ待──」
「食らいなさい!!」
「───!!」
女性が手に持っていた物を振ると、紐の付いている円盤がこちらに向かって来た。
咄嗟に横に倒れる様にして避けたけど服の袖が少し切れた。
その後は反射的に駆け出していた。無我夢中で逃げようとしたから、何時の間にか二人の背後に移動出来てたりしても関係無かった。
心の中でディークに助けを求めながら……
◇
『帰刃』《レスレクシオン》
破面の刀剣解放の正式名称。
それをする事により虚本来の力を肉体に回帰させ、真の姿と能力を解放する。
それにより戦闘能力は数倍に上がる。
「
ザエルアポロの怒号にも近い解号と共に、霊圧が放たれる。
身体に触手の様な物で出来たドレスを纏い、背中にも触手が羽根の様に4本伸びている。
「この僕を
何時もの冷静さが消し飛んだザエルアポロの身体から血の様な液体が噴き出す。
雨の様に降ってくるそれをディークは気持ち悪そうに拭うが、その液体が形を変え出した。
何時の間にか周りにはディークと瓜二つの外見をした者達がズラリと並んでいた。それを見てディークは苦い顔をしながら口を開く。
「我ながら小さくなったなぁ…しかもこんなに大勢に囲まれて……何だか気持ち悪いよ」
「自分自身に気持ち悪い?滑稽だね、少し苛立ちが収まったよ…さあ、その自分自身に存分に殺されるが良いさ!」
ザエルアポロが合図を送ると、偽者──正確にはクローン──が一斉にディークに襲い掛かった。
全方位からの攻撃。だが、ディークは冷静だった。冷静を通り越して呆けている様にも見えた。
一番早く刀の間合いまで近付いたクローンが上段から斬魄刀を振り下ろす。それを身体を反らすだけの最小限の動きで躱し、鳩尾に掌底を打ち込む。そのクローンは何体か別のクローンを巻き込んで後方に吹き飛ばされた。
続いて胴体への横薙ぎの攻撃と首を狙った袈裟斬りをして来た二体へ
それでも尚向かって来るクローン達、それらをディークは尽く素手で打ち倒していく。これを見てザエルアポロはまたしても怒りを露にする。
ザエルアポロのクローンは本来なら相手と同等の能力を有している筈なのだ。だが、相手の霊圧が強すぎる場合、クローンの性能はそれよりも劣化する。かなりの数のクローンを造り出したのに、簡単にあしらわれている。つまりはザエルアポロの実力で再現出来るクローンよりも何倍も相手が強いと言う事になる。
「それなら…別の手を打つだけさ」
クローン相手に無双していたディークだが、突如足元の地面を突き破って出て来た触手に絡め取られた。だが、呑み込まれたのは一瞬で、直ぐに解放された。このまま拘束されてるなら引き千切ろうと考えていたディークは少し拍子抜けして動きが止まった。
その間にザエルアポロはディークを呑み込んだ触手からディークを模した様な人形を取り出していた。
「あんたはさ、人の姿に似せた奴作るのが好きなのかな?」
「別に形を変える事は出来るけど、この方が分かりやすいだろう?君の身体は興味あるけど、ね?」
「……俺はソッチの趣味ねぇんだけどなぁ」
若干二人の思考に
だが、そんなのは関係無しにザエルアポロは人形をマトリョーシカの様に二つに割ると、中に詰まっている粒を取り出した。
「腕の腱か、君には丁度良いかもね?」
「何がだよ?」
「こう言う事さ!」
ザエルアポロがその粒を握り潰す。同時にディークは右肩に激痛を感じ、腕に力が入らなくなった。
「いっつぅ…何だ、コレ?」
「ハハハハハ!この人形は僕の能力
さあ、今から君の四肢の腱を潰してからゆっくりと内蔵を潰して行く…精々僕の気が晴れる様な苦しみ方をしてくれ」
ザエルアポロは人形から細長い部品をつまみ上げ、ディークに見せ付ける様に指に力を込めた。
一週間定期更新を目指しているとどうしても一話が短くなってしまう…
ここでちょっとした設定についての話ですが、小さい小さい言われているディークの身長は159センチ、エフィちゃんは160センチです。
ザエルアポロの身長が185、苺主人公が174なので結構チビです。
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