BLEACH-暖かい雪-   作:D家の居候

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雪の修行と化け物の試合

「……ってば……ねぇ××!起きてってば!」

 

急に大声で呼び掛けられて私は目が覚めた。目を擦って顔を上げると見慣れた友人の顔が目の前にあった。

 

「大丈夫か~?寝不足か~?寝不足は女の子のお肌の敵だぞ?」

 

そう言うと彼女は歯を見せながらニカッと笑った。

 

「そうそう、××!私の貸した漫画ちゃんと読んだ?」

 

「え?うん、ちょっとだけ。えっと……何だっけ題名?」

 

「もう!題名覚えて無いとか読んで無いでしょ!!折角私がギン様ファンを増やそうと貸したのに……」

 

「ギン…?ギンって市丸ギンの事?」

 

「あれ、やっぱり読んでたの?そうだよ市丸ギン様!格好いいよね!!」

 

おかしいな…ギンさんって漫画のキャラだっけ?私、会った事がある筈……

 

「……ちょっと大丈夫?具合悪いの?」

 

「う、ううん、大丈夫。それより、漫画の題名だけ思い出せないや。何て題名だっけ?」

 

「もう××ったら……ブリーチだよ、何でキャラの名前覚えて題名忘れるのよ……ギン様覚えてるから許すけど」

 

ブリーチ……そうだ、確か彼女から借りた……と言うより無理矢理読めと言われたんだった。

 

「そう言えば、主人公って死神なんでしょ。変わった話だよね、普通死神って言ったら敵なのに」

 

「まあ、確かにね~。その敵が悪霊の(ホロウ)なんて良く考えるよ」

 

「あ、あれ?虚って…敵、だったっけ?」

 

「……あんた本当に読んだんでしょうね?悪霊の虚を死神が倒して行くのが一応この漫画の大まかな流れでしょ」

 

「そ、そうだっけ…あ、破面(アランカル)は味方側、だよね?」

 

破面の皆は怖い人も居たけど、良い人も沢山いた筈……

 

「何言ってるの?破面も敵側でしょうよ」

 

 

 

 

 

 

数日前、こんな夢を見た。

夢の筈なのにやけに鮮明に覚えていて、今でも思い出す事が出来る。

でも、昔……人間だった頃、彼女が──名前は思い出せないけど──友人だったのは事実だ。それに彼女が漫画好きだったのも。そして、私が彼女から『ブリーチ』の漫画を借りた事も事実。特に気に入って読んだ訳では無いけど、彼女に悪いので借りた物は全巻読んだ。

ただ、一回しか読まなかったので記憶は曖昧になっている。主人公が確かオレンジの髪をした苺?とかって言う人で、死神になって虚を倒している話なのは覚えているけど。何が、何時、何処で起きたとかは殆ど覚えていない。

それに、疑問なのが何故漫画の世界の人が回りにいるのか。私が異世界にでも来てしまったとでも言うのだろうか?

でもこの疑問は幾ら考えても意味は無い、現に私はここに居て、破面になっている。例え漫画のなかに入り込んでしまっても、私にとってここが現実の世界になったのだ。

でも、やはり一度は漫画としてこの世界の行く先を見てしまったのだ。それに、かなり重要な事だけは覚えている。

 

死神と破面が戦う

黒幕は藍染

最後は死神、主人公が勝つ

 

この最重要な事だけは流石に覚えていた。逆に言ってしまえばこれ以外は覚えてない、未来予知まがいの事は出来ない。

でも、これは私にも関わってくる事だ。死神達の敵である私達は殺されるかもしれない、流石にそれは嫌だ。私だって死にたくない。

かと言って、藍染さんが勝ってしまうと何か悪い事が起きてしまう。それも嫌だ。

完全に板挟みの状態。どうしようかと迷った挙句、私は……

 

 

 

「修行のお時間でーーす!!」

 

ディークの声が広い室内に響く。別に大勢居る訳じゃ無いから大声出さなくても良いと思うんだけど……

先ず私は自分の身を自分で守れる様に鍛える事にした。

ディーク曰く『素質はあるからすぐに強くなれる』らしい。

今は私達が現在住んでいる第8宮(オクターバ・パラシオ)と呼ばれる場所の『戦闘用区画』に居る。ディークは第8十刃(オクターバ・エスパーダ)としてNo.8を貰い、この第8宮に住む事を許可された。そして私は破面No.71を貰い、ディークの従属官としてここに住んでいる。

 

「さて!まずは準備運動として響転(ソニード)で反復横跳び300回だ!ヨーイ、スタートッ!!」

 

この修行が中々…いや、とてつもなくハードなのだ。毎回動けなくなるまで続く。何時もは優しく、私に弱いディークも修行の時だけは厳しい。この響転も、最初は出来なかったのを初日で叩き込まれ、未だに慣れなくて数回やるだけでかなり疲れるのを百回もやらせるのだ。ただ、目の前でディークは同じメニューを二倍以上の数でこなしているので文句は言えない。

 

「次ィ!前後跳び300回!ヨーイ、スタートッ!!」

 

既に息も切れ切れだけど、次は前と後ろに跳ぶ練習だ。戦闘だと左右だけじゃ駄目だとディークが言っていた。

 

「次ィ!腕立て、腹筋、スクワット全部500回!ヨーイ、スタートッ!!」

 

膝が笑ってまともに動けないけど更に鍛練は続く。普通の人間もやる様な基礎的な筋トレもやっているが、これも回数が凄く増えた。最初は50回で楽だったのに……

因みに、筋肉がついて体が引き締まったのは少し嬉しかった。

 

「準備運動修了!これより、本日の修行に入る!!」

 

「………」

 

毎度これが準備運動で、その後に格闘術や霊圧操作等の修行をしている。ちょっとおかしいと思う。

 

「えー、本日は見ての通り特別ゲストをお呼びしての修行だ。内容は実戦に向けた格闘術!」

 

実はこの準備運動をやっているのは私だけじゃない。今日はドルドーニさん達三人も一緒に修行している。流石に三人は準備運動をしても平気な顔をしている。私は玉の様な汗をかきながら、肩で息をしている状態だけど。

 

お嬢さん(ニーニャ)よ、大丈夫かね?」

 

ドルドーニさんが心配そうにこちらを覗いて来る。私は一応コクコクと頷いておく。

 

「おーい、ドルドーニさん、他人心配している場合じゃないぞ?最初は俺とドルドーニさんの試合だ」

 

ディークはニヤリと笑うと、こう続けた

 

「全力で、だけどね」

 

「成る程。待っていたぞ、この時を!」

 

それをドルドーニさんも笑みを浮かべて返す。

 

「戦いを見ることも修行!つまり見学だ!エフィちゃんはしっかり見て学ぶように!」

 

「………」

 

修行時のディークはカッコつけてるのか師範みたいな事を言ってくる。尤もな事しか言わないので止めるに止められないのが困る。

 

「さて、チルッチちゃんとガンテンバインさんも見学だ。出来る限り離れた所で見ている事。それと、流れ弾に対処出来る様に何時でも構えておくこと!」

 

「了解。ドルドーニ、悔いの無い様に戦えよ。神のご加護があらんことを……」

 

「まっ、せいぜい頑張んなさいよ。出来るなら倒しちゃいなさいよ、こんなガキ」

 

「だからぁ!俺はガキじゃねぇっての!!縮んだだけだって!」

 

因みに、チルッチさんの身長は158センチ。少しだけディークより小さいけど、男であの身長ならガキと呼ばれるレベルだと思う。

それに、ドルドーニさんもガンテンバインさんも高身長なので余計に小さく見えてしまう。

二人はドルドーニさんに一言言った後、部屋の隅へと移動する。私も息を整えつつ、その後を追った。

 

「さて、準備は良いかな?」

 

「何時でも構わん!」

 

ドルドーニさんは片足を上げた構えを取り、ディークは腰を落とし左手を前、右手を腰の辺りまで引いて構えている。

二人共刀は抜かない。ディークは自分で剣術は苦手だと言っていた。そのせいか、修行でも刀は素振り位にしか使わない。ドルドーニさんも同じ様に格闘術が基本の戦い方の様だ。

 

ドルドーニさんの姿が消える。次の瞬間にはディークの前に現れ、回し蹴りを放った。それをディークは腕でガードした。

鈍い音が離れたこちらにも響いて来て、あの蹴りの威力を物語っている。

ディークはニヤリと笑うと、残った右腕でパンチを放つ、が直ぐにドルドーニさんが距離を取った。

 

「思ったより威力あるな、下手にガード出来ないよ」

 

「当たり前だ、次ガードすれば坊やの骨を折るぞ?」

 

ドルドーニさんはまた響転を使って今度はディークの斜め後ろに現れた。それを分かっていたかの様にディークは蹴りを避けた。だけど、そのまま連続の蹴りが浴びせられる。紙一重とはこの事を言うのだろう、ギリギリの所で全て躱している。

嵐の様な素早い蹴りだけど、ほんの少し大降りな蹴りが放たれた。ディークはそれを見逃さず、ドルドーニさんの足に手を添えた。勢いを流され、体勢を崩したドルドーニさんにディークの拳が迫る。ドルドーニさんは咄嗟に腕でガードしたけど、あり得ない勢いで後ろへ吹っ飛ばされた。けど、空中で一回転しつつ、数十メートル先にポーズを決めながら着地した。意外と余裕なのかもしれない。

 

「坊やの拳も中々だ、次食らったら戦闘不能になりそうだな」

 

「そのつもりだから、安心してくれ。勿論、避けて構わないからね?」

 

見るとドルドーニさんの左腕が曲がっている。骨が折れている様だ。それで減らず口を叩けるのはちょっと凄いと言うか…馬鹿と言うか……

 

「フフ、流石に出し惜しみなどしていられ無いな。行くぞ!」

 

ドルドーニさんの霊圧が高まった。風が吹き荒れ、渦を巻いている。

 

(まわ)れ『暴風男爵(ヒラルダ)』!!!」

 

肩と足に鎧の様な物が付いた姿になったドルドーニさん。脚の装甲からは風が吹き出していて、それが嘴の付いた竜巻を形成している。

 

あれが帰刃(レスレクシオン)……初めて見た。実はまだ私自身、帰刃した事がない。一体どんな力を使える様になるのかすら分かって無い。ディークはその内帰刃の修行をするとは言っていたけど……

 

ドルドーニさんが蹴りの動作を行うと、それに伴って鋭い嘴の付いた竜巻がディークを襲う。それをディークは横へステップする事で避けた。だが、次から次へと竜巻が襲いかかる。

無数の竜巻がドルドーニさんの動きに合わせてディークを攻め立てるが、当の本人は余裕を持って避けている。まるで次の攻撃を予知しているかの様だ。

修行の時も良く観察眼を鍛えろと言われていた。きっとこうやって敵の攻撃を避けられる様になる為だろう。

ドルドーニさんの表情に僅かながら焦りが見え始める。先程から竜巻の数も勢いも増えている様子が無い、これが限界なのだろうか?

敢えて言っておくけど、私はこれを避けられる気がしない。

 

ここでディークに動きがあった。響転を使い、向かって来る竜巻を避けてドルドーニさんの左横に移動する。見るとそこだけほんの少しだが、吹き荒れる風に隙間があった。

観戦しているだけの私でも全く気付く事が出来なかった小さな隙、それをディークは見逃さなかったのだ。腕を後ろに引き、拳を放つ体勢に入る。

これで決まった、私はそう思った。だから、ドルドーニさんの口が笑っていたのは戦えて満足したとか、そんな男の感情から来る物だと思った。

 

「坊やなら気付くと思ったぞ……そして、必ずここに攻撃して来るとッ!」

 

ドルドーニさんの両手は人差し指と小指を立て、中指と薬指を折り曲げた独特な形を取っており、その指の間に赤い閃光が輝く。

ディークの拳より早く、ドルドーニさんの手から虚閃(セロ)が放たれた。ほぼ零距離で放たれた虚閃が直撃したディークは、赤い光線に焼かれながら壁まで飛ばされて爆発した。

思わず立ち上がった私を引き留める様にガンテンバインさんが肩を掴んで来た。私は煙の上がっている場所を、ただただ見つめた。

 

「その眼の良さが仇となったな。恐らく、坊や以外ならば通じない戦法だ……だが、まだ終わりでは無いだろう?」

 

「……当たり前じゃないか」

 

煙の中からディークが現れた。上着は殆ど燃えて無くなっていて、白磁の様に白い肌や、細く締まった筋肉質な体──右腕に刻まれた8の数字も──露になっている。私はそれをチラリと大きな怪我が無いか確認してから目を逸らした。チルッチさんもほぼ同じ様な反応をしている。意外とディークはスタイルが良いのだ、身長を除いて。

 

「でも、まさかあれが罠だとは思わなかったよ。完全にしてやられたね。けど、まだまだ負けた訳じゃねぇぞ!!」

 

壁を蹴って飛び出したディークを阻む様に暴風が吹き荒れる。こちらからではディークの姿が確認出来なくなる程の数の竜巻が渦巻いている。

見えなくなったディークを探して目を動かしていたけど、突如として風が止まった。

唸りを上げ、目まぐるしく蠢いていた暴風がピタリと止んだ。一瞬時が止まった様な錯覚さえ感じた。

開けた視界で二人を探すと、簡単に見つけられた。

ディークの拳とドルドーニさんの蹴りがぶつかりあったままの体勢で二人は空中に静止していた。どちらが勝ったのか直ぐには理解出来なかったけど、周りの状況を考えれば答えは明確だった。

 

ドルドーニさんの足に着いていた装甲が崩れる。それに続いて全身の鎧も崩れていき、霧散した。

 

「……吾輩の、負け、だな」

 

「……ああ、俺の、勝ちだ」

 

ゆっくりと二人が地面に降りると、ガンテンバインさんとチルッチさんが立ち上がり二人の元へ向かった。私もそれに続く様にして歩き出す。

 

「お疲れ様だ、ドルドーニ。良い戦いだったぞ」

 

「そうね、何時もより動き良かったじゃない」

 

「うむ、だが……帰刃(レスレクシオン)を出させる前に終わってしまったな……」

 

確かに、ディークは最後まで帰刃しなかった。

未開放の状態で全力のドルドーニさんを圧倒したのだ、それに大して疲れた様子も無い。虚閃の傷は有るだろうが浅い物だろう、確認しなくても分かる。

別にディークの半裸姿を見たくないから確認しない訳ではない。断じて無い。けど、一応……

 

「─────……」

『ディーク、早く服着て……』

 

「え?……ああ、うん、着替えてくる」

 

そそくさと部屋を出て行ったディーク。それを確認してからふぅ、と一つため息を吐いた。

隣を見るとチルッチさんが『ナイス』と言わんばかりの視線を送りながら頷いて来る。やっぱり彼女も目のやり場に困っていた様だ。

 

少しするとディークが戻って来た。新しい死覇装をしっかり前を閉めて着ている。初日は前を開けて着崩していたけど、私がだらしがないと言って閉めさせた。ディークを見る度、あの腹筋が目に入るのだ、ちょっと私にとっては目の毒だ。

 

「えー、それでは気を取り直して修行を再開するー!」

 

ディークが声を張り上げる。

再開した修行は言うなれば私にとって地獄だった。

最初にガンテンバインさんのパンチを見せて貰った。目にも留まらぬ速さの乱打。素直に凄いなぁと関心していたら、ディークにこれを出来るようになれと言われ、パンチの練習。仕舞いには、ガンテンバインさんと模擬戦になった。かなり手を抜いてくれたみたいで、私の拙いパンチを敢えて受けてくれたり、逆に私への攻撃はかなり軽い物だった。

気持ち程度の休憩を取った後は、チルッチさんの攻撃を避け続けると言う修行だった。初めて会った時と違って、今の私は響転を使える。とは言え、それを延々とやらされたら流石に疲れるし、チルッチさんもかなり容赦が無い。軽く命の危険を感じながら迫り来る円盤状の刃を避けていた。

 

今回も疲労で倒れ込み、指一本すら動かせなくなった所で修行は終わった。チルッチさんは「やり過ぎたかしら?」と言って少し申し訳なさそうにしていたけど……安心して下さい、何時も通りです。

 

 

 

 

 

 

三人は自分達の居住区に戻って行き、私はディークに抱えられて自分用の部屋に運ばれベッドに寝かされた。

柔らかいベッドに体を預け、そのまま寝てしまおうと思った。けど、服が汗でぐっしょりと濡れていて気持ち悪かったので、その前にシャワーを浴びる事にした。

 

私の部屋にはバスルームが有る。女性の破面と言う事で、雑用の人達が改装工事をしてくれた。

重い体を引き摺る様にして、そのバスルームに向かった。そして脱衣所で着替えようと、上着に手を掛けた時だった。一瞬ドアの外に霊圧を感じた、しかもこの霊圧は……

ドアを勢いを付けて開けると「ゴスッ」と鈍い音と「あがッ」と短い悲鳴。見れば、額を押さえているディークが居た。

 

「痛てて…あ、えと、違うんだよエフィちゃん。これは……その…そう、修行!侵入者が居ても気付ける様になる為の修行なんだ!だ、だからその手を下ろしてくれ!」

 

ディークが何か叫んでいるけど全く聞こえない。握った手がわなわなと震えているのが分かる。

 

『このッ、変態ーーーー!!!』

 

ガンテンバインさんから習ったばかりの腰の入ったパンチをディークの顔面に叩き込む。ついでに何時の間にか握り締めていた霊圧を『虚弾(バラ)』にして撃った。盛大にぶっ飛んで行ったディークは、またも壁にめり込んで爆発した。

私はと言うと、霊圧の使い過ぎで完全に伸びてしまって、そのまま気絶してしまった。

 

 

でも、修行の成果は出せたと思う。

 

 

 




第6話!『エフィ、ライザ○プする!』『ディークは変態』でした!如何でしたでしょうか?

ディークの肌の色はウルキオラ君と同じと考えて貰えば良いです。それが細マッチョで汗かいてて…ウホッ

エフィは少しは強くなって貰わないといけなかったので、修行して貰う事にしました。まだ、この通り弱いです。これでもヴァストローデ何ですけどねぇ……

二人の刀剣解放については多分原作開始後になってしまうと思います。エフィは早めに御披露目したかったんですが、ちょっと強くし過ぎたので先伸ばしになってしまいました。まあ、面白い能力ではあるので楽しみにしていて下さい。
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