――極東支部
かつて「日本」と呼ばれていた地にて、ある物語が発生した。
その物語の中心となった青年は、数多くの戦いを経て己の信念と沢山の仲間…そして、大切な存在を得た。
世界は変わらず残酷だけど、青年の歩みは止まらずそして物語も終わらない。
これからも、青年の物語は続いていくだろう。
――そして、もう1人
彼とは違う存在の物語が、蓋を開く。
その物語の始まりは、フェンリル極致化技術開発局――“フライア”から始まる。
そこではちょうど“ブラッド”と呼ばれる部隊の新たな神機使いが生まれようとしていた。
「――気持ちを楽に、落ち着いてくださいね?」
優しい声で、1人の車椅子に乗った女性がモニター越しに声を掛ける。
彼女の名はラケル、このフライアにおける副開発室長でありブラッドの創設者だ。
そんな彼女の隣には、同じくモニターを真剣な瞳で見つめている1人の青年が。
彼の名はジュリウス・ヴィスコンティ、ブラッドの隊長であり「P66偏食因子」の第一の適合者だ。
――彼等が見つめているモニターの先には、1人の少年が寝かされている
色素の薄い栗色の髪を背中ほどまで伸ばし、瞳の色は金。
その瞳を隠すように黒斑の眼鏡を身につけた少年の身体は比較的小柄で、身長は160程しかなく全体的に華奢な印象を受ける。
「ではこれより……適合試験を行います、ですが先程言ったように気を楽にしていてくださいね?」
そう言ってから、ラケルは近くのコンソールを操作する。
すると少年の右横に神機と二つに分かれた腕輪が固定された台が現れる。
そこに手を置く少年、すると腕輪が少年の右手首付近に装着された。
続いて天井から現れたのは――高速回転するドリルのような機械。
一体天井の機械は何だろう、少年がそう思った瞬間……機械が動き腕輪の中に突き刺さる―――!
「―――――!!?」
少年の身体が大きく跳ね上がる。
偏食因子を投与しているのだ、その際に凄まじい激痛が走る。
発狂してしまう程の痛みを伴うので、たとえ適合した神機が見つかった者でもそれに耐え切れない場合があるほどだ。
「……適合失敗か?」
隣に立つジュリウスがラケルに問う。
しかしラケルの表情はただ笑顔のまま、モニターを指差した。
そこには……苦しむ事無く適合試験を乗り越え、手に持った神機をじっと見つめている少年の姿が。
「これは………」
「フフッ……素晴らしいですね、大の大人でものた打ち回る程の激痛を伴うのに……平然としている」
少年の様子にジュリウスは驚き、ラケルは童女のような笑みを浮かべる。
「おめでとう。これで貴方は今日から神を喰らう者……“ゴッドイーター”となりました。そして「血の力」に目覚めればゴッドイーターを超える存在……“ブラッド”となります。
そうなれば貴方は「新たな神話の担い手」となる事でしょう、ですがまずは体力の回復に励む事です。慌てず焦らず…一歩ずつ前へと歩いていきなさい。
貴方には期待していますよ? きっと貴方なら……ゴッドイーターを超越する事ができると信じています」
――物語が始まる
抗神カズキとは違う、新たな物語が。
そしてそれは……新たなる戦いと、絆が生まれる物語。
「さあ、今はゆっくりおやすみなさい………“フィア・エグフィード”」
少年――フィアの物語が、幕を開けた。
Next...3rd.STAGE.....
次回から第3部、GE2編のスタートです。
なので暫く極東組は出てきません、場面がフライアに移ります故。