彼と、そんな彼の元に集まっていく仲間達。
そして………彼にとって最高のパートナーになる人物の、長い戦いの物語が。
「…………」
荒廃した建物、その間に吹く風が砂を運ぶ。
アラガミによって崩壊した都市群、かつての栄光は既にない。
そこで佇むのは、巨大な武器――神機を持つ1人の青年。
色素の薄い黒の髪と、髪と同じ瞳。どこか儚げで線も細い青年だ。
彼の名は
「よお、新入り。待たせたか?」
そんな青年に、1人の男が話しかけながら近づいてきた。
彼の名は
「リンドウ先輩、宜しくお願いします」
神機を持ったまま頭を下げるカズキ。
「おいおい、先輩はやめろって言っただろうが」
「すみません、リンドウさん」
「ん……よし、そんじゃ早速ミッションに入るぞ新入り。
命令は三つだ。死ぬな、死にそうになったら逃げろ、そんで隠れろ。
運が良ければ不意を付いてぶっ殺せ。……あっ、これじゃ四つか」
少し苦笑しつつ頭を掻くリンドウ。
その様子からは、これからアラガミを打倒するようには到底思えない程、軽い口調だ。
それが新入りである自分の緊張を和らげる為か、それともこれが地なのかは、まだ会ったばかりなのでわからないが。
「今回のミッション、何のアラガミをぶっ倒すかわかってるよな?」
「はい。オウガテイルですよね?」
「そうだ。小型アラガミでは数が一番多く、お前みたいな新入りが一番最初に倒すアラガミだ。
だからって油断するなよ? 油断すればたちまち喰われちまうぞ?」
「はい、わかりました」
こくりと頷くカズキ。その表情は緊張といったものは見受けられない。
(肝が据わってやがるな……いや、感情が凍り付いてんのか……?)
少し話した程度だが、目の前の青年はあまり感情が豊かではなく、今こうしている間もあまり感情を露わにしていない。
それに――先程から神機を持つ手が、まったく震えていない事にもリンドウは気が付いた。
初陣ならば、たとえどんな神機使いでも緊張の余り手どころか全身が震えるものだ。かくいう自分もそうだったと記憶している。
だというのに、この青年は緊張したような様子はなく、まるで散歩をするかのように自然体だ。
(………こいつは)
「? リンドウさん、どうかしました?」
「……いんや、なんでもねえよ。そんじゃあ、行くとしますか」
「はい、お願いします」
表情を引き締め、リンドウと共に荒廃した街を歩いていくカズキ。
(……死ぬな、か。そうだよ……僕はまだ、死ぬわけにはいかない)
知らず、神機を握る手の力も強くなる。
――そうして、息を殺して街を歩く事少し
「…………」
立ち止まり、壁に背を預けるリンドウ。それに続いてカズキも同じようにする。
「―――いたな」
「はい……」
2人の視線の先には、問題のアラガミ――オウガテイルが。
どうやらこちらには気づいていないが、視線をあちこちに動かしている。
「おい新入り、まずはお前が奇襲を仕掛けろ。何かあったら俺がフォローしてやる」
「わかりました」
二つ返事で返し、先行するカズキ。
(やっぱ肝が据わってんなこいつ……)
自分としてはかなり意地の悪い命令をしたつもりだ、いくら相手がオウガテイルとはいえ新人に1人でやれと言ったのだから。
しかし、彼は迷う事なく頷きを返した。まだ若いのに大したものだとリンドウは思う。
(って、若いって単語が出てる辺り……俺もオッサンだな)
自分自身に対し、軽く苦笑していると。
「し―――!」
既に、カズキはオウガテイルとの間合いを詰め、ロングタイプのブレードによる奇襲の一撃を与えていた。
(っ、固い―――!)
刃は確かにオウガテイルの背中にくい込んだが、強靱な鋼鉄のような身体によって、途中で止まってしまう。
仕方なく一度抜き取り間合いを外す。
「グァァァッ!!」
雄叫びを上げ、尻尾を立てるオウガテイル。
瞬間、カズキの背中に悪寒が走り素早く装甲を展開した。
すると、オウガテイルの尻尾から無数の針が飛び、装甲に当たっていく。
「くっ………!」
だがカズキ自身にはノーダメージ、装甲を元に戻し――今度は銃形態へと変形させる。
新型神機使いの最大の特徴である、可変機能。
アサルトタイプの50型機関砲を構え、自身のオラクル細胞を用いて銃口から弾丸を発射する。
熱を持った弾丸はそのままオウガテイルに突き刺さり、怯みを与えた。
「今―――!」
すかさず剣形態に変形、一気に踏み込み――オウガテイルの口目掛けて突きを放つ。
「ガ……ァ……」
刃は八割以上オウガテイルの口へと入り、カズキは両手で柄を持ってから。
「これで――最後!!」
そのまま、力任せに振り下ろしオウガテイルの身体を切り裂いた。
――鮮血が、彼の顔を汚していく
だが、オウガテイルに致命的なまでのダメージを与えた事により……アラガミは、地面へと力なく倒れ込んだ。
「……………」
返り血を拭おうともせず、暫し息絶えたオウガテイルを見つめるカズキ。
「おい新入り、ちゃんとコアを抜き取るの忘れんなよ」
「…………はい」
思い出したかのように頷き、今度は神機を捕喰形態へと変形させる。
ゴッドイーターは、アラガミの殲滅の他に倒したアラガミのコアを採取する役目も担っているのだ。
まるでアラガミの口のような不気味な物体へと変形させた神機を、オウガテイルの死体に捕喰させた。
「……よし、これで今回の任務は終了だ。よくできました」
「はい、ありがとうございますリンドウさん」
「だが油断するな。アナグラに帰るまではミッションだからな。それと、いい加減その返り血を拭け」
そう言われ、すみませんと言いながら顔に付いた血を拭うカズキ。
(たいした奴だ、こいつは……いい新入りが入ってきたかもな)
若干の不安定要素はあるものの、冷静にアラガミを討伐できる度胸は充分評価に値する。
早く背中を預けられるようになってもらいたいが……そう思いつつ、リンドウはポケットに入ったタバコを口に含み、吸い始めた。
「――ふぅ」
ミッションを終えリンドウと別れ、割り振られた自室に戻ったカズキは、すぐさまベッドに倒れ込んだ。
「…………」
まだ、両手に神機を握っていた感覚が残っている
そして、オウガテイルを斬った時の生々しい感覚も。
気持ちが悪い、正直吐きそうになった。でも……それ以上に。
「……生き残れた」
その気持ちの方が強く、吐き気も気にならないくらいだ。
ベッドから起き上がり、カズキは立て掛けられている一枚の写真を手に取った。
そこには、幼い自分と……自分を育ててくれた母と義理の父、そして……その父が連れてきた義理の妹が、幸せそうに笑みを浮かべて写っている。
「……母さん、父さん、ローザ……僕、ゴッドイーターになれたよ。
それに、アラガミも無事に倒して生き残れた、まずは一つ目の約束を守れたね」
そう写真に向かって話すカズキの顔には――先程リンドウには見せなかった優しげな笑みが、浮かんでいた。
「………必ず生き残るよ。生きろって約束は……必ず果たすから」
瞳の中に決意の色を見出し、カズキは写真を元の位置に戻す。
そして再びベッドに倒れ込んで――暫く、自分が殺したアラガミとの戦いを思い浮かばせながら、時を過ごしたのだった……。
To.Be.Continued....
はじめましてこんにちはこんばんは、マイマイです。
少しずつではありますがにじファンで投稿していた作品を、こちらに移していきます。
まだ未熟者ではありますが、これからもどうぞ宜しくお願い致します!!