神々に祝福されし者達【完結】   作:マイマイ

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お久しぶりです。
今回はブラッド達の出番はなしで旧第一部隊の面々のみの構成となりました。

今回も妄想全開ですが、楽しんでいただければ幸いです。



第4部導入編捕喰173 ~褐色博士とアラガミ少女の変化~

『―――乾杯!!!』

 

 ――アナグラ、抗神夫妻の部屋。

 そこには旧第一部隊の面々が集まり、ちょっとしたパーティーが開かれていた。

 久しぶりに極東に戻ってきたリンドウ達を歓迎するために、カズキ達がどうにか時間を作って発案したパーティーである。

 

「悪いなみんな。――サクヤも来れれば良かったんだがなあ」

 

 早速ビールを飲みつつ、リンドウは自身の妻であるサクヤの事を思う。

 彼女はこのパーティーには参加していない、彼等の娘であるレンの育児に追われているためだ。

 ならば日を改めて…そう思ったカズキ達であったのだが、今回の機会を逃せば次にいつ集まれるのかわかったものではない。

 何より他ならぬサクヤが「こっちは気にしないで」と言ったため、その厚意に甘える事にした。

 

「レンちゃん、元気ですか?」

「ああ勿論だ、元気が有り余ってるぜ」

 

 言いながら、リンドウは懐から一枚の写真を取り出す。

 そこに映っているのはリンドウとサクヤ、そして彼に抱っこされている短い黒髪の小さな少女、レンが映っていた。

 

「かわいいー!!」

「だろ? サクヤに似て美人になるぞこいつはー」

「賢そうですね、そういう所もサクヤさんそっくり!」

「あれ? ちょっとアリサさん、それじゃあ俺の良い所は一切似なかったって事ですかね?」

 

 さり気なく毒を吐いたアリサに、リンドウの心はちょっぴり傷ついた。

 

「でも本当に可愛いですね、もう幾つになるんでしたっけ?」

「もうすぐ3歳になるな、まだチビなのに随分お喋りになったんだよ。

 この間だって、「アラガミが居なくなったら、パパのお仕事無くなっちゃうの?」なんて言ってきてな、ちょっとドキッとしちまった」

「……リンドウさん、完全に親バカっすね」

「おっ? あー……やっぱそうか?」

 

 そうですよ、そう言って笑うコウタにリンドウは恥ずかしいのか視線を逸らし頬をポリポリと掻く。

 だがその表情は本当に幸せそうで、見ているこっちが笑顔になるような顔だった。

 

「でもリンドウさん、ちゃんと子育てできているんですか? なんかサクヤさんに丸投げしているようなイメージしか無いんですけど」

「おいおいアリサ、さすがに俺だってちゃんとパパやってるぞ?」

「どうですかね、デスクワークとか見ているとそういうイメージしか思い浮かびませんけど?」

「あー…まあ、大丈夫だ」

(全然大丈夫に見えないんですけど……)

 

 とはいえこれ以上のツッコミは野暮というものだ、なのでアリサは何も言わずに口を閉ざした。

 

「それよりお前等こそどうなんだよ? 子供を作る予定はできたのか?」

「あー……まあ、暫くは無理ですね」

「またそれかよ。お前俺達が極東から離れる前も同じ事を言ってたぞ?」

 

 まあ、カズキとアリサという優秀な人物達にはやらなければならない事が沢山あるだろう。

 更にその能力の高さ故に様々な事を押し付けられる、そして御人好しなこの2人は進んでその面倒事に首を突っ込むのだ。

 これではいつまで経っても子供を作るなどはできないだろう、だが……2人の表情に不満の色は見られない。

 

「いつかは子供が欲しいとは思っています、では今は私達がやらなければならない事をするのが精一杯ですし……それに、ラウエルとタマモが居てくれますから」

「? なんであいつらが……って、ああ」

 

 一瞬キョトンとするリンドウであったが、すぐに言葉の意味を理解し納得する。

 ラウエルとタマモ、あの2人のアラガミの少女はカズキとアリサを本当の親のように慕っている。

 そして同時にカズキとアリサも、ラウエルとタマモを本当の子のように愛している。

 血の繋がりが無くとも、カズキ達は本当の親子なのは間違いないだろう。

 

「娘って可愛いですよね、リンドウさん」

「そうだよなあ……疲れて帰ってきた後、「パパお帰り」って笑顔で出迎えてくれたら、疲れなんてすぐ吹き飛ぶんだよなあ」

「わかりますわかります、僕もラウエルやタマモに出迎えられると、仕事の疲れなんて無くなりますよ」

「だよなー!」

 

 その後、親バカ2人は自身の娘自慢を始めてしまった。

 如何に娘が可愛いのか、あれやこれやと話す2人。

 その光景に、アリサとコウタは苦笑いを浮かべたのだった。

 因みに、親バカ会話にアリサも参加したかったがある理由により諦める事にした。

 ――ある一点に、アリサは視線を向ける。

 

「もぐもぐもぐ……」

「おいシオ、もっとよく噛んで食べろ」

「んぐっ……はーい!!」

 

 少々行儀の悪い食べ方をするシオに注意するソーマ。

 なんと微笑ましい光景だろうか、久しぶりに見る2人のやりとりにアリサはほっこりと表情を緩ませる。

 相変わらず仲睦まじいものだ、しかし同時に相変わらず兄妹にしか見えない。

 ……どうやら、両者の関係は三年以上経っても変わらないようだ、そう思ったアリサであったが。

 

「そういえばソーマ」

「ん? カズキ、どうかしたのか?」

「ソーマって、シオちゃんとどこまでいったの?」

「ぶっ!?」

 

 さり気なく、まるで朝の挨拶を交わすかのような気軽さでとんでもない質問をするカズキ。

 突然の質問にソーマは噴き出し、周りの者はその顔に驚愕の色を宿した。

 

(まさかのカズキからの質問だと!?)

(オレ、こういう質問はアリサ辺りがすると思ってたのに……)

 

「げほっ、お前……いきなり何を」

「単純に気になったから、それに……あれからどういう答えを見出したのか、訊きたいと思ったから」

「…………」

 

 あれから、その言葉でソーマはおよそ一年前の事を思い出した。

 ネモス・ディアナで交わした彼との会話、自分がこれから先シオに対してどういった感情を向けるのかを彼と共に話した。

 その時はソーマ自身答えは出せなかった、彼は焦る必要など無いと言ってくれたからゆっくり考えるようにして……時間だけが過ぎていく。

 遠征での任務に全力を注ぎながら、彼はいつもシオと共に居た。

 無邪気で、無鉄砲で、考え無しに行動する子犬のようなシオに、何度も何度も手を焼かされたが……。

 

「ふっふっふ……」

「シオちゃん?」

 

 急に妙な笑い方をするシオ、見ると彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべていた。

 

「むふふふ、実はシオはソーマと「おとなのかいだん」を昇ったのだ!!」

「ぶはっ!?」

「なっ―――!?」

「なんだとおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?」

 

 とんでもないカミングアウトを受け、場が一瞬で混沌の極みに陥る。

 そんな中、最初に我に返ったアリサが凄まじい形相でソーマの胸倉を掴み上げた。

 

「ソーマァァァァァァッ!!! 前から怪しいと思ってましたが、やっぱり手を出しましたねこのロリコン野郎ぉぉぉぉぉぉっ!!」

「落ち着け! ってか前から怪しいってどういう事だ!?」

「ソーマァァァァァァッ!!! お前だけは…お前だけはオレの味方だと思ってたのにいぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」

「おいコウタ、血涙を流しながら迫るな気色悪い!!!」

 

 見てたら確実に精神を狂わされる形相でソーマを睨むアリサとコウタ。

 これはマジで殺される、2人の顔を見て割と本気でソーマは己の命の危機を感じ取った。

 ちょっと待て、落ち着け、必至に宥め弁解しようとするが2人の耳には入らない。

 

「おいシオ、適当な事を言ってんじゃねえ!!」

「えー? でもソーマ、前にシオとちゅーしただろー?」

『なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!?』

 

 シオの発言に、またしても2人は絶叫した。

 しかし今度は2人だけでなく、傍観していたカズキとリンドウも興味を示す。

 

「ほーほー、なんだよソーマ、俺達が知らない所でやることやってんだな」

「っ、うるせえぞリンドウ!!」

「ソーマ、どっちから迫ったの? 君から? それともシオちゃん?」

「カズキ、なんでおめえまで興味津々なんだよ! 止める側のお前まで参加したら収集つかねえじゃねえか!!!」

 

 まさかの事態である、唯一の味方であったカズキまで向こう側とは…ソーマはなんだか泣きたくなった。

 しかし泣いた所で事態は変わらない、頑張れ俺とソーマは自分自身を鼓舞した。

 

「とにかく落ち着け2人とも、あれはだな…なんていうか、シオの奴がいつものように何の考えもなく迫ってきただけで……」

「それでちゅーした以上ソーマが悪い!!」

「何でだよ!?」

「しかもシオちゃんが悪いみたいな言い方して……やはりロリコンは悪ですね!!」

「そーだそーだ!!」

「テメエらいい加減にしろよ!?」

 

 駄目だこのアホどもは、聞こえているのならソーマは言ってやりたかった。

 

「はっ、でも待てアリサ、あのロリコンヘタレなソーマがいくらシオから迫られても素直にキスすると思うか?」

「た、確かに!!」

「テメエらホントいい加減にしろよ!! あと誰がロリコンヘタレだコラ!!」

『ソーマ』

「っ、ぶっ殺す………!」

 

 断言できる、今ここに神機があったら容赦なくこのアホ2人をぶった切っていると。

 額に青筋を浮かばせ、マジでキレる一歩寸前になるソーマ。

 しかし興奮したアリサとコウタは気づかない、今の2人の頭の中には彼を断罪しようとする考えしか浮かんでいないからだ。

 このままでは乱闘騒ぎになるのは必至、だが……意外な人物の意外な発言により場は更に混乱する事になる。

 

「そ、そんな事無いぞー!!」

「えっ?」

「シオちゃん?」

 

 急に声を荒げるシオに、全員の視線が注目する。

 見ると、彼女は珍しく怒ったような表情を浮かべている、一体どうしたというのか。

 

「ソーマはヘタレじゃないよ! シオがちゅーしようとしたら、ちゃんと優しくちゅーしてくれたもん!!」

「ばっ、おいシオ、頼むからこれ以上事態をややこしくするな!!」

「えー? いくらシオちゃんの話でも、ソーマがそんな勇気出すとは思えませんねー」

「だよなー、何せあのソーマだもんなー」

(こいつ等………!)

 

 好き勝手言い出す2人を殴り飛ばしてやりたい衝動に駆られるソーマであったが、ここは大人の我慢強さを出して何もしない。

 というか、したらしたで余計に事態が拗れるだけだ、そんな大人な彼の考えを無視するようにシオは言葉を続けた。

 

「むー……だ、だったら証拠見せればいいよな?」

「証拠?」

 

 頬を膨らませながらそんな事を言ってくるシオに、全員が首を傾げる。

 するとシオは、強引にコウタとアリサをソーマから引き剥がした。

 そしてソーマの顔を両手で掴み固定してから、カズキ達に向かってとんでもない事を口にした。

 

「い、今からソーマとちゅーしたら、アリサ達も信じるよな?」

『ファッ!!?』

 

「なっ!? おいシオ、テメエふざけてんのか!?」

「ふざけてなんかないもん!! 「おとなのかいだん」を昇った証拠を見せるだけだよ!!」

「それがふざけてるって言ってんだよバカ! こういう事は人前でするもんじゃねえんだ、何処かのバカップルじゃあるまいし!!」

 

 いいから離れろと、シオの両手を掴み拘束を解こうとするソーマ。

 しかし彼はシオの顔を見て……彼女の手を掴んでいた力を緩めてしまった。

 いつも無邪気に笑っていて、悩みなんかないような顔をしている彼女が……悲しそうな顔をしていれば、無理からぬ事であった。

 

「シオ……?」

「……ソーマは、シオが嫌いか?」

「は……?」

「シオはな、ソーマが一番好きだぞ。だからちゅーしたいし……ちゅーしてほしいぞ」

「…………お前」

 

 その言葉を聞いて、ソーマはシオが先程怒っていた理由を理解した。

 要するに彼女は自分が悪く言われていた事が、そしてキスをした事が嘘だと言われて怒ったのだ。

 単純で、けれど可愛らしい理由である、おもわず笑ってしまいそうになった。

 

「……シオちゃんにそこまで言われて、君は何もしないのかな?」

「…………」

 

 わざとらしい挑発の言葉を放つカズキに、ソーマは小さくうるせえよと返す。

 ……わかっている、子供だ子供だと思っていた彼女にここまで言われて黙っているままなど、“男”として許せない。

 だがソーマは一瞬躊躇ってしまう、事の成り行きを見つめている連中が居たから。

 しかし躊躇いは本当に一瞬で消え、ソーマは自嘲めいた笑みと溜め息を吐き出してから、シオの身体を引き寄せて。

 

「んんっ……」

「…………」

 その唇を、初めて自分の意志で塞いでしまった。

 

『―――――!!?』

「おおっ!?」

「へえ……」

 

 コウタとアリサのアホコンビは驚愕に満ち溢れた表情のまま固まり。

 リンドウは驚きつつもどこから取り出したカメラでソーマとシオのキスシーンを激写。

 そしてカズキは、優しげな視線で2人の姿を見守っていた。

 

「………ぷはっ」

「…………」

「ソーマ……」

「……これで、満足かよ?」

「…………………えへへへへ、ソーマ好きー!!」

 

 満面の笑みでソーマに抱きつくシオ。

 そんな彼女を、ソーマは邪険にせず優しく受け止めてあげた。

 

――さて、これでめでたしめでたしとなればいいのだが。

 

「なっ……まさかシオちゃんとソーマのラブパワーがここまでとは……こっちも負けていられません!!」

「えっ―――おわぁっ!!?」

 

 凄まじい力で引っ張られ、ベッドに倒されるカズキ。

 いきなりの衝撃に混乱する彼の視界の先には……恍惚な笑みと荒い息を繰り返すアリサの姿が広がっていた。

 瞬間、彼は色々な意味で自らの危機を察知。

 

「ちょ、アリサ……いきなりどうしたの?」

「カズキ、こっちも皆さんに私達のラブパワーを見せ付けてやりましょう!!」

「何で!? ってか服を脱ごうとしないでお願いだから!!」

 

「はい、撤収ー!!」

 そう言って、リンドウはソーマとシオのキスシーンを見てショックを受け気絶したコウタを引き摺りながら部屋を出ようとする。

 

「ちょ、なんで部屋から出て行こうとするんですか!?」

「いやそりゃあお前、ここで邪魔するのは同じ仲間として駄目だろ?」

「邪魔していいです、邪魔していいですからアリサを止めてください御願いしますからぁっ!!!」

「あー……悪いなカズキ、俺達まだ死にたくないから」

 

 軽い口調で無常な返事を返し、リンドウはコウタと共に部屋から離脱。

 薄情者、心の中で罵りつつカズキはソーマに助けを求めようとして…既に彼とシオの姿が無い事に気がついた。

 さすがカズキの親友である、誰よりも今のアリサの恐ろしさを知っているが故の素早い動きであった。

 

「カズキ………」

「ま、待ってアリサ……この間も医務室から出てくるのに半月近く掛かったから、今度こそ本当に命まで搾り取られちゃうからマジで!!」

 

 最強のゴッドイーターであるカズキが、涙を流しながらみっともなく懇願するその姿は、彼を尊敬する者が見れば間違いなく驚愕する光景だろう。

 だが今の彼にそんな事を考えている余裕は無かった、とにかく目の前の事態から逃げ出したいという思いだけでアリサに懇願するが……。

 

「―――いっただっきまーす♪」

「マジで勘弁してくださいせめてもう少し手加減―――あああああああああああああああああああっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ソーマ、ちゅー…ありがとな?」

「別に礼を言われる事じゃねえ、それと……人前で言わねえんならまたしてやる」

「わーい!!」

 

「……くそー、ソーマの裏切り者ー」

「しつけえぞコウタ」

「だってさー………って、そういえばカズキの奴があれから医務室で死んだように眠ったままなんだけど、あの後なんかあったのか?」

「…………コウタ、察しろ」

 

 

 

 

 

To.Be.Continued....




GEの時から成長しているので、シオちゃんも無邪気さの中に女の子な部分がきっとあるはず!!
そう思って書きました、なので2人のこういった関係が嫌な人は申し訳ないとしか言えません。

それとリンドウの子供のレンはこの話では女の子です、確か原作では男の子か女の子か不明だった筈ですので女の子にしました。
理由はGERをやった際のレンが私としてはどう見ても女の子にしか見えなかったので、レンをモデルにして女の子にしてみました。

ここでのリンドウとサクヤの子供のレンはGERのレンをそのまま小さくしたような容姿だと思ってください。

あー……楽しかった!!
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