しかし彼等はそこで新種アラガミと交戦し、その戦闘によって螺旋の樹下層まで落ちてしまい、2人は脱出を試みる……。
――不思議な感触が、頭から感じられた。
視界は白一色に染まり、身体も動かす事ができない。
だがなんとなく、フィアは自分が誰かに膝枕をされていると理解できた。
一体誰が、そう思うが自分に膝枕をしてくれる人物の顔は見えない。
でも、心地良かったからフィアはそれ以上何も考えず全てを委ねる事にした。
「……ごめんなさい」
優しく頭を撫でられながら、誰かの謝罪の言葉が耳に入った。
視界は相変わらず機能せず、声の主の顔は見えないが……その声は、どこかで聞いた事があるような気がした。
「ごめんなさい、子供達……」
声の高さからして女性のものだ、何に対して謝っているのか訊ねようと試みても口すら開けない。
今のフィアにできるのは、ただ現状に身を委ねる事だけだった。
けれど本当に心地良い、暖かなお湯の中に居るような……優しく包まれる幸福感が頭から全身に伝わっていく。
「どうか、止めてください……過ちを繰り返す私を、止めてください」
声の主は懺悔を続ける、後悔の念に縛られるような悲痛な声で。
なんとかしてあげたいとフィアは思った、けれど相も変わらず身体も口も動かせない。
何を悲しむの? どうして謝るの?
頭に浮かび続ける疑問を口にする事は叶わず、フィアはこのままずっと女性の悲しみの声を聞くものだと思っていたが……。
「――ジュリウスを、助けてください」
「えっ―――!」
それはどういう意味だ、女性の言葉にフィアは全身を大きく動かし問いかけようとして。
「――起きたか」
白一色だった視界は元に戻り、フィアはリヴィの声を耳に入れ現実へと戻ってしまっていた。
……周囲を見渡すが、視界に映るのは汚染された螺旋の樹の外縁部と、自分を心配そうに見つめるリヴィのみ。
「…………夢、だったのか」
やけに鮮明な夢であった、現実に戻ってきても先程の事が夢だと信じられない程に。
けれど今自分は確かに現実に存在している、ならば先程のは信じられないとしても夢なのだろう。
そして、彼は自分とリヴィの身に何が起きたのかを思い出す。
新種のアラガミと戦い、その戦闘によって地面に大穴が開き……螺旋の樹の下層に落とされた。
「……かなり下層に落とされてしまったようだ、通信も通じない」
「新種のアラガミは?」
「わからない。私もつい先程目を醒ましたのだが、新種アラガミの姿は見当たらなかった。おそらく落ちている最中に何かに引っ掛かったか……とにかく、ここを離れた方がいい」
「……そうだね」
立ち上がる、幸いニーヴェルン・クレイグもアスガルズも近くに突き刺さっていたので、回収してからフィアはリヴィと共にこの場を離れた。
「…………足を引っ張ってしまったな、これで二度目になる」
「そんな事気にしなくていいよ、僕達はチームなんだ。もしどうしても気にしてしまうのなら次で返せばいい」
「ああ、勿論借りは必ず返させてもらう。――ありがとう、ブラッド隊長」
そう言って、リヴィはぎこちなさを見せながらも笑みを見せてくれた。
……随分とこちらに歩み寄ってくれたものだ、その事にフィアは心の中で感謝を述べる。
「…………っ」
「リヴィ、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。心配しなくていい」
「でも……辛そうだ……」
心配するなと言うリヴィであるが、僅かに顔をしかめ痛みに耐えているように見えた。
なので尚も心配そうに彼女を見つめるフィアであったが、突然リヴィがくすっと笑ったのでキョトンとしてしまう。
「すまない。君があんまりにも心配そうに見るから」
「ごめん……でも、少しでも辛いなら無理をしないでほしいんだ」
「わかっているよ。――君は優しいな、いや、君だけじゃなく……極東の人達はみんな優し過ぎる。甘過ぎるくらいに」
「……呆れた?」
「正直な、当初はこのような激戦区で戦っている者達とは思えないほどの能天気だと思った」
はっきり言い放つリヴィに、フィアは苦笑する。
とはいえ否定できないのも事実であり、けれど彼女の口振りからして今はそう思ってはいないようだ。
「だが短いながらも皆と行動を共にするうちに、激戦区だからこそ効率のみを追求するのではなく人と人との絆や支え合いが良い結果を生み出すという事がわかってきた。
今だって本音を言えば戸惑いはある、我々を含め本部との関わりが深い部署は……他者を利用し利用されという関係しか生まなかったからな」
隙あらば他者の粗を捜し、自分達の利益になるように動こうとする。
アラガミという共通の敵が存在しながら、本部の者達は互いに互いの足を引っ張り合っている。
だがリヴィ達も当初はそちら側だった、それにフェンリルの本部に在籍している部署という事で……天狗になっていた面もあるだろう。
だからこそ情報管理居は極東の者達を見下し、小馬鹿にし自分達の役に立たせようと傲慢な態度で接していた。
しかし極東の大地は「アラガミの動物園」と比喩されるほどの激戦区であり、アラガミの強さも同種族でありながら他の支部とは桁外れの強さを持っていた。
それでも極東の者達は決して絶望せず、どんなアラガミとも戦えるように己と他者を鍛え、絆と支え合いの力で乗り切っている。
当初はその姿を疑問に思い困惑したリヴィだが、今ではこれこそが正しい人間の姿だと思えるようになっていた。
それに、協力しアラガミと戦う者達を見ていると……かつての思い出が幾度となく蘇ってくる。
自分にとっての転換期であり、今もこうしてアラガミと戦える原動力になっている思い出。
「――ここに居ると、自分は嫌な人間だと思い知らされるよ。実際にそんな態度を皆に見せてしまった」
「かもね。でも今は違うでしょ?」
「そう、だと信じたい。だけど私は皆のように明るく話す事が苦手なんだ……ロミオのような社交性を持てればいいんだが」
「……ロミオの事よく知ってるね。やっぱり前から知り合いだったの?」
「君が予想している通りさ。私は前に……マグノリア・コンパスでロミオと出会い、彼のお陰で……今の私があるんだ」
残念ながら彼は“その時”の事を覚えてはいなかったが、リヴィは決して忘れる事ができない、できるわけがない。
大袈裟かもしれないが、彼女にとって幼い頃に出会ったロミオとの思い出があるからこそ、今の自分に繋がっているから。
「好きなの?」
「……わからない。そういった事は今まで経験した事もないし……マグノリア・コンパスでも、彼以外に親友と呼べるような存在は居なかった」
だから彼に対するこの感情が、友情なのか異性に対する愛情なのか……リヴィの中で答えは出ていない。
ただ、彼女は前のようにロミオと普通に会話したり笑い合ったりしたいのだが……今まで情報管理局という場所に居て同年代の仲間に恵まれなかったのと、普段の任務内容により彼女のコミュニケーション能力はあまり育たず。
本来の寡黙な面も相まって、現在のような状況に陥ってしまったわけで。
「ブラッド隊長、またロミオと昔のように話したいのだが……どうすれば良いと思う?」
「普通に話せばいいじゃないか」
「……それができないから苦労しているんだ、私は君やロミオのように社交的じゃないから……」
「じゃあ肉体的スキンシップで歩み寄ったら?」
「そ、それは……抱きつけという事か!?」
そうだよ、平然とそんな事を言い放つフィアに驚きつつ、リヴィはつい想像してしまう。
ロミオの身体を抱きしめる自分、そんな自分を彼は優しく抱きしめ……。
「っ、だ、駄目だそんなの……は、はしたないぞ!!」
「……何を想像したの?」
「だ、大体だな……そんなはしたないスキンシップで仲良くなれるわけがないだろう!!」
「でもカズキとアリサは恋人になる前も今だってそういうスキンシップを繰り返しているし、ローザとエリックもソーマとシオもそうだよ?」
「……なん…だと……?」
とんでもない事実である、確かにあのバカップル…もとい極東の最強夫婦や恋人達はしばしば過剰なスキンシップを図っているが……そういった関係になる前からそうとは思わなかった。
リヴィの褐色の肌に赤みが帯びていく、きっとその光景を想像したのだろう。
「と、とにかくだ……私にはそんな超高等技術は使えない!!」
「超高等技術って……ただ抱きつけばいいだけなのに」
「そ、そういうのは夫婦になってからだ! 君だってそうだろう!?」
「ナナはよく抱きついてくるよ、たまにシエルも」
「な、なん…だと……?」
とんでもない事実再び、まさかあのナナとシエルまでとは……。
これはいけない、極東の風紀がここまで乱れている事を知ったリヴィはなんとかせねばと1人決意を抱く。
一方のフィアは、彼女の反応にキョトンとしてしまうのであった。
「ち、因みにブラッド隊長……ロミオにもそういったスキンシップを図る女性は、居るのか?」
「うーん……さすがに抱きついたりする女の子は居ないと思うよ、それにロミオ自身が女の子に飢えてるような態度を見せるからそんな事をしようとする人も居ないし」
「そ、そうか……」
女の子に飢えてる、という点はなかなか聞き捨てならないが、一先ず安心するリヴィ。
「あ、でもマリーはよくロミオを褒める時に頭を撫でたりしてるよね」
「あ」
間の抜けた声が、リヴィの口から出てしまう。
……そうだった、忘れていたよ彼女の事を。
やたらとロミオにスキンシップを図るオペレーター、マリー・ドレイクの事を。
(……この気持ち、胸がモヤモヤするこれは……やはり)
ある感情が、リヴィの中に宿り始める。
その正体が一体何なのか、彼女は思案に暮れようとして……自分達の状況を漸く思い返しため息をついた。
今はこんな事を考えている場合ではない、一刻も早くブラッドアーツを習得して螺旋の樹内部の調査を始めなければならないというのに……何をやっているのかとリヴィは自分を戒める。
緩んできた緊張感が再び引き締まっていき……そして、大分上層へと戻ってきた彼女達の前に、再び“ソレ”は現れた。
「グルルルル………!」
「……やっぱり、ただで帰してはくれないか」
「こっちとしても都合が良いさ、新種のアラガミのコアは希少だからな」
上層を目指していたフィア達は、広い空間へと辿り着く。
その中央に、まるで2人を待ち構えているかのように……あの時の新種アラガミが君臨していた。
2人の姿を確認し、新種アラガミは翼腕から鋭い剣状の物体を生やし戦闘態勢へ。
フィア達も当然神機を構え、真っ向から新種アラガミを迎え撃つ事に。
「いくぞブラッド隊長、今度は足を引っ張らないようにする」
「こっちは気にしてないさ。それよりリヴィ、ブラッド隊長じゃなくてフィアでいいよ。その方がお互いに良いでしょ?」
「了解した。ではフィア、まずは私が先攻する」
「いいよ、行って!!」
アスガルズを銃形態にし、フィアは新種アラガミ目掛けて氷属性の弾丸を三発連続で撃ち放つ。
一歩遅れてリヴィが動き、新種アラガミに向けて走っていった。
対する新種アラガミはその場から一歩も動かず、向かってくる三発の銃撃を――右の翼腕を横に振るって一度に霧散させてしまった。
続いて迫るリヴィに、左の翼腕を突きの要領で放つ。
当たれば串刺しになり風穴が開くのは必至、しかし当然馬鹿正直にそれを受けるリヴィではなかった。
相手の攻撃が届く瞬間、彼女はその場で大きく跳躍。
新種アラガミに向かって落下しながら神機を上段に構え、渾身の力を込めて振り下ろした。
「っ」
ガッ、という鈍い音と衝撃が神機から伝わってくる。
リヴィの攻撃は新種アラガミの引っ込めた右の翼腕によって防がれ、追撃を免れる為にリヴィは大きく後ろに後退する。
それを追撃しようと追いかける新種アラガミ、彼女が地面に着地する前に間合いを詰め――頭部に衝撃が走った。
「ギギ……グルルルルッ!!!」
思った以上の衝撃に新種アラガミは追撃を止め、自分に向かって四発の雷属性の弾丸を叩き込んだフィアへと身体を向けた。
その視線を真っ向から受け止めながら、フィアはアスガルズを剣形態に戻しながら新種アラガミに向けて吶喊する。
全力の踏み込みで間合いを詰めて、一気にアスガルズの刀身を新種アラガミへと叩き込もうとするフィアであったが、まるで乱舞のように翼腕を振るい放つ新種アラガミの攻撃に攻めあぐねる。
まともに踏み込めば細切れにされてしまう、どうやら先の戦いでこちらの攻撃パターンをある程度読んでいるようだ。
「むちゃくちゃな軌道だが、あの範囲に入れば受けきれないな」
「背中の腕を何の考えもなく振り回してるみたいだけど、あれはあれで攻撃にも防御にもなる……向こうの動きが止まるまで待つ?」
「いや、おそらくそれは望めない。あのアラガミのスタミナは文字通り無尽蔵だろうから、こちらから攻めなくては埒が明かない」
とはいえ闇雲に攻めるのは自殺行為だ、まずはあの翼腕を黙らせなくては。
突破口を思案するリヴィだったが、一方のフィアは再びアスガルズを銃形態へと変形させた。
「フィア?」
「動きを止めるから、リヴィは接近して一気に勝負を決めてくれ」
「……わかった、頼む」
踏み込めるように、腰を低くしながら神機を両手でしっかりと持ち直すリヴィ。
一方のフィアは銃口を新種アラガミ、正確には新種アラガミは振り回し続けている翼腕へと向ける。
だが翼腕の振るわれる速度は速く、なかなか照準が定まらない。
落ち着いてよく狙え、自らにそう言い聞かせ――フィアは引き金を引いた。
瞬間、神機の銃口から放たれたのは――巨大な火球。
それが真っ直ぐ新種アラガミに向かっていき、それに気づいた新種アラガミが真っ向から切り捨てようと右の翼腕でその火球を弾き飛ばそうとする、が。
「ギャ………ッ!!?」
火球が新種アラガミの翼腕が当たった瞬間、凄まじい轟音と衝撃が新種アラガミに襲い掛かった。
今のは先程のような単なる銃撃ではない、ブラッドバレッド『エクスプロージョン・ノヴァ』の一撃だ。
ダメージらしいダメージを負わせる事はできなかったが、新種アラガミの動きが止まり体勢を崩す事に成功する。
「――はああああああああっ!!!」
その隙は逃せない、裂帛の雄叫びを上げながらリヴィは一気に新種アラガミへと向かっていく。
そして、彼女は神機を大きく振り上げ、そのまま力任せに新種アラガミの背中へと神機を突き立てようとして。
「ガアアアアアッ!!!」
「なっ――ぐあぁっ!!?」
エクスプロージョン・ノヴァによる凄まじい爆発をまともに受けたというのに。
新種アラガミは爆発の中から姿を現し、完全に攻撃態勢に入っていたリヴィを右前脚で殴り飛ばしてしまった。
右前脚の一撃をまともに受け、衝撃と激痛に襲われながら近くの壁に背中から叩きつけられてしまうリヴィ。
大きく口を開き吐血しながら地面に落ちるリヴィであったが、幸いにも意識は失う事態は免れた。
「が、ごぶっ………!」
だがダメージは大きく、まともに受けた左脇腹からは決して無視できない出血を確認できた。
更に意識を失わなかったとはいえ、視界は霞み少しでも気を抜けば気絶してしまいそうであった。
立ち上がらなければ、そう思っても身体は動いてはくれず――新種アラガミが容赦なく彼女の命を奪おうと動き出した。
「リヴィ!!」
「っ、フィア……!?」
そんな彼女を守ろうと、フィアが間に割って入ってきた。
すぐさま装甲を展開するフィアに、新種アラガミは右の翼腕を大きく後方へと移動させる。
その体勢を見て全身に悪寒が走るが、時既に遅し。
「ゴアアッ!!!」
凄まじい雄叫びを上げ、新種アラガミは渾身の一撃を叩き込む。
四つの脚と翼腕のバネを最大限活用した必殺の突きは、空気を切り裂き矢のような速度で撃ち放たれ。
フィアが展開した装甲を、軽々と貫通させ。
そのまま彼の右肩を貫いて、勢いそのままに彼の身体を背後の壁に縫い付けてしまった。
「ぐ――あああああああああっ!!?」
激痛と衝撃により、フィアの口から断末魔の叫びが放たれる。
新種アラガミの剣は彼の血で赤黒く染まっていき、心なしか新種アラガミは口元に愉悦めいた笑みを浮かべていた。
「フィア!!」
いけない、あのままではフィアの命が奪われる。
そう思っているのに、先程のダメージでリヴィの身体は一向に動いてくれなかった。
(ふざけるな………! こんな所で彼を失うわけには………!)
両腕に力を入れる、同時に再び激痛がリヴィを襲うが彼女は構わず今度は足に力を入れた。
当然そんな事をすれば先程以上の痛みと衝撃が襲い掛かるが、今の彼女には関係なかった。
……仲間が命を奪われようとしている、ならば無様に痛がり倒れている場合ではない。
ただそれだけを考え、リヴィは襲い掛かる激痛を無視し立ち上がった。
「くっ……頼むジュリウス、お前が救った仲間を助ける為に……力を貸せ!!!」
叫ぶように、ジュリウスの神機へと語りかけるリヴィ。
そして、彼女は新種アラガミに向かって神機を振るい――瞬間、刀身に蒼い輝きが纏っていった。
「――うああああああああっ!!!」
リヴィの叫びに呼応するかのように、輝きは際限なく増していく。
その輝きは――まさしくブラッドアーツの輝き。
蒼い輝きを宿した斬撃は、新種アラガミの身体を容赦なく引き裂き裂傷を刻ませた。
「ギャアアアアアアアアッ!!!」
悲痛な雄叫びを上げながら、新種アラガミは大きく後退していく。
それと同時にフィアの右肩から翼腕の剣が抜かれ、彼はそのまま地面に叩きつけられた。
「フィア!!」
「っ、リヴィ、アレを逃がすんじゃない!!!」
立ち上がるフィア、右肩の感覚が無かったので左手だけで鞘からニーヴェルン・クレイグを抜き取り地を蹴った。
続いてリヴィも走り、逃げようとする新種アラガミを追いかける。
その姿を見て逃げられないと思ったのか、後退していた新種アラガミは進路を変え、自らフィア達へと向かっていった。
先手は――新種アラガミが打つ。
2人をまとめて薙ぎ払おうと、右の翼腕を振るい放つ新種アラガミ。
「――ぬぅぅあっ!!!」
それを。
フィアは、片手だけで振るった神機で真っ向から受け止めてしまった。
ただしその衝撃は凄まじく、フィアの両足が地面に沈んでしまったが……新種アラガミの動きは完全に止まりそして。
「リヴィ!!」
「――はあああああああっ!!!」
彼女の斬撃が、新種アラガミの頭部に深々と突き刺さり。
それが致命傷になったのか、新種アラガミは掠れた声を零しながら、地面に倒れ込み。
――そのまま、二度と動く事はなかった。
「……いっつ、いてて……」
ニーヴェルン・クレイグを地面に突き刺し、左手でバックパックから液体状の『回復錠・改』を取り出し風穴が空いた右肩に勢いよくかける。
染みるが仕方ない、痛みで顔をしかめつつフィアはリヴィへと視線を向けると……彼女の様子がおかしかった。
戦いが終わった彼女は、その場に立ち尽くし食い入るようにジュリウスの神機を眺めている。
「リヴィ、一体どうしたんだ?」
問いかけるフィア、するとリヴィは。
「――生きている」
「えっ?」
「ジュリウスは生きている、この螺旋の樹の中で……戦っている」
「………………えっ」
To.Be.Continued...
さて次回は……シリアスと日常半々くらいになるかと。
楽しんでいただければ嬉しいです。