神々に祝福されし者達【完結】   作:マイマイ

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カズキとアリサが結ばれ、アナグラ内も明るくなる。

しかし、アラガミとの戦いが終わったわけではなく、彼等は再び戦場に足を運ぶ。

さて、今回の物語は……。


捕喰35 ~きちきちちくちく~

「やあ、急に呼び出してすまないね」

 

 サカキ博士に呼ばれ、研究室へと赴いたカズキ達第一部隊。

 

「かずき、そーま!!」

 中に入った瞬間、シオがカズキとソーマの身体に飛び込んできた。

 

「わっ」

「ちっ、抱きつくな」

 

 カズキとは違い、邪険にしようとするソーマだが、シオはそれに構わず密着しようと身体を押し付けてくる。

 

「シオ、ソーマには抱きついてもいいけど、カズキはダメよ?」

「えー、なんでー?」

 

 サクヤの言葉に、若干不満げな表情を見せるシオ。

 すると、サクヤは少々意地の悪そうな笑みを浮かべ。

 

「それはもちろん、カズキが抱きつく権利はアリサ専用だからよ♪」

 めちゃくちゃ楽しそうに、そうのたまった。

 

「なっ、何を言ってるんですかサクヤさん!!」

 

 当然ながら、それに反応し反論を返すアリサだが。

 

「あら、違うの? それに……さっきから、シオに対して嫉妬の視線を送ってるわよ?」

「うっ………!」

(認めるんだ……)

 

 言葉を詰まらせるアリサに、コウタは内心苦笑する。

 恋人同士になったまだ間もないというのに、この様子ではバカップル化するのは時間の問題かもしれない。

 

「大丈夫だよアリサちゃん、僕が好きなのは君だけだから」

「あ、う……」

 

 ……なにせ、カズキ自身がこのように恥ずかしげもなくこんな事を言うのだから。

 

「それでサカキのおっさん、俺達を呼んだ用件は何だ?」

 

 リンドウの問いに、サカキはああそうだったと思い出し。

 

「実はね、シオに関して問題が発生したんだけど……」

「シオちゃんが、どうしたんですか?」

 

 まさか……見た目は問題なさそうだが、彼女の身体に何か異変があったのだろうか?

 そう危惧したカズキ達だったが、サカキが言う問題とはたいしたものではなく……。

 

「――彼女に、服を着せてほしいんだよ」

「………服、ですか?」

 

 サカキの言葉に、おもわず間の抜けた声を出してしまうサクヤ。

 しかし仕方ない、真剣な表情で何を言ってくるのか身構えていたというのに、返ってきたのは「シオに服を着せてくれ」なのだから。

 

「いつまでもこんな格好では可哀想だしね、でも色々なアプローチを試みたんだが……」

「きちきちちくちくやだー!!」

「……とまあ、このように嫌がって着てくれないんだよ。

 だから、女性陣に協力を願いたいと思ったわけさ!」

「……はあ」

 

 とりあえず、サカキの事情はよくわかった。

 ……だが、そうなるとカズキ達男性陣を呼んだ意味がないような気がする。

 そんなカズキの心中を代弁するように、呆れたよう表情でソーマは口を開く。

 

「じゃあ何で俺を呼んだんだ、帰るぞ」

「オレも役に立てそうにないし戻るよ、ちょうどバガラリーもいい所だからさ」

「俺も戻るぜ。飲み直したいからな」

「あ………」

 

 次々と研究室から出ていく男達。

 カズキだけがその場に残され、アリサとサクヤはそんな男性陣にため息をついた。

 

「まったく、薄情な男達ね」

「ホントですよ、どん引きです」

(いや、しょうがないと思うけど……)

 

 シオはアラガミなので性別の概念は無い。

 しかし、体つきは少女と同じなのだから、今纏っている布をとって着替えさせる……などという行動に出れば、間違いなく変態の仲間入りだ。

 

「まあとにかく着替えさせましょうか」

「そうですね。シオちゃん、ちょっと来て?」

「なにー?」

 

 アリサに呼ばれ、シオは彼女達と共に奥の部屋へと向かう。

 

「あ……カズキ、覗いたら駄目ですよ?」

「覗かないよ!!」

 

 アリサは自分をなんだと思っているのか、おもわず恨めしげな視線を送ってしまうカズキ。

 

「す、すみません。けど私のは見ていいですから。他の人のは見ちゃ駄目といいますか……」

「へ……?」

「な、なんでもないです!!」

 

 乱暴に扉を閉めるアリサ、カズキは当然のごとくポカンとしていた。

 

「おやおや、アリサ君も随分大胆な事を言うものだね。信頼されているじゃないか」

「あはは……」

 

 果たして、今のを信頼されていると思えていいのか、少々微妙である。

 

「聞いたよ。アリサ君と恋仲になったそうだね、おめでとう」

「あ、ありがとうございます」

「僕は正直、恋愛といったものは一種の熱病だと思っているから、経験した事はないけど……アリサ君を見ていると、そう決めつけていたのが少し勿体ないと思う事があるんだ」

 

「えっ?」

「幸せそうだからね、見ていてわかる。アリサ君は君と出会えて確かな幸せを経験してるよ」

「…………」

 

 そうなのだろうか?いまいちカズキには実感が湧かない。

 だが、もしそうならば嬉しいと思う。

 

「……君は、不思議な子だよ」

「えっ?」

「皆、君と出会って良い方向に変わってきている、たった1人の人間によってこうまで変化が生じるのだから、やはり人間という存在はアラガミと同じくらい興味深いものだね」

「…………」

「もちろん、アラガミとしての君にも興味があるよ?」

「はは……」

 

 せっかく良い話をしていたというのに、最後の言葉で全て台無しになってしまった。

 でも、もしかしたら今のは照れ隠しで……。

 

(……いや、それは絶対にありえないな)

 

 何せ、サカキの目が本気と書いてマジな目になっているからだ。

 割と本気で自分の身が危ないと、カズキは無意識のうちに身構えていると。

 

「っ!!?」

「おや……?」

 

 突然、奥の部屋から爆発音のようなものが聞こえてきた。

 一体どうしたのか、カズキが向かおうとしたら……扉が開き、煙が部屋に流れ込みその中からアリサとサクヤが咳きこみながら部屋から飛び出す。

 

「ケホッ、ケホッ……シオちゃんが……」

「か、壁を破って外に……」

「ええっ!?」

「……やはり、予想できない」

「サカキ博士、呑気な事言ってる場合じゃないでしょう!?

 アリサちゃん、サクヤさん、捜しに行こう!!」

 

「ちょっと待った、今シオの場所を割り出すから。……うん、廃寺エリアに向かってるみたいだね」

「廃寺エリアですね、わかりました。行こう!!」

 

 研究室から出るカズキ達、すると……。

 

「あれ、ソーマ?」

「あ……」

 

 しまった、カズキの顔を見た瞬間そんな顔になるソーマ。

 それに対し、後ろのアリサとサクヤは首を傾げたが、それどころではないカズキは気にせずに声を掛けた。

 

「ちょうどよかったよソーマ、シオちゃんが研究室から飛び出しちゃったんだ!!」

「……今の音はそういうわけか。ったく、しょうがねえな」

 

 面倒そうに舌打ちをするソーマだが、どうやらカズキ達と共にシオを捜してくれるようだ。

 

「……ソーマ、もしかしてずっと部屋の前に居ました?」

「っ、ばっ、そんなわけねえだろうが!!」

『…………』

 

 ああ、なる程。

 今の態度で、アリサとサクヤは容易く理解する。

 ソーマは、なんだかんだ言いつつもシオの事が気になって、部屋の前で待機していたようだ。

 まったくもって素直ではない、素直ではないが……からかうネタができたことに、アリサとサクヤは意地の悪い笑みを浮かべる。

 

「……おい、そのムカつく笑みは何だ?」

「いーえー♪」

「べつにー♪」

「くっ……その物言いが腹立つ……!!」

「何してるのさ、行くよ!!」

 

「はーい♪ ふふっ、ソーマって本当にツンデレですね」

「おいコラアリサ、テメェ喧嘩売ってるのか?」

「ほらダメよ、早くシオを捜してあげなきゃ、ツンデレソーマ君♪」

「サクヤ、テメェまで……!」

 

 ああクソ、っとソーマは露骨な舌打ちをしながらフードを深く被る。

 この怒りは、近くにアラガミがいたらそいつにぶつけてやる、理不尽な事を考えながらもカズキ達と共にエレベーターに乗り込んだ。

 

 

 

 

 

「―――居たか?」

「いや、この近くに気配は感じないからこの辺りじゃないのかも」

 

 雪を踏む音が響く中、カズキ達は神機を手に持ち廃寺エリアへと赴いていた。

 

「2人とも、シオを捜すのも大事だけど、ちゃんと討伐対象も捜さないとダメよ」

「はい」

「わかってる」

 

 短く答え、前衛の2人は再びシオを捜そうと辺りを見回す。

 それと同時に、受けた任務に書かれていたアラガミ――シユウ堕天種の姿も捜す。

 シオを捜しに行くのはもちろんだが、神機を持って行くには任務を受けなければならない。

 なにが起こるかわからないので、カズキ達はカモフラージュの為に任務を受けたというわけである。

 

 この辺にはいないようだ、場所を移動しようと歩を進める。

 暫し移動を続け――破裂音のような大きな音が響く。

 カズキは無言で3人に目配せしながら、音が聞こえた方向へ。

 気配を殺し、壁に背を預けながら覗き込み……。

 

「……えっ?」

 おもわず、キョトンとしてしまった。

 

「? カズキ、どうしたんですか?」

「いや……あれ」

 

 指差すカズキを怪訝に思いながら、アリサも覗き込んでみると……。

 

「………は?」

 

 彼女もカズキと同じように、キョトンとしてしまった。

 彼等の視線の先――そこには、討伐対象であるシユウ堕天種と、氷の女王の名を持つプリティヴィ・マータの姿が。

 更に、そんなアラガミから楽しそうに逃げているのは……。

 

「……あのバカ、何やってんだ……」

 

 顔に手を置き、げんなりした表情を浮かべてしまうソーマ。

 だが仕方ない、何故なら……。

 シユウ堕天種とプリティヴィ・マータから逃げているのは……シオと、サリエルだったのだから。

 

「……あれ、ラウエルだ」

 

 くるるる、と妙に機嫌良く鳴きながらマータの氷柱攻撃を避けるサリエルを見て、カズキはそう呟く。

 経緯は不明だが、どうやらシオとラウエルはマータ達を相手に鬼ごっこのような事をして遊んでいるらしい。

 あははー、なんて楽しげな声がシオの口から聞こえてくる。

 

「……心配するだけ、無駄だったな」

「やっぱり心配してたんじゃないですか、ソーマ」

「う、うるせぇ!!」

「とにかく、あのアラガミは倒さないとね」

「ええ」

 

 討伐対象が増えてしまったのは面倒だが仕方あるまい、カズキ達は神機を構え戦闘態勢に。

 だがまだ踏み込まない、奇襲を仕掛けて一気に勝負を決めようと思っているから。

 

――そう、思っていたのだが。

 

〈――あっ。おーい、かずき!!〉

「あ………」

 

 ラウエルがカズキ達を見つけてしまい、状況も考えずに彼の名を呼んでしまった。

 そうなれば、同然の如くアラガミ達も気づいてしまうわけで……。

 

「……おい、何か気づかれたぞ!?」

「サリエル種って、視力が良いからなぁ……」

 

 はははー、と苦笑いを浮かべつつ、カズキは一足先にマータ達の前へ。

 ……わかっている、ラウエルに悪気がない事くらい。

 ただ彼女は自分の姿を見つけ、声を掛けただけ。

 随分と可愛らしい態度ではないか、しかし……あえて言いたい。

 

「ラウエルのアホーーーーーッ!!!」

「ガォォォォッ!!」

 

 カズキの虚しい叫びは、マータの鳴き声によってかき消された。

 雄叫びと共に撃ち出されたのは、大の大人すら容易く身体に風穴を開けてしまうほど巨大な氷柱。

 それも一つや二つではない、しかしカズキとソーマは左右に跳び攻撃を回避。

 その隙にアリサはマータに踏み込み、上段からの斬撃を繰り出す。

 

 アヴェンジャーの刀身はマータの肌を喰らい、左肩半ば程で止まる。

 アリサを睨み、右フックで反撃するマータ、それを予期していたアリサはその場で跳躍、難を逃れる。

 だが、その背後にはシユウ堕天種が迫っており。

 

「させないわよ」

 そうはさせまいと、サクヤは炎属性のレーザーをシユウの頭部へと撃ち当てる。

 

「―――死ね」

「は―――!」

 左右に散ったカズキとソーマ、すかさず地を蹴りマータを挟み込むように移動し、同時に必殺の一撃を叩き込んだ―――!

 

「はぁっ!!」

 

 カズキ達の攻撃がマータに命中した瞬間。

 アリサは両足をマータの顔に乗せ、力を込めて跳躍。

 その衝撃で刀身がマータから抜け――彼女が跳躍した先には、サクヤに攻撃しているシユウが。

 

「―――そこですっ!!」

 空中で三回転捻りを行い勢いをつけ、それを刀身に乗せてシユウへと叩き込む―――!

 

「ギィ―――ッ!!?」

 

 背後からの殺気に気づいたのか、シユウは身体を横にずらし回避しようとしたのだが、間に合わず左腕と羽根を斬り飛ばされてしまった。

 膝を折り地面にうずくまるシユウ、その隙を逃さずサクヤは砲撃を連射、更にアリサも銃形態へと可変させ砲撃に加わった。

 そっちは大丈夫だろう、一瞬だけ視線を送り状況を確認してから、カズキは怒りによって活性化したマータを睨む。

 活性化により、マータの肉体はより強靭なものになっている、迂闊に仕掛けた所で意味はない。

 

「ソーマ、囮お願い!!」

「チッ、しょうがねえな……」

 

 突然のカズキの無茶な要求に舌打ちしつつも、ソーマはマータの視界にわざと入るように移動する。

 

「グォォァァッ!!」

 声を上げ、左右の前脚でソーマを捉えようと迫るマータ。

 

「おせぇんだよ」

 しかしソーマは回避するばかりか、マータを鼻で笑う余裕すら見せる。

 

「――もらった!!」

 

 カズキの声が、空中から響く。

 その一瞬後に、彼の神機がマータの身体に食らいついた。

 捕喰形態となった神機は、マータの身体を味わうようにグチャグチャと咀嚼音を響かせ、やがてその身を離れさせる。

 瞬間、カズキの肉体が急激に活性化、バースト状態となった彼は即座に銃形態へと可変。

 

「ソーマ、お願い!!」

 マータから手に入れたアラガミバレッドを三発全てソーマへと撃ち込むカズキ。

 

「………フン」

 

 通常のバースト以上の活性化を見せる、ソーマの身体。

 それを瞬時に慣らせつつ、ソーマは神機の柄に力を込める。

 頑強なはずの神機の柄から、ミシミシという軋む音が聞こえ、今のソーマの腕力が如何に凄まじいものになっているかを物語っていた。

 

 両足を軸に、ソーマはチャージクラッシュの体勢に入る。

 当然、それを邪魔する為にマータがソーマに迫るが、そうはさせぬとカズキの神機がマータの両脚を砕く。

 崩れるマータ、ちょうどソーマに対して頭を下げるように見えたので、彼は口元に邪悪な笑みを浮かべつつ。

 

「消えろ」

 

 無慈悲に告げ、禍々しい刀身を振り下ろし――マータの四メートルはあるであろう巨体を、真っ二つにした。

 

「………ふぅ」

 

 一息つき、戦闘態勢を解除するカズキ、見るとアリサ達もシユウを倒しコアを摘出していた。

 

〈わーい、かずきー!〉

「うぷっ……」

 

 がばっ、と抱きつかれたたらを踏むカズキ。

 

「……ラウエル、どうしてここに居るの?」

〈さんぽしてたのー、そしたらあのふしぎなアラガミにあったんだー〉

 

 なる程、どうやらラウエルとシオが会ったのは偶然だったようだ。

 色々と言ってやりたかったが、今はシオを連れ戻さなくては……そう思ったカズキだったのだが。

 

「あれ?」

 ……シオの姿が、ない。

 

「シオちゃんは?」

「えっ? ……あれ、シオちゃん?」

 

 アリサ達も辺りを見回すが、いつの間にかシオの姿が見当たらない。

 

「……あの、バカ」

「しょうがないわね、手分けして捜しましょうか」

「………チッ」

 

 露骨に面倒そうに舌打ちをしつつ、ソーマは歩き出す。

 そんな彼を見て、カズキ達は苦笑を浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

「――――おい」

 

 朽ち果てた講堂内で、少し苛立ちを含んだソーマの声が響く。

 周りには破壊された仏像だけであり、彼以外の生物はいないはずだが……。

 ひょこっと、仏像の後ろから顔を覗かせたのは……。

 

「……帰るぞ」

「きちきちちくちく、やだー!!」

 

 ソーマの言葉に、シオは首を横に振って拒否の意を示す。

 

「ったく、面倒な奴だ……着させねえから、さっさと帰ってこい」

「……ほんと、か?」

「ああ、だからさっさとこっちに来やがれ」

 

 本当に面倒だ、内心悪態を吐くが口に出してシオの機嫌を損ねてしまえば余計面倒になると、ソーマはそれ以上は何も言わない。

 すると、シオは少ししょんぼりとしながら。

 

「そーま……おこってる?」

 ぽつりと、呟くようにそう訊ねた。

 

「あ?」

「シオ、にげた……みんなにしんぱいかけた、えらくないな……」

「…………」

「だから、そーまもおこってるとおもって……」

「………はぁ」

 

 おもわず、ため息が出てしまったソーマ。

 

(戦いの最中にいなくなったのは、そういうわけか……)

「……やっぱり、おこってるか?」

「……別に怒ってねえよ、それにあいつらだって怒ってねえ。

 第一部隊は、阿呆なくらいお人好しの集まりだからな」

 

 特に、最近隊長になったあの男は、筋金入りだ。

 化け物と呼ばれ、兵器として生き兵器として死ぬはずだった自分を、これでもかと構ってきた。

 そのせいで、すっかり毒気が抜かれてしまったとソーマは口元に笑みを浮かべる。

 

「あ、そーま、いまわらったな?」

「あ?」

「そーま、いますっごくやさしそうにわらったぞ!」

 

 ニカッと満面の笑みを見せつつ、シオは言う。

 いつもの彼なら、笑っていないと否定していただろう。

 けれど、シオの無垢で無邪気な笑みに何かを思ったのか。

 

「……かもな、変か?」

 普段の彼では絶対に見せない、柔らかく優しい笑みをシオに向かって見せた。

 

「んーん! シオ、そーまのえがおすきー!!」

「………フン。ほら、わかったからさっさと降りてこい」

「はーい!!」

 

 言われた通りに、ソーマの元へと着地するシオ。

 ソーマは、神機を地面に突き刺し右手で懐から通信機を取り出す。

 

「そーま」

「何だ?」

「もういっかい、わらって?」

「は……?」

「そーまのえがお、みるとうれしくなるから!」

「…………」

 

 何を恥ずかしげもなく言っているのか、ソーマの褐色の肌が僅かに赤みを帯びる。

 

「えがおってふしぎだなー、イタダキマスみたいにおなかいっぱいにならないのに……なんだか、うれしくなるぞー」

「…………そうかよ」

 

 ああ、やはり自分は毒気を抜かれてしまった。

 そう思いつつ、それも悪くないとソーマは思い。

 

「えへへ……あはっ♪」

 余った左手で、シオの頭を撫でながらカズキ達に通信を送るのだった。

 

――優しい笑みを、浮かべながら。

 

 

 

 

To Be Continued...

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