しょうがありませんね、仕方なくですが見せてあげましょう!!
おはようございます、アリサ・イリーニチナ・アミエーラです。
……只今、幸せ絶頂期なんです。
理由は言わずもがな、カズキと恋仲になったからですよー、きゃっ♪
………取り乱してしまいました、恥ずかしい。
というか、誰に説明してるんですかね私。
いけないいけない、カズキの彼女としてこんな事じゃいけませんよね。
カズキの彼女……きゃっ♪
……顔がニヤけちゃいそうです、ダメですねこんなんじゃ。
毎朝、顔のにやけを無くすのが大変です。
数十分後、どうにかいつも通りに振る舞えるようになり、私は部屋を出て食堂へ。
この時間なら、カズキはもう起きて食堂に居るはずですから。
……居ました居ました、相変わらずカッコいいですねぇ。
カズキの顔を見て、またもテンションがアップしました。
えへへ、今行きますよカズキ〜♪
「――それでさ、昨日のバガラリーがすっげぇ楽しかったんだよ!! カズキとソーマも一緒に観ようぜ?」
「くだらねえな、んなもん観るかよ」
「くだらなくなんかないよ、観てみれば絶対ソーマもハマるって!」
「っ、うぜぇな、貼り付くんじゃねえ!!」
「あはは……」
って、なに私を差し置いてカズキと朝ごはん食べとるんじゃコラァァァァァッ!!!
オノレェェェェ、コウタにソーマァァァ……いい度胸だなぁぁ。
許さん……カズキと2人っきりで「あーん」とかしたかったのにぃぃぃっ!!
こうなったら、力ずくでもあの2人を……。
「あっ、おはようアリサちゃん」
「おはようございます、カズキ♪」
「………なあソーマ、今アリサからすげえ殺気を感じなかったか?」
「……おぅ、カズキに挨拶されて一瞬で消えたけどな」
あれー、なんだかコウタとソーマが震えながら私を見ていますねー、何でですかねーアリサさん意味わかりませーん。
「朝食、食べないの?」
「いえ、いただきますよ」
さてと、2人っきりではないとはいえ、カズキと一緒に朝食です♪
朝食を受け取り、いざカズキとのラブラブな朝食を……。
って……INEEEEEE!!?
何故?ホワイ?アリサさんわからないよこの状況。
「カズキならもうメシを食って行ったぞ」
「なっ、どうして足止めしておかないんですか!!」
「無茶言うな、あいつはこんな朝っぱらから任務なんだよ」
ちぃっ、任務ならば仕方ありませんか。
私だってTPOはわきまえてるつもりなので、子供みたいな我が儘は言いません。
とはいえ……イライラが消えるわけではなく。
「――コウタとソーマのアホーーーっ!!! 役立たず!!!」
「いきなり何!!?」
(ひでぇ捨て台詞……)
2人に八つ当たりをして、私は食堂を後にしました。
ちくしょー、八つ当たりだけじゃ私のこの怒りはちっとも収まりません!!
元はといえば、アラガミ達が私とカズキの時間を……。
ええぃ、アラガミめぇぇぇ……どこまで私の邪魔をすれば――
「あ、あの……アリサ?」
「なんじゃワレ……」
「ひっ!?」
あっ、いけないいけない、あまりの怒りに話しかけてくれたサクヤさんを威嚇しちゃいました。
アリサってばドジなんだから、てへっ♪
「え、えっと……ど、どうかしたの?」
何故かひどく怯えた様子で、私に話しかけてくるサクヤさん。
あれー?サクヤさん、どうしてそんなに怯えているんデスかー?
「別にどうもしませんよー、ただ改めてアラガミに対して殺意を抱いただけですから」
「そ、そうなの……」
サクヤさんの顔が完全に引きつってます。
あれ?もしかして私、どん引きされてる?
「何か悩みがあるなら言ってね? これでもお姉さんなんだから」
「サクヤさん……」
なんて優しい人なんでしょうか、どっかのバガラリーバカやむっつりロリコンとは格が違います!!
いえ、というより比べるだけサクヤさんに失礼ですね!!!
こうなったら、サクヤさんには申し訳ないですが、私の愚痴に付き合っていただき……。
「おーい、サクヤ!」
「あっ、リンドウ!」
ってこらぁぁぁっ!!なに甘えた猫みたいな声出しとるんじゃぁぁっ!!!お姉さんキャラはどこ行った!!
あっ、ちょ、おい、人前で抱きしめ合ってるんじゃないよこのバカップル。
ちくしょおぉぉぉっ!!!なにが悲しくて他人のラブラブぶりを見なくちゃいけないんじゃぁぁぁぁっ!!!
ただでさえ、今日はまともにカズキと話してないというのに……見せつけてくれやがってぇぇぇっ!!
ふーんだ、サクヤさんの裏切り者!!せいぜいそこに酒ばっかり飲んでるおっさんとよろしくやっててください!!
そして××なり□□なりしてればいいんですよーっだ!!
く、悔しくなんか……悔しくなんかないもん……ううっ……。
「――うわぁぁぁぁぁん!! この万年発情期カップルめぇぇぇっ!!!」
「アリサ!!?」
「いきなりどうした?!」
いきなりどうしただとぉっ?白々しいんだよこの飲んだくれがぁぁぁっ!!!
もう一秒だってこんなピンクな空間に居たくない、砂吐くわまったくもう。
というか、今までそんな露骨にいちゃついてなかったくせに、こういう時にばかり見せつけるんじゃねーです。
プリプリしながらその場から去っていきます。……あれ?どうして目からしょっぱい水が出るのかなぁ?
こうなったら……アラガミをブチ殺して、このストレスを発散させるしかない!!
思い立ったら即行動、早速ヒバリさんの元へと向かいます。
「あっ、アリサ……ひぃっ!!?」
おや、ヒバリさんが私の顔を見た瞬間まるで至近距離でヴァジュラを見たかのような悲鳴を上げましたね。
おかしいなー、それじゃあまるで今の私の顔がアラガミ並に恐ろしい事になっちゃうじゃないですか。
……ヒバリさん、その態度はどういう意味なんですかねー?
「あ、あの……ミッションの受注ですか?」
「はい。なんでもいいので三つか四つ見繕ってください」
「は、はぃぃ……」
相変わらず“何故か”怯えているヒバリさんから任務を受注し、私は1人戦場へと赴く。
……ふっ、所詮今の私は孤高の戦士、1人がお似合いなのさ。
「アリサちゃん、今から任務?」
って、ええぇぇぇっ!!?なんでカズキがアナグラに!?
「僕はちょうど任務を終えてさ、午後まで休めるんだ」
えっ、ちょ、もう任務を終えたんですか!!?
は、速すぎです……そういう所もス・テ・キ。
じゃなくて、完全に行き違いじゃないですかこれ!!!
「? アリサちゃん、どうしたの?」
こ、こんな事なら……こんな事なら、任務を受けずに待っていれば……カズキと甘い一時を過ごせたというのに……!
「――うわぁぁぁぁぁん!!!」
「アリサちゃん!!?」
私は泣きながらアナグラを後にしました。
こうなったのも全部、全部アラガミが悪いんじゃぁぁぁぁっ!!!
覚悟せえよ?今すぐこのアリサ様がブチ殺してやるけんのぉっ!!!
「―――戦いはいつも虚しい」
空母エリアにて、私の呟きが空へと消えました。
辺りには何もなく、地面に広がる血溜まりだけが戦いがあった事を物語っています。
あの後、私は逆ギレしてアラガミ達を完膚なきまでにぶっ倒し、コアを摘出。
霧散したアラガミ達を見届けた後、瓦礫の上に座り込んでいました。
作戦終了時間までまだ時間がありますし、さすがに疲れたので一休みです。
「はぁ……」
都合三桁を超えるため息が出てしまいました。
……今日は、色々と散々です。まだ半日も経ってないですけど。
でも、こうやって冷静に思い返してみると……私、暴走しまくってますね。
カズキに会えないからって、色々と馬鹿をやりすぎました……。
「………ふふっ」
それがおかしくって、笑ってしまいます。
初めて彼に会った時は、単なる『同じ新型』という認識しかなかったのに。
彼と共に居る時間が増えていく度に、知らなかった彼自身の事がわかってきて。
その優しさのおかげで、私は少しずつくだらないプライドを捨てる事ができるようになった。
そして……気が付いたら、彼の事が好きになっていた。
彼の行動に一喜一憂して、当初はそんな自分に戸惑いを隠せませんでしたっけ。
けど、素直になると心が暖かくなっていって……パパとママが死んで久しく実感していなかった幸せを、明確に自覚できるようになって。
想いが通じた時なんか、おもわず気絶しそうになるくらい嬉しかった。
「………カズキ」
彼が好き、そう思う度に幸せを感じるなんて……我ながら安上がりかもしれません。
でもいいんです、たとえ安上がりでも……この幸せは確かなもので、紛れもない本物なんですから。
「さてと……」
立ち上がり、私は空母エリアを後にしようと歩き出す。
今日はまだまだ任務があるんですから、頑張らないと!!
守られてばかりの私じゃ嫌ですからね、今はまだ背中を追いかけてるだけですけど……いつかは、カズキの隣に立って彼を守れるくらい、強くなります。
立ち止まってなんか、いられません!!
「………ふぅ」
つ、疲れた……さすがに連続で四つのミッションをこなすのは大変でした。
次からは、もう少し自分の身の程を考えて受注する事にしましょう。
ですが、疲れたとはいえストレスも発散できましたし、よかったよかった。
「アリサさん、お疲れ様です」
「あっ……お疲れ様です」
ヒバリさんに声を掛けられ返事を返しますが、自分でもわかるくらい気の抜けたものになってしまいました。
「……あの、あまり無理したらいけませんよ? カズキさんもそうですけど、アリサさんも最近頑張りすぎだと思います」
「ご心配をお掛けしてすみません、けど立ち止まるわけにはいきませんから」
まだ弱い私では、誰かを守るどころか自分すら守れませんし。
けど、今日はさすがにこれ以上アラガミと戦う事はできませんね、体力的にも精神的にも限界です。
神機を預けてお風呂……は入れませんけど、シャワーを浴びましょう。
そう思った私は、ヒバリさんに会釈してから神機保管庫に向かおうとして。
――エントランスロビーに、けたたましい警告音が鳴り響いた。
「え、何……?!」
「ちょっと待ってください………これは!?」
「どうしたんですか!?」
ヒバリさんの驚愕に満ちた声に、私はカウンターに身を乗り出す。
すると……ヒバリさんはとんでもない事を言い出した。
「居住区に、アラガミが侵入しました!!」
「なっ―――!?」
そんな……!対アラガミ装甲が新しくなったばかりなのに……!?
「まだ設置が全て済んでいなくて……そこから侵入したようです!
どうしよう、今防衛班は全員出払っているのに……!」
「――――っ」
ヒバリさんの言葉を最後まで聞く前に、私はエレベーターに乗り込む。
今のアナグラは私以外の神機使いがいない、だったら……私が行かないと!!
地上に出て、ヒバリさんに通信を送る。
「ヒバリさん、アラガミが出た場所のデータを送ってください!!」
『わ、わかりました!!』
数秒後、腕輪に搭載された電子レーダーが浮かび上がり、アラガミの位置を確認する。
すぐさま走り出し、居住区内を駆け抜けた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
くっ……いけない、今までの任務で体力を消耗してる。
けど、泣き言なんて言ってられない!!
「はぁ…はぁ……は、くっ……―――っ!!?」
アラガミの居る場所に辿り着き……私は戦慄した。
家屋に飛び散るのは、人間の破片。
その中には、当然の如く子供の肉片も……。
「………………っっっ」
怒りが、憎しみが、私の身体から湧き上がってくる。
どうして、アラガミはこうも簡単に人間を殺すんですか……!!
いつだって理不尽で、不条理な世の中でも……今を一生懸命に生きる人達が居るのに、それを誰にも奪う権利なんかない!!
それなのに……それなのにどうして、こうも簡単に殺すんですか!!
……許さない。
「絶対に許さない……絶対に!!」
神機を構え、尚も補喰を続けるアラガミ――ボルグ・カムランに向かって走る。
「ギシャァッ!!」
尾針が打ち込まれる、それを回避――しきれない!?
「ぐっ!?」
左腕に激痛、顔をしかめながらも神機を横薙ぎに振るう。
「っ」
けれど、充分に力が入っていなかったからか、ボルグ・カムランの体に弾かれてしまった。
くっ、やっぱり今までの疲労で力が入らない……。
「ギィィィィッ!!!」
「わっ、きゃ!?」
尾針の連続攻撃を、どうにか回避していく。
「く、この……!」
息が上がる、回避しきれずに傷口が増え続ける。
「っっっ……!」
体勢を低くしながら尾針を避け、地面を滑りながら神機を銃形態へ。
そのままボルグ・カムランの真下まで滑りながら、氷属性の弾丸を撃ち込んでいく。
「ギャァッ!!?」
座り込むボルグ・カムラン、その隙に私は滑り続け背後へ回る。
そして、起き上がり尾針に向かって渾身の一撃を――
「っ、か―――っ!!?」
右脇腹に衝撃、骨が軋む嫌な音を聞きながら……地面を転がっていく。
今の、は……尻尾による攻撃……!?
「う、ぐ……」
いけ、ない……身体、が、動かない。
「ギィ……」
倒れた私に、ボルグ・カムランが私に迫る。
やだ……私、まだ…こんな所、で……。
死ぬわけ、には……。
「――汚い身体で、その子に触れるな」
聞き慣れた、けれど恐ろしいまでに低く重い声が響く。
瞬間――閃光が走り、ボルグ・カムランの尾が粉々に砕け散った。
「ギィィヤァァァァッ!!?」
「うるさい!!」
×印の深い傷が、ボルグ・カムランの顔に刻まれる。
………来て、くれたんですね。
私を助けにきた人物が誰なのかわかり、ほっとしたのか急速に意識が薄れていく。
そして……私は、そのまま意識を手放してしまいました……。
「……んっ……」
「――あ、目が醒めた」
意識が戻り、瞳を開けると……カズキがふわりとした柔らかい笑みを浮かべていた。
「………ここは?」
「医務室。怪我はたいした事なかったみたいだけど、疲労が蓄積してたらしいよ。
無理するなって、お医者さんもツバキ教官も言ってた」
「……あの、アラガミは?」
「倒したよ。あの後すぐに対アラガミ装甲で残りの区画も覆ったから、暫くはこういう事は起きないと思う」
「そうですか……」
それを聞いて、私は安堵のため息を漏らしました。
……けど。
「………守れませんでした」
「……仕方ないよ。みんな出払っていて、アリサちゃんだってすぐに」
「でも、守れませんでした!!」
カズキの言葉を遮って、私は怒鳴った。
神機使いとして、アラガミから罪なき人々を守る。
いつだって、そう誓ってきたのに……私は、守れなかった。
「私が弱いから……強ければ、きっと犠牲なんか増えなかった!!
――情けないです、こんなの……本当に」
あの時、ゴミのように打ち捨てられていた子供の手足を見て……私は自分の無力を呪いました。
まだ将来がある子供、それもまだ10歳に満たないであろう小さな手足だった。
それを、アラガミは無慈悲に奪って……私は守れないばかりか、仇すら討つ事ができなかった。
「――全てを守る事は、できないんだ」
「えっ……?」
「助けようと願っても、助けられない命は必ず出てくる。
それは、どんなに強い力や武器を得ても、変える事ができない真実なんだ」
「………カズキ」
それは、あまりにも無情で……現実的な言葉でした。
誰よりも優しく、誰よりも他人を守りたいという想いを持ったカズキの言葉とは、思えないくらいに。
けれど……彼の言葉を否定する事は、できない。
私の願いはあくまで理想、現実の前では虚しい夢と化す。
それは私にもわかっている、わかっているけど……感情が納得してくれない。
「……君が倒れていた時、僕は頭が真っ白になったよ」
「…………」
「君は優しいから、誰かの為に無茶をしてしまう。それはわかってるんだ。
でも……それでも、心のどこかではいつも不安だった」
「あ……」
ふわりと、カズキに抱きしめられる。
「……恐かった。恐かったよ……君がいなくなってしまうかもしれないと思って」
「………ごめんなさい」
ああ、本当に私は情けない。
彼に追いつこうと駆け足になって、他ならぬ彼自身に心配されるなど……本末転倒だ。
「ごめんなさい……ごめんなさい、カズキ」
「……アリサちゃん、これからもこういう不条理で納得できない現実が待ってる。
でも、君が誰かを守るためにゴッドイーターを続けるなら、辛い事も苦しい事も……全部僕にぶつけるんだ。
互いに互いを支え合っていけば、どんな事でも乗り越えられるから」
「……はい、はい!!」
そっか、私……勘違いしていました。
1人で強くなろうとしないで、仲間と一緒に強くなっていけばいいんだ。
辛い事は半分に分けて、嬉しい事は仲間と一緒に二倍にすればいい。
そして……カズキが、私の全てを受け入れてくれる。
……だったら、悲しんでなんかいられない。
どんな現実でも、どんな不条理な世界でも、受け入れられるような強さを身につける。
1人で、ではなく、カズキや仲間と共に。
「……ありがとうございます、カズキ」
感謝の言葉を告げて、私は……カズキの唇に、自分の唇を重ねました。
すると、カズキは私を抱きしめる力を少しだけ強めて、私達は暫しそのままの体勢で。
互いの温もり、そして口づけを楽しんでいました……。
To.Be.Continued...