神々に祝福されし者達【完結】   作:マイマイ

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激動の日常にも平和がある。

今回は、彼女の日常を見てみよう……。


第2部捕食54 ~アリサのGE日誌4~

――突然ですが、現在私はたいへん怒っています。

 

「かずきー、ちゅー……」

「ち、ちょっとラウエル……」

 

 今日は非番なのに、カズキといちゃいちゃできません。

 理由は簡単、ラウエルがさっきからカズキといちゃいちゃしているからです。

 そりゃあ、ラウエルは可愛いですし無邪気ですから、可愛がる気持ちもわからなくはないですよ?

 実際に私も可愛がってますし、ですけど……恋人を優先しないとかどん引きです!

 

「ラウエル、そういう事は大切な人とするものなんだよ?」

「んー? けど、ラウエルはかずきだいすきだよー?」

「や、そう言ってくれるのは嬉しいけどさ……」

「だから、ちゅー……」

「…………っ」

 

 もう無理です、こんな光景を見て我慢できるほど私は人間ができてるわけじゃないんです!!

 

「もー! カズキといちゃいちゃしていいのは私だけなんですよ!?」

「う?」

 

 ちょこんと首を傾げるラウエル、可愛い……じゃなくて!!

 

「ちょっと離れてくださいよ、カズキと2人っきりで過ごしたいんですから!」

「やー!!」

「ち、ちょっと2人とも……」

「カズキは私と過ごしたくないんですか!?」

「いや、過ごしたいけどさ……ラウエルを蔑ろにするのは可哀想だし……」

 

 くぅ、今回ばかりはカズキの優しさが憎いです!!

 とはいえ、私だってラウエルを蔑ろにしたくないですが……でも、寂しいって気づいてくださいよばかー!!

 

「カズキのあほーっ!!」

「アリサちゃん!?」

 

 捨て台詞を残し、私はカズキの部屋を後にしました。

 甘えたいのは、ラウエルだけじゃないですからね!!

 

「もー、もー!!」

「なに牛みたいになってんだ?」

「ああん?」

「うぉ……」

 

 なんだコウタですか、気安く話しかけないでくださいよ。

 

「話しかけないでくださいよ」

「いきなり酷い事言われた!?」

「すみません、心の声がそのまま出てしまいました」

「どっちにしろ酷い!?」

 

「ショック受けてないで、さっさと私の視界から消えてください。

 見てわかるように今の私は不機嫌なんです、このままコウタが私の視界に入ってたら……間違いなくボコボコにしますよ?」

「お前酷すぎだろ!? ……どうせラウエル辺りにヤキモチ妬いて喧嘩したんだろお前?」

「なっ!? コウタごときに私の心情を察せられるなんて……コウタごときに!!」

「……俺、そろそろ泣くぞ?」

 

 それはやめてください、男の泣き顔なんて気持ち悪いだけですから。

 

「お前って、ホントにカズキが好きだよなー。というか独占欲強すぎだって」

「わ、悪かったですね! それくらい私にだってわかってますよ!!」

 

 けど仕方ないじゃないですか、私は自分が思っている以上に子供なんですから!

 ……ですが、カズキに嫌な態度をしてしまいました。

 

「アイツがアリサ以外に靡くとか、絶対ありえないって」

「なんで言い切れるんですか?」

「だって、カズキはいつもアリサの話ばっかりだぜ?」

「…………」

 

 それを聞いて、嬉しさ半分恥ずかしさ半分で顔が熱くなるのがわかりました。

 カズキが、私の話ばっかりしてる。

 ……どうしましょう、こんな事で気分がすっかり良くなってしまう私は、単純過ぎます。

 

「……私、子供ですね」

 

 カズキばっかり大人で、そんな彼を私は困らせてばかり。

 これじゃあ、単なるままごとですよ。

 

「いや、子供だろお前は?」

「…………」

「そんな恐い顔で睨まないで!!」

 

 睨みますよ、いくら自分でそう言ってるとはいえ、やっぱり他人に言われるのは腹立たしいですから。

 しかもコウタに言われたというのが、また余計に腹が立ちます。

 

「いや、だってアリサはまだ15だろ? それで大人の対応をするなんて無理だって」

「ああ、そういう意味だったんですね」

「当たり前だろ、ってかこの状況でバカにしたら後が恐いっての……」

「賢明ですね。もし悪ふざけでバカにしたとしたら、射撃の的にしてやる所でしたから」

「俺って結構危ない橋渡ってた!?」

「……けど、それを差し引いても子供だなぁって思っちゃいますよ」

 

 自覚はしていますが、なかなか改善するというのは難しいです。

 こういう所も、子供ですね……。

 

「けどカズキは、そんなアリサも大切だと思ってるって」

「どうしてですか?」

「じゃあ逆に訊くけど、アリサはカズキが大人の対応をしてくれるから好きなのか?」

「違いますよ、私は――」

 

 そこまで言いかけて、私はコウタの言わんとしている事を理解しました。

 

「カズキだって、“アリサ”だから好きなんだ。

 無理に変える必要なんかないと思うし、そんな無理したら絶対に心配するぜ?」

「…………確かに、そうですね」

 

 カズキの性格を考えれば、コウタの言っている事は正しい。

 彼は優しいから、私と歩くスピードを合わせて恋人としての道を進んでくれている。

 けどそれは私に気を遣っているからではない、いつだって私らしく居てほしいから、そうしているのだ。

 

「……難しいですね、交際って」

「俺からしたら羨ましすぎる悩みだけどな、リア充爆発しろ」

「ふふっ……」

 

 コウタに教えてもらうなんて、なんだか変な感じですね。

 

「……本当にあなた、コウタなんですか? もしかして彼の皮を被った別人とか……」

「なんでそういう事言うかな、お前は!?」

「いや、だって……私のイメージの中のコウタは、こんな事絶対に言いませんから」

「お前の中の俺のイメージって、どんだけバカなの!?」

「……それは、訊かない方が幸せだと思いますけど」

「恐えーよ!! むしろ逆にどんなものなのか訊きたいよ!!」

 

 ぎゃいぎゃいうるさいですね、無視する事にしました。

 

「ったく……そういえば話は変わるけどさ」

「唐突すぎますね、二点」

「何の点数!? ……そうじゃなくて、もうすぐここに新型の神機使いが来るらしいぜ、それも2人も!!」

「新型の神機使いですか?」

 

 珍しいですね、1つの支部に新型がそんなに集まるなんて。

 

「しかもさ、そのうちの1人が……なんと、アネットなんだよ!」

「えっ、アネットって……アネットさんの事ですか!?」

「そうそう、ドイツ支部から本人の強い要望でこっちに来る事になったんだって、ツバキ教官から聞いたんだ!!」

「それは楽しみですね」

 

 つまり、私にも後輩がまたできるんですか、嬉しいですね。

 ……あれ? でも、アネットさんが来るんですよね?

 

「……ヤバいじゃないですか」

「は?」

「コウタ、ありがとうございます。カズキの所に行ってきます!!」

「え、おい、アリサ!?」

 

 コウタが私を呼びますが、それを無視して一直線にカズキの部屋に。

 

「カズキ!!」

「……アリサちゃん?」

 

 少し驚いた顔で、カズキは1人でベッドに座っていました。

 

「ラウエルはどうしたんですか?」

「ラウエルならシオちゃんの所に行ったよ、アリサちゃんに嫌な事しちゃったって言ってた」

「えっ?」

 

 嫌な事なんてされた覚えなんか、ないんですけど……。

 

「自分ばっかり独り占めしてごめん、だって」

「…………ラウエル」

 

 あの子は無邪気で天真爛漫で、たまに空気を呼んでくれないけど、とっても優しい。

 けど、気を遣わせちゃってちょっと可哀想な事しちゃいましたね。

 

「おっ……」

「えへへ……」

 

 ベッドに座るカズキに飛び込む。

 はふー……やっぱり、カズキに抱きつくと幸せな気持ちになれます。

 

「あっ……えへ」

 

 すぐにカズキが抱きしめ返してくれました、また顔がにやけちゃいます。

 

「アリサちゃんは甘えん坊だね」

「いいんです、私はまだまだ子供なんですから。大人になったらこうやって甘えられませんから、今のうちに目一杯甘える事にしたんです」

 

 まだちょっと恥ずかしさは残るけど、それ以上にカズキに対する愛おしさの方が大きい。

 

「ふふっ……」

 

 短く笑い、カズキは帽子越しに私の頭を撫でてくれました。

 

「にゃふー……」

 

 変な声が口から零れますが、自分でも止められません。

 

「あっ、そういえばコウタから聞いたんですけど、もうすぐ新型の神機使いがここに来るらしいですね」

「そうみたいだね。僕もさっきツバキ教官に呼ばれて、その話を聞いたばかりだよ」

 

 なんだ、カズキは既に知っていたんですね、ちょっと残念。

 

「アネットちゃんがまた来るみたいだし、また賑やかになりそうだね」

「そうですね」

 

 また賑やかになるのは良い事です、良い事なんですが……。

 

「……カズキがアネットさんに誘惑されないか、ちょっと心配です」

「ええっ!?」

「だって、アネットさんもカズキの事が好きみたいですし……」

「そんなバカな……」

「前にも言いましたけど、カズキは自分の魅力に気づいてないんです。

 アネットさんはカズキの優しさにめろめろなんです、誘惑されちゃいます」

「…………」

 

 ちょ、なんでそんな可哀想な人を見るような視線を向けるんですか!?

 私、別に変な事なんて言ってませんから、本当に誘惑されちゃいますから!!

 

「……うん、まあ……どんなアリサちゃんでも僕は好きだから」

「やめてください! そんな憐れみを含んだ目を!!」

 

 これじゃあ、私がアホの子みたいじゃないですか!!

 

「……でもさ、たとえアリサちゃんの言った通りだとしても、心配する事なんか微塵もないよ?」

「何で――ひゃっ!?」

 

 顔を上げた瞬間、カズキが首筋にキスしてきたものだから、変な声を出してしまいました。

 その後も耳や頬、そして最後は唇にキスをして……それだけで、私の身体は力が抜けてしまいます。

 

「僕が愛してるのはアリサちゃんだけだ、それはこれからも変わらない」

「あ、ぅ……」

 

 ……ああ、やっぱりカズキは私なんかより大人だ。

 こんな事、私じゃ絶対に言えない。

 打算も何もない、純粋な愛情をカズキはいつも私に向けてくれる。

 無理して大人になる必要はないけれど、カズキにここまで愛されてるのに、私は何も返せていない。

 カズキは優しいから、きっと「気にしなくていい」って言うに決まってますが、それでは私が納得できません。

 

『かずきー!!』

「へっ……? おわぁっ!?」

「きゃあ!?」

 

 いきなり入口が開いたと思った時には、時既に遅く。

 

「ぐへっ!?」

「ぶふっ!?」

 

 カズキと共に変なうめき声を上げ、飛び込んできたラウエルとシオちゃんにのしかかれました。

 軽い2人ではありますが、さすがに同時に乗られると重い……。

 

「み、みんな……ちょっと、どいてくれないかな……」

「えっ、あ、カズキ!!」

 

 一瞬忘れていましたが、カズキは一番下……すなわち、私達3人に乗られているんでした。

 慌ててラウエルとシオちゃんをどかし、私もカズキから離れます。

 

「はぁ……圧殺される所だった」

「圧殺とか言わないでください!!」

 

 失礼ですねカズキは、そこまで私は太っていませんよ。

 ……まあ、最近ちょっぴりお肉が付いてきたかなぁ、と思う事はありますが。

 

「というかラウエルにシオちゃん、いきなり飛びかかるとビックリするじゃないですか」

「あははー、ごめんなー」

 

 軽い調子で謝るシオちゃんに、私はおもわずため息が出てしまいました。

 もぅ、良い雰囲気だったのに台無しですよ。

 とはいえ、ラウエルやシオちゃんにそれを言っても無駄なので、仕方ないという事にしておきます。

 

「カズキ、ソーマが遊んでくれないからあそぼっ!!」

「あそぼー!!」

「え、ちょっと……」

「こらーっ!」

 

 ぐいぐいとカズキを引っ張る、ラウエルとシオちゃんを引き剥がす。

 

「カズキはこれから私と大人の世界に旅立つんですから!!」

「アリサちゃん、そんな事2人に言わないであげて」

「大人の世界ってなんだー?」

「なんだー?」

「大人の世界というのはですね……」

「やめて! 説明しないで!!」

 

 カズキに止められました。

「? よくわかんないけど、まあいいや。それよりあそぼっ!!」

「だーかーら、カズキは今から私と2人っきりで過ごすんです!!」

「アリサずるーい!!」

「ずるくなーい!!」

 

 その後も、私達はぎゃいぎゃいとカズキの部屋で暫く騒ぎました。

 結局、非番だったというのにカズキと恋人らしい事なんて殆どできませんでした。

 もー、これじゃあいつまで経っても次のステップに進めないじゃないですか!! とほほ……。

 

 

 

 

To Be Continued...

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