イチャつきが多いです、でも書きたいんです!!
「…………暑いですね」
季節は夏、日本にあるフェンリル極東支部も当然ながら暑かった。
エントランスロビーには第一部隊+ローザ達アラガミ3人娘(一応ローザとシオとラウエルだと明記しておく)が談笑していたが……その半数以上が暑さにやられていた。
特にアリサに至っては、ただでさえ露出の多い服をパタパタと仰いでおり、それを遠目から男達が眺めている事にも気づかないほどに参っていた。
「……アリサ、今すぐそれをやめて」
さりげなく彼女が周りに見えないように移動しつつ、キッと男達を睨みつけるカズキ。
その鋭い眼光に、男達はそそくさと離れていった。
「ソーマ……あつい~」
「じゃあ引っ付くんじゃねえ」
「ってかソーマ、お前その格好……」
いつも通りフードを被ったままのソーマ。
見てるこっちが暑くなるような格好だ、というより彼は暑くないのだろうか?
「お兄ちゃ~ん……涼しくして~」
「ローザ、無茶を言わないでよ」
「こういう時は、キンキンに冷えたビールでもひっかけたいねえ……」
「リンドウの場合、一年中そうじゃない」
「――弛んでるなお前達、そういう時は任務に励んで暑さを紛らわせたらどうだ?」
「げっ……」
「教官……」
皮肉を込めた口調で言いながら登場したツバキに、一部の者の表情が引きつる。
「暑いのはわかる、だがやるべき事もせずに駄弁っている暇があるなら働け。わかったな?」
冷ややかな視線をツバキから向けられ、全員が反射的に頷きを返した。
それを見て満足そうに頷いてから、ツバキはカズキへと自身の用件を告げる。
「カズキ、悪いがお前には特別任務を受けてもらう」
「特別任務……?」
「そうだ。エイジス島に接触禁忌種が多数確認された、お前にはそのアラガミ達の討伐とエイジス島に残された物資の回収だ」
「うわあ、カズキってば相変わらずハードな………」
彼の力量ならば仕方がないとはいえ、さすがに同情してしまう。
まあしかし、彼ならば大丈夫だという確信をその場にいた全員が満場一致で抱いているのだが。
「ああ、それと……さすがに第一部隊をフルメンバーで送る事はできないが、誰か1人くらいなら同行を許可するぞ」
以上だ、そう言い残しツバキは行ってしまった。
「……姉上、気を遣ってるな」
「ええ、どう考えてもそうよね……」
わざわざ1人と言っている辺り、わざとらしさすら感じられた。
誰か1人の同行を許す、そんな事を言われればカズキが誰を選ぶのかなど決まってるわけで……。
「じゃあ――アリサ、一緒に来てくれる?」
(だろうな)
「はい、了解しました!!」
(アリサすっげえ笑顔……)
これからデートに行くかのような素晴らしい笑みだ、これには全員が苦笑い。
「いいなあ……お兄ちゃん、ローザも行きたいよー」
「それは無理だよローザ、ツバキ教官は僕とあと1人だけって言っていたじゃないか」
「ローザはゴッドイーターじゃないもん、シオとラウエルだって行きたいよね?」
「いきたーい!!」
「ソーマが行くならシオも行くぞー!!」
「誰が行くか」
「じゃあ、シオもいかない」
(今、さりげなく嬉しそうな顔をしたな、ソーマ)
若干の変化であり普通なら気づかないが、付き合いの長い第一部隊の面々は気がついた。
自分基準で考えてくれたシオに、ソーマは嬉しいと思ったと。
しかしからかう者はいない、カズキと違って手痛い反撃が待っているからだ。
一方――アリサは口元をだらしなく緩めながら、これからの事について胸を躍らせていた。
(カズキと2人っきり……しかもエイジス島は夏の海、つまり…水着です!!)
前に水着を買っておいてよかった、過去の自分に最大限の賛辞を送るアリサ。
……完全に任務の事を忘れているようだ。
(私の水着姿を見て興奮するカズキ……あっ、ダメですそんな……はじめてが外でなんて……!)
桃色の酷い妄想である、当然ながらお見せできないしさせない。
(パパ、ママ……私は、アリサはこの夏で女になってみせます!!!)
「…………なあ、なんでアリサはいきなりガッツポーズなんかしてんだろ?」
「知るか。だが係わり合いにならない方が身の為だな」
■
――と、いうわけで。カズキとアリサはフェンリルの船でエイジス島へ。
地下通路を使うという選択もあるのだが、先に任務へと向かった第二部隊の面々と地上で合流する事になっているので、船で向かっているのだ。
さて……上記の説明でわかったと思うが、一応説明しよう。
まず始めに、この任務はカズキとアリサだけが遂行するわけではない。
そもそも当初はエイジスの物資回収のみの任務だったのだが、接触禁忌種が確認された為に急遽としてカズキに白羽の矢が立ったのだ。
つまりである、この任務によって2人っきりで夏の海を満喫し、ひと夏の思い出を作ろうというアリサの計画は最初から叶う筈もなかった訳で。
「…………」
「あの、アリサ……顔が恐い……」
「元からです!!!!」
結果、アリサは大変ご立腹な状態になってしまいカズキもこれには困ってしまう。
「大変ね」
「はは、まあ……」
先遣していたジーナの言葉に、カズキは曖昧な笑みしか返せない。
だが、まあ……男として眼福ではあるとカズキは思う。
なにせアリサもジーナも普段の服装ではなく、水着姿だからだ。
ジーナは露出の少ない競泳用の水着だが……アリサは、チェック柄のビキニ姿。
「……鼻の下が伸びてるわよ?」
「うっ……」
否定できない、現にカズキの視線はアリサの水着に向けられっ放しだ。
「でも接触禁忌種が確認されたから、油断はしないように」
「わかってますよ、だからこそこうやって神機を持ってきたんじゃないですか」
ちなみにカズキも水着に着替えている、正直神機を持っていると違和感があるが気にしない事にした。
(うー……いっぱいカズキに甘えながら私の水着姿を褒めてもらって、その後は色々と……っていう私の計画が水の泡じゃありませんか!!)
おもわずジーナに対して文句を言おうとしてしまうアリサであったが、自分達がエイジスに来た理由を思い出し思い留まる。
だがそれでも、欲を言えば彼と2人っきりで夏の海を楽しみたいと思ってしまうのは、我侭なのだろうか。
「アリサ」
「あ……カズキ」
恋人に名を呼ばれ、先程よりも冷静になったアリサは自分の態度を思い出し気まずくなった。
(任務で来てるのに……私ばっかり浮かれて、どん引きです……)
これでは彼も呆れているだろう、そう思いアリサはカズキから視線を逸らしたが……彼女の不安は杞憂に終わる。
「……あー、その」
「…………?」
「あのさ、任務で来てるのにこんな事を言うのはおかしいのかもしれないけど……その水着、よく似合ってる。可愛いよ」
「ひゃい!?」
変な声が出てしまった、しかしアリサにとって今の一言はあきらかな不意打ち。
褒められた、恋人に自分が一生懸命選んだ水着を可愛いと言ってくれた。
驚きの後にアリサを襲ったのは、当然ながら嬉しいという感情。
「ごめん、浮ついた考えで……でもさ、やっぱり言いたかったというか、その……」
「い、いいんです。むしろどんどん言ってください!!」
「え、あ、そう……?」
「それに私だって、カズキと2人っきりの海を満喫したいとか思ってましたから……人の事言えないです」
暴露してから、恥ずかしさからか顔を赤らめ俯いてしまうアリサ。
「嬉しいよ、アリサ」
「カズキ……」
「…………盛り上がってる所に水を差したくはないのだけれど、アラガミが来ているわよ?」
『えっ?』
少し遠慮がちにそう言い放つジーナの言葉を聞き、2人は自分達の世界から現実に戻る。
すると、2人は海の中から現れた三体のグボロ・グボロにようやく気がついて。
「――私とカズキの時間の邪魔をしてくれましたね」
「――僕とアリサの時間を邪魔してくれたね」
まったくの同時に同じ事を言い放ち、2人は神機を担ぎながらアラガミへと吶喊した。
その姿はわかりやすいまでに怒りに包まれており、ジーナは援護をするのが馬鹿らしくなりその場から少し離れる事に。
「……同情するわね、アラガミに」
――その後、哀れ2人の邪魔をしたアラガミ達は数分も経たずに駆逐されたのは言うまでもない。
これは書籍の「SUMMER WARS」を参考に書いています。
とはいえ勿論内容は全然違いますね、主にいちゅつき成分がだんちです。