長かった…書きながら恥ずかしい思いをしたのもいい思い出……。
バカップル達のゴールインをお楽しみください!!
「――えっと、つまり要約すると」
「はい……」
「カズキが最近素っ気なかったのは、高難度の任務ばかり行ってたからで」
「そういえばあいつ最近より一層任務に行ってたな」
「その理由は、アリサにプロポーズするための指輪を買うためで」
「はい……」
「すげえな、あいつ」
「リンドウにはそんな甲斐性なかったものね」
「プロポーズされたのはいいけど、カズキを疑っていた自分自身に対する自己嫌悪と、カズキにプロポーズされたという事実に対しての嬉しさと羞恥心がハンパなくて気絶してしまって」
「…………はい」
「初々しいわねー、アリサ」
「いや、今回のそれは絶対に悪手だって」
「それから丸二日、お互いにぎぐしゃくしてまともに喋っていなくて当然ながらプロポーズの返事を返していない、と?」
「……………………はい」
頷いた瞬間、第一部隊の面々から冷たい視線を向けられるアリサ。
そのせいで余計に小さくなっていく彼女であったが、助け舟を出す者はいない。
――そう、カズキのプロポーズから二日間が経っているというのに、アリサはいまだ答えを返してはいなかった。
これには第一部隊の面々も庇護できない、彼があまりに可哀想だ。
「意を決したのに……アリサ、お前ってヤツは……」
「うっ……!」
「カズキが明らかに空回りしてるのはそのせいだったのか……」
「ううっ……!」
「それでも隊長として任務に励むとは恐れ入ったぜ、俺だったら絶対に部屋で引き篭もってるレベルだな」
「ううううう……!」
散々な言われようだが、今のアリサに反論する余地はなかった。
無論彼女とて返事を返そうとした、しかし……ショックを受けたような表情を浮かべるカズキの顔を見て、結局何も言う事ができなかったのだ。
「――で、アリサは諦めるの?」
「っ、そ、そんな事できるわけないじゃないですか!!」
「だったら、こんな所で油を売っている暇なんてないっていうのはわかるわよね?」
「そ、それは……わかっていますけど、今更カズキになんて言えばいいのか……」
自分はカズキの勇気を踏み躙った、それは絶対に許されない事だ。
カズキならば謝れば許してくれるだろう、しかしそれではアリサの気が済まない。
「確かに、カズキのプロポーズをすぐに受けなかったんだし……何かしないとな」
「……別にいいだろうが」
「いえ、なにかしないと私の気が済みません!!」
『うーん……』
とはいえどうすればいいのか、考える一同であったが……すぐに考えるのをやめた。
「や、これはアリサ1人で考えないと」
「ええっ!?」
「まあそれもそうだ、元はといえばアリサが撒いた種だし」
「うっ……そ、それはそうですけど……」
じゃあ解散~、さっさと各々の場所へと戻っていく第一部隊の面々。
薄情者……とは今回ばかりは言えない、向こうの言い分の方が正しいのだから。
「…………はぁ」
とりあえず一度自室に戻る事にしよう、思い足取りでアリサは歩みを進めていった。
『おかえりー』
「ファッ!?」
そして自室に戻り扉を開いた瞬間――部屋の中に、アリサをジト目で睨むローザとよく状況がわからないまま連れて来られたであろうラウエルの姿があった。
仰け反り変な声を上げるアリサに、ローザは何も言わず『いいから入れ』と視線だけで彼女に訴えかけた。
その迫力に圧され、ますます重くなった足取りのままアリサは自室に入り2人の正面に座り込む。
『…………』
「…………」
無言のまま睨まれ、アリサは再び小さくなっていく。
これでは針の筵じゃないですかやだー、と軽く現実逃避をしていると……ローザが口を開いた。
「……お姉ちゃん、お兄ちゃんの事……まだ好き?」
「えっ……?」
「お兄ちゃんの事、まだ誰よりも好きって自信あるよね?」
「も、もちろん!」
力強い返事、それを見て――ローザはいつものように無垢な笑顔をアリサに向けた。
「うん、ならローザからは何も言う事はないかな」
「……怒ってる、よね?」
「ううん、でもお姉ちゃんがヘタレだとは思わなかったから驚いた」
「うぐっ……」
「ろーざ、へたれってなにー?」
「アリサお姉ちゃんみたいな人の事を言うんだよ、ラウエル」
「ありさはへたれなのかー」
「ぐぐぐ……!」
ラウエルの純粋な言葉が、まるで槍のようにアリサの心を貫いていく。
彼女に非はない、しかしそれでも今の言葉はある意味で心に響いた。
「お姉ちゃんがお兄ちゃんの事が好きなら大丈夫だね。後は……お姉ちゃん次第」
「…………」
「ローザ、アリサお姉ちゃん以外の人をお兄ちゃんのお嫁さんって認めたくないもん」
「ローザ……」
こんな自分を励ましてくれる、好きで居てくれる。
それのなんて幸せで尊いことか、おもわず涙ぐんでしまうのを必死で耐えながら、アリサは勢いよく立ち上がった。
「お姉ちゃん、頑張ってね?」
「んー……よくわかんないけど、ありさがんばれ!!」
「ええ、私の全身全霊の想いをカズキにぶつけてきます。そうしないと……私はカズキの隣に居る資格なんてないから」
「かずきならえんとらんすにいたよー」
「ありがとうラウエル、いってきます!!」
飛び出すように自室から出て行くアリサ、その場に残されたローザとラウエルは顔を見合わせ笑みを浮かべる。
「世話が焼けるね、お兄ちゃんもお姉ちゃんも」
「ねー!」
「さてと……じゃあ部屋に戻ろうか? いつまでもお姉ちゃんの部屋に居たらツバキ教官に小言を言われちゃいそうだし」
「つばきがおこると、こわいなー……」
「あはは、教官の前で言ったら駄目だよ?」
「はーい!」
(……お姉ちゃん、お兄ちゃんと幸せにね?)
■
――初めは、頼りない人だと思ってた。
「はぁ…はぁ…はぁ……」
――でも、だんだんと彼が優しい人だとわかってきた。
「カズキ……カズキ……」
――でも私は子供だから素直になれなくて、そんな私にも彼は優しくしてくれた。
「……居た。カズキ!!」
――彼の事を知る度に、どんどん自分の中で彼に対する想いが強くなっていって。
――けれどやっぱり素直になれなかった時もあって、自己嫌悪した時だって何度もあった。
――そんな私を、彼は好きだと言ってくれた。
「……アリサ?」
――恋人同士になっても私は彼に甘えるだけで、相変わらず子供だった。
――彼を守れるくらいに強くなりたいと願って、お互いの絆はどんどん深まっていって。
「…………カズキ、大切な話があります」
――時には喧嘩もしたけど、それによってより一層お互いが好きになっていった。
「アリサ……」
――なのに私は、そんな彼の想いを子供であったが故に蔑ろにしてしまった。
――だから、もう逃げたくはない!!
「ふ、不束者ではありますが……末永くお願い致しみゃす!!!」
エントランスの空気が凍る。
真っ赤な顔で叫ぶようにそう告げたアリサへと、カズキを含めその周囲に居た全員の視線が向けられた。
(噛んだ……)
(噛んだよな、今の……)
(おもいっきり噛んだな……)
全員が思う事はそれだけ、しかし……その意味を理解したカズキは、目を見開いて驚いていた。
彼女が告げた言葉の意味、つまり、それは。
「……ありがとう、ありがとう……アリサ……」
「あ……」
彼女の想い、それが自分と同じだとわかりカズキはそのままアリサを抱きしめる。
その光景を見ていた者達は再び固まったが――やがて、突如として現れた喝采によって現実に引き戻された。
「――えんだああああああああああああ!!」
「――いやあああああああああああああ!!」
「コウタ、黙れ」
「リンドウ、うるさい」
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、おめでとう!!」
「おめでとー!!」
「カズキ、アリサ、夫婦になるんだな!!」
現れたのは第一部隊とローザにラウエルにシオ、全員が笑顔を浮かべカズキ達を祝福している。
……やがて、エントランスに居た他の者達も状況を理解して同じように2人へと祝福の言葉やからかいの言葉を放っていく。
一部地面に膝を突き嘆いている男性局員達が居るが、めでたい場面でそれにツッコミを入れる野暮な者は居ない。
「まったく……騒がしいぞ、もう少し静かに祝福できないのか?」
「などと言いつつも、口元に笑みを浮かべるツバキ君なのであった」
「……博士、何か仰いましたか?」
「皆さん、ありがと、う……ございま……ぐすっ……」
あらゆる者達からの祝福の言葉、それを受けてアリサの瞳からは大粒の涙が。
無論それは悲しみの涙ではなく、嬉しい涙であるのは言うまでもない。
「よっしゃ結婚式だ!!」
「非番の連中を集めろ! それと技術班に連絡してアリサちゃんのウエディングドレスを仕立てるんだ!!」
「合点承知の助!!」
「古っ!?」
「女性陣は花嫁のメイクをするわよ!」
『了解!!』
あれよあれよと準備を進めていく面々、アリサはポカンとしたまま女性陣に連れて行かれ……残されたカズキは、いまだ固まったままであった。
「おめでとー、カズキ!!」
「コウタ……」
「フン、これで少しはテメエ等もおとなしくなってくれればいいんだがな」
「ソーマくん、ここは素直に賛辞を送るべきだとオッサンは思いますよ?」
「うるせえ。……まあ、なんだ、その……幸せになれよ?」
「うん、ありがとうソーマ」
「ソーマがデレた!!」
「コウタ、テメエ殴られたいようだな……!」
「ぐへえ!? ちょ、既に殴ってんですけど!?」
いつも通りの漫才を始める2人、それを苦笑しながら眺めていたカズキに……リンドウは彼の肩に手を置きながら口を開く。
「カズキ、アリサと夫婦になったからってそれで終わりってわけじゃない。これから先もお前達はゴッドイーターとして力なき奴らを助けていくだろう。
だがな――まずは自分達の幸せを考えろ、それが今を生きている者達の役目でありお前達ができる助けられなかった者達に対する礼儀だ。生きているなら幸せを求めろ、それは謂わば責務みたいなもんだからな」
「リンドウさん……」
「……あー、ガラにもないこと言っちまったな。オッサンの戯言だと思って流してくれや」
「いえ、その言葉は絶対に覚えておきます。大切なことだから」
「お前は本当にクソ真面目なヤツだ、だがまあ……ありがとさん」
互いに笑みを浮かべ合うカズキとリンドウ、コウタとソーマはいまだ漫才の真っ最中である。
――そして、簡素な形ではあるもののカズキとアリサの結婚式は盛大に開かれた。
純粋に祝福する者、からかうように野次を飛ばす者、そして血涙を流す者……いや、最後のは割愛しよう。
リンドウとサクヤの結婚式にも決して見劣れしない美しい儀式は、この無常な世界を僅かに癒す。
「――アリサ、愛してる」
「――カズキ、愛しています」
To.Be.Continued...
如何でしたでしょうか?
楽しんでいただけたのなら幸いですが、書きながらニヤついてしまった私はきっと末期なのでしょうね……。
次回の予定は未定です、さて次は何を書こうか…というか、まずは話を考えないと。