神々に祝福されし者達【完結】   作:マイマイ

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……大丈夫だよね?

最初に番外編の最後に書く話はこれだと決めていたけれど、なんだか生々しい話になってしまったような。


番外編11 ~永遠の愛を誓う契り~

「――あと4日だよな?」

「何が?」

 

 エントランスロビーで会話を弾ませるカズキとコウタ。

 コウタの台詞に全員が反応を示し、彼は次の言葉を紡いだ。

 

「何がって……あと4日でカズキの誕生日だろ?」

「…………ああ、そういえば」

「なんだよその淡白な反応……」

「ここ数年は誕生日を祝ってもらった事なんてなかったからね、でもそうか……僕も年齢でいえば成人になるのか」

「ガラスの十代が終わっちまうな」

「何それ……」

「――何の話してるのー?」

 

 2人の会話を聞いたのか、任務から戻ってきたローザが会話に加わる。

 

「ほらローザ、もうすぐカズキの誕生日だろ?」

「あっ、そうだったそうだった……じゃあみんなで盛大にお祝いしないとね!」

「だな! カズキ、楽しみにしてろよ?」

「……あー、えっと……」

 

 何故か曖昧な態度を見せるカズキ。

 

「どうしたの?」

「うん、えっと……悪いんだけど、パーティーは開かなくていいや」

「なんで?」

「その日も任務で忙しいと思うし、というかまだ決まってるわけじゃないんだけど……サカキ博士と色々と話さなくちゃいけない事もあるから」

「えー……」

 

 見るからにローザの顔が不機嫌そうに歪む。

 それを見てごめんねと謝罪の言葉を送るカズキであったが、ローザの機嫌は直らない。

 

「僕はみんなが祝ってくれればそれで充分だから」

「でも……」

「ローザ、任務があるんだし仕方ねえよ。ローザだってゴッドイーターになったんだからわかるだろ?」

「………………はーい」

 

 コウタに論され、不承不承ながらも納得するローザ。

 それに対し、カズキはもう一度ごめんと謝罪の言葉を送るのであった。

 

 

 

 

「――まったくもう、お兄ちゃんってばパーティーより任務の方が大事なのかしら?」

「いや、任務の方が大事に決まってるでしょ……」

 

 先程のやりとりをアリサに告げながら、ローザは自分で淹れた紅茶を乱暴に飲み干す。

 まだまだ子供な義妹に、アリサは苦笑する事しかできない。

 だが……アリサとしてもカズキの誕生日パーティーを開きたいと思っていたので、この結果は残念だと思っていた。

 仕方ないと彼女自身もわかってはいるものの、それでも…彼の生まれた大切な日を精一杯祝いたいと思ってしまう。

 

「……まあ、せめてお姉ちゃんだけはお兄ちゃんに精一杯祝ってあげてね?」

「えっ?」

「いくら任務で遅くなるとしても、同じ部屋に住んでいるんだし……お兄ちゃんはお姉ちゃんに祝ってもらえれば充分だろうから」

「そうかな……?」

「そうだよ。じゃあお姉ちゃん、頑張ってね?」

「…………」

 

 カズキの誕生日を祝いたい、この気持ちに嘘はない。

 けれど任務で遅くなると考えると、あまり盛大な祝い方はかえって彼の迷惑になるだろう。

 慎ましく、けれど精一杯の気持ちを込めて祝福しよう。

 アリサは改めてそう心に誓ったのであった。

 

 一方、先程のやりとりを終えたカズキは神妙な面持ちでリンドウとサクヤの部屋へと訪れていた。

 

「…………そーか、遂に決心したか」

「はい。……遅すぎましたけど、誕生日の日になれば僕も年齢的には成人になりますから。まあ……僕の中で一応の区切りになるかなと」

「お前意外とそういう所はヘタレだからな、だがそういう風に真面目に考えてやれるのがお前の良い所だ、だが……ちゃんと優しくしてやれよ?」

「わ、わかってます……」

「さすがのお前さんも緊張してるみたいだな、だがそれはアリサだって同じ事なんだ、それはわかるな?」

「ええ……」

「なら男としてリードしてやれ、頑張れよ?」

 

 優しい笑み、年長者として後輩を安心させる確かな力があった。

 それを見てカズキの中で緊張が薄れていき、彼の中で抱かれている決意がまた強くなった。

 

――そして、4日後。

 

「――おかえりなさい、カズキ」

「ただいま。まだ起きてたの?」

 

 隊長として任務を行い、もうすぐ日付が変わる頃に部屋へと戻ったカズキを、ケーキを持ったアリサが出迎える。

 彼女がまだ起きていた事に驚きつつ、持っていたケーキを見てその理由を理解して、カズキの表情が自然と綻んだ。

 

「わざわざありがとうアリサ、とっても嬉しいよ」

「大切な人の誕生日を祝うのは当然です。お誕生日おめでとうございます、カズキ」

 

 早速テーブルで向かい合うように座り、パーティーを始める2人。

 防音がしてあるとはいえ遅いので、あまり大きな音を立てないように気をつけながら、2人は楽しく談笑する。

 こんな世界でも、2人は確かな幸せを噛み締めながら生きていき、そして力なき人々を守るために戦い続けていく。

 仲間として、夫婦として互いを支え合い高めあい……これからも2人はどこまでも高みへと登りつめていく事であろう。

 

――そして、カズキにとってこの日は“覚悟”を決めた日でもある。

 

「…………ねえ、アリサ」

「はい、なんですか?」

「今、疲れてる? もう寝たいと思ってる?」

「えっ? いえ……今日は任務の数も少なかったですから、別段疲れているわけじゃないですけど……」

「明日は確か、今の所は非番だよね?」

「そうですね、でもそれがどうかしたんですか?」

「………………」

「???」

 

 突然神妙な面持ちになったカズキに、アリサは首を傾げる事しかできない。

 先程までの和やかな雰囲気はなりを潜め、どこか緊迫した空気を纏い始めた。

 

「……僕は今日で20歳になった、つまり年齢でいえば成人を迎えたってことになる」

「え、ええ……そうですね」

「でも僕はまだまだ子供で、夫として妻である君を支えているとは思えない」

「そんな事ないですよ、カズキはいつだって私を支えてくれています」

「ありがとう。……って、そういう事を言いたいわけじゃないくて……えっと、その……」

「?????」

 

 本当にカズキは一体どうしたのだろう、何だかいつもの彼らしくないとアリサは思う。

 どこか緊張しているし、物事をはっきりと言う彼にしては珍しく何か言い辛そうにしていた。

 彼の言葉を待つこと暫し――ようやく彼が自分の告げたい言葉を口にしたのだが。

 

「―――今日、僕と一緒になってほしい。いいかな?」

 

 その内容は、瞬時に理解するのは難しいものであった。

 

「………………えっ?」

 

 アリサの思考が停止する。

 一緒になってほしい、その言葉はしっかりと耳へ入ってきたのだが……その意味をすぐに理解する事はできなかった。

 ポカンとすることおよそ十秒弱、アリサはようやく彼の言葉の意味を理解して……絶叫した。

 

「えええええええええええっ!!?」

「…………」

「い、一緒になるって……そんな、ええっ!?」

「……いきなりこんな事を言うなんておかしいかもしれない、でも僕の中では前から決めてて……ごめん」

「い、いえ、別に謝るような事でなくてですね……で、でも……一緒になるって、つまり……()()()()事ですよね?」

 

 真っ赤な顔で問いかけるアリサに、カズキも顔を赤くさせながら無言で頷いた。

 更に顔を赤らめるアリサ、つまりカズキは今日……自分と“初夜”を迎えようと言っているのだ。

 

「と、突然で本当にごめん。でも……僕だってアリサと、その……そういう事をしたくないわけじゃなかったから」

「……私がいくら誘惑しても襲い掛かってきませんでしたから、興味ないのかと思っちゃいましたよ」

「そ、そんなわけないだろ。僕だって、男なんだから」

「…………」

 

 場に充満していく重い空気。

 お互いに黙りこくってしまい、カズキはすっかり自分の身勝手さを悔やんでいた。

 

(も、もう少しやりようがあったのに……僕ってヤツは……)

 

 やはり唐突過ぎた、この決意を固めるのに時間が掛かったとはいえあまりに相手への配慮を欠いている。

 今日はもうよそう、カズキがそう言って場の空気を元に戻そうとした瞬間。

 

「――――いい、ですよ」

 

 小さく、本当に小さな声で……アリサは確かにそう言った。

 

「えっ……」

「カズキが望むなら、いいです。それに私も……ずっとこうなる事を夢見てきましたから」

 

 カズキと恋人同士となり、辛い戦いの中でも懸命に生き2人の思い出を作ってきた。

 そして今では夫婦となり、今まで以上の幸せの中で生きている。

 

 だがそれでもアリサはどこか不安であった、何故なら夫婦になったというのに一度も性行為を行っていなかったから。

 無論それをしなければ夫婦になれないわけではない、それはわかっていたが……アリサの中に在る“女”がカズキを欲している。

 今よりももっと深い所で繋がりたい、今まで以上の絆で結ばれたい。

 願い、思い、そして今……それが叶おうとしている。

 ならばアリサが断る理由などあるはずがなく、彼女は穏やかな表情でカズキへと視線を向けた。

 

「私、今本当に幸せです。大好きな貴方と一緒に居られて、そして貴方が私を欲してくれている。それが本当に幸せなんです」

「アリサ……」

「大好きですカズキ、今日……私を貴方のものにしてください」

「…………」

 

 両手を広げ、カズキを受け入れるような体勢になったアリサを見ながら、カズキはゆっくりと立ち上がり彼女の元へ。

 そしてそっと添えるだけの口付けを交わしてから、優しく彼女を抱きかかえベットへと降ろした。

 アリサの白銀の髪がベッドに広がり、顔を赤らめ潤んだ瞳でこちらを見つめるその姿は、ただただ美しく官能的に映る。

 おもわず生唾を飲み込むカズキ、知らず知らずの内に息を荒くなっていき、彼の“男”が確実にアリサという存在を欲していた。

 

「カズキ、はじめてですから……優しくしてくださいね?」

「…………うん、もちろん」

「愛してますカズキ、これからもずっと……」

「僕もだ、愛してる……アリサ」

 

 互いに愛の言葉を紡いでから、どちらからともなく口付けを交わす。

 そして今宵―――2人は永遠の愛を誓いながら、契りを交わした。

 

 

 

 

――ここで、彼等の物語は一度幕を降ろす。

 

 だが物語は終わる事はなく、彼らは再び運命の渦に飲み込まれていく。

 その物語が大きく動き出すのは……今から2年後の2074年。

 ある少年達との物語と交差し、カズキは……新たな戦いへと身を投じていく事となる。

 

 

 

 

NEXT.New Episode.....




はい、これにて番外編は終わりになります。

次回からはいよいよ『GE2』編である第三部となります。

今後の予定を活動報告に書きましたのでそちらも見ていただけると嬉しいです。
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