神々に祝福されし者達【完結】   作:マイマイ

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リクエストを頂いたので正月話です。

……正月成分が無いというツッコミは受け付けません、受け付けませんとも!!

というかちょっと内容的に大丈夫か?まあ直接な描写は無いから大丈夫なはず……。

ちなみに時系列は第三部より前の話ですので。


番外編12 ~とある夫婦の正月……?~

「――あけまして、おめでとうございます」

「おめでとうございます!」

「あけましておめでとうアリサ、ローザ、今年も宜しくね?」

 

――極東に新年がやってきた。

 

 新しい年を迎え、カズキ達は新年の挨拶を交わす。

 今日ばかりは任務も忘れてのんびり……とはいかないのが現実である。

 

「それじゃあ僕は任務に出かけてくるから」

「はーい……せっかくのお正月なのに」

「仕方ないさ。じゃあ行ってきます」

「はい、いってらっしゃい」

 

 日課である出発の際の口付けを交わしてから、カズキは部屋から出て行く。

 それを見送ってから、アリサは任務で忙しくてできなかった部屋の大掃除を始める事にした。

 

「お姉ちゃん、有給なのに掃除するの?」

「一年の汚れを取らないとダメでしょう? カズキは忙しいんだから代わりに私がやっておかないと」

「はぁ……お姉ちゃん、そういうのも大事だけどなんだか枯れてるね……」

「ぐっ……だ、だってしょうがないじゃない。まだおせち料理みたいな凝ったものは作れないし、何より材料が無いの。

 私だって正月くらいカズキと一緒に静かに過ごしたいけど、奥さんには色々とやる事があるんです!」

 

 結婚して、アリサは誰かと一緒に暮らすという大変さを思い知った。

 自分だけが生活しているわけではない、言葉ではわかっていたが負担が単純に二倍になるという事は、予想以上のものだったのだ。

 掃除や洗濯だけではない、カズキの為に料理を作る。

 しかも今まで通りゴッドイーターとして戦いながらである。

 

 本当に大変で、時には嫌だと思うことだって一度や二度ではなかった。

 ……だが同時に、アリサは改めてカズキと結婚してよかったと思う事ができた。

 確かに大変だ、それは認めるし認めざるおえない。

 今こうして大掃除をしているが、本音を言えばカズキに手伝ってもらいたいと思っている。

 

 でも、こうして愛する者と共に歩み共に暮らし……支えて支えられてを繰り返しながら生きていく。

 当たり前のようでささやかな幸せ、それはきっと尊く今の時代では貴重なもの。

だからアリサは断言できる、今の自分は間違いなく幸せだと。

 

「ローザも休みなら手伝ってくれない?」

「えぇー……もう、しょうがないなあ」

「ありがとう」

「うーん……でもさすがにせっかくの休みなのに掃除だけで終わっちゃうなんて勿体ないよ。

 と、いうわけで……お姉ちゃん、いいよね?」

「えっ? 何がどういいのかよくわからないんだけど……」

「女の子だもん、やっぱりあのイベントは外せないよね!!」

「ねえローザ、主語が抜けてるから何を言ってるのかわからない……」

「じゃあ早速用意してくるね、お姉ちゃんはそのまま大掃除頑張って!!」

「は? ちょっとローザ――」

 

 アリサが呼び止めようとするが、ローザは素早く部屋から出て行ってしまう。

 雑巾を持ったまま、暫しそのまま固まってしまうアリサ。

 彼女は一体何を企んでいるのだろう、若干の不安を抱いたがそんな事よりも。

 

「…………大掃除、手伝ってよ」

 

 すっかり主婦になってしまったアリサは、そんな呟きを零してしまうのであった。

 

 

 

 

「――――ふぅぅぅぅぅぅ」

 

 とてつもなく大きなため息を吐き出しながら、カズキはアナグラへと帰還する。

 しかし仕方がない、朝早くから任務の為に出かけた彼であったのだが……夕方になるまでアナグラへと帰る事ができなかったからだ。

 自分が受け持った任務は勿論、様々な所から要請された応援の殆どに駆けつけたのだから、致し方ない。

 更にハンニバルにその侵喰種、その上ヤクシャにピターなど……多数の強力なアラガミに囲まれた時はおもわず叫びたかった。

 

 だがもう今日の任務は終わりだ、よっぽどの事が無い限りは。

 せっかくの正月なのに……野暮な事は考えないようにしていたカズキであったが、おもわずそう思ってしまった。

 神機を整備班に預けてから、エレベーターでエントランスロビーへと赴き…カズキは、人だかりが出来ている事に気がつく。

 一体なんだろうと、不思議に思いながらその人だかりへと向かっていくカズキ。

 

「あ、お兄ちゃん!!」

「えっ?」

 

 自分を呼ぶ声、それはカズキの妹であるローザの声。

 人だかりを抜けてカズキの元へとやってきたローザであったが、彼女の姿を見てカズキはキョトンとしてしまう。

 

「ローザ……その格好、どうしたの?」

「えへへー……どうお兄ちゃん、似合ってるよね?」

 

 くるっと一度その場で回って、ローザは問いかける。

 カズキがキョトンとしたのは今のローザの格好がいつものものとは違い、着物姿だったからだ。

 今はもう珍しい着物を身につけ、白銀の髪は簪と呼ばれる装飾品で結っている。

 青、というより藍色に近い着物には花柄の刺繍が施されており、和風な美しさを醸し出していた。

 

「似合ってるけど、それ……どうしたの?」

「ツバキ教官が貸してくれたの、教官が昔着てたものなんだって。

 お正月にはこういった『晴れ着姿』になるのが習わしだって聞いた事があったから、教官にお願いして着てみたの!」

 

 些か間違った知識ではあるが、今はそんな事どうでもよかった。

 子供っぽいローザも着物のおかげか大人びて見え、周りの男性達もすっかり魅了されている。

 

「綺麗だよ、ローザ」

「えへへ……嬉しいな」

 

 兄に褒められ、頬を赤らめて恥ずかしがるローザ。

 ……後ろの方から男性陣の変な声が聞こえたが、当然無視。

 

「さてと、お兄ちゃんから褒められたしローザはこれで満足かな」

「…………?」

「お兄ちゃん、お姉ちゃんが部屋で待ってるから早く行ってあげて?」

「……もしかして、アリサも?」

 

 カズキの問いかけに、ローザはニコニコしながら大きく頷きを返す。

 それを見て苦笑を浮かべつつ、カズキは自室に戻るためにエレベーターへと向かったのだった。

 

“お兄ちゃん、喜んでくれるといいな……”

 

――エレベーターを降り、カズキは真っ直ぐ自室へと足を運ぶ。

 

「…………アリサ、居る?」

「カズキ、ですか? は、はい……どうぞ」

 

 中からやや緊張したアリサの声が聞こえる。

 なんだかカズキまで緊張しつつも、一度深呼吸をしてから部屋へと入り……そのまま、立ち尽くしてしまう。

 

「お、おかえりなさい……カズキ」

「――――」

 

 出迎えてくれたアリサは、やはり予想通り着物姿であった。

 赤を基調とした生地に花柄の刺繍、ローザの着ていたものと色違いのデザインだ。

 しかしアリサはローザと違い簪で髪はまとめておらず下ろしたままの姿であり。

 

――ただ美しく、ただ魅力的なその姿に、カズキは声を出す事はおろか息すらできないほど魅了されていた。

 

「…………あ、あの……もしかして、似合ってませんか?」

「………………ぁ、えっと……」

 

 声が出ない。

 綺麗だよとか、似合ってるとか、褒める言葉は頭に浮かぶのにそれを出す事ができない。

 そんな安い言葉では、アリサの美しさは図れないから月並みな言葉では出す事すら躊躇われる。

 不安そうに自分を見つめている今の彼女ですら、カズキには魅力的な姿にしか映らなかった。

 

「ご、ごめん……凄く綺麗で……本当に、うん……」

 

 どうにか出せた言葉は、しどろもどろで何を言いたいのかはっきりしない。

 ただそれでも褒めた事だけはわかってくれたのか、不安の色を見せていたアリサの顔は一瞬で笑みに変わる。

 ……その姿に、カズキは再び魅了された。

 

 喉が渇き、息が乱れ、顔は際限なく熱くなっていく。

 それは普段のカズキを知る者からすれば本当に珍しい姿であり、事実彼はすっかり狼狽してしまっていた。

 そんな彼を見つめながら、アリサの表情も熱っぽくなっていく。

 瑞々しい唇は僅かに奮え、視線はどこか期待するかのような色を見せている。

 

「……本当に、綺麗過ぎて驚いた……というか、言葉が出ないよ」

「あ、ありがとうございます……ローザから聞いたとは思いますけど、ツバキ教官に協力してもらって着てみたんです。

 せっかくだからと思いまして……でも、カズキが喜んでくれてよかった」

「――――」

 

 まるで自分の事のように喜び、満面の笑みを見せてくれるアリサ。

 元々彼女の容姿は美しいと思えるものであったが、薄く化粧をしている今の彼女はいつも以上に美しく……魅力的だ。

 表現できない幸福感がどんどんカズキの内側から溢れていき、任務の疲れなどとうの昔に吹き飛んでしまった。

 ……それと同時に、抗えない感情も彼の中で生まれ。

 

「――ごめん」

「えっ――――きゃっ!?」

 

 小さく謝罪の言葉を放ちつつ――カズキは右手をアリサの腰へと回し、そのまま彼女をベッドへと押し倒す。

 ベッドのスプリングがギシリという音を立てながら沈み、カズキとアリサは互いを見つめあった。

 

「あ……」

「ごめん、でも……」

「……いいんですよカズキ、私も……求めてほしいから」

 

 両手をカズキの後ろに回し、少し強めに彼を抱きしめるアリサ。

 着物に皺ができるとか、汚れてしまうとか、そんな事はもう考えられる余裕は無かった。

 今はただ、お互いにお互いを求め愛したいという感情だけが、彼等に生まれている。

 

「こういうの……姫初め、っていうんですよね?」

「他にも意味はあるんだけどね」

「……沢山、愛してくださいますか?」

「もちろん、でも辛かったらすぐに言ってね?」

「カズキに何をされても辛いだなんて思いません、だから……来て、ください」

 

 もう、それ以上の言葉を交わす事はなく、カズキはアリサを求める雄へと姿を変える。

 そしてアリサもまた、貪欲にカズキを求める雌へと変化した。

 

――新年が、過ぎていく。

 

 愛し愛されながら、カズキとアリサは2人だけの時間を求め合った――

 

 

 

 

END...




これ正月の話にしなくてもよくね?

なんて思わないでください、お願いします。

それと今後リクエストがあってもおそらく消化できないと思いますのであしからず。
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