「・・・お。 おっはよーぅっ!!」
バスを降りて学校までの穏やかな坂道、ここでは沢山の生徒が丘の上を目指している。
仲のいい子同士で談笑してもよし。黙々と一人で登っても良し。そこらへんは個人の自由だと思う。
まぁ、要するにここからはオレの戦場になるわけだ。
「お、おい!リョウ!昨日なんで休んだんだよ!」
「ん~涼かよ、おはようさん」
「あはは。実はさー・・・・・・」
「お前馬鹿だなーっ!僕ならそんなことにはならないね!」
うっせー、メガネ。
「ホントに怖かったよ・・・。暗くて体も動かなくてさー死ぬかと思ったんだから」
「一体どこで倒れたんだよ」
「ん~と、別れた後すぐだから二人の家の近くの場所なんだけど分かる?」
「そんだけじゃわかんねぇよ」
「なー。」
って言われても暗かったし、仕方ないじゃん。
「あ、階段があったよ!ながーいながぁーーい階段!」
「階段?」
「うん」
「んなところあったか?」
「・・・・・・リョウ。もしかして声とか、聞こえたりした?」
はぁ・・・?
「うん。そんな気がしないでもないかも・・・?多分」
「や、やっぱり!!そ、それ八束神社の呪いだッ!」
「あぁーあったなァ。そんなの」
「あったなァ、・・・じゃないよッ!テッちゃんも知ってるでしょ!八束神社は祟り神を封印してる土地だから子供が行くと呪われちゃうんだって!きっとリョウは呪われたんだ!!」
ちょっ、声がデカいっつうの!
メガネが急に叫んだので他の生徒も何事かと此方を見てくる。なかには「呪い・・・?」とか「ほら、昨日休んでいた子」と早速噂になっている。
マズいなぁーと思いつつ、打開策を検索するもヒットしない。
子供社会でこんなレッテル貼られたらどうなるか考えろよな・・・・って言っても分かんないか。
「テッちゃん早く逃げようッッ!!こいつの近くにいると呪いが伝染るッ!」
「あ・・・!おいッ!まてって!」
さらりとメガネはトドメの一撃を食らわせてからテッちゃんを引っ張っていった。
ほんと仕事はしっかりしていくね、キミ。
チラリとまわりを見回すとだれもが顔を逸らし校舎に入っていく。
ハァ・・・。
オレのらくらくスクールライフ計画がご破綻だよ、全く。
こうなってしまってはなんともしようがないのでオレも校舎へと入っていった。
「は~い!じゃぁココっ!アリサちゃん!答えてくれる?」
机に突っ伏す。
姿勢は前のめりで。上半身全てを木の心地よさを感じることに集中する。
はぁ~・・・・キモチぃぃ。
そのままの体勢で、ふっと頭に浮かんだことをノートに書き写す。
・♫この~きなんのき キニナル♪キニナル♪ なまえもしらないきデースカラ♬
・現在絶賛現実逃避中ぅ(*^^)vピースピース
よし。どうやら頭の中がお花畑なことはわかった。
「あれれっ?涼くんゲンキないぞぉー!」
・ちがいます。
・きりょくがすくないんです。
・ほっといてください。
「・・・・・・無視するなんて先生傷つきました!罰としてこのムズかしいのっ!解っけるかなぁ?」
・・・右手がこんなにも懸命に答えてるのに先生はお気に召さないらしい。
・なんてごうまんなっ。
だよねー?ホント有り得ないよねー。 呼ばれちゃったし行ってもいい?
・らじゃっ。
よっこいしょ~~とゆっくりゆっくり席を立つ。ターゲットは黒板。窓側一番後ろのいわゆる大当たりの席が今はとても恨めしい。たくぅ、ただでさえ朝の1件から疲れてるっていうのに・・・。気力を消費しないようにとぼとぼ歩く。
ズルズル体を引きずりながらも1歩1歩確実に歩く様はまさしくゾンビだと思う。
オレが通ると両脇の席の子が気持ちのけぞる。
別にオレがゾンビみたいな顔なのではなく、演技がハリウッドなわけでもない。
ただ単にうわさが回ってるだけ。
『依光涼に近づくと呪われる』、って。
どうやら八束神社の呪いは感染するタイプだったらしい。びっくりびっくり。
朝、教室に入ってきたときには既に雰囲気がおかしかった。
特に弁解とかはしてない。別にどうでもよかったし。
「だ、だいじょうぶ?さっきまで寝てたからわからない・・・よね?ご、ごめんねっ。こっちの簡単な方にしよっか!・・・ね、ねぇ、聞こえてるかなぁ~?」
もー。大丈夫だって、中身小学生じゃないんです。
んぅ、数字遊びか 1、2、3、□、5・・・・・・ って4だよね。・・・・・・・・・少し虐めてるか。タイトルはこう〈いじめられっ子が女教師をいじめる!〉なんちゃって。 ※健全です
カキカキ
「さ、3,5!?えぇぇ、なんでぇー!?まだ教えてないのに・・・うぅ。で、でも間違いです。ごめんね・・・?」
涙目でこちらを伺ってくる。 おまえが泣いてどうするん・・・。
でも今はオレが泣く番なんだなー、残念ながら。
「ふぇっ・・・。。だぁって。エグッ! せんせの書き方なら、グズッ!・・・・・あってるもん」
すこし鼻声でいかにも泣きそうな感じをだす。ほらほら~心のダムが決壊寸前ですよぉ?みたいな。クラスメイトからも先生を咎める視線がいくつか発せられる。これは意外だった。てっきり全員先生の応援すると思ってたんだけど。そっか。うわさに流されないやつもいるんだな。
ってそれこそどうでもいいか。
「ち、ちょっと待ってね・・・・・・ほんとう。スゴいっ!!涼くんあたま良いんだねっ!じゃなくて!違うのっ!なんで知ってるのかは分からないけど少数じゃないの・・・・。けど私の書き方が悪かったのも事実だから、正解・・・なのかな?い、いいよねっ。うんっ!正解ですっ!皆、拍手!でも4も正解だからとなりに書いてあげてもいいかな?・・・うんっ。ありがとねっ!」
まばらな拍手をうけながら席に戻る。
放課後。チャイムが鳴ると同時に教室をでる。
いるだけで気力が失われるような場所にいるほどマゾじゃない。
廊下を通ると他のクラスから好奇の目にさらされる。
鬱陶しいので「呪ってやる」と呟いてみる。すると誰もが蜘蛛の子を散らしたように逃げ回る。
・・・・え、なにこれ超楽しいんだけど。
まじでまじで?、とオレも追い掛ける。
逃げる。
追いかける。
本気で逃げられる。
前世で陸上部だったオレに隙はなかった、ガチ走りを決行する。
遂に10数人を廊下の端まで追い詰める。
男子女子半々ってところか・・・。これから起こる惨劇を想像すると自然と笑みが浮かんでしまう。
この純な学校にきて一番驚いたこと。それは前の世界でのメジャースポーツの一つが存在しなかったことだ。それを今・・・・・・ここで、禁を解く。
じりじりと近づくオレに震え上がって縮こまる同級生達。
そして一番手近な男子の肩に手を置き、
「やぁ~~つぅ~~~かぁーー菌。 たっち☆」
暫しの間、その場は完全な静粛に包まれた。
触れられた子は顔面蒼白で歯をガチガチ震わせながらオレを見つめる。
オレは頷く。
その子は再度、たっち☆された自分の肩を凝視し、言葉を失った。
恐怖で固まったままの同級生達。仕上げに解放してあげよう。
「にィィィっげッろぉぉォォォオオオっ!!!!」
後に聖祥の伝説となった。
東廊下は現在バイオテロ発生中。その情報を得ているので安全な西廊下へとやってきた。
途中、職員室から教員ズが大慌てで走ってきた。
一つ溜息を吐き、仕方ないので「廊下は走ってはいけない」という旨を教えてあげた。
そのあと懲りずに早歩きしようとする教員には、 出会い頭の衝突で年間どれくらいの死亡率を誇るかを懇切丁寧に教授してあげた。どうやら歩いて行ってくれるみたいだ。
フー、いいことした。
・メガネ君
第二話で登場。2人組で登場するので見分け方は ①言動がウザい ②一人称が「僕」
元々2人は幼稚園からの友人で、涼はそこに入っていった。いわゆる余所者。
性格はそこまで悪いわけじゃないんだけど、余所者の涼のことは好きじゃない。
・テッちゃん
性格はいわゆる「ガキ大将」から・【らんぼう】【人の機敏に疎い】とかの欠点を取り除いた感じ。 涼の猫かぶりにはなんとな~く気づいてる。でもそれを嫌なモノとは思わない変わり者。
涼のことは一端の友達だとおもってる。
・八束神社の呪い
空気感染はしないらしい・・・。主に子供の間で有名。それなんて風評被害?
〈ーー少し詳しくーー〉
ここ海鳴市では、オカルトの存在が表沙汰になってます。他にも病院にいって検査をうけると「あなたはHGS(超能力者のもつ症状みたいなもの)ですね」などとファンタジー住人認定されることもあります。HGSももちろん一般常識。この世界はオカルトに関して信憑性があるために、このような類の話は割と信じられています。
・らくらくスクールライフ計画
要するに八方美人 《円満に、円滑に。》をモットーとする。
・〈いじめられっ子が女教師をいじめる!〉
中身小学生じゃないって、そういう意味なの。
・「呪ってやる」と呟いてみる。
なんだかんだで、涼もこの状況を楽しんでる。さすが涼さんやで。
・「○○菌~たっち!」
もうやめてあげて・・・・、皆さんも覚えがあるのでわ。
・聖祥の伝説
ルール(現段階)
#バリア、なし
#タッチすると○○菌が移ってきて、交代
#時間制限なし
#机などに擦りつけは不可能
教員が騒ぎを止めるまで、泣くわ叫ぶわでやばいくらい悲惨なことになってた。
多分、聖祥が世界初。
・出会い頭の衝突
本当に危ない。気をつけよう。