首吊りたがりのりょーくん   作:@はるまさ

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第5話

教員ズと一悶着あった後、オレは静かに下駄箱へと向かう。

今日も1年生は昼で授業は終了したのでお早い帰宅だ。朝家を出て昼に帰るとはまるで大学じゃないかと思いつつ靴を手に取る。少し考え、そのまま履くようなことはせずガビョウが入ってないかチェックする。

・・・・・・さすがに無かったか。

ドラマみたいなシーンを実際に体験できるかと期待してたのに・・・、拍子抜けだ。

落胆の色を隠せない、いじめるなら徹底的にいじめて・・・・なんでもない。

靴を履いて外に出る

表玄関を抜けると、手前には広大なグラウンド。奥には海鳴市が展望できる。

この私立聖祥小学校は小高い丘の頂きにそびえ立っている、屋上からは海鳴の全貌が一望のもとにできるくらいだ。信じられないくらいに高所なのだ。

手前のグラウンドでは数名が元気にサッカーをしているのが見える。オレも一昨日までは遊んでいたんだけど多分行っても入れてくれないだろう。

子供社会は残酷だ。そんなことは百も承知。だから猫かぶって楽しようとしてたのに。それもこれもメガネのせいでパーだ。

アメリカ式報復術のお披露目も近いかな・・・? ま、そんな余計な気力ないんだけど。

 

グラウンドからボールを追いかける楽しそうな声が耳に届く。

ウズウズ・・・。ウズウズ・・・。

だ、ダメだぞ。今日は疲れたから気力回復を兼ねてまっすぐ家に帰るって決めたじゃないか・・・。

あぁっ・・・! 体が勝手にー(棒)

 

「い~~れぇ~てぇーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ちっ。まじでおぼえてろよ」

 

適当な小石を蹴りながら歩く。

結論からいうと入れてもらえなかった。というか聞いてすらいなかった。声をかけても無視。誰も目を合わせようとしない。

サッカーぐらい入れてくれよな。大体、八束神社の呪いって何なんだよ。あほらし・・・・・。

この世界は魔法以外にオカルト系まで完備してるってか? いらねーよ、そんなサービス。

ほんとこの世界は何でもアリだな。気に入らないし、胸糞悪い。

ファンタジー溢れるこの世界が嫌いだ。誰かの物語の為のこの世界が嫌いだ。

両手を空にかかげ、じっと見つめる。

何の不備もない。幸運にも五体満足、合計十本の指が揃った手が二つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ただの、人間の手。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・くそったれ」

 

突如、思考停止。全身はガチガチに固まり立ち止まる。

アタマの血液が沸騰しノドはひきつり喘ぐ、地面が崩れたかのようオレは落ちていく感覚を味わう。

ーーーーなんで何もないんだよッ!?何かッ!何か寄越せよッッ!!

落ち着け。落ち着け。

ーーーー畜生ッ!!!神のやろうッ!!おれをコケにしやがってッッ!!!!

・・・落ち着け。

ーーーー・・・・・・・、どうしてこんな世界に送ったんだよ・・・。ふざけんなよぉ・・・。

やめろやめろやめろ。

ーーーー勝手に舞い上がってさぁ・・・・、バカみたいじゃん・・・。ハ、ハハっ。

忘れろ。忘れろって。

ーーーーそうだ・・・・・・、死んでやろう。そしたら、少しは復讐に・・・・いや、それこそ思うツボ・・・かな・・?  ・・・・・・あ~ぁ。結局、なんもできねぇー・・・じゃん。生きるも死ぬもどうぞご勝手に・・・・ね。 

落ち着け。忘れろ。落ち着け。忘れろ。落ち着け。忘れろ。忘れろ。忘れろ。忘れろ・・忘れろ・・・忘れろッ!

 

 

 

 

 

 

 

「僕・・・・? どうかしたのかい?」

 

 

 

わすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわすれろわす

「 ッ!? しっかりしなさいッ!!」

「・・・・・・だいじょ、ぶ」

うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいッ!ほっとけよクソがッ!!鬱陶しいんだよッ!!

「っ・・・・・・キミ、」

「ちょぃ。まって。きつぃ」

アアアアアアァァァァァアァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ すぅ。はぁぁぁ。

 

 

ふー、落ち着いた。あーあー。うんOK。 

 

「ありがとうごいます・・・・・・で、どうかしましたか・・?」

「あ、あぁ。急に蹲って震えだしたから声を掛けたんだけど・・・・・・覚えてないのかい?」

 

あ、他から見るとそんな感じなんだ・・・。

辺りを見てみると、この人の他にも何人かこちらを心配そうに覗き込んでいる。

いい人ばかりだなー。 オレ的にはほっといてくれるとありがたいんだけど。

めんどくさいなぁ。もう。

「ああっ!お騒がせしてすいませんっ!今日遊び疲れちゃってて、少し気分が悪かったんです・・・・・・もう大丈夫そうですっ!」

 

痩せ我慢なんて心配かけるだけと知ってるから、少し辛いのを認めつつもう大丈夫っぽい?みたいなニュアンスを込める。

すると、一度オレの顔色を確認し、ようやく安堵の表情を浮かべる。

これだから海鳴の人たちはやりづらい・・・。手ごわいんだよねー、色々と。

まぁ、これでどうにかなったか。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・少しおじさんとお話しでもしないかい?」

 

 

 

 

 

こいつ以外。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~!キミが素直な子で助かったよ。もう少しでお店に着くからね」

「・・・そう思うなら降ろしてください。脇に抱えてよく言えますね」

「おじさん、最近耳が遠くてねぇ。こまったこまった」

「ワキ臭い」

「っ・・・?!」

 

このおっさん、一体何がしたいんだよ。

今オレは拉致られてる。本格的に。

あの後「結構です」「遠慮しないでいいよ」「いえ、迷惑なんですけど・・・」「実は家で喫茶店やっててね。翠屋って聞いたことないかい?」と押し問答を繰り返し、埒があかないと思ったオレは普通に無視して歩き出した。

そのはずなんだ。だが次の瞬間にはおっさんの脇に移動していた。冗談抜きで。

ホントにっ!一瞬でっ!

勿論暴れたりもした・・・けど所詮小学生の身体。片手で抑えられた。

他にも男の急所を殴ってやろうともした。すると何故か当たらない。実体が見えているのにすり抜けるように当たらなかったッ!まるで立体映像ごとく存在するのに触れることは出来ない。

そこまでいって、本気でこのおっさんが恐くなったから助けを叫んだ。

でもっ!どいつもこいつも駆けつけはするけど、おっさんだと確認すると帰っていった。

「なんだ・・・。高町さんとこの旦那さんじゃないか」

「あらあら、今日も元気ですね」

・・・・・・もうオレの負けでいいよ、と抵抗するのをやめた。そして現在に戻る。

 

 

「さぁ着いたよ」

「わーい。うれしいなーっ」

「おー、棒読み上手なんだね」

「わーい。ほめられたーっ」

「・・・そんなに嫌がらなくても」

あはは、うっせー。嫌に決まってんだろ。

 

 

 

 

 

カランカランッ♪

 

 

 

 

 

「桃子ー!今かえったぞぉー!」

「あらっ♪おかえりなさい」

「初めましてっ!助けてくださいッ!」

「この子にジュースとケーキ出しといてくれ。あと、口が巧いから帰しちゃわないように」

「ん?・・・あっ、そういう事ね。分かったわ」

 

何がわかったんだよ。誘拐ですよ?認めるんです?

おっさんはオレを店内に残し、奥へと消えていった。開店準備中だったのか客の姿はみえない。

ふーん・・・、中々オシャレな店だな。甘いにおいが漂っている。うん。よくわからないけど悪くないんじゃないかな? おっさんさえいなければ言うことないんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                「そ~れっ!ガチャりんこ♪」

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・なにしてんの?」

「あら?逃げるかなーと思ったんだけど・・・」

いや・・・お前。拉致監禁って知ってるよね?

「さぁさぁ!何時までも突っ立ってないで座った座った!」

「・・・」

・・・・・・ねぇ、オレが間違ってるの?

 

 

 

 

そのまま背中を押されてカウンター席まで誘導される。

椅子が高いのでよじ登るのに一苦労。なんとかよじ登って座れても今度はカウンターが高い。オレが四苦八苦している様をみて微笑む奥さん。もといキチガイ。

 

「大変そうね。手伝いはいるかしら?」

「・・・・・・」

「もぉー!拗ねないのっ!ねっ?自己紹介しましょうか。私は高町桃子。ここのパティシエやってるんだ」

「・・・・・・答えたくないです」

「きゃーっ!!反抗期なのかしらっ!?可愛いわぁ!」

う、うぜー。

「オレンジジュースでいいかしら?あ、ケーキは好きなの選んでね。はい、これメニュー」

「お金もってないです。家も貧乏なので払える余裕はありません」

「??サービスよっ!サービス!ませちゃってぇ~!」

ほんとかよ・・・?拉致監禁しちゃってる夫婦にいわれても説得力ないんだけど。

「じゃあ・・・、このいい匂いのやつください」

「シュークリームねー。かしこまりました。」

 

ほとんど間を置かず、頼んだものを持ってくる。

 

「こちらが当店自慢の一品。春のシュークリームです。・・・なんてねっ!おまちどーさま!」

うっ・・・めっちゃいい匂いする。しかも美味しそう。目線で本当に食べていいのか問う。

「あははっ。そんなに不安がらないでいいわよ。ぜひ感想聞かせてちょうだい?」

なら、一口・・・ パクッ。

 

 

うっまぁあああああああ!!!!

うぉっ、えぇええ!?ちょ、パクッ・・・・・・・・・・・まじかぁ~~ッ!!!

 

 

「美味しそうに食べるわねぇーっ!桃子さん嬉しいっ!」

「ほんとうまい・・・・じゃなくってッ!本当に美味しいです」

「あらあら?」

桃子が面白いものを見つけたように見てくる。いや、むしろそうにしか見えない。

そんな目でこっち見んな。

「・・・・・なんでしょうか」

「なんでもないのよー?ウフフっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・アメリカ式報復術
そんな・・・・なんて恐ろしい。地図から町が一つ消えてしまう。


・ウズウズ・・・。ウズウズ・・・。
涼まさかのサッカーにハマる。どちらかというと、涼がというより身体が・・・かな。


・あ、他から見るとそんな感じなんだ・・・。
知らなかったんだ?


・涼「ワキ臭い」
嘘つけ。おっさん地味に傷ついてる。後日、高町家では丹念に脇を洗う姿がみられたとか。


・男の急所を殴ってやろうともした
割と全力で殴りにいってた。振りかぶって、投げましたっ!


・拉致監禁
ほんとに、成立してるよ。豆知識、お客さんを家に招いて上がってもらう→→そして自分が玄関先でじっとしてると拉致監禁として訴えられるんだって。準だったかな?どうだろう・・・。


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