謎の前編使用、気にしたら負けです。
「くっ、外した。残りは後30本その間に当てなきゃ・・・・」
サヨは大空を飛ぶ鳥のように、自由自在に森の中を奔り、跳躍し、次々に狙いを定めさせんと動き回るスカッフを完全に捉えきれずにいた。
本来スナイパー、狙撃者は座禅を組むような精神修養で、忍耐力の高さ、落ち着きのある人格が養われていなければならない存在であり、意外にも女性が適しているというのでサヨもそれに対して例外ではなかった。
しかし、今彼女が狙うべき存在であるハンターは恐るべき身体能力と知能、鋭い聴覚、耐久力の高さが相まって一撃の下で相手を無力化及び鎮圧することに特化している、というかそれを目的としたスナイパーとは相性がとことん悪い。
今回は模擬戦ということで、互いに致命傷を与えることは禁止されているがスカッフは「実戦と同じほうがその緊張感をその身で感じやすい」と言ったので、スカッフは今回は武装はリスト・ブレイドのみ。どうしてかリスト・ブレイド以外の武器なしでの状況下での行動をこの場で戦闘記録に入れておきたいらしい。
対してサヨのほうは、スカッフより教わった戦闘技能と、戦術の構築、サバイバル術を駆使して彼を狙う。
無論装備は完全に実戦使用で、新作のクロスボウ「レオプス」、スカッフ自作のリスト・ブレイド、これまたスカッフ自作のレイザーウィップといった感じで中々癖の強い装備で纏まっているが、これはスカッフが後衛でも武装は少しあったほうがいいな、とかほざいたことによってサヨが強く影響を受けてこうなってしまった。
まあリスト・ブレイド、レイザーウィップの取り扱い方はスカッフが大胆不敵なザ・クリーナーの戦法をサヨに見様見まねで教えてみたらサヨは土のように、一滴も残すことなく吸収し近距離での戦闘技能は自身で取り入れた武器の取り回しも合わさって、確実に帝具持ちと張り合えるレベルまで行きついたので、敵に接近されてもある程度は問題ないが、クロスボウは如何せんスカッフでさえ使ったことがない(作ったことがないとは言ってない)ので、自力で習得することになった。
だが、どうやらサヨにはこのクロスボウを扱う、遠距離武器を主兵装として戦う戦法に光るものがあったようで、元人間の時の芋スナイパーであったスカッフでさえビビらせるほどの実力を発揮し、命中とまではいかないもののスカッフの身体に傷を付ける。
クロスボウに矢に使われている素材には、そこらへんにいる危険種の甲殻を適当に加工して鏃にして、箆は商人から略dゲフンゲフン、もらったアカガシという結構硬い木を使用、矢羽は食料のために狩った鳥の羽を使用、筈は鉄を使用といった感じにできている。
おかげで弓矢を作る際にはしばらく飯が鳥肉だけになるのがたまにキズらしい。
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このままの調子でいけば、確実にサヨの手持ちの矢は底を尽き強制的に近距離戦に移行ささる。
だがこの模擬戦の目的はあくまでも、技量の確認及び武装の性能チェックであり近距離戦という見慣れた、最も自身に馴染んだ戦いをすべき場ではないのだ。
それに加え、スカッフにもプライドがある。
これは狩りではないしろ、強者と認めた者との決闘に匹敵するほどの価値がある。
狩場に初めて立った存在が、この狩場に立って時間の経った存在である自身に傷を付け、さらには回避に徹させるほどの猛攻を繰り出す。
クロスボウ故の射出速度の遅さによってなんとか次射までの時間は少しあるので、回避する際の追撃は間違いなくないことが唯一の安置とも言える状態だ。
もちろん、クロスボウは射出速度に難があるものの、それをカバーしているのは騎士の装備する金属製の甲冑すら易々と貫通して致命傷を与える恐ろしい威力であり、長い射程も加わり狩人としては味方にこれがいることによる安心感は大きいだろう。
しかしそれは”味方”である時のことであって、今は模擬戦の中での”敵”である。
リスト・ブレイドを展開して、当たりそうな弓矢をはじく、または叩き落すことによって身体を守る。
いくら耐久力の高いプレデターといえども、帝具に匹敵する火力を誇る武器を真面に食らって軽傷で済むわけなどない。
目では追えないような速度で飛来する矢を、ヘルメットの複数あるロックオンレーダーをフル活用して防ぐ。
可能なら前進し、無理ならば近くの木に飛び移り再び前進できるまでの機会を窺う。
必要によってはリスト・ブレイドをコッキングして射出することも視野に入れたが、それではサヨを威嚇して一旦引かせることはできるだろうが、近接戦闘で片方のブレイドが使えないことは手数的にも威力的にもまずいので取りやめた。
「グウッ・・・・」
とはいっても相手の残りの矢の数的に何かしらの勝負に出てくることも考えられる。
だから迂闊に姿を曝すことは自分にとって得策ではなく、逆に相手にチャンスを与えてしまう。
ならばどう行動すればよいだろうか。
相手を自身の攻撃範囲に入れるためには最低でも1mほどまで近づかなければいけない。
「・・・・そこっ!」
一本また一本と矢が放たれる。
全て惜しい線まで行っているが、あと少しというところで阻まれる。
ここでサヨがけりをつけに来た。
まずクロスボウを一旦地面に置いて、左手で右腕に装着してあるリスト・ブレイドを軽くコッキングする。
次にコッキングしたリスト・ブレイドをコッキングした状態で固定し、クロスボウを持つ。
クロスボウには普通の矢でなく、鏃の部分にロケットや航空機の燃料として用いられ、皮膚への接触ともに腐食をもたらし、また中毒症状をおこす危険な液体である”ヒドラジン”を着用している革の手袋上から塗り、他の矢と材料の違った物を使用する。
ボッ
”ヒドラジン”はアンモニアに似た刺激臭を持つ無色の液体で、空気に触れると白煙を生じる特性を持ち、引火性がある。しかもスカッフ製のこれは他のヒドラジンより一際火が付きやすく、塗った際のわずかな摩擦でさえ火が付くので矢を放つ前から燃えてしまうので急いで射出しなければならず、迅速にことを進めなければならない。
次に他の矢と違う矢は、鏑矢という荘子在宥篇に「嚆矢」の故事成語を成した話に出てくるほど古くからある矢の亜種のような物だ。
射ってから音響が生じることが特徴的な矢で、矢における鏃に当たる部分である鏑は紡錘形で大きさは大体18cm前後、取り付け部分には割れが生じないように糸で厳重に固めてあり、仕上げとして矢を回収する際に、特に作成に掛かる時間が多いこの矢を優先的に回収するために鹿の斑点のような模様を、今まで狩ってきた獲物の骨を砕き、磨り潰して(企業秘密)な工程を経て作った染料で付けて区別しやすくした。
威力は他の矢より倍、とまではいかないものの首に当たれば人間なら即死、危険種などでも基本的には死に至る。
だが相手は全身が筋肉で出来ているといっても過言ではない化け物
恐ろしいほどの速度で放たれた小さな金属の塊である銃弾を何発も食らっても死に至らない不屈の生物。
戦場で相手の力量を知って戦わずして逃げることは重要だ。
それでも自身と相手の力量差を考えない”馬鹿はいる”
最も馬鹿は馬鹿でも、自身を弱者として認めたくないと強く思う者だろう。
そんな馬鹿がいるからこそ名だたる英傑や英雄に名を列ねる人間が選出されるのだが、本人たちがその事を自覚しているのかは誰も知りえない。
お気に入り100到達嬉しいです。
これからの更新速度は、防衛大を目指す上で色々しなければいけないことがあるのでちょっとずつ遅くなりますが、どうか気長にお待ちしていてほしいです。
それと文がどうにもしっくりこない感じがするので修正あるかもです(するとは言ってない)
中遠距離支援洋弓銃「レオプス」
作者の妄想の産物、オリジナルのクロスボウ。
文中にある通りほとんどの部分を危険種の素材から作られており、その弾薬的な位置である矢も危険種と中々特徴的な植物、一般的な素材でできているなどリアルな点からアンリアルな点まで混ざっている一品。
矢の射出に関しては鏃の重心を後ろ寄りにすることによって、獲物の身体に命中した際に鏃が転がり、殺傷力を高めることに成功した。
なお上記の構造にしたことにより、この弓にはライフルリングに似たような部位が付属されている。