※一誠女性化 一誠×ヴァーリ かなりのアンチ・ヘイト
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「―――ねぇ。貴方はこんなところで何しているの?」
「―――父親に捨てられたんだ。そういうキミこそ、こんなところで何をしているんだ?」
「私? 私はね―――」
白き龍の皇帝を宿した少年は赤き龍の帝王を宿した規格外の少女と運命の出会いをする。
「―――夢か。懐かしい物を見たな」
そう言って、綺麗な銀髪をしているベッドから起き上がる。
青年―――ヴァーリは軽く体を伸ばした後、部屋を出る。
「おはよう」
「―――おはよう」
ヴァーリは自分より先に起きていた黒髪の美少女―――一誠に話しかける。
「今日は懐かしい夢を見てね」
「夢?」
ヴァーリは二人分の朝食を作りながら、会話を続ける。
「俺が一誠と出会った時のことさ」
「―――そう。あの時のヴァーリはボロボロで、今にも死にそうだったよね」
「まだ十にも満たない子供だったからな」
一誠がそう言うと、ヴァーリはどこか照れくさそうにしながらそう言う。
「―――できたぞ。飲み物は何がいい?」
ヴァーリは出来上がったばかりの料理を運びながらそう訊く。
「んー。コーヒー以外」
「コーヒーは苦手だものな」
ヴァーリは苦笑しながら、コップにアップルジュースを注ぐ。
「それじゃ、いただきます」
「いただきます」
こうして二人、―――ヴァーリ・ルシファーと兵藤一誠は食事を始める。
「今日の予定は何かあるのか?」
「特にないよ」
ヴァーリは食器を洗い、一誠は本を読みながら会話をする。
ヴァーリは手をしっかりと拭いたあと、ソファーへと腰掛ける。
「ふぅ。何処かに出かけるか?」
「んー。ヴァーリの好きな所でいいよ」
どこにでかけようか考えるヴァーリ。そんなヴァーリの膝の上に座る一誠。
「……どうしたんだい?」
「こっちの方が座り心地が良い」
そのまま何も言わなくなるヴァーリ。ただ、ソファに座ったままだとこの体制は辛いと判断したのだろう。ズルズルとソファからずり落ちていき、最終的にはソファに背を背もたれにしながら床に座る。
ヴァーリは一誠のお腹に両手を回し、抱きしめる。
「何処かに出かけるんじゃないの?」
「特別に用事があるというわけではない。なら、このままでいいさ」
壁に立てかけてある少し古めの時計が、時間を刻む音だけが木霊する。
「……ああ、そうだ。午後から修行の相手をしてくれないか?」
「んー? 別にいいよ」
相変わらずヴァーリは一誠を抱きかかえたまま、そう言う。一誠も本を読みながら答える。
「すまないな」
「気にしなくていいよ」
そしてまた、お互いに無言になる。
ギュムゥゥ!
「―――――っ!!?」
ヴァーリが声にならない悲鳴を上げる。
「変態」
「……悪かった」
ヴァーリが抱きかかえたままの一誠の体を弄り、胸などを揉んだ。一誠は揉んでいた方の手を思いっきり抓ったため、ヴァーリは声にならない悲鳴を上げたのだ。
しかし二人ともどこか、幸せそうな雰囲気をしている。
「―――ハァハァ」
「今日もヴァーリの負けだね」
白銀の鎧を纏ったヴァーリは肩で息をしながら、大の字で倒れている。そんなヴァーリを見降ろす一誠。こちらは鎧を纏っておらず、普通の状態だ。
『―――ふむ。今日も相棒の勝ちか。しかし、だいぶ強くなったじゃないか。ヴァーリ』
『確かにそうだな。俺が知る限りでは、歴代最強の白龍皇だからな』
ヴァーリの纏っている鎧の至宝と、一誠の左手の甲から声が響く。神や魔王が恐れたという最強のドラゴン、二天龍。先ほどの声の正体はその二天龍である『赤い龍』『白い龍』のドライグとアルビオンだ。
『しかし、改めて今代の赤龍帝、白龍皇は怖ろしいな』
『まったくだ。お互いが歴代最強で、尚且つ『覇龍』を制御している。さらに『覇龍』を独自に昇華もさせている。ヴァーリの方はまだ未熟だが、それも時間の問題にすぎん』
ドライグとアルビオンはどこか呆れてる雰囲気を出しながら会話を続ける。
「そうは言うが、俺は一度も一誠に勝てたことが無いんだがな」
ヴァーリは息を整えながらそう言う。
「―――大丈夫。ヴァーリは十分強いよ」
一誠はヴァーリの横に腰掛けながらそう言う。
「俺としては、惚れた女性より弱いというのは情けない限りなんだが……」
「大丈夫。何かあったら私がヴァーリを守るから」
「いや、だからだな……」
ヴァーリが更に言い綴ろうとするが、それよりも速く一誠がヴァーリの頭を撫で始める。
ヴァーリは苦笑しながらもそれを受け続ける。一誠が頭を撫で続けている間にヴァーリは鎧を解除する。
「……ヴァーリ、気づいてる?」
「ああ、この町に訪れた聖剣の気配だろ?」
一誠はヴァーリの頭を撫でるのを止めて、横に寝そべりながら会話を続ける。
「うん、それに堕天使も。この町にいる悪魔は何をしているんだろうね?」
「さあな。案外、必死にこの件を治めようと頑張っているかもしれないぞ?」
ヴァーリが腕を横に伸ばし、一誠がそれをまくら代わりにする。
「さっさとサーゼクス辺りを呼べば直ぐに終わるのに。……おかげで最近、夜がうるさくて眠れない」
「そうやすやすと魔王が出張るわけにもいかないんだろ。悪魔の王たちなんだから」
一誠は瞼を閉じながら言う。
「それは私たちには関係ないことだよね。これ以上続くようなら、消しちゃ……おうか……な」
「物騒な事を言わないでくれ」
しかし、ヴァーリの言葉は一誠には聞こえなかった。なぜなら、ヴァーリがそう言う前に眠ってしまったからだ。
「やれやれ。……しかし、これ以上長引けば本当に三大勢力は滅ぼされてしまうかもしれないぞ?」
ヴァーリは一誠の頭を優しく撫でながら、そう呟く。
駒王学園。元は女子校だったのが共学となった全国でも有数の私立学校だ。
今、その駒王学園のグランドは混沌を極めていた。
「……なぜ、貴女とお兄さまがっ!?」
紅髪の美少女、リアス・グレモリーは銀髪のメイド―――グレイフィア・ルキフルグスにそう尋ねる。
グレイフィアはグレモリー眷属を治療しながら答える。
「堕天使の幹部が責めてきたとの報告があったので慌ててきたのです」
「お兄さまは魔王さまなのよ!? 悪魔のトップである魔王さまが態々出てくるなんて! いくらなんでも身内贔屓がすぎるわ!!」
リアスがグレイフィアに怒鳴るが、グレイフィアは冷静なまま答える。
「お嬢様。それは違います」
「―――え?」
グレイフィアのその一言に、リアスは間の抜けた表情をする。
「サーゼクス! お前達に我々堕天使こそが最強だということを教えてやろうじゃないか!!」
「キミはこの町でそんな事を仕出かして、無事で済むと思っているのかい?」
サーゼクスが静かに話しかけるが、コカビエルはそれを無視して斬りかかる。
「―――っ!?」
突然現れた存在にそれは受け止められる。
「バラキエル! アザゼル! 貴様らぁ!!」
突如現れた二人の男性。コカビエルの攻撃を受け止めたのは同じ堕天使の幹部であるバラキエルだ。
グレモリー眷属の『女王』である朱乃はバラキエルを驚愕と複雑そうな表情で見ている。
「すまねえな、サーゼクス。うちのもんが迷惑かけた」
「見たところ、コカビエルの勝手な暴走なのだろう? アザゼルが気に病むことはない」
アザゼルはサーゼクスの隣に降り立って、そう言う。
混沌とする場に更に乱入者が現れる。
「―――無事ですね」
「ミカエルさま!?」
突如現れた神々しい男性を見て、ゼノヴィアは叫ぶ。この男性こそ天界にいる天使を統べる天使長ミカエルだ。
「ミカエル、お前も来たか」
「ええ、この町で聖剣を奪った犯人であるコカビエルが大規模な事をしているとついさっき知りましてね。慌ててきたのですよ」
ミカエルは表情を顰めながらアザゼルの隣に降り立つ。
この場に三大勢力のトップ陣が揃ったのだ。リアス達は驚愕している。
「―――さっさと、あのバカとっちめてこの騒動を治めねぇとあいつが来る可能性がある」
アザゼルがそう呟いた瞬間、その場にさらなる混乱が訪れる。
『残念ながら、時間切れの様だぞ?』
空からそんな声と共に、白銀の鎧を纏ったヴァーリが現れる。
「……やあ、久しぶりだね」
どうにか笑みを作りだしたサーゼクスが、そう話しかける。
『やあ、サーゼクス。それにミカエルにアザゼル。随分と騒ぎを起こしてくれたじゃないか』
「そのことについては、すまなく思っている」
サーゼクスはそう言って頭を下げる。
『この町に悪魔を滞在させるための条件を忘れたわけではないだろう? それにミカエルもだ。この町に聖剣使いを派遣しときながら、こちらの許可を取らないとはどういう了見だい?』
そう言われて、サーゼクスとミカエルは苦虫を何匹も噛み潰したような表情をする。
『アザゼル。あんたもだ。よりにもよって、堕天使の幹部がこの町で騒ぎを起こすとはな』
「……部下を抑えきれなかった俺の責任だ。本当にすまない」
そう言って、深く頭を下げるアザゼル。
『ここ最近、彼女は寝不足らしくてね。今日の昼間なんか「消しちゃおうかな」なんて呟いていたくらいだぞ?』
ヴァーリがそう言った瞬間、アザゼルやサーゼクス、それにミカエル。更にはバラキエルやグレイフィアまでもが顔面を蒼白にする。
「まってくれ! 今回、他の奴らは関係ないんだ! 暴走したコカビエルと、それを抑えきれなかった俺に責任がある!!」
アザゼルはそう言うが、ヴァーリは無情にも言葉を紡ぐ。
『こちらの言い分としては、今後こうならないように三大勢力を跡形も無く潰した方が楽なんだが?』
サーゼクス達は全身から冷や汗が流れるのを止められなかった。
ヴァーリはそれ程驚異的ではない。いや、十分脅威ではあるが対処できる範囲だ。しかし、もう一人は違う。彼女がその気になれば、本当に三大勢力は跡形も無く滅ぼされる。
『……おや、どうやら本当に時間切れの様だぞ?』
ヴァーリがそう呟いた瞬間、彼の隣に一人の少女が出現する。
彼女を見た瞬間、サーゼクス達は絶望する。正直なところ、彼女が来る前に事態を治めたかったのだ。
「……サーゼクス、アザゼル、ミカエル。ここ最近うるさくて、私寝不足なんだけど?」
一誠はサーゼクス、アザゼル、ミカエルの順に視線を向ける。サーゼクス達は一言も言葉を出せない。まるで蛇に睨まれた蛙のように体が動かないのだ。
「……赤龍帝ぇぇぇぇぇ!!」
バラキエルに抑えられていたコカビエルが、一誠を見た瞬間そう叫ぶ。
「私はあなたの所為で寝不足なの。……その上、更に騒いで」
ドガァァァァァァァアアンッ!!
一誠がそう言った瞬間、巨大な爆風と共にコカビエルは巨大なクレーターと共に跡形も無く消し飛ぶ。
「うるさい」
一誠が不機嫌な声音でそう呟く。
この場にいる誰もが、何をしたかわからなかった。わかった事といえば、一誠が攻撃をしてコカビエルを跡形も無く消し飛ばしたという結果だけだ。
「それで、何か言い訳はあるのかな?」
一誠は改めてサーゼクス達の方を見る。
「この町に悪魔を滞在させる条件は、この町で騒ぎを起こさない。また、どの様な事態になっても直ぐに治めること。私はそう言ったよね? それにミカエル。相手はコカビエルと分かっていたんでしょう? それなのになんでこんな雑魚を寄こしたの? 熾天使の誰かが来ればもっと速く終わったはず」
更に一誠は続ける。
「もし、今回貴方達のくだらない体裁のために解決が遅くなったっていうのなら……潰すよ?」
一誠が最後にそう呟いた瞬間、途方もない重圧がアザゼル達を襲う。
「……今回の件は私に責任がある。本当にすまなかった」
そう言って、頭を下げるサーゼクス。
「私の方も同じです。すみません」
ミカエルもそう言って頭を下げる。
「サーゼクス。もし契約に反した時、どうするか決めたよね?」
一誠がそう言うと、サーゼクスは青い顔をする。それはそうだろう。それはまさしく悪魔の契約なのだから。
「この町に滞在している悪魔を魔王である貴方が直接処分すること。……見ためからして貴方の身内っぽいけど、そんなの私には関係ない。さっさとこの場で殺してくれる?」
その言葉を聞いて、リアス達に戦慄が奔る。信じられない様な表情でグレイフィアを見るが、彼女は今にも泣きそうな表情で顔を逸らす。
「さて、ミカエル。貴方たちはどうしようかしら?」
「責任は全て私にあります。罰なら私一人が何でも受けます」
そう言って膝をつくミカエル。しかし、
「ねぇ、ミカエル。私は貴方達の所為で寝不足なの。そのせいでストレスを感じているのに、たかがあなた程度で済まされると思っているの?」
一誠は無情にもそう言う。仮にも聖書に記されし天使の長を程度と言いきる一誠。
「んー、そうだなぁ。……そうだ、堕天すれば許してあげるよ?」
「……私が堕天すればそれで許してもらえるのですか?」
正直なところ、ミカエル一人が堕ちるだけで許されるならかなりの好条件。いや、奇跡と言っても良いレベルである。……ミカエル一人だけならば。
「なにか勘違いをしていない? 堕ちるのは熾天使全てだよ」
「なっ!!?」
ミカエルは絶望のどん底へと叩き落とされる。熾天使―――セラフとは天使の中でも特に力を持った存在だ。人間社会でいえば国家を運営するトップクラスの存在たちだ。そんな存在たちすべてに堕天しろと言われたのだ。絶望しかない。
そこで苦悶の表情を浮かべるミカエルをゼノヴィアは信じられない表情で見る。
「……後は堕天使だけだね。どうしようかな?」
一誠がどうしようかと迷っている間、アザゼルとバラキエルは捌かれる罪人と同じような心境だ。
「……そう言えば、バラキエル。貴方娘がいたはずだよね? それとシェムハザは妻と子供もいるんだっけ?」
一誠がそう呟いた瞬間、バラキエルは泣きそうな子供の表情をする。一誠の言葉を聞けば、自分の心が壊れてしまうと思ったからだ。
「バラキエルとシェムハザが自分の家族を殺せばそれで許してあげる」
それはバラキエルやアザゼルにとってまさしく絶望の言葉だった。バラキエルは膝から崩れ落ち、子供のように泣きじゃくっている。しかし、考えようによっては破格の条件とも言える。堕天使側はたった三名を殺害するだけで許される上、純粋な堕天使は誰一人として消えない。さらに、ミカエルをはじめ熾天使全てが堕天するのだ。悪魔側は最低でも純血の悪魔二体とその眷属が消える。一番得したのは堕天使側とも言えるだろう。
泣きじゃくるバラキエルを、朱乃は呆然とした表情で見ている。
「……ねぇ。速くしてくれない?」
悪魔より欲深く、天使よりも美しく、堕天使よりも残酷。どの存在よりも弱く、美しく、儚く、そして残酷で強い。それがドラゴン、それが人間。彼女―――兵藤一誠は誰よりもドラゴンらしく、そして人間らしい。
今回はとある方々にいただいたアイデアとリクエスト回でした。
当初はヴァーリをTSさせて書こうかと思ったのですが、一誠をTSさせた方が作者のモチベーションが上がったのでこうなりました。
次回は本編を投稿すると思います。……一誠とサイラオーグ戦を書きたいけど戦う理由がないっていうね。