きんいろモザイク‐ボーイズ・ビー・アンビシャス‐ 作:星の翼
始めに言っておくが、俺は目覚まし時計と言うものは使わない。
かと言って父親や母親に起こしてもらうと言う事は無い。
休日祝日でも俺は同じ時間に眠り同じ時間に目を覚ます。 これが健全にて健康的生活の基礎基本であると俺―【日本武(ひもと たける)】は確信しているからだ。
朝ごはんはご飯に汁物そして魚を主とした惣菜だ。 古き良き日本の食卓にこそ力の源でもある。…それに、朝の食事は一日を過ごすために最も重要な過程だ。 それを抜かない為にも朝起きるという事は大事な事だ。
歯を磨き、身支度を整えて家を出る前に改めて自身のカバンの中を確認し貴重品や今日の授業で必要なものが抜けていないかを確認し、家を出る。
これこそ規則正しい日本男児の姿である―理想形である。
お隣の家のお母さんに挨拶をし、幼馴染の少女を待つ。
これは俺が小さい頃から行っていることだ。
幼馴染のこの名前は【大宮忍(おおみや しのぶ)】、女の子だ。
どんな子かと聞かれれば、おっとりしていて大人しい子だ。
あんまりにもほんわかしていて、見ているこっちがはらはらするというのは良くあることだった。・・・いや、今でもそうだ。正直、俺は今でも彼女には振り回されている。
中学の頃にイギリスにホームスティする事になった時は、向こうで上手くやっているのかと不安で寝不足になる時もあった。 これは俺が自身の生活リズムを崩した貴重な時期でもある。
あれから数年が経ち、高校1年・・・同じ学校で途中までは一緒にいくことになっているのだが・・・・・・。
「遅いな」
何やってるんだ?普段ならこの時間帯の少し前には出てくるが、一向に出てこない。
二度寝とかは結構する奴だが、流石にその前に母親が起こしてくれているはずだが・・・仕方ない、少し様子を見てみるか。
お邪魔しますと一言失礼してから扉を開けると―
「・・・・・・・・・・」
玄関に座ってぽけーっと手紙を読んでいる幼馴染の姿があった。
「忍?何を読んでいるんだ?」
「イギリスからのお手紙を読んでいます。」
「何故今読む?!早く行かないと遅刻するぞ!!!」
「でもアリスのお手紙が(「学校で読みなさい!!」
幼馴染…【大宮忍(おおみや しのぶ)】の手を引っ張り俺は家を飛び出す。
あのままだったらお母さんが気付くだろうが遅刻ギリギリの時間帯まで動かない可能性だってあった。
「まったく、油断も隙もあったものじゃない!!」
「全部英語だー」
「良いから走りなさい!!」
何時もながらホントに呑気だなこいつはッ!!!
普段の待ち合わせの場所に先に居るのは活発そうな八重歯の女子とツインテールの真面目そうな女子。
「やっと来た。」
「おはようございます。綾ちゃん陽子ちゃん」
「しのたけ遅いぞー」
「すまん…忍を連れてくるのに少し手古摺った………っておい、陽子、なんだそのあだ名は」
「だってお前ら何時も一緒に来るじゃん」
「そうしなければ十中八九でこいつが遅刻するからだ。」
「もう完全に保護者ね…」
活発そうな女子は【猪熊陽子(いのくま ようこ)】
真面目そうな女子は【小路綾(こみち あや)】
二人とも中学からの友達だ―あと何人か俺の友人もいるのだが、
「ドラ達は?」
「鳳君と千手君は今日は日直だから先に行ったわ。宗像君と八房君は分からないけど…」
「宗吾はともかく、久遠もか…珍しいな」
宗吾はおそらく寝坊だろう。
「ところで、なんでそんなに遅くなったの?」
「手紙を読んでたら遅くなってしまって―」
「手紙……そう言えば、それってエアメールだよな?」
「しの外国に知り合いが居るの?」
「中学の時にイギリスにホームステイしに行った事があってな。その時お世話になった家の子供からだろう。」
「アリスといいます。」
「アリス!?へー、不思議の国か―」
「陽子、お前にとってイギリスは不思議の国か」
アリスなんてよくよく考えれば海外でありふれた名前だろうに…綾は忍から手紙を受け取って何が書いてあるのかを読んでいる。
けど、本場の手紙だろ?教科書は先生が訳しながらでも教えてくれるけど、これを実際にやらされると……
「に、日本に来る…って書いてある…と思うわ。」
顔に【多分】と浮かんでいるぞ、小路よ。
ほら、曖昧な言葉で受け答えするから忍が期待してるじゃないか。
「おやおや、何だか賑やかですね。」
「! 久遠…遅かったな」
ふいに背後から聞こえた声に振り替えると眼鏡をかけた如何にも優等生っと言った風貌の男子生徒が居た。
こいつは【八房久遠(やつふさ くおん)】。 俺の友人の一人だ。
見た目通り頭が良い…品行方正で顔もいいので女子からもてる…だが、しかし。
「忍にイギリスの友達から手紙が来たんだ。 けど、英語でなんて書いてあるかわからないらしい。」
「成程…それで小路さんが困っていると、おはようございます、皆さん。」
「おはよう久遠さん」
「おはよう久遠」
「おはよう八房君。!そうだわ。これ、なんて書いてあるのかわかる?」
「これは―エアメールですか…。」
そう言って綾が久遠に件のエアメールを渡す
ふむっと一息ついてから手紙の中身を確認する。
「………これは恐らく【日本に来る】っと書いてありますね。」
「おぉ~流石、学年主席。 あっさりと解読しちゃった。」
「これくらいお安い御用ですよ。(それに2通目ローマ字で書かれてたので簡単でしたが、面白そうなので黙っておきましょう。)しかし、僕も此処まで本格的なものは初めてなので、やはり此処は先生にお願いするのが良いでしょう。」
「そ、そうよね!じゃあ、早く先生の所に行きましょう!」
綾を先頭走っていく女子3人を見送る。
「……で、宗吾は?」
「置いてきました。」
「言いやがった」
「だってこのままでは僕まで遅刻になりかねませんから。」
「親友と言ってる割には平然と見捨てるのな」
「見捨てる?いやですねぇ、今回は切り離しただけですよ」
ハッハッハっと黒い輝きを放ちながら爽やかに笑う久遠……
その背後から近づく怒りのオーラを放つ男子生徒が近づいてくる。
「見つけたぞこの鬼畜メガネ!!」
大きなヘッドフォンを首に掛けた【ちゃら男】っと言う第一印象を植え付ける若干茶髪の少年…友人の一人の【宗像宗吾(むなかた そうご)】。
久遠とは折り合いが悪いと言う訳ではないが―
「おはようございます。宗吾」
「ああ、おはよう……じゃぁねぇよ!!久遠!!…テメェよくも【夏希】に起こすとか言って部屋入り込んで人のアラーム止めて行きやがったなッ!!」
「おやおや、君が寝ぼけて止めたんじゃないんですか?」
「そんな器用な寝相はしてねぇよ!!」
「やれやれ……」
っとまぁ、この二人のやりとりを見ての通り…この優等生は自分に親しい人間(特に同性)には平然と毒とぎりぎりの悪戯で弄ってくるドSである。
そしてその主な被害者が目の前の宗像宗吾である。 この光景を見るのは一度や二度ではない。中学からの日常茶飯事だ―寧ろこれで性格の荒れない宗吾は本当に心がすごいと思う。
「って、こんな事してる場合じゃなかった、皆は?」
「先に行ったぞ。」」
「マジか!くっそぉ…おい、遅刻したらテメェのせいだからな。その時は道連れにしてやる!」
そう言って走る宗吾を後ろから見送る俺―とニコニコ顔の久遠。
「あれだけ早ければ遅刻することもないでしょうに」
「運動部が軒並み勧誘する運動神経の高さの持ち主だからな。」
「あれで帰宅部とは勿体無い勿体無い。」
「………お前はその理由知ってるんだろうが、良い性格してるぜ。」
「いやぁそれほどでも。」
「褒めてないからな。」
まぁ、此処まで来れば遅刻はすることはないだろうから、歩いて行く。
今日もいつもと日常が変わらないこと俺達は自分たちの通う高校へと向かう…今日を始まりにほんのりと日常が変わることを知らずに。
生徒手帳
名前:日本 武
なまえ:ひもと たける
身長:174cm
体重:57kg
好き・趣味:米・魚・昼寝
嫌い・苦手:納豆・泳ぐ事(カナヅチ)
得意科目:現代文 苦手科目:英語
座右の銘:花鳥風月
キャラ印象:【冷静】・【真面目】・【ツッコミ】
紹介
大宮忍のお隣さん兼幼馴染み。
和の心を愛する真人間だが幼馴染みの少女が【あの性格】の為、自然とツッコミやブレーキ役としての能力を得てしまっている。忍達の事を温かい目で見守る。
親しい人間からは【たけちゃん】と言うあだ名で呼ばれる事が多い。