きんいろモザイク‐ボーイズ・ビー・アンビシャス‐ 作:星の翼
今回は鳳龍寅視点でお送りします。
昼休み―半ば宗吾に追い出される形で久遠は自身の教室へと戻って行った。
「…………。」
―一人ぼんやり窓の外を眺めるアリス
それを物陰から見守る忍達―
「アリスが物思いにふけっている。」
「何か悲しそうです。」
「視線の先はイギリスか?」
「「「まさか…【ホームシック】?!」」」
「いや如何してそうなる」
「アリスちゃん日本に来て数日しか経ってないだろ?」
変な誤解が生じそうなので思わず俺と宗吾がツッコミを入れる。
「しかしでござるぞ宗吾殿、たかが数日されど数日でござる人には理解できぬ時の流れもあるのでござるぞ。」
「………………。」
「あんなに小さいのに外国で独りぼっち」
「そりゃホームシックになるよ」
「いや、別にそうでもないだろ?俺達はともかく忍達とも仲良くできてるんだし」
「私達が守ってあげなきゃ!」
「聞けよ。」
「え?てかちょっと待て?この流れ俺らも?」
「当然よ。お願いよ宗像君、アリスを助けて!」
「あ………はい。」
「仕方ないでござるなぁ~~って、あれ?龍寅殿は?」
「眠い………」
物陰でそんなことが起こってるとも知らず、アリスはぼんやりと空を眺めながら睡魔と戦っていた。
「………………アリスさん。」
「?」
ふいに声をかけられてそちらを向くと…
「…………………大丈夫、か?」
身長190m大の大男が立っていた。
強面で、長い前髪の隙間から見下ろしてくる鋭い目が恐ろしく怖い!
「………。」
アリスは思わず硬直した。
確か日本には【オニ】と言う人間を食べる角の生えた怖い怪物が居るらしい。目の前の彼には角は生えていないが視線が怖い。 きっと自分を煮ろうか焼こうか考えているに違いない!!
「ワ、ワタシタベテモオイシクナイデスヨ。」
「…………?」
暫くの沈黙の後、あっと気づいた顔をしてしゃがみ込む。
そうすると目元が隠れて見た事ある顔になる。
「えっと―タツトラ?」
「………うん、改めて【鳳龍寅】。こうして話すのは初めて…かな?」
「うん―そうだね。ビックリした。タツトラって背あんなに高いんだ。」
「………怖がられたり、驚かれたりするから……普段は座って話すんだけど。」
「あ……ゴメンナサイ。」
「………気にしないでいいよ、それよりもこっちの方こそ驚かせてごめんね。」
にっこりと微笑むタツトラ…怖そうな人だけど、とっても優しい人だ。
「……それよりも、如何したの?空をぼんやり眺めてたけど?」
「少し眠かっただけだよ。」
「そっか―日本は如何?イギリスに帰りたいとか思うときはある?」
「日本はとってもいい国だよ。住みやすいし外国の人も多いし皆優しいし…マムやダッドに会えないのは少し寂しいけどシノ達が居て楽しいよ。」
「…………良かった。これからも大宮達とは仲良くしてやってくれ、役に立てるかどうかは分からないが、俺や武も居るから困った時は遠慮無く頼ってくれて構わない。」
「ありがとう、タツトラ。」
「…………俺の事は気軽に【ドラ】って呼んで良いよ。 皆そう呼んでるから。」
「【ドラ】?如何して【ドラ】?」
「…………俺の名前、【龍】と【寅】って書くんだ。 【ドラゴン】…だから皆は【ドラ】って呼ぶ。」
「【リュー】と【トラ】…【ドラゴン】、【タイガー】……」
……………カ、カッコイイ!!
そんな二人はほかの6人(内3人不本意)が変な決意を固めているとも知らずに午後の授業へと突入する。
「あ、消しゴムがっ―」
「私が拾うよ!」
「じゃあ、この問題をアリスさんに―」
「その問題はアリスには難しすぎます私にこたえさせてください!」
「―ほい、カフェオレ。午後は眠くなるから気をつけてなぁ」
「アリガト…」
「さっきの授業で何処か分からなかった所はある?」
「ナ、ナイから大丈夫…」
「アリス殿、何処へ行くでござるか?」
「私たちも一緒に!」
「何!?何なの皆―!?」
「…………お前ら、さっきから何やってるんだ?」
「うん、俺が、知りたい。」
「いや…ガチで、如何してこうなった?」
「まるで、我ら、完全に、保護者でござるな。」
何か変に気張って(それと羞恥心で)疲れてる武達を他所に何か飲み物を買ってくることにした。
「…………お前らは、何か飲むか?」
「烏龍茶を頼む」
「コーラ」
「ナタデココで…お願いするでござる。」
「…………分かった、金は後でもらうからな。」
「わりぃ…助かるわ」
「…………ん?」
皆から頼まれたものを買って戻っているとアリスと会う。
でも――
「……アリスさん、それは如何したの?」
「……………分からない。」
何故かうさ耳つけていた。
何て言って―あげればいいのだろう。
今日一日の彼女を振り返って――――
「…………大丈夫?」
「……ダイジョーブ。」
あんまり元気ないみたいだけど―
「………どうかしたの?」
「うん、改めて思ったんだけど、皆は私の事如何思ってるのかなって…」
「……如何して、そう思ったの?」
「今までの皆の行動を思い返して思ったんだよ。」
「…………ああ」
確かに―友人と言うよりも――保護者と言う言葉がしっくり来る。
それも過保護な。
「……………ふっふふ」
「な、何が可笑しいの?ドラ?」
「いや、アリスさんは愛されているな…と。大丈夫だよ、大宮達はアリスさんの事、とても大事な友達だって思ってる。そうでなかったらあんなに過保護にはならないよ。」
「そうなのかなぁ―」
「………心配なら、聞いてみると良いよ。」
「うん、そうする―」
そうして教室に戻って来た俺達が見たのは黒板に書かれた
【アリスのポジション】と言う題名を前に協議する大宮達の姿があった。
因みに案には【小猫】・【うさぎ】・【ハムスター】と書かれていた。
「…………………。」
如何しよう―何て声をかけていいのかわからない。
アリスさんにも―あいつらにも―
「それじゃあ、私達はこれで失礼します。」
「じゃあなドラ―」
「さよならでござるぞ!」
「………ああ。………それで、俺に何の用だ?」
その後変な誤解(?)は解けて帰ろうと思ったとき、俺は宗吾に用事があると言われて呼び止められた。
全員が教室を去っていくのを見送ってから改めて要件を聞く。
何時になく宗吾の目は真剣だった。
「いや―改めて聞こうと思って―何で分かったんだよ?」
「……………何が?」
「だから!……昼飯の時の、その、えっと…」
「……………ああ、あれか」
「お前が小路の事を好きだって事だろ」
「ッ!もっとオブラートに包んでくれ!!」
「………とは言っても、難しいだろ」
「で、何時からだよ―何時から皆知ってるんだよ!!」
「………中三の時かな、お前、その時期から良く小路の方をちらちら見てたからな。俺達と話してる時でも勉強中でも給食食ってる時でも」
「……………。」
「それに知ってるのは俺達だけだ。 大宮達は全然気づいてない。」
「それは―それで落ち込むな。」
ハァ~と深いため息をついて机に座り込む宗吾。
本人は気付かれてないと思っていただけにそのショックも大きいのだろう。
まあ、恋愛事を経験してない俺が言える義理ではないが―複雑なことだってことは―何となくわかる。
「だが―何で俺だけに聞いたんだ?」
「…たけちゃんとドラさんは本当に信用できる奴だ。観九郎はこの手の話は役立たずだろうし―久遠なんざ論外だろ。」
あれでも、本人は応援する気らしいのだがな。
これは日ごろの行いと言うものだろうから敢えて触れないことにした。
「――俺達から言う事は無い。けど、まあ、頑張れ―ずっと片想いしてるんなら負けるな」
「………はあ。ま、バレちまったものはしゃあねぇよな……ありがとなドラさん。改めて聞いてちょっと肩軽くなったよ。んじゃあ、何か買って帰ろうぜ―何でも奢るぜ?」
「じゃあ―【ハーゲンダッツ】…妹たちの分も」
「うぉい?!ハーゲンダッツは高すぎだろ?!」
「何でもって言ったろ?」
生徒手帳―その4
名前:鳳 龍寅
なまえ:おおとり たつとら
身長:194cm
体重:65kg
好き・趣味:家族・家事・手芸
嫌い・苦手:動物(嫌われやすい体質)
得意教科:家庭科 苦手教科:特になし
座右の銘:健康第一
キャラ印象:【寡黙】・【強面】・【お兄ちゃん属性】
紹介
目元を前髪で隠す武の親友。 通称【ドラ】
下に4人の妹弟を持つ長男で高身長強面の容姿に反してとても家族思いの優しい性格の持ち主。目つきが悪い事や背が高い事を気にしていて話す時も周りに合わせるために座っていることが多く、気遣いも出来るので武達からの信頼は篤い。
下の妹が来年自分の通う高校を受験するつもりらしい。