きんいろモザイク‐ボーイズ・ビー・アンビシャス‐   作:星の翼

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ああ、仕事の量がどんどん増えて行く…………


9話:九条カレンと言う少女

「…………………。」

 

皆さんこんにちは……八房久遠です。

単刀直入に言わせていただきます。

僕は今、許嫁の少女に押し倒されて…キスをされました。

 

いえ、その─キスは初めてではありません。

ただその──

 

「「「「「「「………………………。」」」」」」」

 

友人達の視線がとても痛いです。

ああ、こうなることが分かっていたから……だから会いたくなかったんです。

それなのに嗚呼、如何してこうなった?

 

 

「が、はっ……。」

 

 

あ、宗吾が目を覚ました。

容赦なくカレンのタックルを鳩尾に喰らってましたからね……ご愁傷さまです。

 

ああ、やっと─この凍り付いた世界が動き出します。

残念ですが─当事者の僕も頭の中が混乱していて僕視点で物語を語る事は難しいので、誰かにバトンタッチします。

それでは皆さん─ごきげんよう……………

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごほっ・・・ガハッ!!」

 

な、何が起こった?

ありのまま今…っつーか、金髪少女2号が久遠に突っ込んできた瞬間までは朧気ながら記憶はある。

そこから……え、ええっと?

何この状況?

 

現状整理─

 

まずは当事者である久遠。

セカンドゴールドこと【九条カレン】さんに馬乗りにされてがっくりとしている。

そして九条さんは久遠の上でキラキラしてる…ああ金髪がより輝いている。

 

そして他の皆さん。 見事に固まっている。

何を見たんだ?

 

「カ、カカカカレーン!!」

 

おおっとアリスちゃんが動いた!!

急いでカレンちゃんを久遠から引き剥がすと泣いてるような怒ってるような微妙な説教が始まる。

 

「何してるのカレン!」

「え?大好きなダーリンがいたからうれしくて……つい☆」

「つい、じゃないよぉ!!こんな、こんな公然の場で、キ、キキ……キスなんて!!」

 

………………………はい?

 

「……………おい、久遠?如何いう事だ?」

「…………………………………………………………………」

 

・・・返事がない。ただの屍のようだ。

 

 

「じゃねぇ!!!おいしっかりしろよ久遠!!帰ってこい!!!」

 

がくがくと体を揺するが反応は帰ってこない。

っていうかこれ、三途の川に片足突っ込んでないか!?

 

「お、おいしっかりしろって!!た、武ちゃーん!!」

「ハッ?!」

 

必死の叫び声に野郎陣が復活。

遅れて女子陣も復活するが─大宮とぁゃ……小路は衝撃的な光景なのか顔を真っ赤にしてあわあわしてる。 陽子は─駄目だ!何が起こってるのかわかってないって顔だ!!!

 

「目を覚ますでござるー!!傷は浅いでござるぞ!!」

「そもそも傷なんて」

「貞操概念的な意味で傷はついたと思うけどな……」

「それを言ってやるな!!」

 

現実逃避した久遠を現実へと引き戻す作戦に出る。

が…こうかはなかった!!

 

「……っつーか、ごめん。 俺状況理解してないんだけど?後、記憶がすげぇ飛んでるだが?」

「「「え………ぁぁ………。」」」

 

 

かくかくしかじか…四角いムーブ

 

 

「え、マジ?!」

「やめろ宗吾…男がそんな乙女チックに頬を染めても気持ち悪いだけだ。」

「いや……だって…キスだろ?頬にチューではなく口同士だろ?挨拶的な意味ではなくバーニングラブ的な意味でだろ?」

「分かったからそれ以上言うな…久遠の心情察してやれって」

 

会ったら会ったで覚悟決めてただろうに何の覚悟も決まらないうちにこの始末だからな。

 

「お~い久遠起きろぉ……どうせもっと凄い事やってんだろ?」

「お前ッ!」

 

何言って……

 

 

「……言われてみれば確かに………」

「「…………………えぇ~~~~??……」」

 

目覚ましやがったよこいつ……

と言うか?!言われてみれば確かにって何されたんだよ?!!

 

「ダーリーン!!」

「はあ……もう、分かりました。 ええ、お久しぶりです……カレン。」

 

重い溜め息をついた後アリスに説教されているカレンと向き合う久遠。

助けを求めているカレンが直ぐに彼の腕にしがみ付く。

 

「…えっと、二人はどういう関係なのかしら?」

「ああ……まずはそこからですね……。」

 

かくかくしかじか…………

 

 

「「「「許嫁ぇ?!」」」」

 

驚く3人─まぁ、これが普通の反応だよな。

うん………俺たちと同じだよ。

 

「え、だって…二人ともまだ高校生…よね?」

「あぁ~そっか…あ………小路達は知らないんだっけ? 久遠の家って実はすげぇ金持ちなんだ……」

「へぇ~…八房って意外とお坊ちゃまだったのか……でもなんで普通の高校に?」

「青春くらい自由にさせろって親父さん相手に勝負事起こして勝った結果らしいぜ?俺も詳しく知らないけど………」

 

未だに顔の赤い小路と復帰した猪熊の疑問に宗吾が代わりに答えてあげている。

 

「まぁ、後は久遠の野郎が…九条ちゃんのことが苦手ってらしいけどな。」

「如何して?」

「それは恐らく……お互いの属性というか……そんなところでござろうかな?」

「ああ、確かに…八房って落ち着いてるからなぁ~」

 

落ち着いてるっというよりも何考えてるかわからないってのが一番だがな。

「落ち着いてるっというよりは何考えてっからからねぇのが一番だけどな。」

 

宗吾…口に出すなよ。

 

 

「………………なあ、皆。そろそろ……学校行かないと、遅刻するぞ?」

「「「あ、そうだった……」」」

 

俺たち今登校中じゃん…

 

 

「そいえば…九条さんも同い年だよね?高校は?」

「みんなと同じところに入るんだって」

「なら、一緒に行こうか………おい、忍。いつまで固まってるんだ?行くぞー」

 

…………………

 

「?」

 

何かぶつぶつ言ってるような……

 

 

 

 

「八房君にキスすれば、金髪少女とキスしたことに………」

「え?大宮さん?」

 

……この言葉を聞いたのは俺だけのようだ。 本当に良かった。

 

 

 

 

 

ちなみに……

 

 

「…………」

まさかと思いますが……クラスも一緒だなんて偶然は起きませんよね?

 

 

 

「英国から来た九条カレンデース!よろしくお願いしマース!」

「…………」

 

 

Oh……Jesus…………

 


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