そうだなー、ありきたりな始まり方かも知れないけれど僕と君が出会ったのは6月の終わりの31日。僕は馴れない愛想笑いをしながら馴れないクラスメイトの馴れない下ネタに付き合ってて君はホースで水を掛けられていた。
その光景は今でも本当に良く思い出せるよ
「うわぁ、女子ってえげつないよなぁ」
どこか楽しそうなクラスメイト達に条件反射で「そんな事言うなら止めて来なよ」と嫌みの一つも言ってやりたくなるが言える訳もなくて
「そうだよねぇ、ほんと怖いなぁ」とかなんとか、なんとまぁ我ながら芯の無い返事で誤魔化しながら僕は足早に通りすぎようとしたんだ。
本当にごめん、君の事を助けるべきだった
前に一度この事を言ったら君は「貴方は根っから偽善者なんだから謝らないで」と怒られたけどね。
本当に君はどうすれば僕が困るかを心得てるよ
そこで終れば、僕らは悲しいやつと下らないやつの二人で終わりだったんだろうけど
あら?そろそろ夕御飯の時間か。うーん、今日はここまでにしようか。
イタタタ、果物ナイフでグリグリしないでくれよ痛いだろう?なんで刺さらないか不思議だよ
え?せめてちゃんと初めて話をするとこまで話せって?
そうだね、それぐらいの時間ならあるか。
うん、通りすぎようとしたら僕は腕を捕まれてねこう言われたんだ「お前あいつらにやめろって言ってこいよ」ってね、君を助けろって言わないのがまさにクズって感じだろ??
え、僕も同類?酷いなぁ泣けてきたよ(笑)
まぁいいさそれでね、断れる筈もない僕はおずおずと君に対する虐めを止めに言ったわけだ。自己愛でもってね
あ、ご飯みたいだよ。
じゃまた明日
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おはよう、君は今日も高潔で綺麗だね、え?お世辞は嫌い?
知ってるよ、だから言ったんだ
…さて、どこまで話したっけ?
そうだ!!、僕が君を虐める女の子達に止めろと颯爽と言いに行くところからだねって、イタタタ悪かった僕が良いように言い過ぎたから果物ナイフでグリグリしないでくれよ。
それで僕は馴れないクラスメイトとの馴れない日常を守る為に女の子のリーダーに話し掛けたんだ、「あ、あのさぁ」ってね震える声に震える膝、あんなことはもう二度とやるもんかと思ってたけど君のせいで何度かやることに、ってそこら辺はまぁおいおい話すよ。
そうそれでね、なんていったかなあの女の子のリーダー北風さん?、北山さん?、あぁ北原さんか。
凄いなぁ君は、興味の無いことまでしっかりと覚えられるなんて流石に進学校で一二を争う才女だけあるよ、え?お世辞は嫌い?違うよ、これは嫉妬だ。
…な、なんだよ頭を撫でるなよ、止めろ、止めなさい、止めてって、それ以上やると君を好きになるぞ?
おい、流石にそこまで嫌がるなよ(笑)
そう、それでだ、僕が話かけたとき他の女の子はちょっと怯えて、イタズラがばれて怒られるみたいに楽しげでほんのりワクワクしてた、北原さんはゴキブリを見る眼で僕を見てたけどね。
いや違う、彼女は世界をゴキブリでも見る眼で見てた。
君は彼女にどんな勝ち方をしたんだ?
…まぁいいや、そこで僕は彼女達に言ったんだ「さっき四階から教頭先生が見てたよ」ってね。君も知ってるだろ?学校の評判を保つことと自分の身を守ることにしか興味のないあの伝統と格式に囚われた男だよ。
そこで女の子達はちょっと怯えてほんのりワクワクしながら北原さんに行こうって行ったんだ。一人で行けば良いのに可笑しいよね(笑)
ただ北原さんだけが僕をゴキブリを見る眼で睨みながらこう言ったんだ、「なんで?」ってね。主語も述語も欠けたさっぱりな文章だったけど僕は何となく「可愛い子には優しくしろってお爺ちゃんに教わったんだ」とか返そうと思ったんだけど出来る訳もなくてね、いや、別に、何となく、とかなんとか我ながら芯の無い返事で誤魔化そうとした。
女の子達は走ってどこかに行って、残った北原さんも初めて人を見る目で僕にありがとうと言ってどこかにいった。可笑しいよね(笑)君への悪意以外純粋な北原さんと僕との交流はここで始まった訳だ
さぁ帰ろうと思ったら振り向いたら誰も居なくてね、あぁ僕は置いてかれたのだとここで気付いた。
残ったのは僕と君のボッチ二人、泣けるよ(笑)
そこで君は僕に話し掛けて来たんだ、ん?そろそろお昼寝の時間だねそれじゃってなに?頭を撫でてだって?
嫌だよ、君を好きになっちゃうだろ?
それじゃまた明日。
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初めまして北原さん、そう言って僕は彼女の横の椅子に腰掛ける。
教室の後ろの一番左、彼女の定位置にいつも通り彼女は居ていつも通り人に囲まれいつも通り僕を待って居る。いつも通りのゴキブリを見る目
久しぶりね田所君、人を見る目で 彼女がそう楽しそうに答えてくれる。
初めて彼女に初めましてと言って、その次の日も初めましてと言い続けたら、不思議そうな顔をしたあと暫く悩んだ彼女は僕に久しぶりねと僕に返事をして
そんな所が好きだった
田所くん田所くん、と楽しそうに繰り返す彼女の純真無垢にしか見えないその姿に僕は子供の頃目の前で轢かれた仔犬を思い出しながらよしよしと頭を撫でながら話を聞く
はいはいなんだね北原さん、撫でながら話しかけるその姿に彼女にまとわりつく友人もどき達はニヤニヤと楽しそうにこちらに笑いかけるのだ、ほんと仲良いよねぇ私も彼氏欲しいなぁ、とか熱い熱い、とか。
今は2月だ、熱い訳あるまい病気か?
初めて話しかけた時も、馬鹿にされたときも、北原さんの彼氏になった時も
ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤと
あぁ気持ち悪い
と、そんな事は全く考えておらず北原さんを撫でながら可愛いなぁやっぱり僕の彼女は最高だなぁと思いながら僕は北原さんに聞いた。
ねぇ、彼女の事階段から突き落としたの君でしょ。
あぁ可愛いなぁ、ほんっと可愛いよなぁ
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やぁ、久しぶりだね。なに?一昨日も来ただろって?
いやいや、毎日毎日朝昼晩と君でヤラシイ妄想をしてる僕としては二日も会ってないというのは一大事なんだよ?
それはもう相当さ、僕の中の君の成分を体外に排出し切ってしまうぐらいさ(笑)
…あれ?いつもみたいにグリグリしないのかい?ってあれれれれ?
な、なんだよ泣くなよ、冗談なんだよ汗ごめん、ごめんって。冗談だから。神や仏に誓って君をいやらしい目で見た事はない!!。…サイテーってのは結構傷付くなぁ。
一度もないのかって?、ほんとに全く一度もないのかって?
無い!誓って無いよ、ってイタタタタタ!!それはそれで腹が立つとか凄く理不尽だよ!!?それ!!?
まぁ良いや、そっちの方が君っぽいよ。
ん?その右手はどうしたのかって?
気付いちゃったか(笑)、今朝ね北原さんに君の事を階段から突き落としたのは貴女か、って聞いたんだけど泣きながら僕の右手にハサミを刺してどこかに消えられちゃってね。やっぱりイチャついてる時にいきなりキツイことを聞いたせいかな?(笑)
え、余計な事するなって?自分の事は自分で解決するって??
違うなぁ(笑)、君は入院してしまった時点で誰からも助けて貰わないって権利を失ってるんだ。
悪いけど助けるよ
……君の髪は見た目通りの手触りなんだね。
猫を撫でてるみたいだな。お婆ちゃんが飼ってたんだよ、優しいヤツでね。幸せそうに老衰で死んだんだ。
撫でるな?髪が乱れるって?
そうだね、わかった
ん?どうしたの?…また明日も来いって?
約束は出来ないなぁ(笑)
約束は友達か恋人のどちらかとしかしない主義なんだ。
それじゃまた。