手紙を読んでから数週間後。
毎日の朝練を始める前の一息をついているとテレビではあるニュースを報道していた。
『本日、かのヴァーミリオン皇国の第二皇女「ステラ・ヴァーミリオン」様が来日いたします。
空港には一目見ようと大勢の……』
「ステラ・ヴァーミリオン…か…」
天才と言われこの学園にも首席で入学した皇女。
写真上からでも分かるその凛とした佇まいで多くのファンが居る。
「行ってきます」
テレビを消して一人朝の訓練に出た。
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日課の特訓(本人は特訓、他人には拷問クラス)を終えて自身の部屋…第一学生寮405号室へ帰ると部屋の中から人の気配がした。
「(侵入者か…いや、この学園のしかも表向き落第騎士の俺の部屋には居るやつなんているわけがない、となると部屋間違えの線も…鍵かけたからないな…ルームメイト?)まぁ、入るか」
このとき、ノックか何かしらの手段を用いれば穏便にすんだかもしれない。
ドアを開けて部屋に入るとそこには半裸の美少女がいた。
「(……え?はい?)」
燃え盛る炎の様にウェーブのかかったら紅蓮の髪に、日本人離れした美しい顔立ちに釣り合う深紅の瞳。
そこには突然の侵入者に対する敵意と驚愕があった。
そこまで確認した俺は瞬時に踵を返し部屋からでて学園長室に走った。
……後ろから聞こえた「ヘンタイ!!」やら、「ケダモノ」やらは聞こえないことにしたかった…
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「クソババァ!!」
学園理事長室に入るなり視認できた人影…この破軍学園理事長・神宮寺黒乃に罵倒と共に蹴り開けた扉を飛ばした。
「何すんだい!!」
怒り出した理事長を無視して俺の言いたいことを言い出した。
「なぜ、俺の部屋には女がしかも、ステラ・ヴァーミリオンがいるんだよ!!」
「お前は…もしかして下着姿でも見たのか?」
「見ちまったからすっ飛んできたんだよ!!」
「ふむ、つまり彼女の魅力的な姿に我を見失い、しかしそれでも私に文句を言うために来たと?」
「それ以外あるか!!クソババァ!!…はぁ、どーすんだよ、あれ第二皇女だろ…あーめんどくさい…」
「なんだ、黒鉄はヴァーミリオンのことを知っていたのか?」
「この間から、ずっとテレビで言ってたじゃないですか、さっきまで興味なくて忘れてましたけど。本物のお嬢様なんて気色悪くてやってられるかってんですよ」
「ははは、確かに彼女はすごいな、ぶっちぎりのナンバーワンに全ての能力が平均を大きく上回って、伐刀者にとって最も大切な《総魔力量》は新人の約三十倍と言う正真正銘のAランクだからな」
「ははは…Aランクと書いて化け物ですか。なら、俺はどうなんですかね?」
「全くだ、そこまでの力どうやっててにした?」
「思い出した…これしか言えませんね」
「ふん、食えんやつだ…パラメーターの書き換えは終了している、これからはパラメーターだけ見られてバカにはされんぞ」
「ありがとうございます」
俺が理事長に素直にお礼を言うのと、ほぼ同時に吹き飛ばした扉から件の少女が入ってきた。
「………失礼します」
目に見えて落ち込んだ様子の彼女はいまは、この学園の制服を着ている。
しかしその目は俺にたいし恨みがましい視線を向けてきている。
「おお、入学初日から災難だったな」
笑いを堪えながら理事長はヴァーミリオンに声をかけた。
「理事長笑い堪えながらって」
苦笑いしながら俺が言うと理事長は
「で、どうするんだ黒鉄」
「そーですね…ここは、日本人として「……ハラキリ」でって…え?」
俺の台詞に被せるようにヴァーミリオンなこえをだした。
「この一件は―――――あなたのハラキリで済ましてあげる」
「理事長、やっぱりこいつ嫌いです」
「落ち着け黒鉄」
「なんすか、この我儘な奴のために死ねって何様なんですか?」
「それはまぁ、姫であるアタシにあんな粗相をしでかしたわけだし死刑は当然でしょ?名誉死にしてあげるだけでも出血大サービスよ?」
「血出してるの俺だし!!第一たかが肌見られただけで死ねって」
「お、うまいこと言うな黒鉄」
「助けるきがないならあんたは黙ってろ!!」
「たっ、たかがですって!?し、ししし信じられんない!!信じられないわこのヘンタイ!!嫁入り前の姫の肌を怪我しておいてなんて言いぐさなの!?お父様にも見せたこと無いのに!!」
「いや、だったらこの学園でプールとか入るときどうするんだよ一々ハラキリですか?めんどくさい奴ですね」
にっこりしながら言ってやった。
すると、ヴァーミリオンの瞳に怒りの色が灯る…いや、それだけじゃない回りの大気がひりつくような熱を帯びている。
「(まず、こいつの能力はたしか――)」
「もう許せない!!あんたみたいな変態・痴漢・無礼者のスリーアウト平民はこのあたし自ら消し炭にしてあげるわ!!傅きなさい!!《妃竜の罪剣(レーヴァティン)》!!」
その言葉と同時に彼女の手には大剣が出現した。
そして、この《紅蓮の皇女》の能力は全てを焼き尽くす灼熱の炎
「こんなとこで固有霊装出してンじゃねぇ!!来やがれ《陰鉄》!!」
俺の手にも暗闇よりも黒い刀が現れた。
「ふん、そんな固有霊装でアタシの妃竜の罪剣が止められると思っているの!!」
「止める気はねぇただ、吹き飛ばすだけだ!!」
上からの袈裟斬りを《陰鉄》の横凪ぎによって《妃竜の罪剣》の柄に当てることにより窓から吹き飛ばした。
「くっ!?」
「そこまで!!」
ヴァーミリオンが悔しげな表情をしたところで理事長からストップが入った。
「そろそろやめときな、それ以上やるなら模擬戦でもしな」
「はあ、わかりましたよ、たくっ、…一時間後だ、それまで準備でもしてな我儘皇女」
「あなた、本当に勝てると思ってるの?今なら話しかけない、目を開けない、息をしないの三つを守れば部屋の前で暮らしてもいいのよ?」
「その一輝君は死んでるし、部屋の外かよ!!最低限部屋のなかで息ぐらいさせろよな!!」
「嫌よ!!どうせ息するふりしてアタシの匂いを嗅ぐつもりなんでしょ!!変態!!」
「口呼吸すればいいんだろうが!!」
「ダメよ!!どうせ舌であたしの匂いを味わうつもりなんでしょ変態!!」
「その発想はなかった!!我儘皇女の発想力パナイな!?」
「嫌なら退学しなさいよ!!」
「ふざけんな!!もういい、叩き潰す!!再起不能にしてやるよこのアマが!!」
「ンぅもおおおお~~~~~!!アッタマにきた~~~~!!この平民!!皇女のあたしにたいして偉そうに!!決めたわ賭けるのは部屋じゃなくて負けたほうは勝った方に一生服従!!どんな屈辱的な命令にも絶対に従うのよ!!」
「いいぜ、ただし逃げんなよ、俺とこの刀たちはどんな相手だろうと切り裂くぜ」
広角を上げながらヴァーミリオンをみる。
向こうも俺を睨み付ける。
「あんた、名前は!!」
「黒鉄…黒鉄一輝この学園でただ一人のFランク二つ名は【落第騎士】」
「黒鉄一輝ね、覚えたわよ。待ってなさい!!絶対に後悔させてやるんだから!!」
「やってみろよ!!皇女様?」
こうして俺とステラ・ヴァーミリオンの模擬戦が決まった。
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「面倒なことになったな…」
「分かってて乗ったんだろ?」
ヴァーミリオンが出ていったあと理事長と話している
「あんたとの条件忘れんなよ?」
「勿論さ『七星剣武祭で優勝すればどんな圧力をかけられようが卒業させてやる』だろ?分かっているさその為にこの学園の大掃除をしたんだからな。お前こそ必ず勝てよ?」
「ああ、必ず勝つさ、ヴァーミリオンやこの学校の生徒会長、他校のやつらにもな」
「そうだな、そのために二回目の試験を受け、この私の『本気に』打ち勝ったのだからな。頑張りたまえよ、【落第騎士】黒鉄一輝」
「俺はもうすぐ【落第騎士】じゃなくなるさ。必ずな…あ、観客とかはあんまり入れんなよ?面倒だからさ」
「全くお前は本当にめんどくさがりだな」
「そんなこと今に始まったことではないでしょ?理事長先生」
「それもそうだな、ホレ行け皇女様にお前の強さを見せてやれ。ああ、あと抜刀術は使うなよ」
「ええ、勿論。実践以外では使いませんよ」
理事長が笑い俺も笑いながらも理事長を出ていった。