魔法少女リリカルなのはINNOCENT ブレイブバトル   作:blueocean

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DUEL9 高校へ………

「………うし!!」

 

新しい制服に袖を通し、気合を入れる。

………気合の入れる必要は正直無いが、まあいいだろう。

 

「そう見るとマスターもしっかりして見えるわね」

「マスター恋愛ゲームの主人公みたい!!」

「やめろ。学校で弄られるんじゃないかってちょっと不安なんだから」

 

恋愛ゲームはやった事は無いが、何でも現実離れした環境の中に入る男が主人公の場合が多いらしい。

 

(この研究所では博士以外一緒に住んでいる男は俺だけだし、皆可愛いからな………ここに住んでいる事は絶対にバラさない)

 

そう、俺の為にも。そしてこの家の為にも………

 

そしてもう1つ心配事があるが、それは実際行ってみないと分からない。

 

「さて、下に行くか!!」

 

俺は元気よく下へ降りた………

 

 

 

 

 

 

「………」

「週末雨か………出掛けんのが面倒だな」

「………」

「桜か……学校で見れるのか?」

「満開ですよ!毎年とても綺麗です」

「マジで!?いやぁ、楽しみだ………」

「その代わりその桜の何本かには死体が埋まってるとか………」

「キリエ、俺の感動を返せ。ユーリ、醤油取って」

「はい」

「………」

「サンキュー。………んで、黙ってチラチラと見つめて………俺、何かしたか?」

 

そう聞くとあからさまにビクッと反応する3人。

 

「べ、別に何でもないぞ!」

「そ、そうですよ、私達はいつも通りです」

「そ、そうだよ!ボク達は正常運転だよ!!」

「それを言うなら平常運転だと思うが………まあいいや」

 

そこまで気になるわけでもなく、不快と言うわけでもないので気にしない事にした。

 

「ふむ。もしかしたらいつもと雰囲気が違う零治君に慣れないのかな?」

「いつもと違う………?」

 

珍しく朝食を一緒に食べている博士に言われ、確認してみるが、変わっている場所と言えば、制服を着ていること位だろう。

 

「確かに零治君、制服着たら大人っぽくなったかも」

「言われてみれば確かに………」

 

とアミタとキリエが言う。しかし何とも曖昧な答えだ。

 

「まあ高等部の制服が見慣れていないだけかもしれませんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、じゃあ行くとするか」

 

朝食を終え、皆がそれぞれ通勤の準備をしながら俺だけバックを持ち動く。

 

「あれ?レイ早すぎるよ?」

「入学式前に先にクラスで集まるようになってるんだよ。それに早目に出るにこしたことはないだろ?」

「道は大丈夫ですか?」

「下見は済んでいるから大丈夫だ」

 

そう言って扉の前に立つ。

 

「行ってらっしゃい、楽しいクラスだと良いですね」

「気をつけるのだぞ」

「マスター、迷ったらラグナルを通して私に連絡しなさい」

「逆に私が掛けるね!!」

「やったら部屋に縛り付けるぞ」

 

そう言うと黙るユリ。

 

「レイ、気をつけて」

「学校で何かあったらお姉さんに連絡しても良いわよ〜」

「レイ、クラスに遊びに行くから!!」

「来なくていい!!」

 

こう言っておかないとレヴィなら休み時間毎回来そうだ。

 

「楽しんでおいで」

「帰ったらお話し聞かせて下さい」

「ありがとうございます博士。ユーリも楽しみにしててな」

 

騒がしく、そして穏やかなこの家族とも呼べる一団。

こんな俺を迎えてくれる優しい人達。

 

俺はここに来れて良かった。

 

「行ってきます!」

 

俺は元気よく部屋を出た………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校はショッピングモールを越え、徒歩10分程。丘の上に地方の大学なのでは無いかと勘違いしそうなほど広い敷地を使ってその学校はある。

 

「ん……?」

 

ショッピングモールを過ぎたあたりでふと路地裏に入っていく一団が見えた。

ディア達と同じ天央中学の制服を着た女の子で、周りは別の高校の学ランを着ており、ガラが悪い。

 

「またか………」

 

この前、ディアと商店街に行った時もそうだが、最近不良が多く見られるようだ。

 

「まるであの街みたいだな………」

 

あの街とは俺が中学の頃有栖家で過ごした家があった街のことだ。中学に上がった頃、街を荒らす若者が増えてきたと学校でも注意があり、年々その被害件数は増えていった。その中に俺も、俺の義妹も、俺に限っては目を付けられ、狙われるようになった。

しかし昨年の秋。リーダー格の男と喧嘩して勝利し、そいつは警察に捕まって散りじりになり、街に平穏が戻った。

 

「まさかあのグループの残党が暴れてるとか………流石に無いか」

 

あの時リーダー格の男と共に、幹部のような立ち位置の人間もほぼ捕まっていた筈だ。

 

「……っと、今はそんなこと言ってる場合じゃ無いか!!」

 

俺はその集団の後を追った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、そんなにのんびりでいいの?」

「ん?のんびりってまだこんな時間だろ?」

 

朝のシャワーでシグナムさんとの稽古の汗を流し、リフレッシュした所だった。

 

華やかな私服とスカートにエプロン姿の双子の姉の柚がふとそんな事を聞いてきた。

 

「兄貴、今日から高校生だろ?天央高校って遠いんじゃ無かった?」

 

そして双子の妹の方の花梨がそんな事を言う。格好は相変わらず男っぽく、Tシャツ短パンと、髪が長くなければ男と間違えられてもおかしくない格好だ。

 

「…………あっ」

 

既に7時半を回っている。自転車で片道30分くらいの距離なので充分間に合うのだが、今日は入学式。早目に着くようにと説明を受けていた。

 

「やばい!!柚!!悪いけどパンだけ焼いとてくれ!!行きながら食う!!」

「えっ!?朝ごはんは!!」

「花梨、食っといて!!」

「了解〜」

 

そう指示して慌てて自室に向かい着替える。

荷物は昨日の内に済ませたので、5分ほどで準備を終えた。

 

「はい、パンにピーナッツバター塗っておいたから!!後お弁当と水筒」

「サンキュー柚!!」

 

パンは口で加え、弁当と水筒を無造作にバックに詰める。

 

「あん?騒がしいなぁ………」

 

そんな中、眠たげな目でトイレから出てくる親父。玄関付近にトイレがあるため、そこに居られると邪魔だった。

 

「どけ親父!!」

「おい、一心!!親に向かって何て口の利き方を……」

「お兄ちゃん、気をつけてね〜」

「おい、柚!」

「お父さん、トイレに入る時は新聞持って行かないでっていつも言ってるよね?それにちゃんとスプレーした?」

「し、したぞ!!新聞はすまん、つい……」

「トイレはお父さんの部屋じゃないよ……?」

 

ニコニコしているが、その内は結構怒っているようだ。

黒崎家の家事をほぼ1人でこなしている柚の権限は黒崎家で一番ある。細かいルールも柚が決めている。

 

(サンキュー柚)

 

面倒な親父を心の中で感謝しつつ、靴を履き終える。

 

「行ってきます母さん」

 

そして靴底の上に飾ってある母親の写真に挨拶し、俺は家を出た………

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、何とか間に合いそうだな………」

 

自転車を飛ばし15分程。

ショッピングモールを越え、後少しと言ったところまで来ていた。既に同じ制服も学生をあちこちで見ている。

 

「ん?」

 

そこで路地裏に向かって人盛りが出来ている場所があった。

 

「何だ?」

 

一心も気になり自転車を止め、近くにいた学生に聞いてみた。

 

「何があったんだ?」

「いや、よく分かってないんだけど、隣町のヤンキー校の生徒がボロボロで倒れてるって。……で、噂ではやったのはうちの生徒なんじゃないかって」

「路地裏から男子生徒が出てきたって見た奴がいるそうなんだよ」

「へぇ………」

 

この時間だと同級生か。

 

(高校生活早々に喧嘩かよ………巻き込まれないようにしないとな………)

 

そんな事を思いながら一心は学校へ向かうのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお………」

 

桜並木が続く坂道を登り、学校まで向かうのだが、アミタが言ったように絶景だった。

 

「いやぁ……癒されるなぁ………」

 

先ほどまで喧嘩していた自分の心を癒してくれるように感じた。

 

「さあ、行くか……」

 

桜を少し堪能した後、再び歩き出す。

坂を登り、見えた校門は桜吹雪に包まれ、とても幻想的に感じた。

 

「凄いな本当に………」

 

入試の際何度か訪れてはいたが、桜の力でこうも景色が変わるとは思わなかった。

零治は終始圧倒されながら学校へと入っていくのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

『これから第XX年度、入学式を始めます!!』

 

クラス分けを見て、クラスへと向かった。既に名前の順で割り振れられた席に座り、入学式の時間を待つ。8組という1番端のクラスだった。

誰かと話し、早めにクラスに馴染めるように………とも思ったが、クラス内には既にグループが出来ており、その殆どが中等部からの知り合いだろう。何も知らない相手はお断りと言ったような雰囲気を感じ行動出来ずにいた。

 

そして現在入学式の真っ最中だ。

 

『理事長祝辞』

『諸君、おはよう。儂が理事長、水無月権蔵じゃ!』

 

白い髭を生やし、袴姿の老人。しかし筋肉隆々でとても老人とは思えない。

 

『我が校は生徒の自主性を重んじる。何をするにしても儂が許可しようスポーツ、芸術、勉学。何でもいい。ゲームだろうとマジックだろうと自分の趣味だろうとなんでもだ!!自分の才能を、夢を伸ばそうと努力する者の手助けをしよう。ただし、中途半端で過ごす事は許さん!!失敗してもいい、自分の決めた事、その道を極める様に日々精進してほしい!!』

 

定番の季語そっちのけで、迫力ある声で話す理事長の言葉は身体の芯まで届く。学校の校風となっている『生徒の自主性を重んじる』はこの学校独自の形で浸透している。

 

それはこの学校の部活動の数だ。

部から同好会まで実に100近く。

 

それぞれ自分の好きな事をし、その事を深く追求していると以前アミタから教えてもらった。しかし学期が終わる毎に経過報告を義務付けられていて何も変わっていない、ただ活動しているだけだと資金を完全にストップされたり、割り振れられた部室や借りてる教室を追い出されたりとその辺りは厳しい。

 

更にこの理事長はかなり変わった人物だった………

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

 

高校入試後期試験。

最初地元の高校を何校か受けていたが、その全てが落ちてしまった。テストの自己採点も充分合格ラインを達しており、落ちる様な事は無いと思っていたが、そこで思わぬ経歴が合格の妨げとなっていた。

 

「座りたまえ」

 

普通の高校の面接では面接官が数人居て、それぞれ質問をされ、答えていくのが通例だ。

しかしここ、天央付属高等学校は面接官は1人だけだった。

 

「失礼します」

 

再び言ってからゆっくりと椅子に座る。

 

「先ず、儂だが、儂は水無月権蔵。この学校の理事長をしておる」

「理事長!?」

 

理事長自ら面接官をするなんて初めて知った。見た目も老人だろうが筋肉隆々でとても若く見える。

 

(何だこの人………)

 

溢れ出るオーラの様な重圧に目を逸らしたくなるが、そこは耐え切った。面接で相手の目を見ずに話すなど論外だ。

 

「ほう、儂の重圧の前に屈せぬか。面白い………貴君は勉学に関しても我が校に入学するのは問題無い。だから今回1つだけ聞く。嘘偽りをせず答えよ」

「はい………」

「貴君は何度か停学をしているな?その理由について答えよ」

 

そう、恐らくこれこそ合格をもらえなかった大きな原因だろう。

中学時代、降りかかる火の粉を払うため、喧嘩を売る不良を悉く返り討ちにしてきた。その内学校にも乗り込んできたり、生徒を巻き込んだりと迷惑もかけた。無論相手が悪いのだが、処罰は免れられないとの事で度々停学になっていたのだ。

しかし授業態度も成績も悪くなかった俺は先生方のご厚意もあり、出来るだけ停学を目立たない様にしてくれたのだが、それでも高校側からしてみれば問題児をわざわざ取ろうとする学校は受けた中には無かった。

 

「………」

「どうした?答えてみよ」

 

こういった質問に答えるべき返答は先生方と既に対策済みだ。

しかしこの理事長相手にはちゃんと理由を話してみたくなった。

 

「………初めは正義感からでした」

「ほう………」

「近くの不良に絡まれている後輩の女の子を助ける為に。喧嘩なんて今までした事なかったですが、運動神経には自信があったので咄嗟に動きました。結果は圧勝。相手は踵を返して逃げていき、女の子に深く頭を下げられお礼を言われました。これで万事解決したとそう思ってました………」

「………」

「だけどそんな甘い事は無かった。相手は仲間を連れて何度も何度も挑んできました。通勤中、帰宅中。終いには休みの日まで。だけどその全てを返り討ちにしてきました。……もしかしたらストレスがあったのかもしれません。逃げるなんて事は考えずにただひたすら向かってくる相手を倒してきました」

 

ストレスは当然家の事だ。一人娘を大事にするおばさんは俺の事はそっちのけで義妹にとても深く愛情を注いでいた。おじさんは俺にも気を使っていたが、気が優しいおじさんはおばさんの言う事に逆らえずに居た。なので居心地が悪いのも原因だったのだろう。

 

理事長は俺の話を黙って聞いてくれた。まるで懺悔室で懺悔を聞いてもらっているかの様な雰囲気の中、俺は話を続けた。

 

「そしてその内にある事件が起きたんです。去年の秋先、その頃には向かってくる不良もいなくなり、暫し平穏な時間が流れていました。ですがそれは自分の勝手な思い込みでした。放課後、不良グループの1つが義理の妹を誘拐したんです。助けたければ、1人で来いと当然自分1人で向かいました。町の外れにある廃ビル。そこは不良の溜まり場として有名でした。そこに行くと義妹は制服をビリビリに引き裂かれた状態で腕を上に吊るされてました」

「なんと………」

「………そこからは覚えていないんです。怒りで頭が真っ白になって、気がつけば倒れている不良の中で1人立っていました。一部始終を見ていた義妹が言うには、見たことない形相で一方的に不良達を倒していったそうです。そこで自分自身の恐ろしさに気が付きました。怒りに身を任せれば目的さえ忘れ暴れる。人質がいようが御構い無しに………」

「………」

「この学校を志望した理由の一つが、家からなるべく遠い高校。それがここ天央付属高等学校だったんです」

「なるほどのぅ………」

 

そう呟き、理事長は自分の顎髭を撫でる。

 

「内なる自分が怖いか………」

「内なる自分………」

 

確かに怒りに飲まれた時は自分が自分では無くなっていた。だからこそ何も覚えていなかったのかもしれない。

 

「人は誰しも内に違う自分を持っている。それは誰もが自然とひた隠しているものだ。例えば表は純粋で真面目な青年が内では邪な思いを宿している場合もある。それに気がついているか、いないかで随分と違う。貴君の場合はそれを早い内に気がつけて良かったと思うぞ」

「ですが………」

「若い内と言うのが良いのだ。なまじ優秀でずっと真面目に生きてきた者ほど、大人になり、脆かったり、内に潜んでいたものを爆発させてしまい、その後の人生を棒に振ってしまう場合だってある。大事なのはこれからだ。その内に秘めたものをどう扱っていくか、どう制していくか。逃げているだけでなくこれからどうしていくかを考えれば良い」

「どう制するか………」

「貴君はこの高校生活をどう過ごそうかと思っとる?」

 

ありきたりな質問。他の学校でも聞かれている。それに対しての模範的な回答も考えてあるが、俺自身ちゃんと考えた事なんて無かった。ただ単に離れた学校で1人で居たかった。

 

「………分かりません。だけど何となく道は見えてきたと思います」

 

理事長との話でそれは自分自身に向き合わず逃げているだけと言うことに気づく事が出来た。まだ分からない事だらけだだが、この学校でなら見つけれらそうな気がする。

 

「結構!!」

 

俺の返事を聞いた理事長は嬉しそうにそう答えて立ち上がった。

 

「儂は過去の経歴など興味は無い!いかに過ちを重ねていようと、それを糧とし、再び同じ過ちを犯さなければ良い事だ!!若い内から自分の内に篭らず、外へと視野を広げる事こそ、若者には必要!!失敗を恐れず、何事もチャレンジする学生を儂は応援する。有栖零治、貴君のこの3年間が意味のある大事なのは時間になる事を祈っとるぞ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今思い返せば面接じゃなくて悩み相談だったよな………」

 

理事長の話を聞きながら面接の時を思い返した。

全く他とは違う面接だったが、逃げていた自分を変えてくれた理事長の言葉。もし理事長に会えていなければ今の俺はいなかっただろう。

 

「………頑張ろう」

 

理事長の言葉が終わるとともに、俺は小さく誓うのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「有栖零治です。趣味は散歩。知らない場所をふらふらと歩くのが好きです。部活はまだ決めてません。これから1年間よろしくお願いします」

 

入学式が終え、クラスに戻ると恒例の自己紹介タイムとなった。

有栖と言う苗字の影響で自己紹介はほぼ1番最初。流石に慣れてきたものの、やはり緊張がある。

 

「珍しい苗字だな………零治で良いか?」

「はい、そっちの方が助かります」

 

担任の岸谷先生がそう聞いてくる。如何にも体育の先生と言わんばかりの体格と言葉遣い。しかし早々に名前で言ってもらえるのはありがたかった。先生が名前で呼んでくれれば、自然とクラス全員も名前で呼び始めるだろう。

 

そんな事を思っているとあ行が終わり、か行へと変わる。

 

「初めまして、神崎大悟です」

 

か行トップバッターの神崎大悟。こいつが話し始めた途端、空気が変わった。

 

サラサラとなびく、モデルの様な髪形の茶髪に白い肌。ほっそりとそして俺と同じくらいの長身。更に足も長くトップモデルの様な容姿。顔も誰も文句を言わない様なイケメンで、芸能人と思われてもおかしく無いくらい完璧に整っていた。

 

「あまり人前で話すのは得意じゃ無いので1つ、自分の好きな物を紹介します………」

 

と言って一旦深呼吸する神崎。その1つ1つの動きにクラスの女性陣からはキャーキャーと歓声があがる。

 

「俺はアニメが大好きだ!!いや、アニメだけじゃない!!ゲームもラノベもアニメに関する全ての物を愛している!!皆に紹介しよう!!これが俺の嫁、魔法学園戦記イクリプスに出るヒロイン、アーシャ・ペルシーナだ!!!」

 

そう言って制服とワイシャツを開き、中のTシャツを見せる。Tシャツには銀髪の女性のデザインがでかでかと描かれていた。

 

「俺はこの学校で俺の嫁と共に日本のアニメについて、いや、日本の将来について探求していこうと思う!!皆、どうかよろしくお願いする!!!」

 

と満足そうに言い切って座る神崎。しかしこの静まり返った教室の空気に気が付いているのだろうか?

まさかの衝撃的な出来事にクラスの女子だけでなく担任の先生も固まっていた。

 

「………っと!まあ趣味は人それぞれだからな………さて次は………」

 

この次に自己紹介する人がとても可哀想だ………

 

「初めまして、俺は柿崎健吾。中学ではサッカー部の主将で、全国にも出てました。当然、高校でもサッカー部に入部します。………ここで誓いましょう!俺はこの高校生活の3年間で皆さんを必ず全国の舞台へと連れて行きます!!だからみなさん、サッカー部の応援よろしく!!!」

 

とウィンクをしながら終える柿崎。ルックスも神崎に劣るが、いかにも遊んでいる雰囲気のある人物だった。

 

「さて………次は………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黒崎一心だ。………あっとえっと………趣味は剣術。一応師匠みたいな人と朝や休みの日に特訓している。みんなどうかよろしく………」

 

素っ気ない感じで自己紹介を終える黒崎。しかしその動きや仕草がどうにも普通の人達と違っていた。

 

「剣術か………」

 

『レイはもっと刀の戦い方を磨いた方が良いかもしれませんね。………格闘戦ではレヴィも凌げるのに、刀だけになるとスキルに頼りがちになってしまう。これは近距離戦闘するにあたっては致命的です』

 

とこの前のレヴィとの戦いの後、シュテルに指摘されてしまった。当然自分自身で分かっていたが、剣を習うにしても剣道のような剣術では絶対に役に立たない。

 

(剣道の様な競技の剣術じゃない剣術を教えてくれる場所があればなぁ………)

 

とも思うがバイトやブレイブデュエルをやったりと忙しいのでどうしても時間が取れなさそう。

 

(………まあ余裕があったら探してみるか。何なら黒崎に聞いてみるのも良いかもしれない)

 

そんな事を思いながら他のクラスメイトの自己紹介を聞くのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて自己紹介も終わり休み時間になると、個々それぞれ気になった相手に話しかけたり、元からの知り合いと話したりと色々行動している。

 

「………俺もさ、そうやって色々と親睦を深めたいと思ってるんだよ。それなのに何をしてるんだよあの2人は」

 

窓側の端の席なので廊下の様子がよく分かる。

水飲み場から8組………いや、俺の様子を観察している2人が居た。

 

「零治君、1人で孤立してますね………」

「あらら。やっぱり自然と出る元不良のオーラが出てるのかしら?」

「はぁ………」

 

気がつかれるとこっちに来て堂々と話しかけてきそうなので気づいてない様にしているが話し声が普通に聞こえてくる。

 

1年生の階に2年生が来ていることで少々注目になっている。更にあの2人の事だ。絶対に余計目立っている。

 

「いっその事話してみましょうか?」

「まあそれで注目されれば嫌でも人が集まってくるでしょうね〜」

「ちょっと待った!!」

 

流石に耐えきれなかったので、俺は教室の外へ出た。

 

「あれ?」

「何だ、気がついていたなら声かけてくれれば良かったのに〜」

「キリエ……先輩、絶対どうなるか分かってて言ってるよな?」

 

ニヤニヤしながら言っているキリエ。相変わらず意地が悪い。

 

「取り敢えずちょっと来てもらって良いか?」

「嫌だと言ったら?」

「頼むから来てくださいお願いします………」

「キリエ、意地悪言わないの。分かりました行きましょう零治君!!」

 

俺が頭を下げた事でアミタもキリエも俺のお願いを聞いてくれた。

しかし俺が美人の先輩方と仲が良い事、更に名前で呼ばれている事を多くの人に見られただろう。

 

「不幸だ………」

 

初日から幸先が不安になってきた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だよアイツ、何であんな美人の先輩達と……」

 

教室の窓から廊下の様子を見ていた柿崎が悔しそうに呟く。

 

「やっぱりだ……」

「うん?やっぱりって何だ?」

「俺、隣街の中学出身なんだけど更に少し離れた中学に地元で有名な不良グループを潰した番長がいてそれが確か有栖って珍しい苗字だとか………」

「………その話詳しく聞かせてもらって良いか?」

 

そう言って柿崎はニヤリと小さく笑った………

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