魔法少女リリカルなのはINNOCENT ブレイブバトル   作:blueocean

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花粉症が辛く、遅れてしまいました………


DUEL11 男3人八神堂へ………

「………またか」

 

あの騒動から数日経った。暴れたリーダー格とその幹部らしい数人はあの後警察に連れて行かれ、少年院に送られたらしい。事実上あのグループは終わり、何事も無い普通の日常に戻っている。

 

この騒動の発端であった岸間は現在学校を休学している。サッカー部も入部前に入部を拒否され、入部の時に言っていた目標は完全に絶たれて、転校すると噂になっているが定かではない。

 

 

 

さて、暴れた俺と黒崎だが、警察への事情聴取となり得るところだったが理事長の口添えでそれもなくなり、お咎めなしで終わった。誰も傷つかず、博士にも迷惑をかけずに済んで本当に良かった。

 

「だけどなぁ………」

 

今回の騒動のせいで思いもよらない厄介な目に遭っていた。

 

「またか………」

 

俺の目の前には自分の下駄箱に入っていた何通かのラブレターがあった………

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう〜」

 

軽く挨拶をし、返事を待たず、さっさと自分の席に座る。

 

「………おかしい、どうしてこうなった?」

 

今の時点でも背中に人の視線を感じる。堪らず突っ伏すが、それでも視線を感じる。

 

「いいや、気にしすぎだ!あんなことあったし警戒しているんだ!きっとそうに違いない!」

「何1人で話してるんだ?とうとうおかしくなったか?」

 

嫌な所を黒崎に見られてしまった。

 

「いや、ちょっと自分に言い聞かせてただけだ」

「………気持ちは分かるが、ちゃんと現実を見ようぜ………」

 

黒崎は疲れた様子でそう呟く。

 

「………今日もか?」

「ああ。………そっちもか?」

 

俺は無言で頷く。

 

「まだ少し時間あるし、何か飲みに行かないか?」

「そうだな………」

 

俺は黒崎の提案に乗り、共に1階の自販機ブースげと向かった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……全く、どうにかならないもんかね………」

 

コーヒーを飲んで早速愚痴が出てしまった。

 

「確かにな。こんなの初めてで正直どうすればいいのか分からないよな………」

 

そう言ってポケットに入れたラブレターを取り出す。

 

「黒崎は貰ったラブレターどうしてる?」

「一応確認して名前書いてある人には会って断っている」

「へぇ、まめだな。でも最初から断る気なのか?」

「ああ。俺にはやらねばならない事がある」

「俺には好きな人がいる」

「そうだ。………っておい!!」

 

恥ずかしそうに慌てて突っ込む黒崎。意外と誘導尋問には弱い様だ。

 

「まあいいじゃないか。恋するお年頃なんだし!」

「……そういうお前はどうなんだよ?フローリアン先輩と付き合ってるんだろ?」

「フローリアン?」

「アミタ先輩だよ」

「ああ、アミタね……………うん?」

「うん?」

 

互いに気の抜けた顔で見合う。

変な間の後、再び黒崎が口を開いた。

 

「いや、だからアミタ先輩と付き合ってるんだろ?」

「いやいやいやいや!!何言ってんだよ!!」

「違うのか?」

「違う違う!!俺はアミタの家に居候させてもらってるから博士にも悪いと思ったし、アミタに何かあったら妹のキリエやディア達も心配しただろうし………」

「居候って………あんな美人の先輩と一緒に住んでるのかよ」

「絶対に誰にも言うなよ頼むから」

「分かってるよ」

 

まあ黒崎ならば嫉妬に狂ったりだとか、羨ましいと思ったりしないだろうと根拠のない自信があった。

 

「ってかそんなことよりも何か良い案無いか?」

「良い案ね………」

 

皆からチヤホヤされず静かな学園生活を俺達ば望んでいる。

 

「…………」

 

色々と考えるが上手くいきそうな策が思い浮かばない。

 

「ダメそうだな………ったく別にイケメンってわけじゃ無いのに勘弁してほしいぜ………」

「イケメン………あっ!!」

 

黒崎の呟きに1つ良い案を思いついた。これならばきっと上手くいくはずだ。

何せ成功例もあるのだし。

 

「何か思いついたか?」

「ああ、こうすれば………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神崎」

「……何だ?」

 

神崎は読書を邪魔され、迷惑そうに返事した。

1時間目の休み時間に早速俺達は動き出した

 

声を掛けたのは神崎大悟。こいつが俺達のキーマンとなる。

 

 

「ちょっとお願いがあるんだが………」

 

そう言うととても嫌そうな顔をする。だが、こいつにとっても良い話のはずだ。

 

「俺達にお前の好きなアニメの事教えてくれないか………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う〜ん………」

「どうしたのアミタ?」

 

ボーッとしながら唸るアミタにキリエが声を掛けた。

 

昼休みの食堂。

アミタは妹のキリエと同級生の2人と昼食を摂っていた。

 

「もしかして彼氏の事?」

「彼氏じゃ無いです。………まあ零治君の事ですけど………」

 

と同級生の2人の内、1人がからかうように話す。

 

「何を悩んでるの?あっ、もしかして彼、今大人気だから2人の時間が取れないから寂しいとか………」

「いえ、私と噂になって零治君に申し訳ないな………って。今度お詫びに何か奢りましょうか………?」

「いやいや、そんな事よりもアミタは彼を自分のものにしたいとか思わないの?」

「ん?零治君は物じゃないですよ?」

「いや、そうじゃなくて………助けてもらったとき、彼が王子様に見えたとか………」

「零治君は王族の人では無いですよ」

「ねえキリエ………」

「アミタはこんなだから2人が思っているような事は無いわよ。………我が姉ながら流石に女子高生にもなってこれは………ね?」

「?」

 

不思議そうにするアミタを見て、3人は揃って溜め息を吐いたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

さて、神崎に頼み事をして数日………

 

「………よし!」

 

朝、下駄箱の中身を見て思わずガッツポーズした。

毎日のようにあったラブレターも今日は0と入学式の時と同じようになった。

 

「おう零治」

「黒崎、早いな」

「ああ。妹達の視線がちょっと痛くてな………」

「もしかしてバレたのか?」

 

そう言うと黒崎は深く重々しく頷いた。

 

「まあ友達からどうしてもとせがまれて読んでるだけと言ったが、あれは信じて無いだろうなぁ………」

 

何か大事なものを失ったような顔で遠くを見ながら呟いた。

 

「……だけど、やった効果が現れ始めてるよな」

「そうだな。今日も手紙みたいなのは無かったな」

 

黒崎も同様に下駄箱には何も無かったようだ。

 

「まさかこんな簡単に沈静化するとは思ってなかったな」

「………その分余計なレッテル貼られたがな」

 

現在の俺達は不良オタクと思われているようで、沈静化した原因でもある。

 

「不満か?」

「騒がしいよりマシだ。それに上辺だけしか見ない奴と仲良くしていく気は無いしな」

「だな」

 

黒崎の言う通り、俺も人との付き合いは大事にしていきたいと思っている。だからこそ上辺だけの付き合いはする気はない。

 

「おはよう!!」

「ああ」

「おはよう」

 

そんな中神崎が教室に入ってきた。相変わらずのイケメンであり、中身を知らねば誰もが惚けてしまうほどだと思う。

 

しかしあの自己紹介以降、神崎に進んで話しかけようとする女性は誰もいなかった。誰もが皆オタクを嫌悪している訳でも無いだろうが、必要以上に話す必要も無いという事だろう。

 

俺と黒崎が目指す位置はまさにそれだった。

 

「どうだったイクリプスの第3巻?」

「予想外だった。まさかあの………」

「ちょっと待て!!まだ俺読んでないんだからネタバレすんな!!」

 

ただ1つ、予想外の事があった。

それは借りたライトノベル、『魔法学園戦記イクリプス』に2人共ハマってしまった事だった。

 

「黒崎、3巻は?」

「忘れた」

「は?」

「妹達に言い訳しながら準備してて、そのまま置き忘れた。………済まん」

「お前………」

 

素直に謝られている為怒るに怒れない。

 

「………じゃあ明日はちゃんと持ってこいよな?」

「ああ、分かってる。………しかし神崎、あの黒騎士がアーシャの兄だとは思わなかったぞ!!」

「俺も俺も!!」

「ネタバレ止めろ!!」

 

絶対、心から謝ってないだろ黒崎………

 

 

 

 

 

 

 

 

時は流れ、昼休み………

 

「なあ2人共……」

「ん?」

「何だよ?」

 

俺は弁当のメイン、塩シャケを食べながら聞き返す。

絶妙な塩加減と丁度いい焼け具合。更にディアが目利きした鮭は最高で、昼休みの弁当が学校生活の楽しみの1つになっていた。

 

「俺さ、実は興味ある事があってさ………」

 

そう言って口を噤む。どうやら言いづらい事のようだ。

 

「まさかここでロリコンですとか今更なカミングアウトは要らないからな」

「お、俺は別にロリコンじゃ………」

「アーシャが自分の嫁って言ってたけど明らかにメルディの方が好きだろ?」

 

メルディとはイクリプスの中で言うロリ枠で、神崎はライトノベルの栞、ブックカバー、スマホストラップをメルディで統一している。

 

「ほ、本当の嫁は自分の内に、大事にしておくものなんだ!!」

「堂々と人前で嫁宣言してたけどな」

「とにかく!!」

 

黒崎の鋭い突っ込みを聞いて、神崎は無理矢理話を区切った。

 

「俺は最近話題のブレイブデュエルをやってみたいんだけど一緒にやらないか?」

「ブレイブデュエルを?」

 

あれだけ口を噤んでいた割には予想外の誘いだった。

 

「良いけど。……ってか俺もう既にやってるし」

「俺も」

「「えっ?」」

 

黒崎の答えに俺も驚く。

 

「知らなかった………」

「まあそんなにやってないし、去年は受験で全然やる暇無かったから初心者とあまり変わらないがな。………零治の事はシグナムさんから聞いたんだ。最近はやてが注目しているプレーヤーが居るって」

「はやてが?………ってかもしかして八神堂の人達と知り合い?」

「ああ。ヴィータは妹達と同級生だし、シグナムさんは俺の剣の師匠みたいなものだからな」

「マジか………」

 

本当に世界は狭いものである。

 

「………ってあれ?シグナムって言う人も八神堂の人なんだよな?」

「ああそうだよ。………もしかして皆に会ったことないのか?」

「俺が実際会ったのはヴィータとシャマルさんだけだな。アインスさんは居たみたいだけど直接は会ってない」

「だったらもう殆ど知っているもんだな。後はさっき言ったシグナムさん、番犬のザフィーラ。これが八神堂の家族全員だ」

「へぇ………」

 

と2人だけで話が盛り上がる。

 

「2人共………」

「あっ、悪い神崎………」

「いいよいいよ、どうせ俺なんて邪魔だろうし、オタクな俺相手だと疲れるだろうし、イケメンのせいで比べられるのが辛いだろうし………」

「おい、ちゃっかり最後自慢入ったぞ………」

 

だが実際イケメンでなので悔しいが認めざるおえない。

 

「分かったよ、俺は今日用事無いから付きってやる」

「本当か黒崎!?」

 

黒崎の提案に神崎はとても眩しい笑顔で答えた。女の子ならキュンとしかたもしれない。

 

「零治はどうする?」

 

そう問われ、今日の予定を振り返ってみるが、今日は特に何も無い。本当ならばピックアップしたバイト先に連絡して少々話を聞いてみようと思ったが、別にそれは後日でも良いだろう。

 

「じゃあ俺も付いてくよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃい~あれ?一兄も来たんか」

「ようはやて。………って俺もって事は2人もか?」

「そうや。………って言ってもきょうはブレイブデュエルじゃなくてヴィータの部屋で遊んでるんやけどね。一兄は………ってあれ?お兄さんも?」

「ああ。ちょいと厄介になるよ」

 

そう言いながら店の中へ入る。店内はあまり人はいない様だな、地下は違うだろう。

 

「他のみんなは?」

「シグナムとシャマルは下で受付、アインスはお休み中。ザフィーラは私と一緒に店番や」

「2人共学校は?」

「今日は授業が休みになって早めに帰って来たみたいやで」

「なるほど」

 

と黒崎とはやてが世間話に興じている。

 

「………2人はってか八神家と黒崎家は結構親しいんだな」

「といってもまだ2年位の付き合いしかないけどな」

「初めはシグナムと一兄が知り合いで、その次の年にヴィータと柚ちゃん達が友達になった所からみんなと知り合いになったんよ。そこからやな」

「へぇ………」

 

こういう知り合いどうしの繋がりを聞くのは嫌いではないが、全く知らない神崎は話にも入れず、かといって遮るような事は出来ない様で困った顔で途方に暮れていた。

 

「おっと、一応私も店番やし、一兄達もデュエルしに来たんやろ?」

「ああ。今日は初めてやる奴も連れて来てるからな」

 

そう言って途方に暮れていた神崎を前に出す。

 

「ほんまか!!ブレイブデュエルは本当に楽しいから楽しんでってな~」

「は、はい………」

「おい、何を照れてんだよ………」

 

笑顔をそう言われ、畏まる神崎、せっかくのイケメンもこれでは勿体無い。

 

「それじゃあ行こうか」

「あっ、それならリフトを………」

「「エレベーターで!!」」

 

どうやら黒崎も俺と同じ目にあった様だ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおおっ〜!!!」

 

下に着くと既に大盛り上がりであり、熱気がこっちまで伝わっている。

 

「何か最近いつもに増して盛り上がりが凄いな………」

「そうなのか?俺が始めてからはいつもこんな感じだが………」

「まあ2、3ヶ月ずっとやれなかったからな。一応受験生だったし。………でも近々やる予定の団体のランキング戦の為にいつもに増してプレイしている人が多くなっているように見えるな」

「団体戦か………」

 

まだまだ駆け出しであり、手探り状態ではあるが是非出てみたい。………ただ交友関係がほとんど無い俺が果たしてチームを組むなんて出来るだろうか………?

 

「………まあまだ期間はあるみたいだし、急いで決める必要も無いんだけどな。だがそれにむけて一層ブレイブデュエルに取り組んでいる人が多いんだろう」

「ほう、その通りだ一心」

 

そう黒崎を呼んだ声の虫はピンクのポニーテールの俺達よりも年上の女性だった。大学生くらいだろうが、上下ジャージととても若い女性の年代の人が外で着るような恰好をしておらず、せっかくスタイルもよさそうなのに全てを無駄にしている。

 

「シグナムさん!?あれ?今受付を手伝ってるってはやてに聞いたんですけど………」

「アインスが先ほど降りて来てな、少し代わると言ってもらったから休憩に向かう途中だったのだ」

「そうなんですか」

「今日はブレイブデュエルをやりに?」

「いえ、友達がやってみたいと言われたんで案内で来たんです」

「そうか………久し振りだし一心もやっていけばどうだ?」

「考えておきます」

「そうか。………まあ楽しんでいってくれ」

 

そう言ってシグナムさんは上へと上がっていった。

 

「カッコいいなぁ………」

 

思わず漏れた感想である。凛々しく立ち振る舞いが武士の様な姿にスタイルが良く、けしからんナイスバディや、それに不釣り合いなジャージ姿も目に入ったが、一番最初の感想がカッコいいと思った事だった。

 

「だよな……1度道場で教えてる姿を見た事があるが、袴姿はもうカッコ良すぎるぞ」

「そうだよな………今度写真に撮って見せてくれよ」

「それは流石に………俺、気付かれたら殺されるかもしれん」

 

青い顔で言う黒崎にそれ以上無理して言えなかった。

 

「凄えおっぱいだな………」

 

コイツは平常運転だな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ先ずはカードローダーで個人情報登録だな」

「お、おう!!」

 

そう言ってローダーの列に並ぶ神崎。その動きは何故か緊張しててぎこちないが、立ち姿はモデルの様で周りがチラチラと神崎を見ている。その視線が余計緊張を煽ってるんだろう。

 

「………仕方ない、俺達も一緒に並ぼうぜ。ローダー1枚引いといて損は無いし」

「悪い、俺のカードは特殊で、既に持ってる手持ちカード以外は使えないんだ」

「そうなのか、珍しいな………まあいい、ちょっと待っててくれ」

 

そう言って黒崎は神崎の方へ向かった。意外とアイツ、面倒見良いよな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、零治………」

「ん?終わったのか?」

 

暇な俺は現在やっているブレイブデュエルを観戦していた。今日は特に目立った実力者はいなかったものの、やはり他人の戦いを見るだけでも勉強になる。

 

「黒崎どうしたんだ?その顔………」

 

黒崎の顔はとても信じられない事が起きたかの様に混乱した顔をしていた。

 

「俺も信じられないんだ………可能性は無いわけじゃないが、まさかこいつにこんな事が起きるなんて………」

 

そう言いつつ後ろにいる神崎を見る。神崎に至ってはとても嬉しそうに先ほど引いたカードを何度も見ながら大事にしっかりと持っていた。

 

「黒崎一体何があったんだ………?」

「じ、実は………」

 

「零治見てくれ!!俺のカード!!」

 

黒崎が話すよりも先に神崎が自分のカードを見せてきた。

 

「全く、ガキじゃ無いんだからそんなにはしゃがなくても………ん?SR?」

「そう!!現時点の最高ランクのカード!!やっぱり俺は普通の人と違う選ばれた人間だったんだな!!」

 

と嬉しそうに話す神崎。

 

「信じられない、何でこんな奴が、超低確率を引き当てるんだ………?」

 

とブツブツ言う黒崎だが、俺にはよく分からなかった。

 

「そんなに喜んで水を差して悪いが、いくらランクの高いカードを持って立って使い手がポンコツだったら宝の持ち腐れだぞ?」

「誰がポンコツだ!!俺は選ばれし者!!誰にだって負ける事は無いさ!!!」

「それじゃあ取り敢えず試してみるか。その時にこのゲームのやり方を解説してやるよ」

「望むところだね!!」

 

とすっかり天狗の神崎。

 

「………まあやればよく分かるか。カードのランクだけじゃこのブレイブデュエルには勝てないと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、戦闘はやはり神崎はほぼ何も出来ずに俺の勝利で終わった。

 

「ううっ………こうも難しいなんて………」

「まあ、戦っている内に慣れて行くって」

 

神崎が涙目でそう呟いているが、俺自身は正直驚きの連続だった。

 

神崎のスタイルは新スタイル、『ハイブリット』であった。その名の通り多数の戦闘方法があり、状況に応じて切り替えて戦える万能型である。焔が言うには、俺に合わせて最近採用されたものだそうだ。

 

近距離戦用の大剣、中距離戦用の双銃、そして遠距離用のライフルとそれぞれの距離に応じて武器を変え戦えるのだ。更に神崎の魔力量はバカみたいに高く、それに合わせて武器の威力もそれぞれ高いため、スキルはまだ大したものは無いものの、威力は相当のものだった。

 

しかし当然デメリットもある。俺の様にブラックサレナを使うと他の武器を使えなくなるが、神崎も同じ状態になる。大剣なら大剣のスキル、双銃なら双銃のスキル、ライフルならライフルのスキルと、その武器にあったスキルしか使えないのだ。その為、カードの量も普通の人よりも3倍の量となり、ごちゃごちゃするため、どうしてもスキルを出すテンポが悪くなってしまう。ましてや神崎は初心者であったため、とてもスキルを出すスピードが遅かった。

 

そして一番の問題は使い手である神崎が運動音痴であり、このゲームのセンスを全く感じられない事だ。

 

「それにしても動きが悪すぎだろ………神崎はあまり運動得意じゃないのか?」

「ゲームに運動神経は関係無いだろ………」

「一番はイメージが大事だけど、結構リアルでの体験がこのゲームでは重要になってくるんだよ。ただスキルをぶつけあうだけじゃないからな」

 

黒崎の言う通り、このゲームの一番大事なのはイメージ。リアルでの経験がとても役に立つゲームだ。それが運動である必要は無い。様々な本を読んでいる人はとても頭が柔らかいみたいで、順応も早いらしい。

 

「くそっ………」

「どうする?もう一戦やるか?」

「おう、今度は負けない!!」

 

よほど悔しかったのか、その目には闘志を感じる。

 

「いいねえ、嫌いじゃないぜ」

「ちょっと待ってくれ神崎。先に俺と零治にやらせてくれないか?」

「黒崎………?」

 

不意にそんな事を言ってくる黒崎。

 

「先ほどの戦いを見て、零治と戦ってみたくなったんだ」

「でも久しぶりなんだろ?」

「それでも朝、シグナムさんと実戦形式の稽古をしてたんだ。流石に前通りとはいかないかもしれないけど、良い感覚を取り戻せる機会だなと思って」

「………まあいいけど。だけど手加減はしないぜ?」

「望むところ!!」

 

その言う黒崎は意気揚々に歩いて行く。

 

「剣士との対決………俺にとっても何かつかめるかもしれない………」

 

そんな期待と共に俺も後に続くのだった………

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