魔法少女リリカルなのはINNOCENT ブレイブバトル   作:blueocean

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DUEL1 ブレイブデュエル

 

「ん………?」

 

気が付けば外がすっかり暗くなっていた。

 

「寝てたか………」

 

短い間に色々あり、更に疲れもあってか荷解きして直ぐに眠ってしまった様だ。

 

「今何時だ………?」

 

まだ半分寝ている目で腕時計を見る。時刻は19時ちょっと前だった。

 

「そろそろ夕飯か?確かアミタが呼んでくると………」

「零治君、居ますか?」

 

そう思っているガチャっとドアを開け、こちらの様子を覗いてくるアミタ。

 

「お夕飯の準備が出来たので下に降りてきてもらえませんか?」

「ああ、分かった」

 

そう返事をして頭を掻きながら立ち上がる。

 

「あの………寝てました?」

「流石に疲れてたみたいで気づいたらな………それよりアミタ」

「はい?」

「次からはちゃんとノックしてから入った方が良いぞ?まあ着替えを覗く趣味があるなら話は別だけどな」

「っ!!?済みません!!次からはそうします!!!」

 

と真っ赤になって恥ずかしそうに前を歩いて行ってしまった。

 

「うぶだな………男の裸位で恥ずかしがらなくても良いと思うが………」

 

と勝手な考えを抱きながらその後を追った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下に降りると既に皆集まっていた。

先ほど会ったレヴィ、ユーリ、そして王様と呼ばれた少女、そして更に茶髪の眼鏡を掛けた女の子。そしてピンクの髪の女性が居た。見た目はアミタと同じ位の様に見え、アミタと同じ様に俺と歳が近そうだ。

 

「ふぅ~ん………彼が?」

「はい、有栖零治君です。それじゃあ先ず食べる前にまだ自己紹介していない2人と………」

「アミタ、我もまだしてない。よって先にさせてもらうぞ」

「あっ、はい、分かりました」

 

アミタにそう言って王様は一旦間を置いた。

そして胸を張って自己紹介を始める。

 

「我はディアーチェ・K・クローディア!天央中学付属2年!!困った事があれば我に相談するが良い!!」

 

その姿は威風堂々、年下なのにその言動や雰囲気は呼ばれた通り、王様そのものだ。

 

「次は私が………私はシュテル・スタークス。王様と同じ天央中学2年です。どうぞよろしく」

 

とショートパンツとスパッツという服装で優雅なお姫様の様にスカートの裾を掴んでいる様に見せながら挨拶した。

 

「ああ、よろしくな」

 

レヴィやディアーチェ、ユーリの様に表情から何を思っているのかは分かりづらいが、表情自体は柔らかいので初対面の時のレヴィの様に警戒されてはいない様だ。

 

「次は私ね。私はキリエ・フローリアン。お姉ちゃんの双子の妹で君と同じ天央付属高校の2年生だよ〜。ちゃんと先輩付けする様に!」

「あっ、はいキリエ先輩」

 

むふふと満足そうにするキリエ。

しっかりしている印象のあるアミタと比べてこっちはずぼらの様に感じられる。

 

「………とそうなるとアミタの方も先輩付けで呼んだ方がいいか?」

「私はどっちでも構わないんですけど………」

「あれれ……?」

 

そんな会話をしているとキリエが面白いものを見る様な顔で俺とアミタを交互に見定めていた。

 

「な、何ですキリエ?」

「いつのまにそんなに親しげに?もしかして着いて早々お姉ちゃんに手を出したの?」

「!?手って別に私達は何も………」

 

今のやりとりで何となくキリエの性格が分かった様な気がする。

 

「私達ですって〜!」

「ふむ、確かに怪しいな」

「気になりますね……」

 

そんなキリエにディアーチェとシュテルが悪ノリしてきた。ディアーチェは面白そうだと言わんばかりの笑顔で、シュテルも面白そうに口元を小さくニヤリとさせていた。

 

「関係ないですってば!!零治君からも何か言って下さい!!」

「これからここに住むのに誰かと気まずくなるのはちょっと勘弁して欲しいんですけど………」

 

流石にこのまま弄らせると俺にとってもアミタに対して接しづらくなりそうなので、助け船をだした。

 

「ぶぅ………冷めた返事つまんない〜」

 

と俺の言葉を聞いて、文句を言いながらピタッとからかうのを止めた。

 

「あっ、私もお姉ちゃんと同じで敬語とか先輩も別につけなくていいわよ。………まあ学校では一応先輩ぐらい付けといた方が良いと思うけどね」

「そうです………そうだな、じゃあそうさせてもらうよ」

「了解~」

 

と軽い返事で答えるキリエ。厄介な性格のようだが面白い人なのかもしれない。

 

「………でお姉ちゃん、パパは?」

「さっき呼んだんですけどね………零治君もいるんだし出てくると思ったんですけど………仕方がない、もう一度呼びに………」

 

「その必要はないよ……」

 

そう返事が聞こえ、研究所の方へ続く扉から1人の男性が現れた。

白い白衣に少し隈が残る目に無精髭。明らかに徹夜続けで研究していた研究員と言った様子だ。

 

「久しぶりだね零治君」

「久しぶり?」

「そうか、確か最後に会ったのは君が2歳だった頃だったか………?色々知ってるよ。君も名前の由来とかね」

「えっ!?」

「君の名前はね、丁度日付が変わる0時に生まれたから零治って名前になったんだよ」

「ええっ!?」

「本当だよ。本人に聞いたからね」

 

不意に衝撃の事実を聞かされた。普通もっと深い意味があるのが普通だと思うのだが………

 

まさかそんな簡単に決められていたとは………

 

「しかし大きくなったなぁ………今身長どの位あるんだい?」

「180です」

「君のお父さんの雅也も大きかったが、君も負けずに大きくなったんだね………」

 

と懐かしそうに父の名前を言いながら話してる男性。彼こそ、俺をここに呼んでくれた人であり、父と母の学生の頃からの親友で同じ研究をしていた研究者。

 

「改めて、僕はグランツ・フローリアン。よろしくね零治君」

「はい………」

 

グランツ博士はそう言って優しい笑みで手を差し出し、俺はその手をしっかりと握った。

 

「みんなもう自己紹介は済んだのかな?」

「はい、なのでお父さん待ちでした」

「それは済まなかった。ちょっと色々と問題が発生してね………やはり規模が大きくなるとそれと同じように問題も出てくる。ちゃんと対策したつもりだけどまだまだ頑張っていかないとね」

 

グランツ博士は苦笑いしながらそう呟く。しかしその顔には疲れは見えず、むしろやる気に満ち溢れている様にも見えた。

 

「あんまり無理しないでお母さんを心配させないでくださいね?」

「何かあったら私達も手伝うから」

 

キリエの言葉にディアーチェ達も皆頷いた。

 

「ありがとう。………まあ今は先に食事だね!零治君、期待してくれたまえ!!ディアーチェの料理は絶品だよ!!」

「うむ、我が作ったのだ、当たり前だ」

「へぇ………」

 

ディアーチェが自信満々に答えるのを見て、料理を見てみる。

料理は酢豚や麻婆豆腐にエビチリに回鍋肉にきくらげのサラダとどうやら中華がメインの様だが、その盛り付けからからもとても美味しそうに見える。

 

「た、ただ、少し時間が無くてだな、いつもの夕食になってしまった。………歓迎の席なのに申し訳ない」

「これで………手抜き?」

 

見た目のクオリティで言えば店で出されていても全く恥ずかしい出来なのは間違いない。

 

「ね?ディアーチェは凄いだろう?」

「ええ。何で王様と呼ばれていたか分かりました」

「あっ、いやそれは………まあこの一面も理由の1つか」

 

とちょっと意味深な発言をする博士。

 

「もう食べようよ~!!ボクお腹ペコペコだよ!!」

「そうですね、それじゃあ食べましょう。では………」

 

催促してきたレヴィの言葉にアミタが頷き、皆、手を合わせる。

 

「「「「「「「「いただきます!!」」」」」」」」

 

そして皆で一緒に食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ………!?」

 

俺は早速近くの酢豚を箸で取り、口にした。

その瞬間、口の中で広がる酢豚の旨味。タレも酸っぱすぎず甘すぎず、絶妙なバランスを保っており、とろみ具合もちょうどいい。市販されているものと比べものにならない美味しさだ。

 

「美味い!!」

 

麻婆豆腐も激辛ではなく、子供向けの少しピリ辛な辛さだが、その味は辛さとは別に、味わったことの無い味で、辛いのが好きな俺も楽しめる味になっていた。

 

「ディア!!」

「ディア!?」

「お前凄いな!!こんなに美味しい料理は初めてだ!!」

「そ、そうか………」

 

零治の食い入り方に少々引き気味だが、当の本人は気が付いていなかった。

 

「ははは!!凄いだろう?僕の妻顔負けの美味さなんだよ!!お蔭で娘達の何とも言えない料理を食べずとも………痛っ!?」

「お父さん………?」

「何か言ったかしら………?」

 

「ははは………何も………」

 

アミタとキリエに睨まれて、小さくなる博士。

 

「そりゃあ王様と比べたら私の料理は………」

「別に出来ない訳じゃないから!!」

「は、はぁ………」

 

必死にそう言い聞かせる2人に訳も分からず頷くしかなかった。

 

「2人の料理も美味しいぞ?それに我なんかよりも母上殿の方が断然美味しい。我も精進せねば………」

「これより美味いとか………世界的な料理人とか………?」

 

この場には居ない様だが是非味わってみたいものだ………

 

「ねえねえレイレイ」

「レヴィ、それ止めろ。レイならまだしもそれじゃあどこぞの中国娘みたいじゃないか」

「ディアって誰?」

「誰って………王様の事だよ。ディアーチェってちょっと長いだろ?だから略してディアって呼んでみた。それとも王様って呼んだ方が良いのか?」

「いや、皆に呼ばれているから王様もすっかり定着してしまったが………我はどちらでもいい」

「そうか、ならディアで良いか?何か王様って呼んだこと無いし、ちょいと違和感を感じて………」

「ああ、構わん」

 

そう言ってディアは話を止め食事を再開した………

 

 

 

 

 

「そう言えば零治君はこの研究所はどんな研究をしているのか知っているかい?」

「はい。たしかロボット工学を中心に未だとブレイブデュエルとか言うゲームの開発元がここだとか………」

 

そんな説明をすると皆に一斉に驚かれた。

 

「えっ!?ブレイブデュエル知らないの?」

「いや、知ってるよ。チラッと広告とかで見た事あるし………」

 

しかし実際はそれくらいの知識しか持っていない。

 

「………まあ仕方がないかもしれないね、実際に正式リリースしたのは去年の夏頃だし、実際はまだ1年も経ってないからね」

 

と言う博士だったが、その顔をとても悲しそうだった。

 

「これは実際に体験させるしかありませんね………」

「何かマイナーだってバカにされた気分だよ………!!」

「それならばアッと言わせてやろう………」

「私もお手伝いします………!!」

 

とディア達4人が何やらこそこそと企んでいる。

 

「おい、アミタ、キリエ、何がどうなって………」

「う~ん、まあ今言うより実際に見てもらった方が良いと思うよ~」

「そうですね。それに元々食事後に案内しようと思ってましたから」

 

とキリエとアミタまで意味深な事を言って来た。

 

「一体何なんだ………?」

 

俺は釈然としないまま美味しい料理を堪能した………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食事の後、片付けを済ませた後直ぐに皆で研究所の方へ移動になった。

何やら皆やる気満々でその理由が俺には分からない。

 

「ブレイブデュエルはね………体感シミュレーションカードバトルゲームと言った感じかな」

 

歩いて行く中、博士が前を歩きながら説明を始めてくれた。

 

「体感シミュレーションでカードゲームですか………?」

 

そう言われて浮かんできたのはカードが実体化して迫力のあるバトルが楽しめると言った光景だ。確かに面白そうではあるが、そう言ったカードゲームを今までした事が無く、正直興味は薄い。

 

「私はね、昔同期の者に実際に自分で体感できるゲームを開発したくはないか?と誘われた事があったんだ。………それが君の両親だよ」

「父と母が………?」

「そう。私達は同期でその時からの付き合いだったんだけど、ロボット工学を専門としていたのに、2人はゲーム好きで、『何時か実際に体感できるゲームを作ってみたい!!』と熱く語っていた。それに私と他の同期もやってみたくなってね。君の両親が亡くなった後も、その意思を継いで、もう同期の物と他の協力者の力を得て、やっと去年の夏に全国展開出来たんだ。そして………」

 

研究所の入口に着いた後、正面の扉へと入って行く。

 

「アミタ」

 

博士が呼ぶとアミタは無言で近くのスイッチを入れ、何かの操作を始めた。

 

「そして、その完成したブレイブデュエル。それを今から見せよう!!」

 

明かりが点くとそこには大画面のスクリーン。その脇には大人も入れるほどの円状の筒が並んでおり、他にも知らない機械が多くあった。

 

「これが………?」

 

「ではレヴィ、シュテル」

「よし!カッコいい所みせるんだからね!!」

「負けません」

 

とまだ現状を受け入れらていない俺をよそに、ディアとレヴィ、シュテルはその円状の筒の中に入って行った。

 

(あれ?あれは………)

 

その時、3人が取り出したカードケースの様な物を俺は見た事があった。

 

(デザインは少し違うけどあれは両親の形見の………)

 

それは両親が事故で無くなる前日、俺と妹に渡した物だった。『まだ試作段階だけどほぼ完成したんだ。もう少しで実際に出来る様になる筈だから楽しみにしててくれ!!』と当時まだ3歳だった俺に熱く語っていた。その顔を俺は今でもおぼろげながら覚えているし、楽しそうに話してくれる父が大好きだった。

 

「………」

 

そのケースは今でも大事に肌身離さず持っている。俺の御守りでもあり、これが唯一と言って良い両親の形見でもあるからだ。

 

「アミタ、こっちの準備はオーケーです」

「了解、ユーリ。それじゃあ皆さん、準備は良いですか?」

「オッケー!!」

「大丈夫です」

「よろしく頼む」

 

アミタの問いに中に入った3人は答えた。

 

「画面注目してて」

 

キリエに従い、大画面の方を見る。

 

「ブレイブデュエル、デュエルスタート!!」

 

するとディア達の方から光が発せられる。

思わず目を瞑ってしまい、再び目を開けると画面が大空になっており。そこにディア、レヴィ、シュテルの3人が居た。

 

「これは………!!!」

「これこそがブレイブデュエルの醍醐味さ!こちらで造った仮想ステージで魔法を使いぶつかり合う!!」

「魔法………?」

「まあ見ててみてくれ」

 

そう言われ、再び画面に注目する。ディアやシュテルはそれぞれ離れ、何か準備を。レヴィは準備体操のように近くを飛び回っていた。

 

『………さて、それでは始めるか』

 

ディアの言葉にレヴィとシュテルが頷き身構える。

 

「勝負はデモンストレーションも兼ねてなのでフリーバトルとします」

『ふむ、この3人でフリーバトルは久々だな』

『そうだね、最近忙しくてボクたち同士が戦うのは久々かも』

『手加減しませんよ』

 

シュテルの言葉にディアとレヴィはニヤリと笑った。

 

「それではフリーバトル、レディ………ゴー!!」

「「「リライズアップ!!!」」」

 

先ほど、見かけたケースの様な物を掲げ、そう宣言する3人。

すると光と共にそれぞれ変わる。ディアは漆黒の翼を背に、片手に杖、片手に本を持つ姿。威風堂々の姿はゲームのラスボス感を感じさせる。

レヴィは大きな鎌を持った姿で、大きなマントをなびかせポーズをとっている。その顔は自信に満ち満ちていた。

シュテルは赤紫を服を纏い、手に自分と同じ位の長さの杖を持っている。静かに佇む姿はディアとは違った威圧感を感じる。

 

(強い………)

 

このゲームをした事は無いが、それでも強いと感じた。

1番最初に動いたのはレヴィだった。

 

『王様!!』

『くっ!?』

 

レヴィの武器、鎌でディアに斬りかかる。

 

『紫天の書!!』

 

そう叫ぶと共にディアの持っていた本が開き、ディアの前に1本の剣が現れる。

 

そしてそれを盾としてレヴィに向けた。

 

『なんの!!』

 

レヴィは強引にその剣ごとディアに上から斬りかかった。

当たった瞬間、一瞬と言っていいほどの前だが、その隙にディアはバックステップし下がる。結果的に剣を身代わりにする事でレヴィの攻撃を避けた。

 

『ところがどっこい!!』

 

しかしレヴィはそれで終わらない。続けて横薙ぎに斬りかかろうとした。

 

『………って!?んひゃあ!!』

 

不意にレヴィを襲う光の玉。逃げ場を無くすようにレヴィを囲んで襲いかかる。

 

『シュテるん!?』

『私を無視するなんて寂しいじゃないですか………』

 

そんなシュテルの攻撃を紙一重で交わし続ける。

 

「あれはシュテルの得意とする誘導弾、パイロシューターね。追尾して向かってくる分威力は低いんだけど、ライトニングのレヴィにとってはあまりダメージは受けたくないわよね……さらに厄介なのは緩急をつけて計算して攻撃してるのも脅威ね………」

「パイロシューター?誘導弾?ライトニング?」

 

キリエがそう説明してくるが、知らない言葉ばかりで訳が分からない。

 

「そうだね………パイロシューターは敵を追尾する射撃技って処だね。そしてライトニングに関してなんだけど、それにはこのブレイブデュエリストの基本的な事を説明しながらの方が良さそうだ」

 

そう言って博士は懐から先ほどディア達が持っていたカードケースのような物を取り出した。

 

「これはブレイブホルダーと言ってこのゲームで使うカードデッキを保存する物なんだ。それで………」

「博士」

「ん?何だい?」

「実は俺、これに似た物を持っているんですけど………」

「本当かい!?」

「これなんですけど………」

 

そう言って俺はポケットから形見のケースを取り出した。

 

「これは……!!」

 

それを見た博士は驚いた顔でケースを受け取った。

 

「間違いない、雅也と渚君が研究していた時に私に1度だけ見せてくれた試作品のブレイブホルダーそのものだ。まさか息子に渡していたとは………」

 

そう言って懐かしそうに眺めていた。

 

「あの2人は主にカードのシステムを担当しててね。事故の際その殆どを消失してしまったんだ。残されたバックアップにもシステム骨組み部分しかな事しか残っていなくてね………結局仲間内でここまで作ったんだが………まさかこの世に残っていたとはね………」

 

心なしか博士は嬉しそうだ。

 

「零治君、これは開けた事は?」

「無いです。ずっと御守りだと思っていたので開けたら効力が無くなると………」

「成る程ね……零治君、開けてみていいかい?」

「………はい」

 

俺の返事を聞き、ホルダーを開ける博士。その中には何枚かのカードが入っていた。

 

「うん、カードは同じだね。まあカード自体は残されたデータを元に作ったから同じなのは当たり前だけど。全て白紙という事はやっぱり未使用状態でこのホルダーに入れてたのかな」

 

カードを纏めていた紙を取り1枚1枚確認するがどのカードも全て白紙だった。

 

「未使用?」

「カードは登録した持ち主がカードローダーから引くとその持ち主にあったカードが自動的に表記されるんだ」

「という事はこのカードは………」

「まあ実際は使えないかな?………一応試してみるかい?」

「そうですね、じゃあ一応………」

 

そんな会話をしているとどうやらちょうどバトルが終わったようだ。

 

「悔しい〜!!あともうちょっとだったのに!!」

「確かに危なかったです。あんな搦め手でくるとは………王も何か準備していたようですし………」

「時間まで計算していなかった。今回は引き分けだな」

 

どうやら時間いっぱいまで勝負がつかなかったようである。

 

「3人共お疲れ様。一旦出ようか」

 

博士の言葉に従い、3人は機械から出てきた。

 

「それじゃあ試しにやってみようか。中で待っていてくれたまえ」

 

そう言われ、俺は恐る恐る機械の中へ入る。中は特に息苦しくもなく、狭くも感じない。特に居心地が悪いとは感じなかった。

 

「では始めるよ」

 

そう言葉が聞こえると同時に視界が変わり、浮遊感を感じる様になった。

 

「うおっ、何だ!」

『零治君、先ずは目の前にディスプレイが現れたと思うんだけど、そこに名前、生年月日、身長、体重を入力してもらってもいいかな』

 

そう言われ、俺は指示通り動かす。

 

「ありがとう。これで初期登録はオーケー。本当だったらカードローダーで登録するんだけど………まあ持ってるホルダーが使えるかどうか試すためだから。それじゃあ始めるよ。始めれば何かしら反応があると思うから」

「分かりました」

 

と説明されるが、正直少し不安な部分もある。こういった経験は初めてであり、視界も変わり、閉じ込められた事でそれも不安を煽っているのだろう。

 

「行くよ………ブレイブデュエル、スタート!」

 

アミタの声と同時に再び目の前の景色が一気に変わった。見渡す限り大空で空の上に自分が浮いていた。

 

「これが………」

『起動確認。指紋認証………体型データ確認……』

「な、なんだ!?」

 

感動していると不意に何処からか機械の音声の言葉が聞こえてきた。

 

『体型データ登録完了。コンニチハマスター、ナマエヲオシエテクダサイ』

「な、名前……?有栖零治」

『有栖零治確認。………マスター登録完了、ラグナル起動』

「うわっ!?」

 

それと同時に再び光に包まれる。

あまりの眩しさに腕を使って光を遮ろうとするがそれでも眩しさを感じる。

 

光が晴れると自分の姿が変わっていたのだった………

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