魔法少女リリカルなのはINNOCENT ブレイブバトル   作:blueocean

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DUEL17 射撃訓練

DUEL17 射撃訓練

 

「改めまして………私はラグナルの最後のアーマー、アーベントよ。アーちゃんとでも呼んで」

 

焔との再会後、また博士の後ろから焔達と同じ位の大きさの少女が現れた。……いや、大きさは焔達と大差ないが、女性と言った方が良いかもしれない。

 

「これが自分の身体ね………これで私もマスター達と同じように生活できるのね」

 

長い金髪の髪を後ろに束ね、肩を出すようにウェアを羽織り、ノースリーブのスーツによって強調される大きな胸は焔やユリと比べて年上なのが分かった。

 

「………」

「私が言うのも何だけど、胸の大きさなんて気にしなくても充分焔は可愛いわよ」

「べ、別に気にしてなんか………」

 

と言いながらも誰がどう見ても落ち込んでいた。

 

「マスター、夜のご奉仕が必要だったら言ってね。小さい身体だけど精一杯尽くすから」

「ぶっ!?」

 

不意に突拍子も無い事を言ってくるアーベントに何も飲んでもいないが噴き出すようなリアクションを取ってしまった。

 

「何言ってんだお前は!!」

「マスターも年頃の男の子でしょ?さっきは頑張ったしご褒美で………」

「いいよそんなの!!」

「そう?………残念」

 

と残念そうに呟くが、口元が小さくニヤリとしていたのを見逃さなかった。

 

(こいつ一番厄介なのでは………?)

 

背中に感じる女性陣の冷たい視線を一身に受けながらそう考える。

 

「どうしても発散したかったら遠慮なく言ってねマスター」

「無いから大丈夫だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、翌日から早速アーベントの練習を始めた。

 

『マスター遅い!!』

「ちくしょう………!!」

 

複数のドローンめがけてパルチザンランチャーを発射するが殆ど当たっていなかった。

 

『機動力に関しては大分付いていけてるけど、攻撃がそんなんじゃ相手を倒せないわよ』

「分かってるけど………」

「まあ難しいとは思うが、流石に酷すぎるのではないか?」

「ディアまで………」

 

本日講師件相手役のディアにも言われ更に落ち込んだ。

昨日キリエに当てられたのもマグレだったようで、動いた状態であれば20%、止まってる場合でも40%が良いところである。

 

「銃筒が長いのも命中が安定しない原因だろう。長い分照準がブレるだろうし………」

「因みにアーベント、銃筒を短くすることって………」

『出来ないわよ』

「ですよね………」

 

予想通りの答えを聞き、項垂れながら呟く。対加藤桐谷用にこのアーベントを1日でも早く使いこなしたいのだが、先が全く見えない。

 

『そもそもパルチザンランチャーはブンブン回転させながら撃ってるのよ?オーバーリミット時にはパルチザンブラスターにも変化するし、これ位で根を上げて欲しくないんだけど』

「変化したのか?加速に付いていくので精一杯で気がつかなかった………」

『私の場合はブラスターモードって言ってるわ。ユリと焔は何て言ってるかは知らないけどね』

「1度試してみてはどうだ?」

「………」

「うん?どうしたのだレイ?」

 

何も答えず見つめる零治にディアは不思議そうに聞いてみた。

 

『出来ないのオーバーリミット』

「出来ない………?」

「ある程度検討は付いてるけど、正直どうやれば良いのか分からない」

「?」

 

ディアは訳が分からないと言った顔をしているが言葉にするのは難しい。

 

「多分アドレナリンのようなものが出たら使えるようになると思う」

「なるほど、特に条件が決まっておらず、曖昧なものと言う事か?」

「そんな感じで良いと思う。今の俺は自分の思った通りに発動する事は出来ないんだ」

 

本当ならば他のフォームのオーバーリミット時の戦闘をしておきたいのだが、こればっかりはどうしようもない。以前言っていた内なる自分もなりを潜めている。

 

『まあオーバーリミットの件は置いておいて………このままじゃ私、宝の持ち腐れよ?』

「分かってる………」

 

しかし一向に上達を見せず、この日のブレイブデュエルを終えた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ………」

「またか………」

 

結局解決策が思い浮かばずGWが見えてきた学校生活。クラスの皆はGWの予定を楽しげに話している中、1人溜息を吐いていた。

 

「今度はどうしたんだろ?あの一緒に行かなかった日の翌日から今までテンション高かったのに………」

「本当に厄介な奴だな……神崎みたいに単純だったら良いのに………」

「うんうん………ってあれ?馬鹿にされてる?」

 

と聞き返す神崎を無視し、黒崎が声を掛けた。

 

「零治、また悩みか?」

「ああ、黒崎か。………まあ悩み多き年頃なんだよ……」

「女子か………今回も言えない事なのか?」

「いや………実は………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「銃の使い方!?」」

「ああ、そうなんだけど……」

 

場所を変え、一階の自販機前。飲み物片手に話を始めた。

 

「零治、考え直せ!!銃なんて使えば人生が一気に狂うぞ!!」

「そうだそうだ!!一体何があったんだよ!!」

 

鬼気迫る勢いの2人に若干引き気味になりながらも話を続けた。

 

「いやな、これが有効打になりえるから使おうと思うんだけど使った事無いからどうしても照準が合わなくてな………何か良い案ないかなと………」

「いや、先ず銃を使う事をおかしいと思えよ!!一体何を考えてる!!」

「所持してるのをバレただけでも退学になるぞ!!」

 

「所持?退学?一体何を言ってんだよ2人共?」

 

2人の言葉に謎が深まるばかりで、そんな態度の俺を見て、まるでおかしな人を見るような目で話を続けた。

 

「零治、一旦落ち着こう。そうだ、あのハーブの入った野菜ジュースで気持ちを落ち着かせよう。ジュースは俺が奢るよ」

「落ち着いているけど………まあ奢ってくれるなら……」

 

そう言って奢ってもらった野菜ジュースを飲む。爽やかな味わいが口に広がり、スッキリしていて飲みやすかった。

 

「それで話を戻すけど………やめとけ!お前にはその拳があるだろ?」

「そうだ零治には拳がある!!」

「いや、拳じゃ絶対無理だ。むしろこっちが痛めそうだ」

 

あの装甲相手に拳で立ち向かうのはある意味カッコ良さそうだが、ふざける余裕は無い。

 

「だからって銃に手を出すなんて………」

「零治、もっとあるだろう?竹刀とか木刀とかバットとか………」

「ん?何の話してるんだ?」

「何の話って………喧嘩だろ?」

「ある意味間違ってはいないけど……なる程、道理で話が噛み合わないわけだ」

 

原因が分かったので、取り敢えず悩みを事細かに説明した………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ややこしいんだよ………」

「本当どうしたんだと思ったよ………」

「悪い悪い………」

 

移動教室の授業の帰り、先ほどの話の続きを話していた。流石にチャイムが鳴ってはそれ以上話すわけにもいかない。

 

「んで、何か良い案ない?」

「………いや、悪いが射撃の事を聞かれてもな」

 

と申し訳ない顔で黒崎が呟いた。

 

「まあ俺と同じ剣士だもんな………」

「あのさ、ちょっと提案があるんだけど………」

 

そう言いながら神崎が語り始めた………

 

 

 

 

 

 

 

「これこれ」

 

放課後、神崎に案内されたのは駅近くにあるゲームセンターだ。放課後もあってか同じ高校の生徒の姿もちらほら見える。

 

「ゲーセンか………」

「あんまり……ってかほとんど来たことないな………」

「俺も………」

 

「………2人共元不良だよね?」

「いや不良だからゲーセンにいるって漫画の世界だけだろ」

「普通だったら営業妨害で追い出されるだろうな………」

 

なんれ会話をしつつ目的のゲームの場所まで向かう。

 

「あった、これこれ『ワールドハザード』未知のウィルスで世界中の人口が1割まで減った世界で感染者達と戦い、生き残る上級者向けのガンシューティングゲームだよ。これは照準カーソルが無くて、自分で狙って撃たなくちゃいけない上に感染者も動くから上級者向けってなってるんだけど、このゲームならブレイブデュエルに近い感覚でやれるんじゃないかな?」

 

確かにこれは盲点だった。確かにこれなら良いイメージが持てる気がする。

ただ問題は………

 

「こう言うのって普通拳銃くらいの大きさだよな?」

 

黒崎が聞いた事が唯一の不安点。ランチャーと名乗っているようにアーベントの銃が銃筒が長い。この違いがどの様な影響を及ぼすか、分からないのだ。

 

「それも分かってたよ。零治のアーベントを実際見たことないから何とも言えないけど、一応拳銃だけじゃ無くてマスケット銃っもあるからそれを使えば多少は近い感覚で出来るんじゃないか?ほらあれ………って先客がいる」

 

ゲームの前に着くと既にプレイしている人がいた。

 

「ウチの女子の制服………同学年か」

 

オレンジのショートヘアーで眼鏡を掛けた女の子がゲームをしていた。

 

「うおっ!?ステージ9!?ステージ9なんて初めて見た!しかもあれ2人用のステージを1人で………」

 

1人とは言え2P用の拳銃を使い、両手でプレイしているのだが、敵の狙いを外さず器用に2丁の銃を巧みに操っている。

 

「凄いな………」

「ああ………」

 

素人目からも分かる技術の高さに開いた口が塞がらない。

興味が湧いたのでさらに近づいてみると……

 

「あのクソビッチがー!!」

「「「!!?」」」

 

不意の汚い怒声に3人同時に飛び上がった。

 

「男にチヤホヤされるのがそんなに偉いのか!!直接じゃ無くチマチマと嫌がらせしやがって……!!………社会的に抹殺してやろうかしら………」

 

とステージ9をクリアしてどんどん毒吐いていく。

 

「………ってあら?」

 

立ちすくんでいた俺達にも気がついた様だった。

 

「何?貴方達もやりたいの?悪いけど、今は私がやってるところだから後にしてね」

 

と言って早々にゲームの続きを始める。

 

「………なあ黒崎、別のゲームやらね?」

「そうだな………」

「ちょっと!!このゲームが一番感覚近いんだってば!!零治は自分の為なんだし逃げないの!!」

 

「零治………?」

 

そんな神崎の言葉を聞き、ゲームを一時中断し、こちらを向いてきた。

 

「へぇ………貴方が………」

「?」

 

あちらはどうやら俺の事を知っている様だが、俺には身に覚えがなかった。

ただそれ以上特に俺に言う事は無く、再びゲームに集中し始めた。

 

「何だ………?」

「零治知ってるのか?」

「いいや、俺には見覚えは………」

 

そもそもこの地に来たのだって今年の春からであり、新しい人と出会いがあったのは主にブレイブデュエルに関連する人達だけである。

 

「零治と黒崎は早々に事件起こしたし、それで知ってるんじゃないの?」

「まあ確かに………」

「いや、俺達が事件起こした訳じゃないからな」

 

と黒崎が突っ込むが、何故か彼女の顔が引っかかる。

 

(何となく見覚えがあるような無い様な………)

 

しかし相手も興味を無くしたようだし、俺も気にしない事にした。

 

「取り敢えず終わるまで待つか。どうせこれでラストステージだし」

「そうだな」

 

神崎の提案により、俺達は彼女のゲームを見守る事にした………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちっ、このクソ雑魚が!!」

 

相変わらず口は悪いが、先ほどとは違い、劣勢のようだ。

忠ボスの様な敵を相手にしているのだが、相手の攻撃が凄まじく、何とか凌いでいるのが精一杯の様だ。

 

「このゲーム、1人プレイと2人プレイがあるんだけど2人プレイ用のステージを1人でやってるんだ。むしろここまでクリアした事が凄いよ」

 

と神崎が絶賛する。確かにとても俺や恐らく黒崎が2人でやっても出来るとは思えない。

 

「負けるかああああ!!」

 

それでも暫く耐え続け、ジワジワとボスを削り、後少しの所まで来ていた。

 

「いけるか………?」

「でもHPも………」

 

耐え続けていたとはいえ、プレイヤー側の体力ももう限界だった。

 

「行けるぞ、諦めるな!!」

「うるさいわよ!!」

 

咄嗟に応援していた。だが、そうさせるほどの熱い勝負だった。

 

「これで………終わりよ!!!」

 

相手の攻撃を防ぎ、最後の一撃。右から放たれた一撃でボスは悶絶して崩れ落ちた。

 

「「「おっしゃあああああ!!」」」

 

3人で思わず大きな声で喜んでいた。

 

「凄いよマジで!!」

「本当に勝った!!」

「やったな!!」

「ふん、当たり前よ、私を誰だと思ってるのよ?天才参謀クアットロ様よ!!」

「何言ってんのか分かんないけどマジでおめでとー!!」

 

と自称クアットロと4人で喜び合う。

 

『ゲームオーバー』

 

「「「「あっ…………」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、貴方達のせいよ!!ノーコンでラストステージまで行けたのは初めてだったのに………」

 

その後、小言を言われながらも俺達は直ぐ近くのバーガーショップに連れていかれ、クアットロのポテトと飲み物を奢らせられる羽目となった。

 

「でも凄いなぁ………2P用のステージを1人であそこまでクリアしちゃうなんて………」

「でしょ?私しかいないわよ、あんな事出来るの」

「と言うより友達居ないんじゃ………」

「そこ、何か言った………?」

 

クアットロに睨まれ、黒崎は逃げる様に視線を逸らした。

 

「う~ん、やっぱり何か見た事ある気がするなぁ………」

「何?新手のナンパ?幾ら可愛いからって止めてほしいんですけど………」

「うわっ、自分で可愛いとか………」

 

再び睨まれ、黒崎も凄い速さでそっぽを向いた。

 

「でもたしか零治の名前知ってたよね?」

「それは貴方達3人は有名だからよ」

「3人?」

「俺と零治だけじゃ無く?」

「そう、3人。知らないの?」

 

それを聞いた神崎は嬉しそうにドヤ顔していた。

 

「そうだろうね、こんなイケメンが有名じゃない方がおかしいからね!」

「そうね。ただ残念なオタクイケメンだって広まってるけどね」

 

それを聞いて即座に崩れ落ちた。

 

「間違ってねえじゃん」

「そうだな」

「そうだけどさ………俺もやっぱり学生らしいきらびやかなというか華が欲しいと言うか………」

 

「無理だろ?」

「無理だな」

「無理ね」

 

「ちょっと3人共!?」

 

俺達の返答を聞いて項垂れる神崎。

 

「それにしてもその有名な3人が一体何しに来たの?私の応援しに来た訳じゃないわよね?」

「ああ、それは………」

 

そう言って俺の事情を話した………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?レイは帰ってないのですか?」

 

同時刻、研究所に返ったシュテルが、既に夕飯の支度をしていたディアーチェに聞いた。

 

「レイなら今日は帰りが遅くなると連絡があったぞ。夕飯は食べるそうだからそこまで遅くはならないのではないか?」

「………王には連絡いれるんですね」

「ん?何か言ったか?」

「いいえ、私は自分の部屋に行きますね………」

 

明らかに不機嫌になったシュテルは自分の部屋に向かって行った。

 

「ふむ、そう言えば今日はシュテルが訓練つけてやる予定だったか?まあレイも友達付き合いもあるから仕方ないと思うがな………」

 

そう言いつつ料理に集中する。

 

「それにしても………」

 

『……では夕飯は食べて行くのか?』

『いやいやいやいや!!俺の一日の楽しみを奪うとか鬼ですか!?』

『えっ!?いや、たまにはレイも外食もいいのではと思ったのだが………』

『俺は毎日でもディアの料理を食べたい!!』

 

「これは最早プロポーズでは………まあ無いか」

 

電話でのやり取りを思い出し、小さく笑ったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違う!!ちゃんと狙いなさいよ!!」

「やってるっての!!」

 

事情を話した後、クアットロは『私に任せなさい!!』と言い、協力してくれる事になった。

………協力した日には今日みたくポテトとドリンクの驕り付きではあるが。

 

「ほら、相手の次の動きを予測するの!!」

「くそっ!?」

 

言われた通り撃つが狙いは動いている相手の先を撃ってしまい外れた。

黒崎と神崎はもう時間が遅いからと帰った。薄情な奴等である。

 

「のろま」

「やかまし!!」

「何でそんな簡単な事も出来ないのよ。こうよこう!!」

 

そう言って軽々と俺に実演してみせた。

 

「………こう見せられると俺には銃の才能が皆無だって気がするな」

「私に才能があるのは認めるけど、自分で勝手に無いって決めつけるのは逃げでしょ」

「ぐっ………」

 

痛い所を突かれ、ぐうの音も出なくなる。

 

「どうする?止める?」

「まさか」

 

ここまで言われて引いたら男して逃げるわけにはいかない。

 

「…………」

 

再び再開。言われた事を頭に入れて集中する。

 

………ミス。

 

「駄目ね。もっと相手の動きを見極めて!」

 

頷いて再び、集中する。

 

(相手の動きを見極める………)

 

その後、何度が撃つがピンポイントで当たったのは僅か数発。

 

「まだまだね………もう今日は取り敢えず………おっ!!」

 

クアットロがそう終わりを告げようとした時だった。

 

「やった………」

 

最後の敵の10体。その全てをピンポイントで撃つ事が出来た。

 

「やれば出来るじゃない。でもどうしたのいきなり………?」

「何か集中してたのかいきなり相手の動きを感じれたかと言うか………駄目だ、よく分からないや」

「ふぅん………まあいいわ。良い感覚で終われたんだし、もう帰りましょ。20時半回ってるわ」

「本当だ。そうするか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局最後まで付き合ってもらってありがとな」

「別に良いわよ。ちゃんとそれ相応の対価も頂いたんだしね」

 

帰り道、2人で歩きながらそんな話をしていた。

 

「で、早速で悪いんだが明日も付き合ってもらえないか」

「別に良いけど………流石にGWとかは付き合えないわよ?」

「GWまでにある程度まで扱えるようにしときたいんだ」

「後数日しかないじゃない!!」

「それでもやらなくちゃいけないだよ。だから悪いが………」

「はぁ………まあ良いわよ、博士もそうしろって言うだろうし………」

「博士………?」

「何でもないわ。まあ付き合ってあげるわよ。本番で使える様になってれば良いわね」

「ああ」

 

取り敢えず約束は出来た。後はどれだけものに出来るか。

 

「ここで良いわ」

「そうか」

 

丁度分かれ道の様な場所に差し掛かった所で別れる事になった。

 

「そうだ、悪いが連絡先教えてくれないか?」

「そうね、学校で直接会うのは色々と面倒そうだしね」

 

そう言って互いの連絡先を交換した。

 

「ん?四菜・スカリエッティ?」

「私の名前よ?何か変?」

「クアットロってのは?」

「ゲーム名みたいなものよ『クアットロ・ザ・ミラージュ』!!この名前、覚えておいて損は無いわよ」

「………厨二か」

「何か言った?」

「イイエナニモ」

 

ここで機嫌を損ねても仕方がない。

 

「それじゃ………っと眼鏡にゴミが………」

 

そう言って眼鏡を外して拭く四菜。

 

「あっ………」

 

その姿を見て、不意に思い出した記憶。ただかなりぼやけていてどの場所か、相手の顔も何も分からない。

ただ同じ位の歳の女の子がビービー泣いている。

 

「なあ?」

「何よ?」

「俺達、小さい時会った事無いか?」

「………いいえ、私は覚えてないけど………博士も何も言ってないし………」

「博士?」

「そんな事どうでもいいでしょ!!また明日連絡するから遅刻するんじゃないわよ!!」

 

そう言って四菜は逃げる様に帰っていった。

 

「怪しい………まあいいか。腹減ったし、さっさと帰ろう」

 

俺もそれ以上は気にする事を止め、急ぎ足で研究所へ向かった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま~」

「おかえりなさい」

「うおっ!?」

 

ドアを開けると目の前にぶすーっとしたシュテルが居た。

 

「お、おうシュテルただいま」

「ご飯、王が作ってくれたのが机にありますよ」

「あ、ああ分かった」

 

俺の返事を聞いたシュテルは早々にテレビを見ている皆の方へと向かった。

 

「何か機嫌悪いなぁ………」

「レイ、帰ったのだな」

 

そんな中、お風呂上りだったのか、パジャマ姿のディアが現れた。

 

「ああただいま」

「今日の夕飯はハンバーグと海藻サラダと煮物、それとアサリの味噌汁もあるぞ」

「おおおおお!!もう腹ペコなんだ!!早速食べよう!!!」

 

今日の献立を聞いて、早々に机に向かう。

 

「うおっ………!!」

 

そこにはラップを掛けられた夕飯の皆が俺を待ってくれていた。

 

「ちょっと待っていろ。今ご飯と味噌汁を持っていくから」

 

そう言ってディアは準備をしてくれてこれで完璧。

 

「頂きます!!」

 

大きく言い、俺は食べ始めた。

 

「そ、そんなに急がなくても誰も盗らんぞ………」

「だって、腹減ってたし、こんなに美味いと………」

 

俺の食べっぷりに苦笑いするディアだが、これはディアの料理が悪い。

 

「本当、これかも毎日食べて行きたいよ………」

「そ、そうか………」

 

心なしか少し照れている様にも見えたが、兎に角腹が減っている俺は気にせず、食事を続ける。

 

「レイ、このブレイブデュエルする?」

「そう言えば遅かったが、何かしてたのか?」

「ふっふっふ………内容は言えないがアーベントの特訓と言っておこうか」

「へえ!!何々凄い気になるんだけど!!」

「まあまあ、秘密特訓だからな」

「その顔は成果ありのようだな」

「多分な。正直まだまだだからこれからも続けて行くつもりだ」

「では明日も………?」

「ああ、GWまではそうしようかなって。食べ終わった食器の片付けとかは自分でやるから悪いがよろしく。もし夕飯要らないってなったら早めに連絡するから」

「分かった」

 

勝手な事を言っているが、ディアは全く嫌な顔せず頷いてくれた。

 

「それでブレイブディエルする?」

「ああ、今日の成果を試したいからな。おーい、焔とアーベントもいいか?」

「ドラマ見てるんだけど………」

「私は良いわよ」

「ユリも行きます!!」

 

「ユリはいいや」

「ガーン!!」

 

と言ってユーリの膝に移るユリ。

 

「マスターが冷たいよぅ………」

「よしよし………」

 

ユーリが慰めているが、どうせウソ泣きだろうし構うのは止めた。

 

「よし、それじゃレヴィ一緒に………」

「私が相手しますよ………」

 

レヴィを連れて行こうとした時だった。

テレビを見ていた筈のシュテルがいきなり名乗り出た。

 

「いや、ボクが………」

 

シュテルの顔を見たレヴィが固まる。

 

「私が相手しますよ」

「ハイ、ワカリマシタ」

「レヴィ!?」

 

突然の片言に思わずレヴィを見るが、レヴィは冷や汗を掻きながらいつもの様子は何処かにいっていた。

 

「レヴィ大丈夫か!?」

「ダイジョウブダイジョウブ」

「そう言ってますし、さあ早速ヤリマショウ?」

「あ、ああ………」

 

とても可愛らしい笑顔を見せながら言うシュテルに続いてシミュレータールームへ向かう。

しかしその時に気が付けば良かった、普段中々見せない笑顔を見せた事の変化に。

 

「零治君帰ってこれますかね………」

「シュテルかなり怒ってたわね………何かした?」

「さあ………私は分からないです………」

 

そんなアミタ、キリエ、ユーリの会話は零治には聞こえる筈も無く、零治はその夜地獄を見る事になる。

 

「もしかして私達も使われたらこの場からダメージ受けるんじゃ………」

「アーちゃん頑張って………」

 

祈る2人。だがそれは無駄に終わる………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほうほう、それじゃあ零治君と会えたんだね」

「ええ、偶然でしたけど」

 

その夜、家に帰った四菜は自分の父親に今日の事を報告していた。

 

「私も早く会いたいね………まだ今の零治君を直接見てないしね」

「博士は零治と知り合いなの?」

「知り合いと言うよりはね………」

「あなたを含め、まだ生まれていない七緒以外は会った事あるわよ。………まあそう言ってもあなたと零治君は幼かったし、あれっきり会ってなかったから覚えてなくても仕方がないとは思うけどね」

 

博士の傍で手伝いをしている女性が代わりにそう答えた。

 

「兎に角今は零治君のサポートをしっかりしておくれ。私もグランツに頼まれた新たな防衛プログラムの構築を手伝っているからね。そしてその後こそ、我々『ラボラトリー』が行動を始める番だ」

「了解しました」

 

そんな四葉の返事を聞いた後、博士は再び作業を始めた。

 

「まさかこんな事になるとは思いませんでしたね………」

「いや、いずれこうなるのかもしれないと思っていたさ。グランツ・フローリアンはあの通り優しい男だからね。こうなるとは思っていなかっただろうが、私は謙蔵の異常さには危機感を覚えていたよ。その後雅也達の事故死。もしやその事故死も………」

「まさかそんな事………」

「そうでないとしても、雅也の忘れ形見を失う事にはしないさ」

「そうですね」

「悪いが、手伝い引き続き頼むよ一架」

「はい、博士」

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