魔法少女リリカルなのはINNOCENT ブレイブバトル   作:blueocean

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EXTRADUEL1 外国から来た少年

『また絶対……絶対遊ぼうね!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「………懐かしいな」

 

久し振りに小さい時の夢を見た。親父の友人が重傷を負ったと聞き、わざわざ海外の日本まで駆けつけたのだ。

 

その時に会った1人で遊ぶ女の子。

 

「名前なんだっけな………まあ嫌でも会う羽目になるか………」

 

窓から覗ける暗い空の景色を一望しながらバルト・ベルバインは小さく呟いたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ、来た来た」

 

空港のエントランス。搭乗口から降りてくるお客を見ながら高町士郎は小さく呟いた。

探していた人物は身長165cm程の金髪で白人の少年。

 

「お久しぶりです」

「おっ、前の時よりも日本語上手くなったね」

「小さい時から英語と同様に勉強しましたから」

「大きくなったのは当たり前か。ちょっとは落ち着いたかな?」

「はい………」

 

と少年は申し訳なさそうに俯く。今回日本に来た原因はこの少年に問題があったからだ。

 

「まあ安心するといい。日本も、これから行く海鳴市もとても良いところだよ」

「はい……」

 

若干不安も入り混じっている様な返事だが士郎は気にしなかった。

 

「それじゃあいこうか、バルト君」

「はい………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お父さんは元気かい?」

「はい………」

 

車内で会話は士郎が質問をしてバルトが素っ気なく返すのを繰り返しているだけだ。

高町家までは約2時間ほど。それでもバルトは居心地は悪くは無かった。

 

(あの家に居るよりかはよっぽどマシだ………)

 

バルトの家、ベルバイン家は古くからある由緒ある家だ。3人居る兄は皆、それぞれ天才であり、既に自立したものもいれば、ベルバイン家が経営するベルバイン・コーポレーションの重役としてしっかり仕事をしている。

 

その中で歳の離れたバルトは1人孤立していた。

歳が離れていた事もあるが、出来た兄と比べられ、兄ほどの頭脳が無かったバルトは日に日に兄達の風当たりが強くなっていった。

しかしバルトにも他の兄と比べても秀でている部分があった。

 

 

 

それは身体を動かす部類である。

 

 

 

類い稀なる運動神経の持ち主だったバルトはどのスポーツをやらせてもトップレベルの動きが出来る。だが、本人が興味も無ければ、残念な事にそれを生かす様に道を進める者はベルバイン家には誰もいなかった。そしてその内、耐えきれなくなったバルトは荒れていき、気が付けば近くの街の不良をまとめてしまうほど暴れまわっていた。

 

『この家の恥知らず!!』

『貴様は生まれてくるべきじゃ無かった!!』

 

兄に罵られてもバルトには何も響かない。既に心には家の事などどうでも良くなっていた。

 

(俺は1人で生きて行く)

 

11歳でそう心に決めたバルトは自分の母国をも捨てる覚悟でいた。

 

「………」

 

車の窓から外を眺めるバルトを士郎がバックミラー越しに確認する。

 

(色々あったんだな………)

 

昔に会った時の顔を思い出しながら士郎はそう感じた。

まだ無垢な顔であった幼い顔の面影は全く無く、まるで社会の厳しさを体感した若者と言った様だ。

 

『シロウ、すまない。バルトに関しては私の力不足だ。あの子の才能を兄と同様に伸ばそうとした事が間違いだった。もう私達ではあの子には何もしてやれない。だが、せめてあの子には違う世界を見て何かを感じて欲しい。その有り余った力を生かせる何かを………』

 

「………」

 

電話で受けた話を思い出し、士郎はバックミラーから視線を戻す。

 

「なあバルト君、君はここに来て何をしたいと思ってるんだ?」

「………まだ何も」

「そうか。………まあ君の父さんからは君の事は頼まれてるからね。君の進路についても私に相談すると良い」

「はい、ありがとうございます」

 

そう素っ気なく返し、バルトは再び、窓の外を眺め始めた。

 

(心開くのにまだまだ時間がかかりそうだな………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいバルト君!!」

 

高町家に着くと1人の女性が迎えてくれた。

 

「桃子………さん?」

「あら、覚えててくれたの?」

 

笑顔で迎えてくれた女性を前に驚きを隠せない。

 

「そう言えば私の時もそうだったね」

「そう………ですね」

 

と答えるバルトであったが、内心では驚きに戸惑っていた。

 

(この2人、前に会った時と比べて全然変わっていない!!)

 

空港で士郎の事が直ぐに分かったのもこれが原因だ。

 

「それにしても大きくなったわね………男の子の成長は怖いわ。あっ、部屋に案内するわね」

「はい………」

 

桃子の案内を受け、2階へと上がっていく。

 

(………そう言えばこの家には恭也さんと美由希さんが居た筈)

 

恭也と美由希は士郎と桃子の長男と長女だ。バルトは以前、この家に訪れた時、2人の稽古を見ていた。実はその動きの見様見真似が今のバルトの喧嘩のやりかたの原点でもあり、荒々しさが目立つものの、所々に見様見真似をしたであろう動きが見て取れる。

 

「えっとバルト君の部屋はなのはの部屋の隣ね」

「なのは………?」

 

不意に聞いた名前にバルトは聞き覚えが無かった。

 

「あれ?覚えてないかしら?バルト君と同い年の娘よ」

「俺と同い年の子………?」

 

と説明されるものの、やはり記憶に無い。

 

「確か主人が仕事の事故で入院してた時になのはと公園で遊んでくれてたんじゃなかったかしら?」

 

そう言われるとバルトの眠った記憶が少しずつ蘇ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

『オイ』

『えっ?』

『何デ……1人?』

『え、えっと………』

 

あの時はまだ日本語が完璧じゃなかったから片言だった。恭也や美由希は海外にも言ったこともあり、英語で話をてくれた。しかし末っ子のなのはは違った。

 

『あ、あの………』

 

いきなりやって来た父親の親友。初めて会う外国人。なのははすっかり緊張していた。

 

『1人デ暇そう…なら、俺と遊ボウ』

『えっ、なのはと遊ぶの………?』

『他二誰がイル?』

 

バルトの言葉になのはが周りを見るが見事に誰もいなかった。

 

『うふふ、そうだね!!じゃあ何して遊ぶ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、あの幸薄そうな女か………」

「えっ?」

「ああ、いや………」

 

無意識にいつもの口調が出てしまい、慌てて直す。気をつけなければならない、あの家に帰るのならここに居た方がずっとマシだ。

 

「学校もあの子と一緒の学校よ。バルト君の他にも外国の人を受け入れている学校だから通いやすいと思うわ」

「そうですか」

 

出発する前に父親に見せてもらったパンフレットを思い出す。

 

(確か海聖小学校だったか?)

 

名前と学校の写真を見て、直ぐにゴミ箱に放り込んでしまったが、何となく覚えている。

しかし学校の校風やどんな教室があるとか全く分からなかった。

 

(………まあ関係ないか)

 

そう思いながらバルトは自分の部屋へ入って行った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

何となく覚えのある道を歩きながら周囲を見渡す。

荷物を早々に部屋に置いたバルトは散歩してくると言い残し、外へ出た。迷うかもしれないと携帯を渡されたのみ、他は手ぶらである。

 

「ここか………」

 

目的も無く、フラフラ歩いていると、先ほどの会話で思い出した公園へと着いた。

 

「懐かしいな………」

 

と呟くものの、先ほどまですっかり忘れていた思い出だ。エピソードらしい話も無く、ただ幸薄そうな女の子の相手をしていただけという認識しか持っていない。

 

「………ほう、初めて見る顔だね」

 

不意に声を掛けられ、そちらを見ると、白衣を着た紫の大人がベンチに座り、アイスを食べていた。

 

「………今は平日の14時過ぎなんだが?」

「いやいや、別にリストラされたのを誤魔化す為に暇つぶししている社会人では無いよ。研究に没頭し過ぎて気分転換に散歩しているだけさ」

 

そう言われると何となく納得出来た。確かに研究者の様な格好であり、目には隈が出来ている。

 

「だからって普通、見ず知らずの子供に声を掛けるか?」

「いや、まあ犯罪ではあるかな?だけど、何となく声を掛けたくなったんだよね」

 

とニヤニヤしながら話す。その笑顔は薄気味悪く感じた。

 

「そうだ、君に良い物を上げよう」

 

そう言って立ち上がる男に警戒し、腰を少し落とし、拳を構える。

 

「えっ?」

「ふっ!!」

 

地面を蹴り、男に迫るバルトは男の鳩尾に拳を喰らわせた。

 

「あぶっ!?」

 

反応出来なかった男は腹を抑えながら悶絶している。アイスも地面に落ちてしまった。

 

「な、何をするんだい………?」

「すまん、条件反射で」

 

情けなく、蹲る男を見て、バルトも警戒を解いた。

 

(あれくらいの攻撃を避けられないなら不意に襲って来てもどうとでもなるか………)

 

街の不良を相手していた時に身体に染みこんでしまった防衛本能と言うべきか。小学生位のバルトにも不良達は容赦しなかった為、今では無意識にでも反応してしまうのだ。

 

「ま、まあ私もいきなり話を進め過ぎたかな。………君はブレイブデュエルを知っているかい?」

「ブレイブデュエル?」

「まあ聞いてみて、おかしな話かもしれないけれど珍しいね。この街がもう知らない子は殆ど居ないと思っていたけど………」

「俺は今日海外からこっちに来たんだ」

「なるほど!!道理で………」

 

そう呟きながらも男は何故か満足そうに懐に手を入れた。

 

「だったらこの街に来た記念にこれを上げよう」

 

そう言って渡されたのはカードケースの様な物だった。

 

「これは?」

「これはブレイブホルダー。そのブレイブデュエルで戦う為に使う、………まあ君の武器と言った所か」

「武器………」

 

そう言われ、中を確認してみる。そこには大きな戦斧の絵が描かれていた。

 

「バル………バトス?」

「後は………おっと、しまったもうこんな時間か………」

 

説明を始めるのかと思えば、時計を見て、慌て出す男。

 

「おい………」

「すまない、後はそのゲームが出来るゲームショップへ行ってくれ!!そうすれば君は今まで体感した事の無い戦いを味わう事が出来るだろう!!それは君のくすぶる気持ちをきっと晴らしてくれる!!」

 

と大きく手を広げ、空を見上げながら答える男。

 

「!?お前………」

「最後に!!大人には敬語をね!!!」

 

と言い残し、嵐の様に去ってしまった。

 

「………何だったんだ?」

 

取り残されて茫然していたが、しっかりと手に握られているカードがある。

 

『後はそのゲームが出来るゲームショップへ行ってくれ!!そうすれば君は今まで体感した事の無い戦いを味わう事が出来るだろう!!それは君のくすぶる気持ちをきっと晴らしてくれる!!』

 

「見透かされていたな………」

 

初めて会った人物に心の内を見透かされていた。不思議と怒りが湧いてこない。

 

「名前聞き忘れたな………」

 

変質者の様な人物であったが、その顔はしっかりとバルトの記憶に残された。

 

「さて、取り敢えず帰るか………」

「あっ、居た!!」

 

そんなバルトに不意に声を掛ける人物が居た。

 

「ん?」

 

ツインテールの茶髪の女の子がそこに居た。

 

「君、バルト君だよね!!」

「………」

「あれ?そうだよね!?」

「………」

「ねえ、何か言ってよ!!」

「………何か見覚えあるんだが、誰だっけ?」

 

そうバルトが答えるとガーンと背景にありそうなリアクションで崩れ落ちる女の子。

 

「ううっ、私は覚えてたのに………でも、久しぶりだし仕方がないよね!!」

 

ショックを受けたかと思えば、いきなり元気よく立ち上がる女の子。

喜怒哀楽がコロコロと変わる様子にバルトが感じたのは………

 

(うぜぇ………)

 

その一言だった。

 

「それじゃあ改めまして!私は高町なのは。今日からよろしくね!!」

 

明るくハキハキと挨拶をするなのは。

 

「………今日から世話になる」

 

そう答えるバルトになのはは満足そうに笑顔で応えた。

 

「………ってあれ?バルト君の持っているのってブレイブホルダー?」

「ああ、確かそんな名前だったな……」

「じゃあじゃあバルト君もブレイブデュエルやるの!?」

「顔近い………!!」

 

食い入るように近寄って話すなのはを引き離しながら文句を言うが、なのはは全く聞いていない。

 

「どんなスタイル!?どんなスキル持ってるの!?どれくらいプレイしてるの!?」

「顔近い!!」

「ねえねえ良く見せて!!」

「いい加減にしろ!!」

 

我慢しきれなかったバルトから拳骨が落とされたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ううっ、別に拳骨しなくても良いのに………」

 

涙目になりながら頭を抑え、文句を言うなのは。

 

「あのな………お前、訳分からない位テンションが空回りしてるんだよ。大丈夫か?それとも元々頭のネジが飛んでるんだっけか?」

「そんな事無いよ。ただ私はバルト君もブレイブデュエルしてるなら戦えると思っただけで………」

「………そもそもブレイブデュエルって何だよ」

「?何でホルダー持ってるのに、ブレイブデュエルは知らないの?」

「それをさっき説明しようとしたらお前が………!!」

「?」

 

と再び怒りが湧き上がるが、一度深呼吸をして自分を落ち着かせる。流石にそう何度も女の子に暴力を振るうほど、バルトは暴力的では無かった。

 

「まあいいや。ブレイブデュエルは簡単に説明すると体感シミュレーションゲーム。ゲームの中に入って、実際に戦ったり、競技で競ったり出来る新しいゲームなの!!」

「ゲームの中に入る?」

「うん!それで自分のカードを駆使して、相手に勝つ!!空も飛べるし、魔法も使える。本当に凄いゲームなんだよ!!」

 

『後はそのゲームが出来るゲームショップへ行ってくれ!!君は今まで体感した事の無い戦いを味わう事が出来るだろう!!それは君のくすぶる気持ちをきっと晴らしてくれる!!』

 

先ほどの言葉が再び、思い出す。

 

(試してみるのも悪くないかもしれないな………)

 

「おい」

「うん?」

「このゲームが出来る店まで案内しろ」

「うん!!」

 

命令口調なのにも関わらず、ご機嫌ななのはに連れられ、バルトは移動するのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここがホビーショップT&Hだよ!」

 

暫くなのはの話を聞き流しながら歩くとビルの前に着いた。

 

「へぇ………」

 

店の前は既に人が多く、モニターの前に集まっている。中も結構な賑わいのようで外からでも混雑しているのが分かった。

 

「やっぱり春休みだし混んでるね………」

「あっ、なのは〜!!」

 

そんな中プラカードを持った猫耳メイド服を着た女の子がこっちにやって来た。

 

「あっ、アリシアちゃん!!……今日も凄い格好だね」

「今日は猫耳メイドなの。にゃお〜」

 

ちゃっかり肉球の手袋まではめており、もっと大人ならメイド喫茶の客寄せに思われていただろう。

 

「………何でこんなガキンチョが客寄せなんてやってんだ?」

「ちょ!?バルト君……!!」

「ガキンチョ………?」

 

バルトのその一言でアリシアの様子が一転した。明るかった雰囲気がフフフと不気味な笑みと共に、重く暗い雰囲気へと変わった。

 

「何だ………?」

「バルト君、アリシアちゃんは4月から中学生だよ」

「はぁ!?こんなちっこいのが!?」

 

その大きな声と共に、アリシアの額に怒りのマークが浮かび上がった様になのはには見えた。

 

「バルト君!!!」

「いいよ、いいよ。良く間違われるし、気にしてないから。ハハ………」

 

と空笑いだけ虚しく響き、引き攣ってる顔が一生懸命怒りを抑えているのを露わにしており、なのはは居たたまれない気持ちになった。

 

「まあいい、そのブレイブデュエルってのはどこでやれんだ?」

「あっ、アリシアちゃんは忙しそうだし、私が案内するよ!!!それじゃあアリシアちゃん!!!!」

「あっ、おい押すな!!」

 

なのははチャンスだと思い、無理矢理アリシアに別れを告げ、中へと入って行った………

 

 

 

 

 

 

 

「ほう………」

「凄いでしょ〜!あれがブレイブデュエルだよ!!」

 

そう言ってなのはは巨大スクリーンに向かって指を差した。映像では大人と金髪の少女が激しい近距離戦闘を行っている。

 

バルト達は店に入ってエスカレーターで登り、奥に進むと、巨大スクリーンを中心に置いた広い部屋に着いた。

人も大勢おり、皆、左右の機械に向かって並んでいる。

 

「ざっと説明するとね、私達がゲームの中に入って戦うの」

「ゲームの中に入る………?」

 

そう聞いてバルトは再び画面に注目する。

確かにゲームのキャラクターを動かしているような動きは無く、喜怒哀楽もハッキリと現れている。

 

モニターは複数に分かれており、それぞれ色々な場所で戦っていた。

 

「空ってのもあるのか」

「うん!!私飛ぶの得意だよ!!」

 

モニターには空を飛び回り、射撃で撃ち合っている。

暫く見入っていると、嬉しそうにこちらの顔を覗き込むなのはに気がついた。

 

「………何だよ?」

「バルト君、実際にやってみない?」

「出来るのか?」

「ちょっと待ってて………」

 

そう言ってなのはは1人、モニターの近くで機械を操作している店員の前に向かっていった。暫く何か話した後、こちらに帰って来た。

 

「大丈夫だよ!さあ行こう!!」

「えっ?お、おい………」

 

手を掴み、引っ張りながら進むなのは。まさか直ぐに出来るとは思っていなかったので、戸惑いながら人混みをかき分け、前へ進む。

 

「おい、高町なのは………」

「ランカーがバトルするのか……?」

 

途中聞こえてくる客の声。ざわざわとこちらに注目が集まっていることに気がついた。

 

(ランカー!?コイツが……?)

 

鈍臭そうで、幸が薄い位にしか思っていなかったが、本当は凄い人物なのかもしれない。

 

「それじゃあ私と……」

「私も一緒にやるね」

 

と不意に横から声をかけられた。

エプロンを外しながらやって来た少女は入り口で見たアリシアにそっくりであった。

 

しかし、似ているが、身長、スタイル、顔つきとどれも大人びている。

 

「アリシアのお姉さん……ってほど俺達と歳は離れていないよな?」

 

ただしそれでも幼さがあり、同世代だと感じた。

 

「えっ?うん。私はフェイト・テスタロッサ。なのはと同じ学年だよ。君は………バルト・ベルバイン君?」

「ああ。………って知ってたのか?」

「ずっと前からなのはが楽しみにしてたから」

「ちょっとフェイトちゃん!!」

 

と慌ててフェイトの口を塞ごうとするなのは。

 

「んなことどうでも良い。さっさとやろうぜ」

「えっ!?あっ、うん、分かった………」

 

残念そうにそう答えるなのは。バルトにはその反応がよく分からなかったが、特に気にせず、なのはとフェイトに着いて行く。

 

「バルト君、君ホルダー持ってるの?」

「君付けやめろ。何かテスタロッサから言われると気持ち悪い。なのはと同じ呼び捨てでいいぞ」

「なら私もフェイトで良いよ。それで持ってないなら先にホルダーを………」

「バルト君知らない人から貰ってるから持ってるよ」

「知らない人………?」

 

と不審そうにバルトを見るフェイト。

 

「多分大丈夫だ。変人だったが、特に何も無かったし」

「ホルダーも中のカードも私達が普段使ってる物と変わらないよ」

「そう。……なら大丈夫かな」

 

バルトのなのはの言葉を聞いて、納得した顔でそう呟くフェイト。

 

「それじゃあバルト、先ず自分の情報を登録してもらうから先ずはそこからね」

「ああ、分かった」

 

そう返事をし、バルトは準備を始めるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「準備OKだね?」

 

筒のような物に入ったと思えば中に浮くような浮遊感を感じ、そんな状態で初期設定を行い、ようやくゲームの世界へと入ることができた。

 

「凄ぇ………」

 

一面に広がる青空。遥か下に見える青い海。

そんな空中に浮かぶ感覚にバルトは心の底から感動していた。

 

「凄いよね〜私も最初は感動しちゃったもん!」

 

そう言ったなのはの足には小さな羽のような物が付いていて、くるくると自在に飛んでいる。

 

(なるほど……ああやって飛ぶのか?)

 

「バルト、パーソナルカードは分かる?こういった感じのカードなんだけど………」

 

そう言ってフェイトは1枚のカードを見せた。カードには学校の制服姿のフェイトが写っており、大きくNと右下に表示されている。

 

「いや、無いな………こういった鎧のカードはあるが………」

 

そう言って2人にそのカードを見せた。

 

「えっ!?」

「嘘っ!?」

 

2人は驚いた様子で、そのカードを見ている。

 

「何だ?珍しいカードなのか?」

「珍しいもなにもSRの最高ランクのカードだよ!!しかも騎士甲冑………ベルカタイプの近戦タイプなのかな?でも防御力がとても高そう………」

「バルト、このカード2枚ある?」

「ああ、ある」

 

そう言われ、もう1枚同じカードを見せた。

 

「じゃあやっぱり……とにかくリライズしてみよう。そこから色々と分かるはずだよ」

「リライズ?」

「同じカードを2枚合わせて唱えるの。リライズアップ!!」

 

フェイトは先程と同じカードをもう1枚出し、唱えた。光がフェイトを包み、晴れると、そこには黒のマントをなびかせ、黒いライダースーツの様な服とショートスカートの姿に変わっていた。

 

「私も!!リライズアップ!!」

 

なのはもそう唱えると光に包まれ、現れたのは、先程フェイトが見せた制服の様な格好。しかし両腕にアームが付いていたり、所々違ったラインや模様があったりとよく見ると結構違いが見えた。

 

「フェイトは結構薄着だな。胸のラインも見えるし、太腿もバッチリ見えるし………結構大胆なんだな」

「えっ、ええっ!?」

 

バルトがそう言うと恥ずかしそうに顔を赤くし、マントで身体を隠した。

 

(おっ、反応も可愛らしい………)

 

「バ、バルト君バルト君!!なのはは!?」

「………」

 

何故か焦った様子で聞いてくるなのはの要望に応え、服装をチェックしてみる。

 

「…………」

「…………バルト君?」

「普通だな」

「普通!?」

「ああ。白色って辺りも他に2Pカラーとかありそう」

「この色レアなんだよ!!それにセイグリッドだし……」

「知らん!!」

 

ガーンと落ち込むなのは。フェイトに関しては「マントがあるから恥ずかしくないもん……」と何度もブツブツと呟いている。

 

「………なあ早くやりたいんだが」

 

バルトの呟きは虚しく、暫く2人はそのままであった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ気を取り直して。先ずは飛ぶ練習だけど………」

 

「バルト君、こっちこっち!!」

「ちっ、待て!!速いっての!!」

 

フェイトが説明を始める前にバルトはなのはを追って飛んでいた。まだぎこちなく、スピードも遅いがそれでもちゃんと飛べている。

 

「………飛ぶことは問題ないみたいだね。じゃあ次はスキルを実際使ってみようか」

「スキル?」

「こういうのだよ。………スキルカード、プラズマスマッシャ―!!」

 

そう宣言すると同時にフェイトがかざした右手から雷撃が飛んでいく。

 

「うおっ!?凄ぇ………」

「フェイトちゃんはライトニングと言うタイプで高機動戦闘が得意なの。私はセイグリッド。防御力と遊撃力に優れてるんだ」

「へえ………人によって色々と違うんだな………」

「バルト君は多分ベルカの近戦タイプだと思うんだけど………スキルカードはどんな感じ?」

「………それは実際に戦ってみて確認しないか?」

「「えっ!?」」

 

バルトの提案に2人は驚いた。

 

「で、でもまだスキルも把握してないのに………」

「そんなもん、実際にスキルを使ってみれば分かる。それに覚えるなら実戦が一番だろ?」

「だけど、それは幾らなんでも………」

「正直うずうずしてんだ………この新たな世界。こんな興奮する場所は初めてだ。早く、早く暴れてえ………!!」

 

そう言いながら笑うバルトに2人は顔を見合わせるが、2人はバルトの提案に乗る事にした。

 

「分かった。本人がそう言うなら。………だけどある程度はちゃんと攻撃するよ」

「当たり前だ!!初心者だからって遠慮するなよ?」

「バルト君、私の実力見せてあげるね!!」

 

 

 

しかし2人はこの戦いで驚く事になる。………いや、このバトルを見ていた全ての観客に言えた事だった。

 

 

「バルト・ベルバイン、派手に暴れさせてもらうぜ!!」

 

その初心者とは思えない新たなプレイヤーの出現に………

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