俺はネギまの世界で生きる(仮   作:シルフィング

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最初からもらえた能力を使えるとは限らないと思うのですよ。

主人公一人だとどうしても地の文が長くなるの。勘弁してつかぁさい。


第一話

 ペラペラとページをめくる音が森の中で静かになる。

 この指南書、今は流して読んでるけどイラスト付きでかなりわかりやすい。

 技って言ってたからそれについての本だと思ってたけど実際は剣の使い方も事細やかに記載されていた。

 これは正直ありがたい。

 剣なんて小学生の時に傘を振り回してたぐらいしかやった事が無い。

 ほら、漫画の必殺技とか真似するあれだよ。

 そんなわけで大変ありがたいのだ。

 

 ついでにページの最初の方に俺の身体の本来の持ち主についても書かれていた。

 彼の名前はネロ・クラウディウス。

 フルネームはネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス。

 やたらに長いからこれからはネロと呼ぼう。

 彼は一昔前のローマ皇帝の五代目で、『暴君』と呼ばれていた。

 まあ実際は彼の辿ってきた人生のせいで歪んだ愛が周りに理解され無かっただけだと俺は思う。

 そして剣の名前は原初の火(アエストゥス・エウトゥス)といい、剣先から柄まで深い深紅で、刀身は少し禍々しい形をしている。

 俺の身長よりもかなりデカい。

 てかもうこれ剣って言うより大剣でしょう。

 

 俺が貰った力である『黄金劇場』は彼が独自に編み出した大魔術、なのだが地球上に魔術なんて代物は存在しない。

 もしかしたら陰では存在するのかもしれないけれど少なくとも俺は知らない。

 が、俺の元となったネロは俺がいた地球のネロではなく、ゲームの中の登場人物であるネロだ。

 故に魔術が使える。

 なので、そういう意味ではゲーム仕様のネロの身体で良かった。

 史実仕様だったら魔術が使えないかも知らんからね。

 

 最後のページをサラッと読み上げ、本を閉じる。

 大体二百ページほどだったかな。

 意外と枚数は少なかった。

 とりあえず当面は基礎から練習して基盤を固め、ある程度様になってきたところで技の習得。

 これが無難なところかな。

 いや、その前に一度『黄金劇場』を使ってみようかな。

 俺がここに連れてこられた主な理由がこの『黄金劇場』を制御できるようにするためだったからね。

 まずはこれを使ってみないことには何も始まらない。

 えーっと、確か発動させるための呪文は……。

 

 

「我が才を見よ!万雷の喝采を聞け!座して称えるがよい!黄金の劇場を!!」

 

 

 ………。

 …………?

 何も……起こらない……?

 え?こうドーンって感じで建物が出てくるのを想像してたんだけど。

 …………んー。

 

 

「恥ずかしっ!」

 

 

 うわ!うわ!なんだこれ恥ずかしい!

 決まったってドヤ顔で何も起こらないとか!

 自分でもわかるくらいに顔が赤くなるのが分かる。

 だって顔が熱いもん。

 うぅ、でも何で発動しなかったんだろう。

 呪文が間違ってた?

 それとも何かが足りない?

 それともあの神嘘つきやがった?

 

 ぬぅ

 

 実際何がいけない?

 俺が使えるらしい『黄金劇場』は史実のネロが自ら設計し、造らせたという『ドムス・アウレア』を再現する大魔術。

 ふむ、魔術、ねぇ。

 魔術……魔法……魔法使い。

 魔法使いの持つものと言えば杖。

 あ、触媒か!?

 

 

「なるほど、確かにハリポタとかゼロ魔とかそういった魔法が出てくる物語って大抵杖を使ってたはず」

 

 

 なんだったか、魔法を安定して発動させるために杖とか指輪とかの触媒を使うんだったっけかな。

 あれ?それってリリカルなのはだけだったっけ?よくわかんないな。

 俺の頭はオカルトには対応してないから致し方なし。

 しかし、試してみる価値はあるね。

 そのためには触媒を用意する必要があるけど、杖なんてない。

 まあ『原初の火』で大丈夫でしょう、多分。

 傍らに置いていた『原初の火』を手に取る。

 お、意外と軽い。

 身の丈よりも大きな剣だから持つのも苦労すると思ったけれど見た目に反してかなり軽い。

 具体的に言えば幼児化した俺の力でも片手で振り回せそうなほどだ。

 もしかしたら俺の腕力が強いだけかもしれないけど。

 ……で、ここからどうしたらいいんだろう?

 触媒にするって言ってもどうやってするの?

 うーん、と唸りながら適当にぶんぶん振ってみる。

 

 

「わっ」

 

 

 当たり前のことだけど、身の丈よりも大きい剣を振り回せば当然距離感がつかめないわけで。

 ある程度慣れているならともかく、まったくの素人な俺は剣先が地面に引っかかってしまい勢いのまま転んでしまった。

 うむぅ、軽いから多少は使えるけど見た目相応の重さだった場合、確実に剣に振り回されてただろうね、コレ。

 もしそうだったらまともに扱えんよ。

 鼻から息を吐き出しながら倒れた状態から体をむくりと起こす。

 (ドレス)に付着した土をパパッと掃い、転んだ拍子に手からすっぽ抜けた剣を取りに行く。

 

 剣を取ってからその場で座り込んでどうやってこの剣を触媒にできるのか考える。

 そこでハタと気づいた。

 魔法って魔力を、所謂MP(マジック・ポイント)のようなものを消費して発動させるって言うのがまあよくある設定だ。

 ほら、ドラクエ然りファイナルな幻想物語然り大体の魔法が登場する作品ってそうじゃん?

 触媒というのはこの魔力をより効率よくスムーズに消費するための道具だと考えると……。

 そもそもにして魔力の使い方なんて知らないからどうやったって魔法ないし魔術なんて使えないじゃん。

 てことはいくら考えたところで意味ないじゃん。

 

 んふ、詰んだわ。

 

 

「はぁ、なら『黄金劇場』と魔術の類は後回しか。大人しく剣術の鍛練に精を出そう」

 

 

 深いため息を吐いて立ち上がり、頭の中で先ほど読んだ指南書に書いてあった文章とイラストを思い浮かべながら粛々と始めた。

 

 

 

 

 

 

 さて、ここでもう一度ネロ・クラウディウスについて語ろうと思う。

 俺の体の本来の持ち主であるネロは史実では剣の扱いがうまかったという記述はない。

 でもそれは史実のネロの話であり、この体のネロはゲームのネロだ。

 そのゲームでは普通に剣が使えている。

 勿論、王族であったから史実でもそれなりには剣に関しての教育はされているとは思う。

 しかし、それだけではゲームに登場したネロほどの剣技は実現できない。

 もしそれだけでゲームに登場していたのならただの雑魚に成り下がってしまう。

 でもそのゲームの中でネロは敵を薙ぎ払ってきた。

 それは何故か?

 例えば紙新聞を丸めたものと物差しで三十センチ物差しでチャンバラごっこをするとしよう。

 紙新聞はネロで物差しは敵としてだ。

 この場合、勝敗は考えるまでもなく物差しが勝つだろう。

 何せ硬さが違う。

 確かに紙新聞だって丸めれば相当な密度になり紙とは思えないほどに固くなるが、木製、プラスチック製の物差しには勝てない。

 打ち合っても新聞紙が折れ曲がってしまう。

 じゃあどうやれば勝てるか?

 簡単だ、新聞紙の硬さを物差しよりも固くしてやればいい。

 要は自分よりも相手が優っているところを自分が優れるように押し上げてしまえばいい。

 紙新聞というベースの上に物差しよりも硬くなるようにつぎ足す。

 そうすると紙新聞の弱点だった硬さが補われ、物差しに勝てるのだ。

 それと同じことで、ネロは『皇帝特権』と呼ばれるスキルを持っている。

 簡潔に言うと『皇帝特権』は本来持っていない技術を短期間ではあるけど得ることができるスキルの事だ。

 ネロはそのスキルで『剣術』を得て戦ったのだ。

 しかもネロが持つ『皇帝特権』は強力なもので、このスキルで手に入れた技術のレベルは軒並み高い。

 

 さて、ここまでだらだらと語ったが、つまり何が言いたいかというと。

 すごく……『皇帝特権』がの欲しいです……。

 俺もそれにあやかって『皇帝特権』を使って同じように『剣術』とか『魔力制御』的なものが欲しいのです。

 『黄金劇場』じゃなくてこっちにしとけばよかった。

 そうすれば楽できたのに……。

 ネロぼでぇならデフォルトで装備になってないかなーないよなー。

 無念。

 

 もう剣を振るのが疲れてきた。

 でも素人でしかないから俺にはこれを続けるしかないんだよね。

 いくら指南書があったとしても細かいところまではわからないし、本当にできてるのかもわからない。

 実際誰かと戦闘になった時、自分ではできてるつもりでも隙だらけとか十分ありうる話よね。

 気が滅入るなあ。

 

 これ以上やっても身が入らないし、いったん休憩を挟もう。

 後ろに倒れこむようにして座り、ボーっと空を見上げる。

 それにしてもこのドレスはすごいな。

 全然運動するのに邪魔にならないんだもの。

 これでドレスじゃなくて男物の服なら言うことなかったんだけど。

 

ぐぅううるるう

 

 お腹が鳴った。

 腹減ったべや。

 

 

「そういや何も食べてない……」

 

 

 ここに来てから今の今まで何も食べてないや。

 激しい運動をしたから余計にお腹が空いた。

 何か食べる物を……あ。

 大事なことを忘れていた。

 それはもうキレイさっぱりと。

 

 

「食べ物どころか飲み水も寝るところもないとかもうね、馬鹿かと」

 

 

 これは一大事だ。

 修行とかもうそんなことは後回しにして食料と寝床の確保を最優先にしないといけない。

 ホント何やってんだろうね。

 生きていくために必要なことを疎かにするなんて阿保だな~。

 そうだよ、阿保だよっ!悪いか!

 

 

「仕方ない、何か食べれそうな木の実とか山菜を探そう」

 

 

 それと水を確保できるところを見つけないと。

 生で流石にそこらへんに自生してるやつを食べたくない。

 いや、水があっても火がないと結局生じゃんね。

 てことは町を探すのがベストか。

 でもお金がないしそもそも円が通じる国かどうか。

 

 腹の虫が荒れ狂う。

 

 ……贅沢言ってる場合じゃねえや。

 俺は自身の身長よりも大きい剣を肩に担ぎ、指南書を小脇に抱えながらえっちらおっちらこの場を離れた。

 

 

 

 

―――――

 

 

 

「うはは!いや~、メシがわざわざ向うからやってきてくれるなんてな!昼は肉だぜ肉!」

 

 

 高笑いしながら猪を肩に担いでこちらに持ってくるナギを詠春と共に迎える。

 ナギは今抱えている猪を見つけたとたん追いかけていきましたからね。

 どうせキッチリと仕留めてくるでしょうからすでにこちらの用意は済んでますよ。

 

 

「だから後はそいつを焼くだけだ。捌いてやるからそこに置いてくれ」

 

 

 下に敷いておいたレジャーシートの上に猪を置くと、詠春が愛刀『夕凪』を構えて振りぬく。

 振りぬいた後には綺麗にカットされた猪肉がでんと鎮座していた。

 肉の傍らには剥ぎ取られた皮が折りたたまれて置かれている。

 一応皮はしかるべきところであれば売れますからね。

 

 

「いやいや、いつ見ても惚れ惚れする見事な剣捌きですね」

 

「よせ。それより早く焼いてくれ。ナギの奴を見てみろよ」

 

 

 視線を詠春からナギへと移す。

 そこには今か今かと目を輝かせている子供(ナギ)がいた。

 

 

「やれやれ」

 

 

「なんだよ?」

 

 

 何でもありませんと答えながらにっこりとほほ笑む。

 これ以上は待ちきれないと下手をすれば生肉に噛り付きかねないのでさっさと魔法で焼いてしまう。

 肉を浮かし、その下に火を出す。

 ジュウジュウと肉の焼ける音と共にいい匂いが周囲に広がっていく。

 すでにナギは涎が垂れてきそうな勢いですね。

 おっと、気を逸らしてはいけませんね。

 うっかり焼きすぎてしまうかもしれません。

 クルクルと満遍なく焼いていく。

 早すぎると生焼け肉になってしまい、焼きすぎると焦げた肉になってしまいますから、その丁度間を見極めなければ。

 

 

「ふむ、このぐらいが丁度頃合いですかね。ほら、ナギももうできましたから座ってな待ってなさい」

 

 

 火を消して準備しておいた大皿の上に乗せる。

 

 

「おほー!待ってました!」

 

 

 置かれた肉を前に跳びかかる勢いで箸を――使い方は前に詠春に教えていただきました――伸ばそうとしたところで詠春に止められた。

 

 

「待った。アル、気づいているか?」

 

 

「ええ、勿論」

 

 

「おい、何の話してんだよ」

 

 

 食べるのを邪魔されて若干不機嫌になっている野生児(ナギ)は放っておいて詠春とアイコンタクトを交わす。

 

 

「そこに隠れている君、そろそろ出てきたらどうです?」

 

 

 私は猪肉を焼き始めたころからこちらの事をずっと見ている人物に声をかけた。

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

 うぅ、もう歩き出してどれくらい経ったかな。

 どれが食べられる物なのかまったくわからなくて見つけた木の実は口にできず、山菜の類は俺から見たら全部同じ草にしか見えないから判別不可能。

 『原初の火』を使って動物でも狩ろうかと考えたけど何故か一匹も遭遇しない。

 よく耳をすませば鳥の鳴き声すらしなかった。

 謎いっすね。

 結果何も食べずにお腹を空かせながらふらふらとさ迷い歩いているのだ。

 何だろう、生まれ変わる前だったら一日ご飯抜いても全然平気だったのに子供の身体になってから耐えられなくなってる。

 ひもじいとはこのことか。

 

 あ、何だか泣きそう。

 涙腺まで緩くなってるのか。

 視界が歪んできた。

 脚ももう限界なのかプルプル震えてるし、その場でうずくまってしまう。

 

 目のダムが決壊する寸前、肉の焼けるいい匂いが漂ってきた。

 ふらふらと匂いを辿って歩くと森を抜けた先に三人の男が見えた。

 慌てて草陰に隠れて様子を窺う。

 そこには赤毛の悪ガキっぽい男と黒髪の日本人っぽい顔のつくりをした男とさわやかオーラの出てる優男っぽい男の三人がいた。

 そして、何より目を引くのが現在進行形で焼かれているあの肉!

 あ、ああ、おいしそう……。

 俺の腹の虫があれを食せと必死に訴えかけてくる。

 わかる、わかるよその気持ち。

 俺も今すぐにでも齧り付きたいさ。

 でもあれ、残念なことに俺のじゃないんだよ。

 

 

「そこに隠れている君、そろそろ出てきたらどうです?」

 

 

 む?

 肉に目が釘付けになっていると不意に声を掛けられた。

 そこでハッと肉から視線を外して三人の男たちを見ると、日本人ぽいのは刀のようなものを手に持ち、優男と二人俺がいる方を見ていた。

 ば、バレた!?

 あ、でも赤毛はわかってないみたい。

 首を傾げてる。

 これって俺はあの人たちに敵認定されてるってことなのかな。

 それで投降を呼びかけてる、みたいな。

 ん、今の俺にはこの剣をでたらめに振り回すくらいしか抵抗手段が無いからここは素直に体を晒したほうがいいかな。

 そ、それにもしかしたらあの肉を分けてくれるかも。

 よく考えたら何もやましいことなんてしてないし、うん。

 見てただけ。

 背に腹は代えられんよ。

 俺は意を決して草陰から身を晒した。




ジョジョ見てたらアブドゥルがヴァニラに消された後異世界に行く話を思いついたけどこれはないと一瞬で消えました。
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