感極まってます。マジに。
「さて、どうしたもんかな・・・」
俺は今絶賛悩み中である。それというのも
「凄い!こっちの十六夜君は十六夜さんなんだ!」
「お、おお」
こいつのせいだ。
「つーかよ、お前戻れねえんじゃねえの?」
「いや?戻ろうと思えば戻れるよ?」
「便利すぎだろスキマ能力・・・・・・チートかよ」
「空間ぶった切る君が言えたセリフじゃないよねそれ」
代償付きだが空間をぶった切れる俺も大概かもしれないが、こいつのギフトの数はハンパじゃない。俺だってこいつと戦って勝てるかと聞かれたら答えはNOだ。〝俺〟じゃ勝てない。
「つかじゃあなんで帰んないんだよ・・・」
「ん?面白いから!」
俺は項垂れる。こいつも問題児の一人なんだなぁと実感し、少し黒ウサギの気持ちがわかった。今度から少しだけ優しくしてやろう。
「ヤハハハ、まあいいじゃねえか切裂。別にコイツがいたから困るって訳じゃ無いんだからよ」
「まーそれもそうだな・・・・・・、どうせだ、お嬢様に春日部も誘って街にでも行くか」
「いいねそれ!乗った!」
何ではしゃいでるのかわからない美月を連れてお嬢様達を誘いに行く。その後美月とお嬢様達ではしゃぎまくってたのは言うまでもなく、そのテンションは街に行っても留まるところを知らなかった。
あれから散々買い物に付き合わされ、(主に飛鳥と春日部の)俺と十六夜は疲れきった顔をしていた。なお現在は「六本傷」のカフェで談笑中だった。十六夜は速くも船をこぎ始めていたが、俺が時折突っついて起こしていたが限界だったのか俺の膝を枕にして寝始めた。それでも途切れることの無い女子達の談笑が続く中、俺はいつの間にか眠っていた。
side???
俺は見ていた。楽しげに笑う五人を、いや、切裂帝を。俺の傍らには物言わぬ少女。
「ハッ・・・・・・出来損ないが・・・」
俺は憎悪を込めてつぶやく。
「俺の人生に失敗はない、許されない。失敗作は始末しなきゃなぁ・・・」
そう言って俺は傍らに佇む少女に声をかける。
「ゲーム版を用意しろ、三日月」
「
その声と同時に周囲が書き換えられていく。
「殺してやるよ・・・帝ォ・・・」
side 切裂
周囲の空気が変わったことに気がつき、俺は目を開ける。その時既に周囲の景色は変わっていた。
「チッ!」
舌打ちと同時に俺は空間を断絶し、この空間から出ようとするが出られない。どうやら外の世界とは完全に隔離された別空間に呼び出されたらしい。
「外に出るにはこの空間を作り出した何某を倒さなきゃなんねぇか・・・・・・かったりぃことこの上ねぇな」
取り敢えずこの空間を作り出した奴を倒さなきゃならない。どうしようかと考えていると突然目の前の空間に裂け目ができ、そこから美月の姿が現れる。
「見つけた!突然消えたからどこ行ったのかと思った」
「丁度いいぜ、そのスキマで連れて帰ってくんねーか?どうやら俺の力じゃここから出られねぇ見てえなんだわ」
「そのために来たしね、さっさと帰るよ」
それに同意してスキマで帰ろうとしたその時。
「出てもらっちゃあ困るんだよなぁ・・・」
唐突に聞こえた気持ちの悪い声。そして、俺のよく知る声。驚いて振り返る。
「久しぶりだなぁ・・・帝ォ・・・」
「会いたくなかったぜ・・・
俺の一番会いたくない奴がいた。
「なんでテメエがここにいる・・・。」
「テメェを消しに来たに決まってんだろォ?」
「ハッ、ありがた迷惑だ、テメエの方こそ涅槃に沈みな!」
俺は狂谷に向かって突っ込んでいく右手に赤いオーラを纏わせ殴りかかるが、それは横からの介入によって防がれる。一度距離をとった俺が見たのは
「・・・・・・霊」
最悪の形での幼馴染み、
「巫山戯るな・・・・・・・・・」
「なんだよ昔の恋人と合わせてやったってのによォ?」
「テメエエエエエエエ!死人に因子を植え付けやがったな!」
「ギャハハハハハハハ!大!正!解!苦労したんだぜェ?死人に悪魔の因子を埋め込んでよォ、命みたいなもんを入れ込んで、やっとテメェを倒せる
「ふざけんなっ!」
その時美月が叫んだ。瞳に怒りを滾らせて
「そんな下らないことのために死者を侵し、無理矢理戦わせてるのか!」
「・・・誰だお前?帝の彼女か?」
「違う!友達だ!」
「じゃあいいだろどうでもよォ・・・口だすなや」
その言葉と同時に美月に鎖が絡みつき、拘束される。その程度美月なら問題ないはずだが何故か解けない。
「ソイツは因果の鎖っつてなァ、俺が作った特注品なんだが特定の条件以外での破壊はまず無理だと思ってくれていいぜ」
「その条件って?」
美月が尋ねる。すると狂谷は愉快そうに大笑いして
「ここにいるバケモノ二人のどちらかの死に決まってんだろォ?お前らなんかどうでもいい、俺はそこの失敗作のバケモノを殺せればそれでいいんだよォ!」
狂ったような発言に美月が驚愕する。どうやら本当にコイツは俺を殺しに来たらしい。
「相変わらずのマッドサイエンティストっぷりで安心したぜクソ野郎・・・・・・まさか
「キヒヒヒヒ、俺はテメエが変わってねぇみてぇで安心したぜェ・・・・・・じゃねぇとわざわざぶち殺しに来た意味がねェ」
引き裂いたような笑みで笑う狂谷。俺はその笑みに薄ら寒いものを感じながら狂谷を睨みつける。
「で?俺の嫌いな女を今更引っ張り出してきて俺を殺す?ハッ・・・調子こいてんじゃねえぞクソ爺」
「まぁそう言うなっての、折角の父親からのサービスだってのに」
「だから調子のんなっつってんだろうがクソ爺、お前のサービス精神はロクな方向に向いてねぇんだよ。」
こいつのサービスなんざロクなもんじゃねぇのは分かりきっている。
「
「ん?あぁ悪かったな、奴を殺せ」
「
その言葉と同時に霊の両手に蒼色の炎が出現。それを投げつけて来る。俺はそれをたたき落とすと同時に紅黒い炎を出現させ霊に叩きつける。それも蒼炎に阻まれる。それならと空中に
「が・・・・・・あっ・・・・・・!」
俺の左腕を抉る用に蒼炎の剣が振るわれる。
「チッ・・・テメェそんなに強かったっけかぁ・・・?」
俺は一人ぼやき再度霊に特攻をかけるが、いなされ、吹っ飛ばされる。美月が心配そうにみてくる。
「美月・・・今からその鎖壊すから、そしたら空間跳躍で逃げろ」
「・・・なんでさ」
「テメェが死ぬから。テメェには帰る場所があんだろうが、こんな所でくたばんな」
騒ぐ美月を放置し、俺は術式を展開する。それと同時に俺の背中に黒紅炎の四枚羽が出現し、俺の声もエコーがかかったような声に変化する。
そして、意識は暗転する
『 O、oooooooooooooooo!』
走る声は人間のものではなく、知性を失った獣のように獰猛な声。さあ完成だ。世界を壊す。
「ヒャハハハハハハハハハハハハハハハ!やっと姿を現しやがったな失敗作。天使モドキが!」
「どういう事!?彼のギフトは人造悪魔のはずじゃ・・・」
「失敗したから人造悪魔なんてもんになっちまったのさぁ!成功してりゃああなってたんだよ!」
「そんな!」
「ヒハハハハハハハハ」
そう笑った狂谷の顔は次の瞬間に驚愕に変わった。
美月side
悔しかった。目の前で自分の友人が異形に落ちていくのを止められない自分が。会って数時間ではあるけど、彼は優しい人だと思った。だから彼のギフトネームだって似合わないとも思った。だからこそ自分の友達を異形に堕としてなお笑っていられるコイツが許せない。その時。
「・・・なんだありゃ・・・あんなもん知らねえぞ・・・」
私は彼、帝の方を見る。紅黒炎の炎がドス黒い色に変わり、下にあった二枚の羽が砕け散って二枚羽になる。形成されかけていた仮面が割れ、中からは紅く染まった両目が顕になる。姿形こそ帝に近いがその姿は黒く紅く、怒りと悲しみに染まっていた。
『 g・・・a・・・gaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!』
咆哮。飛び散る肉片。
一瞬の出来事で何が起きたのかわからなかったけど、地面に刺さった黒炎の槍。そしてズタボロにされた白衣を見て察した。
狂谷が殺されたと。
そのせいかどうかは知らないが鎖の効力が切れ、私は自由になる。
「切れた!」
それと同時にスキマを展開、そこから鎖を呼び出し帝君を拘束する。
「ダメだよ帝君!君にだって帰る場所があるでしょ!一時の感情に流されて自分が人間であることをやめちゃダメ!」
その声が届いたのかどうかは知らないが、一瞬だけ、彼の目に光が見えた。
切裂side
真っ白な空間に俺と黒いモヤ。変な表現だが俺の目の前にいる奴はそんな形だ。
「何を望む?」
「・・・あぁ?」
「貴様は何を望んで割れを取り入れたのだ?」
「望んでテメェを取り入れた記憶はねーよ、そんなもんは俺に強制的にテメェを植え付けたヤツに聞いてくれ」
「お前の意思ではないのか・・・ではお前の意思を問おう。お主は何のために力を手に入れたい?」
「力・・・ねぇ・・・」
俺は思い出していた。十六夜みたいに元気な癖に、心のどっかに闇を抱えて、そのまま死んじまった。
「もう一度・・・もう一度大切なものを守りてぇ・・・その為の力が欲しい」
「よかろう!ならば我が力持っていくがいい」
俺の中に何かが流れ込む。俺はその感覚を感じながら。
「んじゃちょっくら、守りてぇモン守ってくるわ」
そう言って、意識を取り戻した。
「お帰り、帝君」
『おう』
目の前には今日出来たばかりの友人、橘美月の姿があった。
『決着・・・つけっか、霊』
そう言って美月を抱えて上空に舞い上がる。
無言で蒼炎の長槍を構える霊。
対する俺の後ろには、黒い魔法陣。
『終わりだ、眠れ霊』
俺の言葉と同時に、霊の姿は黒炎の中に消えた。
俺は美月とたたずんでいた。
「良かったの?」
『あん?』
「好きだったんじゃないの?彼女の事」
『分かんねぇ・・・どうなんだろうなぁ・・・』
「・・・そっか」
『俺とアイツは同じ場所で育っててよぉ・・・アイツは俺より悲惨な人生歩んできてんだわ・・・』
美月は黙って聞いてくれた。
『なのにアイツは笑うんだよなぁ・・・キラッキラした笑顔で、自分の辛さとか弱さとか悲しさとか全部押し殺して、周りに心配かけないようにってさぁ・・・』
『俺の悪魔の因子の為だけにアイツが殺されるって決まった時もさぁ・・・私は大丈夫だからって笑っててよぉ・・・』
俺の目からは気が付かないうちに涙が溢れ、悪魔化は解け、声も震えていた。
「じゃあやっぱり好きだったんだろうね・・・彼女の事が・・・」
それから一拍おいて、
「ここには君と私しかいないし・・・私は誰にも言わないからさ・・・」
「泣いても・・・いいんだよ」
俺は泣いた。数年ぶりに。
美月には我ながら情けねえとこ見せたとも思っている。そして今こいつは帰ろうとしている。
「じゃあみんな楽しかったよ!バイバイ!」
「元気でな」
「ああそうだ帝君。ギフトカード見せてよ」
ギフト変わってるかもしれないからさ、と言われ苦笑いしながらギフトカードを見せる
切裂帝
ギフトネーム
〝
〝
になっていた。
「うん。ありがとう!じゃあさよなら!」
そう言ってアイツはスキマとか言うので帰っていった。
「そうだな・・・さよならだ。また会おうぜ異界の友人」
また会えるかもしれないし会えないかもしれない。しかし俺はあいつに救われた。だからこれだけは誓おう。
「もしテメーが俺の力が必要だって時が来たら・・・何処にだろうと行って力になろう」
俺のつぶやきは、空に消えた。
お相手はsugar・twin・dragonさんのオタク少女から橘美月さんでした!
しかし再現度低い上に本編と絡んだ話になっており、美月さんあまり活躍しません。ゴメンナサイ
sugarさん問題があったら言ってください。すぐ直します・・・