悪魔付きと呼ばれた少年の異世界入り   作:煌酒ロード

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さあさあ進めて参りましょう。


現状把握・・・マジ崖っぷちだなオイ!?

十六夜が邪神を倒し、その報酬として水樹の苗を貰い、狂喜乱舞する黒ウサギ。いやちょっと喜びすぎじゃねぇ?と思わなくもないが、それほど嬉しいのかもしれない。

 

「なあ・・・、お前はどう思う?」

 

「あ?何をだよ?」

 

深刻そうな顔で聞いてきた十六夜に、俺は何が気になっているのかを聞く。

 

「アイツ・・・なんか隠してねえか?」

 

「そういう事か。気になるんだったら本人に聞いてみればいい。多分教えてくれるんじゃねえか?」

 

それもそうだと言う顔の十六夜を見て、コイツも頭が回る方なんだなと思う。

一瞬十六夜に重なった影を見て嫌悪する。俺はコイツとアイツを重ねて見ている。そんな自分に嫌悪した。

 

「なあ黒ウサギ。オマエ、何か決定的なことを隠しているよな?」

 

「…………なんの事です?箱庭の話しならお答えすると約束しましたし、ゲームのことも」

 

「違うな、俺が聞いてるのはオマエ達のこと――――いや、核心的な聞き方をするぜ。黒ウサギ達は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

目に見えて黒ウサギが動揺する。痛い部分を突かれたからなんだろう。

 

「俺が答えてやろうか十六夜」

 

「わかんのかよ?」

 

「ある程度はな、恐らくだが黒ウサギのコミュはまだ弱小、もしくは駆け出し、もしくは訳あって衰退したチームだ。ただまぁ、衰退したチームってのが正解なんだろうが。」

 

「なんで言い切れるんだよ。」

 

「簡単な話、俺達を呼び出したからだ。ピンポイントで俺達を呼び出す。そんな事がコネもない新興の連中や弱小に出来るとは思わない。だったら衰退したチームが組織強化のために俺達を呼びだしました。って言われた方が納得がいくんだよ。」

 

なるほどといった顔の十六夜と気まづそうな黒ウサギ。これは確信ついてたかなーと思う。

 

「で、だ黒ウサギ。この事実を隠していたって事は俺達はまだ他のコミュを選ぶ権利があると思うんだが・・・そこんとこどうなのよ?」

 

「………………」

 

「沈黙は是と取るか否かってか、その様子だとそういう事みたいだな……それともあれか?俺達が他のコミュ行ってもいいってか?」

 

「や、だめです!いえ、待ってください!」

 

「だーかーら、お前が何か言うの待ってんだろうが。包み隠さず喋れっての。」

 

俺は地面に腰掛け、いいだろ?と言う目を十六夜に向ける。十六夜も聞きたいようで、近場の手頃な岩に腰掛けていた。

決意したような黒ウサギの表情。

 

「…………話せば、協力していただけますか?」

 

「ああ、面白ければな」

 

ケラケラ笑いながら答える十六夜。しかしその目は笑っていない。

 

「……分かりました。それではこの黒ウサギもお腹を括って、精々オモシロオカシク、我々のコミュニティの惨状を語らせていただこうじゃないですか」

 

咳払いをする黒ウサギ。内心もうヤケっぱちなんだろうが、それでも話してくれるのならそれでいい。

 

「まず私達のコミュニティには名乗るべき〝名〟がありません。よって呼ばれる時は名前のないその他大勢、〝ノーネーム〟という蔑称で称されます。」

 

「へえ…………その他大勢扱いかよ。それで?」

 

「次に私たちにはコミュニティの誇りである旗印もありません。この旗印というのはコミュニティのテリトリーを示す大事な役目も担っています」

 

「いやそれねーとダメなヤツじゃねーか……」

 

「そうですね、そして〝名〟と〝旗印〟に続いてトドメに、中核をなす仲間達は一人も残っていません。もっとぶっちゃけてしまえば、ゲームに参加できるだけのギフトを持っているのは一二三人中、黒ウサギとジン坊ちゃんだけで、後は十歳以下の子供ばかりなのですヨ!」

 

「「もう崖っぷちだな!」」

 

「ホントですねー♪」

 

十六夜の冷静な声と俺の呆れたような声にノックアウトされるように項垂れ不気味な笑い声を上げる黒ウサギ。末期ってこういう事を言うんだろうな。

 

「で、どうしてそうなったんだ?黒ウサギのコミュニティは託児所でもやってんのか?」

 

「いえ、彼らの親もすべて奪われたのです。箱庭を襲う最大の天災――――〝魔王〟によって」

 

「ま…………マオウ!?」

 

十六夜の反応にびっくりする。なんせこいつショーウィンドウの中の玩具を見る子供みたいな目をしてんだから。

 

「魔王!なんだよそれ超カッコイイじゃねえか!箱庭には魔王なんて素敵ネームで呼ばれる奴がいるのか?」

 

「え、ええまあ。けど十六夜さんが思い描いてる魔王とは差異があるかと…………」

 

そうなのか?と考え出した十六夜を置いて、俺は黒ウサギに続きを促す。その後も色々話を聞いたが。黒ウサギが俺達を読んだ主な理由は、魔王に奪われた誇りと仲間を奪い返したい。そのために力を貸してくれ、ということだ。

 

「……ふぅん。魔王から誇りと仲間をねえ」

 

十六夜の気のない声。黒ウサギの必死の嘆願にコイツがどう返すのか、俺はある意味でそれが楽しみだった。

 

「いいな、それ」

 

言うと思った。俺は苦笑混じりにため息をつく。黒ウサギも驚いたようで何度も確認をとっては十六夜を怒らせていた。俺は立ち上がり、いい加減世界の果てを見に行くんなら行こうぜ。と声をかけた。

それから少しして、俺達は世界の果て、トリトニスの滝に来ていた。

 

「お……!」

 

「またすっげぇなコレ」

 

十六夜と共に感嘆の声を上げる。

トリトニスの滝は夕焼けの光を浴びて朱色に染まり、跳ね返る激しい水飛沫が数多の虹を創りだしている。

楕円形のようにも見える滝の河口は遥か彼方にまで続いており、流水は〝世界の果て〟を通って無限の空に投げ出されていた。

絶壁から飛ぶ激しい水飛沫と風に煽られながら黒ウサギは説明する。

 

「どうです?横幅の全長は約2800mもあるトリトニスの大滝でございます。こんな滝はお二人の故郷にも無いのでは?」

 

「…………ああ。素直にすげえな。ナイアガラのざっと二倍以上の横幅ってわけか。」

 

「十六夜が世界の果てを見たいっつー気を起こすのもわかるなコイツは……。」

 

だろ?という感じの顔で見られた後。俺達はトリトニスの滝に目を向ける。太陽が沈むにつれて色濃く朱に染まるトリトニスの大滝を眺めながら、改めて、とんでもない世界に来たと実感した。




フォレスガロ戦はカットします。
主人公出ないので(汗)
なので次はサウザントアイズです
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