現在は半分くらいそんな状態だが、完全にそうではない、と言っておこう。
だが経験と言うのは積んでおいて損はないというので胃が痛いが明日は頑張るとしよう。
まあ私のことはどうでもいいか。
今回はやっと出立だ。意外と長かった気がする。
まあそれはさておき、現在のこの作品、Dies iraeとFate成分がかなり低いと思う方も多いだろう。
安心してほしい。
この1幕の流れから予想できる者もだろうが、アレと邂逅する時が近づいている。
無論2人とも獣殿と邂逅することは間違いない。
実際は書いていないが既にアレとアレは邂逅している。
さて、老害の妄言さながらな長話もこれくらいにするとして……。
では皆さま、私の歌劇をご観覧あれ……。
「……やっぱりだめ?」
「黄に様々な料理の作り方を記した本を渡している。あまりしつこい女は嫌われるぞ?」
――出立当日の朝、私は空丹にどうしてもとせがまれたので月たちの分も合わせて朝食を作ってしまった。
そして洛陽の門まで出てきた空丹に残ってほしいとせがまれているところだ。
――仮にも皇帝なのだから、このような場所までくるのは良いとは言えんだろう。
私はいつもの服に
鞘は
――本来は
部下の寧と姜維は「一瞬意識が飛んだ」程度で済んだらしく、ついでに詠が急に魔力の消耗が急に増えたことに驚いて、ぎこちない足取りで私のところに来たというおまけもある。
――なんでぎこちなかったかは推して知るべし。
「……ならさっさと黄巾党と蹴散らして帰って来て。待ってるから」
「ふむ、善処しよう」
親離れがまだ出来ていない子供が一人で留守番することになったときを彷彿させ、私は微笑ましく感じた。
私はそのまま踵を返し、少し離れたところで待っていた馬の元まで歩く。
「ずいぶんと気に入られたみたいね」
「ああ。おかげで他の者は既に出立してしまったが……」
馬の傍で待っていたのは我が主にして愛すべき彼女だ。
困ったと言うジェスチャーをしてみると、彼女は笑って答えた。
「まあ、少し走らせれば合流できるはずだから問題はないわ。……ごめんライニ、先に乗せて……」
途中でハッとした後、詠は申し訳なさそうに私にお願いしてきた。
「……慣れるまでは、翌日が自由な日……最低でも馬に乗ることがない日に限定した方が良いだろう。それに毎晩と言うのはさすがに卿の身体に障るだろうからな」
「……そうね」
私は恥じらいを見せる彼女を抱き上げて馬に乗せた後、馬に乗った……。
――*――*――*――
「報告します!!右翼側の包囲が破られました!」
「左翼側は董卓軍が中心になり目下殲滅中ですが、わが軍の損耗は激しい模様。包囲を解いたほうがよろしいかと」
「ちっ……天下の禁軍がこの零落ぶりとは……。右翼側の各隊に通達。喰い破られたところを中心に包囲を解除し、逃げる賊に巻き込まれない程度に追撃しろとな。」
「はっ!!」
「左翼は董卓軍と連携して逃げに回った賊を討ち取れ。弓兵部隊も同様だと伝えろ。間違えて味方を誤射するなってことも伝えろ!!」
「御意!!」
伝令がとんぼ返りで部隊へ通達しに行くのを目にしつつ、傾は顔を歪めた。
「……ライニ、お前はこうなることを見越してあの意見を伝えたな……」
そこの見えぬ金色の獣を思い浮かべつつ、傾はひとりごちた……。
――*――*――*――
「何?一時包囲したあとは一か所逃げる場所を開けて逃がせ、だと?」
出立から数日。
第一の目標である陳留にたどり着く前に発見した黄巾党約2万。
それの討伐する為の軍議をしていた時のこと。
傾は黄金の獣の言葉をオウム返しで問いかけた。
「左様」
傾の問いかけに静かに頷く黄金の獣。
「だがわが軍だけでも2倍以上。お前たちの軍を加えれば3倍近い兵力差がある上、弓兵部隊などもいる。包囲しつつ中心部を射かければ中心部が勝手に味方同士でつぶしあって殲滅できるだろう」
獣は少し考えるそぶりを見せた後、傾を見て答える。
「……卿がそう言うならば私は卿の方針に従おう。私はあくまで董卓軍の将の一人に過ぎんのだから」
獣はそう言って彼女の陣から立ち去った……。
「……とりあえずは私の言った方針で進めていく。各員配置につけ」
彼の言葉を頭の片隅に置きつつ、傾は部下に指示を下した……。
――*――*――*――
「さて、相手はじきに反対側の空白地帯に気付き撤退する。それに合わせて追撃する余力を残しておけ。」
「「「「了解しました!!」」」」
黄金の鬣を、その白き服を血に染める獣の指示に従う新たな獣の爪牙たち。
「なんだテメエらその程度か!!」
「ほらほら、早く逃げないと死んじゃうよ?良いのかな?――まあ逃がすつもりはないけどね!!」
本来ならば日の元に現れぬ夜の不死鳥と死の舞い散る戦場に狂喜する
それに続けとばかりに狂気に囚われた爪牙たちは敵を突きさし、切り裂き、轍を、骸の道を、血の河を生み出していく……。
「流石は獣殿。ほとんど新兵同然だった部隊をここまでまとめ上げ、既に同数を超える敵を討ち取っている。……およそ半分があの3人の手柄と言うのが少々残念と言うのが否定できぬが……」
「カール・クラフト。貴方は彼女たちの護衛に専念しなさい」
後方で月と共に待っていた詠を守るのは、獣の盟友と、激情をその身に宿す冷静な少女。
「……私の仕事が……」
「まあ、良いんじゃないでしょうか。今時ただ居るだけで給金が支払われるなんて割の良い仕事はなかなかありませんよ?」
慰め(?)の言葉を掛ける姜維。
彼もまた、先陣切る隊長のおかげでほとんど仕事がなかった。
そんな彼らのやり取りを見ていた詠が水銀の王と、獅子心剣に対し、疑問を口にする。
「……あんた達って、仲悪いの?」
するとメルクリウスが不敵な笑みを浮かべて答える。
「どちらかといえば、団員のほとんどが私を一方的に嫌っているだけだ。まあ、それ相応の理由があるが、詳しい話は獣殿に聞きたまえ」
その姿のように朧げな返答を返す副首領に対し、櫻井螢は肩をすくめてもう少し具体的なことを告げる。
「……この男がいなければ、聖槍十三騎士団は存在しなかったと言えるでしょうね。良くも悪くも、今の私たちがいるのはこの男がいたからだと言えます」
「……そうなんですか……」
「人に歴史ありってことね」
月と詠は何ともいえぬ不思議な感覚を感じつつ、2人の団員の言葉を反芻するのだった……。
――*――*――*――
追撃に移った後、陳留方面から来た兵と、我々董卓軍と禁軍によって挟撃された黄巾党は、6000程度の投降兵を残し、壊滅した。
結果として、約3分の2は物言わぬ骸となり、1500人ほどはベイやシュライバー、私を通じ、私の槍に取りこまれた。
もっとも、禁軍の消耗も激しく、おおよそ7000近くが黄巾党の大半と同じ運命を辿ったようだが。
シュライバーを城に戻した後、私はベイを連れ、陳留方面から来た軍の代表に挨拶へ向かった。
近づいてみると、2人の兵がやってきたので、董卓と何進の使いで曹孟徳への挨拶に来た旨を伝えた。
すると、一人は急いで軍の方へ駆けてていき、残った一人は急に腰を低くして、案内をしてくれた。
「卿が曹孟徳かね?」
“
しかし、残りの数人は“
曹操に似ているが……。
「そうよ。そういうあなたは?」
「私は禁軍率いる何進と、董卓軍の混成軍の使いだ。傲慢な口調に感じるだろうが、我慢してもらえると助かる。代わりと言えるか分からんが、そちらも砕けた話し方で問題はない。そして卿の協力のおかげで無事壊滅させることが出来た。感謝する」
私がそう言うと、曹操はなんてことないと言わんばかりの態度を示す。
「こちらとしても後一つだった黄巾党の大きな集団を
私は彼女の言葉に頷いた後、続きを述べる。
「そうか。だが何進が乱鎮圧とは別で褒賞を真面目に検討すると言っていたので、それなりの期待をして待っていてくれるとありがたい。――して、そちらの男は天の御使い、だったかね?私と話をしたそうな顔をしているが……」
私がそちらを見ると、彼は慌て始める。
「あの、えっと……その……」
彼の態度と、今の禁軍と董卓軍の様子を考えて曹操にある提案をする。
「ふむ、孟徳。禁軍と董卓軍を一時的に陳留に滞在させることは可能かね?」
「数日程度なら問題ないはずよ。……そうよね、桂花?」
すると猫耳フードの変た……少女がすぐさま答える。
「問題はありませんが、食料をここで補給するとなると、話は変わってきます。……補填がなければ、食料の貯蔵が厳しいことになると思われます」
少女の答えを聞いた私は頷いて答える。
「……食料の補給は余裕を残しつつできる範囲で頼む。それと苦労を掛けるが補給の詳細をそちらでまとめて私に提出してもらいたい。色を付けてそちらに送るよう、何進に伝えておく」
「……今貴方が決定したような口ぶりなんだけど、そこら辺はどういうことかしら?」
曹操の問いかけに私は肩をすくめる。
「董卓、何進よりそれぞれの軍に置ける全権を一時的に委任されているからな。……まったく、餅は餅屋と言うが、この手の仕事をここに来てもやる羽目になるとは思ってもみなかった」
事実を口にすると呆然とする曹操軍の一同。
真っ先に我に返ったのは猫耳フードと曹操に似た髪型の少女だった。
「はあ!?無能な男に丸投げするなんてその二人頭湧いてるんじゃないの!!」
「アンタが全権代理なの!?」
「――今何つった?」
ベイの気配が代わったのに気付かず、その少女は口を開いた。
「無能で、汚いだけの、男なんかに軍を任せるな――」
少女は言い終わる前に、ベイによって首をつかまれ、身体ごと浮かび上がっていた。
「「「――栄華!!」」」
曹操軍の面々が我に返り、少女の名を呼んだ。
「――ベイ」
私の言葉でベイの纏っていた殺気が消え、ねじの切れかけた絡繰りのようなぎこちない動きでこちらを見た。
「その少女を放せ」
「しかし……」
「三度目はないぞ。――その少女を放せ」
「……
ベイはそう言った後、少女を下ろし、私の傍らに引き下がった。
「……ご希望は棒叩き?それとも不敬罪で処刑かしら」
むせている少女を見た曹操は苦虫を噛み潰したような顔をした後、こちらに問いかけてくる。
「私の部下にも非はある。ゆえに私からは口に気を付けたまえ、という忠告だけで終わらせる」
「……正直助かるわ。桂花……荀彧に負けず劣らずの男嫌いだけど、私の可愛くて有能な従妹なのだから」
ホッとした様子を見せる曹操。
「では、卿の軍に追従する形で陳留まで同行し、外郭の外に陣を展開させてもらうが構わんかね?」
曹操は少し考えるそぶりを見せた後、答える。
「構わないわ」
「では話はまとまった。天の御使いとは陳留にてゆっくり話をするゆえ、卿はしばし待つといい。――立場は違えど似た境遇にある者同士での語らいというのは、なかなかどうして心安らぐものがあるのだから不思議なものだ。……私はこれで失礼する。行くぞ、ベイ」
「
こうして、曹操軍とのファーストコンタクトは終わり、双方の部下はそれぞれが罰を受けることになったのだった……。
いかがだっただろうか。
ダチョウ倶楽部の原理に近いモノがあるのか、感想を書く者が少ない。
約一名が一話ごとに感想を書いてくれているのでそれは有難いのだが……。
たまには他の声も聞かせてほしい。
……たまには気分を変えて、次回予告をするとしよう。
最後まで、ちゃんと見てくれねば困るぞ……。
《次回予告(?)》
「卿とはここでお別れだ。」
「嘘だろ……!?まさかお前の名前は……!!」
「卿は私と似ているな……曹孟徳よ。……だが私は卿の覇道を彩る華とはならん」
「勝つのは私だ!新世界の開闢に散る華となれ!」
「ライニさん、私は貴方のことが……」
「……ライニは恋のご主人様」
「恋殿が完全に餌付けされていますぞ!!」
「別に、この男を倒してしまって構わんのだろう?」
「喰らえ!
「
「卿だけは絶対に排除させてもらう。同じ声の人間は2人といらんからな!!」
「死にたがりの神格など、恐れるに足らんわ!!」
(注)あくまでこれは製作中のモノです。
実物とこの内容の差異に関して本作品の作者は一切の責任を負いません。