恋姫✝無双 黄金の獣と聖杯戦争   作:月神サチ

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タイトルがそれっぽいが、そこまで大層なものではない。
――二日間で受けたダメージが意外と大きく、なかなかどうしてうまく紡げなかったようだ。
申し訳ない。

獣殿がもはや総司令官同然の振る舞いについて、私にツッコんでも無駄だ。
獣殿のカリスマが溢れすぎているのが悪い(逆ギレ)。



あと今回は後書きをしっかり読んでもらいたい。
まあ、そこから行動するかどうかは君たち次第だが……。

さて、そろそろ幕開けといこう。

――では皆さま、私の歌劇をご観覧あれ……。


第10話 黄昏の下での覇道の邂逅、そして……?

――場所は移り、陳留

 

 

 

周囲の風景は黄昏に染まり、目に映る多くのものは温かみを感じる金色となっていた。

 

私は董卓軍のうち、2名を除いた全員と何進と共に曹操軍の大広間に向かっていた。

 

「ライニ、本当に月と詠は大丈夫なのだろうな?」

 

「華雄、くどいぞ。――わざわざ団員にもう一度釘を刺してある上、万一が起きぬよう、イザークが目を光らせている。――食材も城に保存場所を用意させて半月分はゆうにあり、時間をつぶすため、本を始めとした暇つぶしの道具を相当数そろえてある」

 

華雄の問いかけに私が答えると、霞が眉をひそめて指摘してきた。

 

「なんで月と詠だけなんや?ウチはそこが気になっとるんやけど」

 

「……いずれ分かることになる。その時後悔せぬためだ。――もっとも、この布石は無駄になるやもしれぬがな」

 

私は一瞬言葉に詰まった後、そう答える。

 

「珍しいな。自分の行動について聞かれて説明しないというのは……」

 

傾が珍しいと言いたげな声で呟く。

 

私たちが扉の前にたどり着くと、その両隣にいた兵士が扉を開けた。

そこには曹操軍の将と軍師が勢ぞろいしていた。

 

「すまぬな、陣の配置に手間取った」

 

私が開口一番にそういうと、曹操がむしろ丁度いいと言いたげな顔で答える。

 

「いいえ。こちらも依頼された人数分の部屋の用意が丁度終わったところだからこちらとしても助かったわ」

 

「……孟徳、こちらが私に全権を丸投げした何進だ。何進、そちらの方が陳留太守である曹孟徳だ」

 

傾は微かに眉をひそめたあと、自己紹介をする。

 

「私は何進、字は遂高だ」

 

「私は曹操、字は孟徳。以後お見知りおきを」

 

二人があいさつしたあと、ふと曹操がこちらを見た。

 

「そう言えばあなたの名前を聞いていないわね、大将軍の全権代理さん」

 

自己紹介していないことに今更ながら気が付いた私は正式に自己紹介する。

 

「……ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒだ。先ほど私と会ったものならば知っているやもしれぬが、部下からは敬意を込められてか、ハイドリヒ卿と呼ばれている。大抵のものには愛称であるライニと呼ぶように言っている。私が何者か……。ある意味天の御使いと似ている、とだけ言っておこう。私の素性はそこの天の御使いならば知ってるやもしれぬが、そこまで知名度はない故、知らぬかもしれぬな」

 

私がそう言うと、曹操陣営が少なくない動揺を見せる。

 

「静まりなさい!!」

 

曹操の一喝で押し黙る一同。

 

「一刀、この人のこと知ってるかしら?」

 

「……知らない」

 

彼の態度に対し、私はねぎらいの言葉を掛ける。

 

「卿は政治家には向かんな。――少なくとも今は卿の知るようなことはせんよ。――否だ。する意味がない。したところで私にとってさほど変わらぬのだから……」

 

私を恐れながらもまっすぐ見つめる若き者を見て口元を微かに吊り上げた後、少し話題を変える。

 

「さて、私の主である董卓だが、身内からの一報を受けて長安に戻った。そのため一時的に全権を預かっている。何進も私に丸投げしてくれたおかげでおよそ5万強の兵と有能な将を預かるという重責を負っている。――私の現状、理解してくれたかね?」

 

私の言葉に対し、同情を微かに見せた曹操は頷く。

 

「だけど軍師は貸せないわよ?」

 

私は口元を吊り上げて答える。

 

「貸してくれるならばそれに越したことはなかったが、私が卿らに求めていることは、そうではない。――卿らには陳留より東から南……。主に南東部に発生した黄巾党征伐に力を貸してもらいたいということだ。了承するならば、乱鎮圧のために禁軍2万を預けるし、その間に発生した経費諸々を中央から引き出させよう。――卿も感じているのではないかね?激動の時代の胎動を……」

 

私が問いかけると、曹操は面白そうな顔をし、天の御使いは息を呑んだ。

 

「……ずいぶんと思いきった判断ね。私は構わないわ。けどそれだと、大将軍の何進や、大将軍名代である貴方の名前を使って、非道なことをできてしまうことも出来るのよ?それでも構わないのかしら?」

 

彼女の問いかけに対し、私も口元に笑みを浮かべて答える。

 

「――卿は私に似ている。覇道を歩まんとする姿など、在りし日の私を彷彿させる。そんな卿が姑息なことをするとは思えんし、するつもりもないだろう」

 

すると曹操は笑いだす。

 

「あははははっ!!私は貴方ほど威圧感を常にはなってるつもりはないわ」

 

「そうかね。……これでも自然体でいることを心掛けているつもりなのだがね」

 

私が肩をすくめると彼女は笑みを浮かべる。

 

「貴方の提案、喜んで受けさせてもらうわ。それと私の真名、華琳を預けさせてもらうけど良いかしら?」

 

「では私のことはライニ、と呼んでもらいたい。……背中は任せるぞ、華琳」

 

私の言葉に彼女は頷く。

 

「貴方の背中を安全にしたら、すぐに追いかけさせてもらうわ。――少しでも手柄が欲しいもの」

 

「だが後始末などが雑ならば、褒賞も雑になるやもしれぬな」

 

「それは大変ね。そうならないように、努力させてもらうわ」

 

そんなやり取りの後、彼女は手を叩いた。

 

「もう日が暮れるわ。細かい調整とかは明日にしましょう。……そちらも行軍で疲れているようだし」

 

「卿の言葉に甘えよう」

 

私の言葉に対し、彼女は笑顔を見せた後、自身の部下の一人に顔を向けた。

 

「流琉、貴方の料理、振舞ってくれるかしら?」

 

「はいっ!!お任せを!!」

 

彼女はそう言って駆けていった……。

 

「「「「……」」」」

 

何故だろうか。

背後から異様な視線を感じる。

 

「ライニ、作らないの……?」

 

恋が私の横まで歩いて来て問いかけた。

 

「私は客人だ。持てなす側の顔をつぶすつもりはない」

 

「……(じーー)」

 

目線で訴えかける恋。

 

よく見たら、他の者も期待の視線で私を見ている。

 

「……華琳」

 

恋のつぶらな瞳に抗えなかった私は華琳に声をかける。

 

「何かしら?」

 

「私も腕を振りたい。……厨房を貸してくれるかね?」

 

すると彼女は目を丸くする。

 

「構わないけれど……」

 

そう言った瞬間、霞がガッツポーズを取った。

 

「やったで~!!あんちゃん、絶品天津飯頼むわ~」

 

華雄はキメ顔で注文する。

 

「私は炒飯、乾焼蝦仁と麻婆豆腐だ!」

 

「ねねは五目餡かけ拉麺を希望しますぞ!」

 

ねねは珍しく自分を優先し、恋は目を輝かせる。

 

「……肉まん!!」

 

水蓮は何食わぬ顔で注文を出す。

 

獅子頭(シーシートウ)もどきの拉麺お願い。あと胡椒餅(フージャンピン)も山盛りで」

 

「……分かった」

 

肩をすくめる。

すると華琳が面白そうな顔で告げる。

 

「……厨房はこっちよ。ライニ、私にも何品か作ってくれるかしら?」

 

「厨房の状況にもよるが、善処しよう……」

 

私はこのあと、シュライバー、カイン、マレウスの3人を召喚し、厨房にない食材をこっそり使うのに苦労したとだけ言っておこう……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「普通ね」

 

「普通ですね」

 

「あ、あなたたちまでそう言うのですか……!!」

 

地獄(グラズヘイム)の一室、それなりに調度品が整っているダイニング風の部屋にて夕食をとっている詠と月。

 

卓にならぶ食事を作ったのは、飼い主(ザミエル)が不在で野放しになっている雷娘(ベアトリス)

彼女たちがくるまでは(ザミエル)の居ぬ間に洗濯さながらに城で彼氏(櫻井戒)とイチャイチャ出来て幸せを感じていたが……。

今はショックで呆然としている。

 

「ベアトリスの料理って、どうしてこう普通になるのかしら。その上同じ料理でも素材や微妙な火加減とかで少しは味が変わるものなのに、まったく変わらない」

 

詠たちと同じ卓を囲う櫻井螢が首を傾げている。

 

「ちょっと、螢。そんなに言うなら貴方が作ってくださいよ」

 

ベアトリスの言葉に対し、彼女は一刀両断する。

 

「嫌です。っていうか、ハイドリヒ卿に命令されたのは貴女でしょう?ならば職務を全うしてください」

 

「はあ、私ってどうしてこう、貧乏くじ引くこと多いんだろう。私って、黒円卓の常識人筆頭で、自分で言うのもなんだけど、かなり使える人材なのに、どうして呼び出されないのかな……」

 

「自分で言ってるあたりがダメだと思うのは私だけではないはず……」

 

ため息つく兄の彼女の言葉に呆れかえる螢。

 

「ご馳走様」

 

「ご馳走様でした」

 

そんなコント(?)が行われている間に食べ終わった2人。

 

「あ、お粗末さま」

 

ベアトリスは皿を回収する。

 

「ベアトリス、また将棋の相手してくれない?」

 

詠がお願いすると、ベアトリスが嫌そうな顔をする。

 

「ベアトリス、ハイドリヒ卿のご命令を忘れたの?」

 

「なら螢が代わってよ。私全然勝てないんだもん」

 

「ベアトリスが勝てない相手に私が勝てるわけないじゃない!」

 

そんなやり取りをする2人に対し、月が提案する。

 

「あの、これで遊んでみたいんですが、どうやって遊ぶんですか?」

 

そう言って、月が出したのは、トランプ。

 

「……大富豪あたりが一番盛り上がりそうだけど……」

 

「まあそうね」

 

「詠ちゃんも一緒に遊ぼう、ね?」

 

月の提案に断れる詠ではなく。

 

「そうね。ベアトリス。私もそっちで遊ぶから、面白い奴頼むわね」

 

あっさりと将棋を諦めた。

 

「ババ抜きに7並べ、神経衰弱あたりが手ごろだろうな。大富豪はローカルルールの設定などが面倒だ」

 

「じゃあ、とりあえず記憶力のトレーニングになる神経衰弱に……ってハイドリヒ卿!?」

 

いつの間にか現れていたハイドリヒ卿により、ベアトリスは驚きのあまり椅子ごと倒れてしまった

 

「ライニ、そっちはどういう状況なの?」

 

突然の出現に何の問題もないような態度で詠が訪ねる。

 

「曹操軍のいる陳留に今いる。……すまぬな、卿らに我が儘を言って」

 

すると詠と月は目を丸くしたあと答える。

 

「ボクたちのために動いてるんでしょ?ボクはライニのこと……信じてるから……」

 

「私もライニさんを信じています」

 

「……」

 

ハイドリヒ卿は目を見開いた後、どこか哀愁漂う笑みを浮かべた。

 

「もうこちらでは夜だ。時間の流れはほぼ同じだから早く寝たまえ」

 

2人に寝るよう促すと、詠がハイドリヒ卿をじっと見つめる。

 

「……」

 

そんな詠と、眉をひそめたハイドリヒ卿を見た月が少し考えるそぶりを見せた後、いつにもまして真面目な態度で口を開いた。

 

「ライニさん。私もライニさんと一緒に寝かせてください」

 

「「「!?」」」

 

ベアトリスと螢が目を丸くし、詠が驚愕している。

ハイドリヒ卿は一瞬だけ、困った顔をする。

 

「は、ハイドリヒ卿。どうやら私たちの仕事はここまで見たいなので失礼します!」

 

「え、あ、ちょっと!ベアト――」

 

何かを感じ取ったベアトリスがすぐさま我に返り、螢の首根っこ掴んで部屋を後にした。

――まさに疾風迅雷と言うにふさわしい速さだと断言できるほどの速さで。

 

「……一緒に寝るというのは添い寝のことかね?私で良ければかまわ――」

 

「違います」

 

ハイドリヒ卿の声を遮って否定する月。

 

「詠ちゃんとしてたように私にもしてください」

 

「……」

 

月を見た後、対応に困ったハイドリヒ卿は、マスターの方へと顔を向ける。

 

「な、なに言ってるの月。私たちには全く心当たりな――」

 

挙動不審なのを隠し切れていない詠。

そんな彼女の言葉をあっさりと月はさえぎった。

 

「私見てたんですよ?詠ちゃんとライニさんがその……へう。し、してたのを……」

 

途中で顔を赤くする月。

 

「―――!!」

 

詠が顔を真っ赤にして何かを言おうとした。

 

しかし恥ずかしさのせいか、言葉になっていない。

 

「――何故そう思うに至ったのか、卿の言葉で聞かせてくれるかね?」

 

そんなマスターを放置してハイドリヒ卿は月に問いかけた。

 

「はい……」

 

月は何度か深呼吸した後、答えを述べた。

 

「心惹かれたのは初めて出会ったときです。一目見た時から、怖いけど胸が痛いほど高鳴るのを感じました。そのあと頭を撫でてくれたあとの私は、怖さが消えて、代わりに言葉に出来ないほどの安らぎを感じていました。――でも胸の高鳴りは収まりません。そこで気付いたんです。この高鳴りは恋なんだって……」

 

「「……」」

 

月の恥じらいながらの告白に対し、真摯に耳を傾けるハイドリヒ卿と詠。

――詠の方は恥ずかしさのあまり全力で駆けだしたそうにしているが。

 

「それから洛陽へ行くまでの間、ライニさんに褒めてもらうためにいっぱい頑張ったんです。――その時は頭を撫でてもらえるだけで満ち足りていました。でも……」

 

彼女は花がしおれるかのように顔を下げた。

 

「ライニさんが何進様に連れていかれた時、とても不安になったんです。私たちの所からいなくなっちゃうんじゃないかって……。でもライニさんはいつも通りの様子で帰って来てくれました」

 

月は顔をあげて、はにかんだ顔を見せる。

 

「その次の日の夜です。詠ちゃん急にどこかへ行っちゃったから、こっそりついて行ったんです。そして詠ちゃんがライニさんに告白している所から、全部……見ちゃいました」

 

「…………!!――!!」

 

耳まで真っ赤にした詠が何かを求めてあちこち見回し始める。

 

「詠、顔をうずめるための枕はここにはない。諦めて月の話を聞きたまえ」

 

いたって冷静に主をたしなめるハイドリヒ卿。

 

「初めて詠ちゃんとした後、ライニさん言ってましたよね?『私はくるものを拒まぬ。故に何進の時のようなことが起きるかもしれんが構わんかね?』と。」

 

月の問いかけに、ハイドリヒ卿は頷く。

 

「ああ。故に私は卿を拒みはせん」

 

「……私の思いも、受け取ってくださいますか?」

 

「無論だ。卿が私を求める限り私は卿を愛そう」

 

ハイドリヒ卿の言葉を聞いた月は、詠の方へと向き直る。

 

「詠ちゃん」

 

「……何?月」

 

顔を両手で隠していた詠がそっと顔をあげて月の方へ向く。

 

「私は初めてだから、詠ちゃんが一緒にいて欲しい……」

 

「――ッ!!ライニ、分かってるわね!?」

 

「善処しよう。では部屋へ案内する。――ついてくるといい」

 

獣の案内に、2人のうら若き乙女は導かれ、部屋を後にした……。

 

 

 

 

 

 

――かくして、黄金の獣はまた一人、愛すべき花をその腕に抱いたのだった……。

 

 




いかがだっただろうか。
感想を書いてもらえて私もうれしい。
次への活力となる。




さて、話は変わるが私の活動報告に、今後のシナリオについての方針について出した。
少し意見を聞かせてもらいたいので、出来れば覗いてほしい。

ただし、ネタバレ(98%くらいあらすじ)を多分に含んでいる(と思われる)ため、それが嫌と言うならば、見ない方がいいかもしれん。

まあ、私の悩みなど些事たるものだ。

では皆さま、また次の幕にて、お会いしましょう。
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