恋姫✝無双 黄金の獣と聖杯戦争   作:月神サチ

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……初めに、二つ謝っておく。

戦闘シーンはほぼ無い(今の私には無理だった……。)

サブタイトルが思いつかなかった。

私からは以上だ。


では皆さま、私の歌劇をご観覧あれ……。


第14話 獣と暗殺者、錬鉄の英雄と理性を蒸発させた英雄

「しかし、大所帯になったモノだな」

 

轡を並べる者たちを見ながら、私はそうこぼした。

 

「ですね。神速の張遼に猛将華雄。天下無双の呂布に天才軍師賈駆、陥陣営の高順に袁家の参謀と二枚看板……。やや智略組が少ないですが、それを補って有り余るほどの将がそろっているので大陸統一も夢ではないかと……」

 

隣にいたレオンハルトが冷静に分析するが、一つ見逃していることがある。

 

「今は共闘に近いのと、諸々の事情ゆえ、実質は不可能だかね」

 

――あくまで黄巾党鎮圧の為の共闘であり、一つの軍ではないことである。

あと、それはそれで楽しそうだが、カールとの契約の履行を考えると、なるべくやらん方が良いと感じたのでやらんが。

 

「……しかし不思議なものです。本で読んだ出来事をこうして体験することになろうとは思いませんでした」

 

取り繕うようにレオンハルトは感想を口にする。

 

「私とて、これは予想だにしていなかった。……運命というものに感謝するべきかもしれんな」

 

「……ハイドリヒ卿。一つ質問よろしいですか?」

 

「何かね?」

 

おずおずと問いかけるレオンハルトに対し、私は首をかしげる。

 

「マレウス、聖餐杯猊下の姿を見かけていませんが、どちらに居らっしゃるのでしょうか?」

 

「カールを放置するのはデフォルトか……。聖餐杯は西の方で少しばかり働いてもらっている。マレウスは洛陽で十常侍の監視と皇族の子守……護衛だ」

 

私の言葉にレオンハルトが少しだけジト目になる。

 

「今子守りって言おうとしてませんでした?」

 

「……聞き流すやさしさが足りんな、卿は」

 

私が肩をすくめると、少し自虐めいた態度を見せるレオンハルト。

 

「以後気を付けます」

 

「さて、そろそろ見えてくるが……。彼女たちをしっかり足止めしてもらわねば困る。ここから先は()()()()なのだから……」

 

私はそう言うと、馬を走らせる。

 

「ちょっとライニ!!どうしたの急に!!」

 

「ライニさん!!」

 

呼び声を無視し、私は馬を走らせる。

 

しばらく走らせたあと、馬を城に転移させ、形成を発動する。

神威溢れる槍をそっと撫でた後、遠方に見える平原の町を見据える。

 

「さて、少しは楽しめれば良いが……、期待外れでないことを祈るとするか」

 

私の言葉が終わるとほぼ同時に一筋の閃光がこちらに迫ってきた。

 

「ずいぶんと派手な歓迎だ。私もそれに応えるとしよう」

 

私の言葉と共に、複数の聖剣魔剣などが私の背を越え、閃光へと殺到する。

しかし、それは迫りくる閃光の威力を削ぐだけで、完全に威力を殺し切れるわけではない。

――だがそれで構わん。

何の問題もない。

 

「我は終焉を望む者。死の極点を目指す者

 唯一無の終わりこそ求めるゆえに、鋼の求道に曇りなし――幕引きの鉄拳

 砕け散るがいい――Miðga(人世)rðr Vö(界・)lsunga S(終焉変)aga()

 

その詠唱と共に、私と聖約・運命の神槍《ロンギヌスランゼ・テスタメント》が纏う黄金の光は渇望の持ち主である男を象徴する黒へと変わる。

 

「幕引きの一撃の前に砕け散れ!」

 

私の一閃と共に、目と鼻の先まで迫っていた閃光は砕け散り、光となって消え去る。

 

「接触を恐れる。接触を忌む。我が愛とは背後に広がる轢殺の(わだち)

 ただ忘れさせてほしいと切に願う。総てを置き去り、呪わしき記憶(ユメ)は狂乱の檻へ

 我はただ最速の殺意でありたい――貪りし狂獣

 皆、滅びるがいい――Niflheimr (死世界・)Fenriswolf(凶獣変生)

 

はるか上空からの気配に気づいた私はすかさずシュライバーの創造を発動させる。

光は黒から白へ反転する。

しかし、今の身体では3騎士の創造を2つ以上維持することは出来ぬらしく、マキナの創造が解除された。

 

――跳べるか?否だ。飛んで見せよう。

 

サーヴァント()のステータスとシュライバーの創造をもってすれば不可能ではあるまい。

 

私は不思議と口元を吊り上げる。

 

そして、一度の跳躍で、私は空へ飛んだ。

 

急降下にて迫りくるは、「有り得ない」幻獣・ヒポグリフと、その乗り手である美少女と見紛う、派手に着飾った中性的な美少年だ。

 

「――!?」

 

少年は私が空中戦で挑んできたことに驚いているようだが、それで終わらせるつもりはない。

 

「空中ではおちおち会話も出来ん。とりあえず空を飛ぶための足をもぐとしよう」

 

私は空中にてヒポグリフを狙って一閃する。

 

「そんな距離で当たるわけが――」

 

少年の言葉が終わる前に、ヒポグリフは突風にさらされる。

それによって、ヒポグリフの急降下に待ったがかかる。

 

「撃ち落とせ、王の財宝(ゲートオブバビロン)

 

油断したのが敗因だと知るがいい。

 

ヒポグリフの周囲を取り囲むように展開する黄金の波紋。

 

――そこから現れた数々の宝具は容赦なく、ヒポグリフを刺し穿ち、突き穿ち、切り裂き、痛めつける。

 

「――しまった!!」

 

あまりにもダメージを受けたせいか、ヒポグリフが消えてしまったため、そのまま落下することになった少年。

 

天の鎖(エルキドゥ)!!」

 

私は少年を鎖で確保したあと、シュライバーの創造を解いて天の鎖(エルキドゥ)を巻きつけたまま少年をわきに抱える。

 

「……どうして助けたの?」

 

「つい癖で迎撃してしまったが、私は卿らと戦う気はなかったのでね。もう1人のサーヴァントに攻撃をやめるよう、言ってもらえるかね?」

 

「癖で迎撃って、四六時中命を狙われてたことでもあるの……?でもそのお願いは聞くよ。お兄さん悪い人には見えないし。……先にボクを縛る鎖を解くのが先だけど」

 

そう言っている間も、何回か狙撃が行われるが、王の財宝(ゲートオブバビロン)の宝具を駆使し、逸らしたり、撃ち落としたりする。

 

着地で足がしびれることがなかったので内心ほっとしつつ、少年を下ろして鎖を解く。

 

「……ヒポグリフしばらく使えないんだった……」

 

何かを呼び出そうとして落ち込む少年。

 

「なら私の馬を使うといい」

 

私は城にいた馬を召喚する。

 

「え?いいの?」

 

きょとんとする少年に私は肩をすくめる。

 

「ただし、あとでそちらに行くから、その時に返してもらうが」

 

「分かったよ。ボクはライダー。よろしくね」

 

私の言葉に対し、少年もといライダーが自己紹介をした。

 

「私はアーチャーだ」

 

「え?お兄さんもアーチャーなの?」

 

――先ほどの狙撃から予想をしていたが、やはりか。

 

「……もしかして、聖杯大戦なのかな……」

 

……並行世界(Fate/Apocrypha)主人公(ジーク)を取り合った恋敵(ルーラ―)がいることを教えたらどんな反応を示すだろうか……。

 

そんなことを考えていると、ライダーは勝手に去っていった。

 

「……さて、これで向こうも積極的な敵対はしないだろう。もしこれでまだ戦うならば、その時は……」

 

――全力をもって()してやろう

 

その言葉を聞いたものは言葉を発した本人以外いなかった……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

平原の町の入り口にて。

 

「……あの男は敵意がないと言うのかね?君は」

 

赤い外套を纏った浅黒い肌の男はライダーに対して問いかける。

 

「うん。っていうか、あの人本気なら、たぶんこの聖杯戦争は半日で終わると思う」

 

「……あのサーヴァントは分からぬことが多い。わざわざ手紙を寄越して、挑戦を受けたり、倒しておけば有利だというのに、それをしない……。挙句の果てには、彼の英雄王と同じ宝具を使っているように見える……」

 

眉をひそめる男に対し、ライダーは思い出したように告げる。

 

「そういえば、彼もアーチャーだって言ってたけど……」

 

「……なに?それは本当か?」

 

「うん。……ボクが嘘を言うと思う?」

 

少し不満げなライダーに対し、男は肩をすくめる。

 

「君が嘘を言うとは思っていない。……この手紙通りならば、本日中にも我々の主とあの男は顔を合わせることになる。その時に問いかけてみるしかないだろう」

 

「とりあえず、マスターのところへ行こうか」

 

ライダーがそう言うと、子供を見守る親のような表情を男は浮かべた……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「……ライニ大丈夫?魔力使い過ぎで消えない?」

 

数時間後にたどり着いた今生軍に合流すると、不安げな顔の詠たちが待っていた。

今は詠の馬に相乗りさせてもらっているが、手綱を持つ手を触ったりしているため、少しばかりくすぐったい。

 

「……卿と結ばれた後から、魔力供給量が増加していてな。いまでは以前に比べて供給量が3倍近くまで増加している。これ以上供給量は増えんと思うが、おかげでザミエルらも形成位階くらいならば、半日くらい発動させても余裕がある」

 

――私の見立てが狂っていたようで、彼女の保有魔力量は相当なモノのようだ。

現在の時点では、冬木のあかいあくま以上、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン未満だと思われる。

魔術の性質などは魔術の心得がないのでノーコメントだが。

 

「そう、それならいいわ」

 

それを聞いて安心したらしい詠。

先ほどまでの行動や、今の状態などに気付いて詠は耳まで赤くする。

そのまま愛でるのも乙だが、放置する方が後で面白いので放置することにした……。

 

「水臭いですぞ、アーチャー殿。私をどうして連れていかなかったのですか!?」

 

虚空からアサシンの声が響いてきたため、私は肩をすくめて答える。

 

「あそこで万一私が倒された場合、マスターを連れて逃げてもらいたかったのでね。それとあの場にいたら、卿は向こうのアーチャーに補足されていたかもしれぬからな」

 

私の言葉を聞いたアサシンは何かを考えたのか、しばらく間が空く。

 

「……向こうにもアーチャーがいたということは、やはり普通の聖杯戦争ではなさそうですな」

 

「ああ。味方は大いに越したことはないゆえ、出来れば我々と同盟を組んでくれればありがたいのだがね」

 

私はそう言いつつ、アーチャーを自分の陣営に引きこむ算段を始めるのだった……。

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

平原にたどり着いた私は姜維と寧に陣の設置を丸投げし、城の中に来たのだが……。

 

「此処には太守がいない?」

 

「はい。太守は黄巾党が発生した直後、行方不明になっていまして、現在空席なのです」

 

会議室のようなところで陳珪と名乗る女性から聞かされた事実に私は眉をひそめる。

 

「卿が太守代理をしていたわけか」

 

「微力ながらですが……」

 

彼女を見た後、他の文官、武官たちを見た後、結論を出す。

 

「中央に連絡しておくゆえ、次の太守が来るまで、引き続き代理をお願いできるかね?」

 

「……全力を尽くします」

 

「では、すまぬが引き続きこの会議室を借りる。平原(ここ)の文官と武官は陳珪以外は下がっても良いぞ」

 

私がそう言うと、平原の文官武官たちは一礼し、立ち去った。

私は立ちあがり、挨拶を自己紹介を交えてすることにした。

 

「……さて、ここの問題の対応で挨拶が遅れて申し訳ない。私はラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒと言う。禁軍、董卓軍、袁紹軍の混成軍の総指揮官をしている者だ。ラインハルト、と呼ぶといい」

 

挨拶した後、私は卓の対面に座する少女2人とその両隣にいる女性2人をを見据える。

 

「私は董卓。字は仲穎といいます。よろしくお願いします」

 

「私は何進、字は遂高だ。大将軍をしているが、今はこの男に禁軍の全権を丸投げしてただの同行者になってるので、気軽に話しかけてくれて構わん」

 

「私は袁紹。字は本初ですわ。そちらのお二人と同じく、黄巾党討伐に兵を出しまして、ラインハルト様に指揮権を預けています。以後お見知りおきを」

 

私の両隣と右側の辺に座る月たちが私に倣って挨拶した。

 

「私は皇甫嵩。字を義真と言います。初めまして、ラインハルト様」

 

黒を基調とし、深緑でデザインされた六角形の模様の服と、同じく黒地に緑でデザインされたグローブを付けている赤い眼鏡の女性は少しぎこちない動きで挨拶をした。

会釈によって、ライトブラウンの髪が美しく揺らめく。

(上手く自分の居場所を見出して、そこにしれっと入りこむ、生き方が上手い女性……といったところか。平凡かもしれぬが、侮れぬな……)

 

「風鈴は、盧植で、字は子幹です。よろしくお願いします♪」

 

彼女は史実通り、劉備に影響を与えた人物なのは変わらぬようだ。

何故なら“□□□□(わたし)”の知る劉備の普段の話し方や雰囲気がそっくりで、実際その隣にいる劉備も同じ雰囲気だからだ。

ふわふわなシルバーブロンドの髪に、教え子に劣らぬ豊満な体つきが印象的で、ピンク色のフレームの眼鏡が幼さ残る顔つきを少しだけ大人びた者に見せている。

(しかし、凄まじいボリュームの髪だな……)

人物評価とは全く関係ないことに気を取られているうちに、劉備が口を開いた。

 

「わ、私は劉備。字は玄徳です。よろ、よろしくお願いしましっ……。ううっ、緊張して噛んじゃった」

 

「桃香ちゃん、落ち着いて。ほら、深呼吸しなきゃだよ」

 

オドオドする劉備に対し、落ち着かせようとアドバイスを送る盧植。

 

「すーっ、はぁー。……改めまして、劉備です。字は玄徳です。よろしくお願いします」

 

彼女はそう言ったあと、席につく。

 

「私は公孫賛。字は伯圭と言います。よろしくお願いします」

 

微妙に声が震えていたが、気にしないでおこう。

 

「さて、自己紹介が済んだところで今後の方針などを語るとしよう」

 

公孫賛と、劉備の後ろにいる者たちと話したい欲望を押さえ、私は仕事を優先した……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「ボクは聖杯はあったらいいな程度のモノだから、命がけで手に入れたいとは思ってない」

 

「……私は悪用されないなら、別に誰が持ってようと興味ない」

 

「私も似たようなものだな。そんなものもらっても、叶えたい願いは特にないし……」

 

「私は世界の平和を聖杯に願おうかなって思ってるよ」

 

会議の後、サーヴァントとそのマスターに残ってもらい、聖杯戦争の情報共有などをすることになった。

ほぼサプライズの出来事に、マスターたちが少なくない困惑の色を見せたが、それぞれのサーヴァントが宥めた。

ちなみにマスターは、詠、水蓮、公孫賛、劉備である。

誰がどのセリフかは、大方予想がつくだろう。

 

「私は受肉のために聖杯を求めている。裏を返せば、受肉が出来れば、聖杯は特に不要だ」

 

「主が聖杯を求めていないので、言いにくいのですが……。――己の顔を取り戻し、オリジナルのハサン・サッバーハとして永遠に名を残すことを、聖杯に願えるならば願いたいものです」

 

「ボクは特にないかな~。……強いて言えば、お兄さんと同じく受肉かな。二度目の人生を楽しめれば面白そうだし」

 

「私は特にないな。――既に答えは見つけてしまったからな」

 

私、ハサン、アストルフォ(真名を教えてもらった)、エミヤ(アストルフォと同様)も各々の願望などを口にする。

 

「だが聖杯は汚染されている可能性が高い。劉備の願いは叶えられんだろうな」

 

私がそう口にすると、劉備は首を傾げた。

 

「え?どうして?」

 

するとエミヤが答える。

 

「汚染されていた場合、『必ず悪意を持って願いを叶える』願望器に変質しているため、おそらく世界平和を願えば、争いの元である人間を一人残らず消し去ることで『世界を平和』にするだろう」

 

「……それじゃあ意味ないよ!!」

 

真剣な眼差しで反応する劉備。

 

「ゆえに、聖杯は破壊することになるだろう。それを他の者が知っていなければ、万一の時は手に負えぬ。それも考慮し、私とアサシンはそれぞれのマスターが同意の上で同盟を組んでいる。……卿らもこの同盟に参加するつもりはあるかね?」

 

私が問いかけると、4人はそれぞれを見合った後、頷いた……。




いかがだっただろうか。

戦闘シーンが描けぬなど、致命傷にもほどがある。

なのでできうる限り、勉強してこようと思う(Dies iraeのゲームをせっとしつつ……)。

感想や誤字脱字の報告を待っているよ。

では、また次の幕でお会いしましょう……。
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